2008年06月20日

シャトー・メルシャン「甲州きいろ香」の富永敬俊博士ご逝去

 シャトー・メルシャンの「甲州きいろ香」で甲州ワインの可能性を切り開いた
ボルドー第二大学醸造学部の研究員である富永敬俊(とみなが・たかとし)博士が、
8日深夜(現地時間)、ボルドー市内で心筋梗塞のためお亡くなりになりました。

 富永氏は東京都出身。1955年生まれの53歳。
90年にフランスに渡り、白ワイン醸造の権威として知られるボルドー第二大学醸造学部のドゥニ・デュブルデュー教授に師事した。98年に日本人として初めて博士号(自然科学・醸造学)を取得。2001年からフランス国立農業研究所とボルドー第二大学醸造学部のリサーチ・エンジニアを務めている。デュブルデュー教授の研究室で、白ワイン品種の醸造や香りなどについて研究し、学生の指導に当たっていた。

 シャトー・メルシャンと共同で研究・開発した「甲州きいろ香」はその成果の1つ。
甲州ブドウに柑橘系の香りの素になる「アロマプレカーサー」という成分があることにその香りが最大になる時期にブドウを収穫し、醸造した。
その結果、アロマティックな新タイプの甲州ワイン「甲州きいろ香」が生まれ、2004年ヴィンテージを05年春にデビューさせた。
 「きいろ香」の名前は、富永氏がボルドー大学の研究室で可愛がっていた愛鳥の名に由来する。著書に「アロマパレットで遊ぶ―ワインの香りの七原色」「きいろの香り ボルドーワインの研究生活と小鳥たち」がある。

 富永氏は今年4月、「シャトー・メルシャン 甲州きいろ香 2007」の発売に際して来日し、セミナーや試飲会を開いたばかりだった。8日夜に自宅で突然、具合が悪くなり、病院に運ばれて亡くなった。
 葬儀は13日午前10時からボルドーのメリニャック葬儀場で行われる。喪主は妻の良子さん。
                           <YOMIURI ONLINEより> 



 
《アロマパレットで遊ぶ―ワインの香りの七原色》とは…。
なんと素敵で、そして、なんという気取った科白なのでしょう。
これは、「甲州きいろ香」で甲州ワインの可能性を切り開いた、富永敬俊先生のご著書の表題なのです。

先生は、ボルドー大学の醸造学科で、日本人として初めて博士号を取られた人でもあります。
ですから、はじめてお目にかかる前には、いささか腰が引けていました。
ですが、素晴らしい業績をお持ちの富永先生は、とても気さくで、とても明るい方でした。
そして、道を究めた人の持つオーラも兼ね備えておられました。

先生にお目にかかったのは、2006年の初夏、明日はレコール デュ ヴァン副校長の畑久美子先生が、ボルドーのワインの騎士(ボンタン)に叙任されるという日でした。先生と奥様はお忙しいにもかかわらず、わざわざボルドー市内のレストランにまでお運びくださり、私たちにお祝いの言葉を下さり、ともに喜んで夕食を楽しんでくださいました。
               
その時にお話しくださった、ワインの香りに対する先生の卓越した見識に、
心から感動したことをよく覚えています。
そして、今、先生の突然の訃報に言葉を失いました。
謹んでご冥福をお祈り申し上げます。
                      レコール デュ ヴァン 梅田悦生


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