その大物政治家の代名詞は「ハッシュパピー」といった。子犬のマークで知られる、このブランドの靴を愛用しているのだと知り、飾り気のない態度に似合っている靴だな、と妙に納得したものだ。

 英保守党下院議員のケネス(愛称ケン)・クラーク氏。氏には、教育・科学相だった20年ほど前、ロンドンでインタビューした。まだ、経済成長が最後の輝きを放っていたころの日本の各地で、それを下支えしている教育の実情を視察して、帰国した直後だった。

 会見には、上昇株の彼が首相の器か否かを探る目的もあった。氏は日本流教育の強みと弱みを英国とも比較しつつ的確に分析・評価し、会見全体を通じて指導者の資質がうかがえた気がした。北陸の学校で英語の授業を視察した際、英語国の人間がいるのだからと生徒たちとの対話を申し出て、先生に断られた、と苦笑交じりに語っていたのが印象に残っている。

 氏はその後、主要閣僚の内相を経てナンバー2の財務相に就く。議会答弁で議場を沸かし、党大会などの演説で聴衆を鼓舞するという党内屈指の討論、弁舌のさえを見せたのもそのころだった。保守党はしかし、1997年総選挙で歴史的大敗を喫して野に下る。

 ガタガタになった党を立て直すには氏をおいてない、と見た。だが、保守党に吹き付けたすさまじい逆風の下で生き残った議員たちには強固な保守地盤を選挙区とする党内右派が多く、親欧州で党内左派の氏には端(はな)から不利だった。

 同年、2001年、05年と3度の党首選に出て敗退する。それでも、“ハッシュパピー・ケン”が党を割ることはなかった。そして今、久々に「影の内閣」入りし、党は5月と目される次期総選挙で13年ぶりに権力に手が届く所まで来ている。氏だけではない。政治家は路線改革を掲げて党内で戦うのであって、離党して新党を作るなどまずない世界なのである。

 翻って、日本の自民党では、昨夏の総選挙前の離党-新党旗揚げに続き、今また、鳩山邦夫元総務相が新党結成に向けて飛び出し、与謝野馨元財務相らの動きも微妙だ。最大野党として政権奪還を目指して結束すべきときに、沈没船から逃げ出す何とやらである。

 世界的に有名なイタリアの政治学者、サルトーリは1976年の著書、「現代政党学」(邦題)で派閥や後援会などにより日本の政党が「破片化」していると指摘した。以来30年余りたっても「破片化」とは愕然(がくぜん)とするほかない。(外信部長 西田令一)

<シー・シェパード>船長を艦船侵入罪で起訴へ 東京地検(毎日新聞)
「ダイエット中だから…」小沢氏告白(産経新聞)
普天間移設 決まりがなければ何でもあり…か?(産経新聞)
「なぜ役人がランク付け」=会見オープン化調査に不快感-岡田外相(時事通信)
「処理追いつかず」申請書放置、茨城県係長停職(読売新聞)