全米レコード協会が意見を寄せたことで注目を浴びた昨年12月に文化庁が募集したパブリックコメントの全文を入手しました。

 PDFファイルは、一度公開したところアクセス殺到し、見ることが出来なかった方も多かったようですから、下記の場所に移転しました。
パブコメ

 4分割してありますが全部で80MBほどあります。以下で、全文(1154ページ!)すべてに目を通しての感想をつけておきますが、気になる方は、原文をご参照ください。
 →アクセス多い上にデータが重いためにアクセスしにくくなっているかもしれません。ご容赦ください。

 1154ページをすべてプリントアウトして読みましたが、全文を読んでよ〜くわかりました。このパブリック・コメントを賛成と反対の数のみしか文化庁が発表できなかったかが。以下で気づいたことを記します。
●組織票だらけ!
 →すさまじいぐらいに同じ文面で名前を変えて送られてます。コピペの嵐。それでも送信者の名前は違う場合には別にカウントされています。

●組織票のうちもっとも強いのはレコード会社からの圧力と国内盤レコード販売店。
  →レコード会社での組織的な取り組みには、その組織的な動きをうかがわせる文書があるらしく、そこには模範例文がついているらしく、同内容のコメントが多数あります。全く同じ文面も相当数!

●国内盤を販売するレコード店のコメントの文面は、「ロードサイドに続々と出店する大型のホームセンターやディスカウントショップで、国内盤の販売と同時に同内容の逆輸入盤が並ぶケースが……レコード店の存続を脅かすもの」というほぼ同文のものばかり。

●貸与権については出版社が漫画家や社員を動員。

●再販制度撤廃の条件付きで輸入権創設OKの意見も賛成意見に分類されている。

●輸入権反対の賛否よりもやはり再販制との併用にたいする意見が多く、それはその他の意見として賛否に分類されず、その他の意見という取り扱われている。

●推進派は組織、反対派は消費者などで組織化されていないため、組織票が効いている。

●賛成の意見書を出した団体
 日本訳詞家協会
 日本レコード商業組合
 (社)日本童謡協会
 (社)日本作詞家協議会
 日本現代音楽協会
 (社)日本作曲家協議会・アジア作曲家連盟会長
 日本作編曲家協会
 (社)日本作曲家協会
 日本音楽著作家連合
 (社)日本雑誌協会
 全日本児童音楽協会
 (社〉日本芸能実演家団体協議会・実演家著作隣接権センター
 International Intellectual Property Alliance (IIPA)
 (社)日本書籍出版協会
 (社)音楽出版社協会
 International Federation of the Phonographic Industry (IFPI)・Recording Industry Association of America (RIAA)

●反対意見を提出した団体
 日本生活協同組合連合会
 特定非営利活動法人インディペンデント・レコード協会
 日本弁護士連合会
 全国地域婦人団体連絡協議会
 テレビゲームソフトウェア流通協会
 (社)日本消費生活アドバイザー・コンサルタント協会消費者提言特別委員会
 日本消費者連盟
 ゴー・リセール・ジャパン

●消費者団体を意識的にハズしたのもこのパブコメの構図と一緒では?

●日弁連は、パブリッキコメントに寄せた輸入権反対の意見書の中で、
----引用スタート----
何故に「邦楽」レコードのみ保護され,外国のレコードと差別的に扱うのか合理的理由がない。また, この差別を解消するために「洋楽」の輸入盤も輸入権の対象とするなら, 現在でも日本の消費者が享受している国際価格を放棄し,日本の消費者のみ高いレコードを買もされることに帰結する。
平成11年の著作権法改正で26の2が創設され,その2 項4 号で国際的消尽が明定された。レコード輸入権は,その後の格別の事情の変化もないのにこの法改正を無視することになるのであって制度としての安定性を害すること著しい。またレコードのみ例外的扱いをする合理的理由もない。輸入権創設は,日本の消費者のみ高い代金を払わされるということに帰するのであり,日本の消費者に対する文化の伝播を抑制する結果を招来することになりかねないものである。また,日本の著作物を世界的に普及させ
,またそれによって同時に外貨を獲得することにもならない。
世界的標準からも・消費者の立場を一気に弱めるものであり容認できないと言わざるを得ない。
海賊版対策は別途の方策でなされるべきである。
-----引用ここまで------
以上のように述べている。わかりやすい。

●HMVのヤツはパブコメ受付期間中に送ったものではないのでパブコメには含まれていない。
おそらくタワレコのもパブコメとしては取り扱われていない。
→再確認したところ、HMVはパブコメを文書ではなくメールで送信されていたようで、同内容のものをPDF896-897で発見しました!

●多くが還流防止に反対という書き方をしており、輸入権の創設までをも理解していたかどうかは疑わしい。

●文化庁の発表数
「日本販売禁止レコードの還流防止措置」
賛成  676(65%)
反対  293(28%)
その他 68(7%)

●入手パブコメにより再カウント
「日本販売禁止レコードの還流防止措置」
賛成  757(69%)
反対  321(30%)
その他 10(1%)

●反対意見の集約
 反対意見は321件とカウントされた。うち、日本のレコードの価格が他国(欧米を含む)と比較して高いことを指摘する意見が148件(46%)、再販制度の問題に言及する意見が105件(33%)、CCCDの問題を指摘する意見が70件(22%)みられた。全体的には、これら問題の存在を指摘した上で、現状のレコード業界への不信感を基礎として、外国からのレコードの輸入を禁止するとの今回の措置を過剰保護と判断し、結果、反対の意思を表す傾向がみられた。

 いやー、これじゃパブコメの内容出せないはずですよ。昨晩、眠いのにパブコメ読みながら呆れるというか、もう…。