5月7日(金)かごしま県民交流センターへ大橋トリオのライブを見に行ってきた。
 このブログをごらんになる方にはご存じない方が多いと思われるので、あえて書いておくと、大橋トリオとは、大橋好規というアーティストのソロプロジェクトの名前だ。詳細は省くが、僕は近作を愛聴している。

 さて、今回の大橋トリオのライブは、ソロアーティストとしての大橋トリオのライブでありながら、トリオでのライブである。ちょっとややこしい?
 今回は、コトリンゴ(p.)、神谷洵平(dr.)を従えての本当のトリオ・ライヴ、というわけだ。今回のライブ、称して大橋コトリオ。

 大橋トリオの近作も聴いてる上に、ここ数年で登場した日本のアーティストの中でもっとも好きな女性アーティストであるコトリンゴちゃんを帯同する今回のツアー、僕が行かないはずがないので今日のライブをみてきた。

 ライブ前に、twitter上にあがっていたスタッフによるステージ写真にベースアンプが映っていたので、今回のライブがベース+ドラム+ピアノというジャズ・トリオ然としたものを基調にしたものになるのかとは大枠では想像していたが、その想像を大きく裏切らないものだった。ライブ中、大橋トリオは、曲によってベースとアコギを持ち替えるプレイだった。

 大橋トリオの歌は、スムースでメロディも美しく、多くの女性を引きつける魅力に溢れたものであることを実感したが、大橋トリオがそれだけの単純なアーティストでないことは、これまでのレコーディング作を聴いても容易にわかる。マルチ楽器奏者であり、自分の音楽にいろんなアイディアを具現化しようとする試み、自身を大橋トリオと名乗り、自身をカリカチュア化し、第三者化させることによって自分の様々な興味を具現化しようとする確信犯なのだ。

 ソロでトリオを名乗る男がトリオでライブをやるとどうなるかということがある意味示されたライブであったわけだが、大橋トリオは、ジャズやR&B、ポップスやブルーズなど音楽のジャンルという壁など軽く越境し、脇を固めた2人のアーティストの出方をうかがいつつ、自身のスタンスで(とみせつつ)、飄々とライブをやりきったのである。
 美しいメロディの歌を様々な意匠で聴かせる大橋トリオのこの日のライブは、実は大橋トリオの個性をソロ以上に浮き彫りにしたものだったかもしれない。

 大橋トリオという個性を前にしながらコトリンゴちゃんも神谷洵平君のプレイも素晴らしかった。
 神谷洵平君のヴァーサタイルで少々ストイックに見えるプレイぶりはなかなかだった。今回は金物使いが多かったので、ピアノやアコギとちょっとかぶる場面もあったかな。
 コトリンゴちゃんのピアノは圧巻だった。指の動きというような単純な問題だけではなく、音圧・音量、ピアノという楽器を愛でる彼女ならではの素晴らしいプレイだった。
 普段見られないミニマル風にトイピアノを使う彼女も、メロディカを吹き弾く彼女も実に楽しそうだった。その楽しさは、アーティストのサポートで演奏するということが教えてくれたことなのかもしれない。実際に自作曲を演奏するのと違い、サポートで演奏する面白みを彼女自身が感じていたのではないかと思う。僕はそんな彼女のピアノ・プレイに心躍らされたのだった。

 ドラム+ピアノ+ベースが全リズム楽器となり、肉弾戦のようなリズムの駆け引きをするかと思うと、大橋トリオがアコギに持ち替えるとピアノとアコギがメロディで応酬し、ドラムが支えるなど、曲や曲中によっても攻守ところを変えてアーティストがお互いの呼吸をみながらせめぎ合っているのだ。割ときっちりとプレイしようと心がけているコトリンゴちゃんが、「ここはいくんだーー」とばかりにピアノを弾く姿も美しければ、そこを大きく構えている大橋トリオもとてもよかったのだ。時には、コトリちゃんが大橋トリオのプレイに「そういいくの?」というニュアンスもあったけれどね。

 コトリンゴちゃんのソロも1曲、デュエットも1曲披露してくれた。コトリンゴちゃんのMCも多く、コトリファンとしては、とても楽しかったし、ほんわかMCとキレキレのピアノプレイとの落差も魅力だなぁと思い、改めて惚れ直した。

 今日のライブは、大橋トリオ、並びに大橋コトリオの魅力に満ちあふれたものだった。お客さんの楽しかった!というライブを終えての顔が印象的なライブだった。
 二度のアンコールまで2時間ほど。観客は350人ぐらいだったのかな? とてもいいライブでした。

 僕は家に帰ってきて、アルコール入れてしまったのだけれど、今日のライブの感想を今のうちに書いとかなければと思って一気に20分ほどでここまで書き上げた次第。雑誌に入れる原稿ならば、きちんと校正して何度も推敲するのだけれど、今日のように、お酒が入っていても勢いで書いてしまいたいライブもあるんだということで許してください。ノーチェックでブログをアップしちゃいます。
 いいライブは人をいい気持ちにさせてくれます。本当にありがとう。