2008年11月26日

ブラインドネス4

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ある日突然、視界が白く覆われ盲目と
なる奇病が世界中で蔓延した。
政府は感染者を隔離するが、感染者は
完全に政府から見捨てられていた。
隔離施設から出ることが出来ない
感染者たちは次第に平常心を失い、
その中の一人が銃を持ち施設を支配
しようと画策する。しかし施設の中
には、一人だけ目の見える人間がいた。


ノーベル賞作家ジョゼ・サラマーゴの小説『白の闇』を映画化した
作品。視覚が奪われた世界の有様と、それをまざまざと
見せ付けられる一人の女性が描かれます。

目が見えなくなることで引き起こされる世界崩壊を濃密に描いて
いますが、気になる点もいくつかありました。まずは銃を手にして
暴君を気取る男。銃を持っているからといって、彼も目が見えない
ことに変わりはなく、それだけで革離病棟全体を支配できるのは
おかしい。他の人からすれば、見えない恐怖にさらなる恐怖が
重なるので、そう考えればありえなくもなさそうですが、ここで問題
になるのは唯一目の見える主人公。彼女が暴君のところに
潜り込んで、銃を盗んでくれば万事解決じゃないか?なにより彼女
だけ感染しないなら、彼女の身体なり血液なりを調べれば病気を
治す糸口が掴めたんじゃないのか?などの疑問を抱いてしまい
ました。彼女は何故か見える事を周囲に隠しています(感染した
夫と離れたくないという理由からですが、別に隠さなくても)。
早々に打ち明けていれば、もっと早く事態は解決したんじゃ
ないでしょうか?

こんな感じで細かいところに疑問は出ましたが、全人類盲目による
世界崩壊という主題は見事に描かれています。前半の革離病棟
でのエピソードでは、小さな世界を舞台にして、社会性が崩壊
していく様が重厚に描かれます。
後半は革離病棟を離れ、僕らの見知った世界に舞台が移ります。
ライフラインは消滅し、道には盲目となり家にも帰れない人々が
彷徨う荒廃した街。静かに進行する文明の死が克明に描かれて
いました。

この映画は登場人物に名前が設定されていません。それが目が
見えないことで生じる人との繋がりの希薄性を強調していました。
いくつかの疑問点はあるものの、衝撃的な物語とビジュアルに
僕は最後まで釘付けでした。



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この記事へのコメント

1. Posted by たいむ   2008年11月27日 16:15
こんにちは。
感染しない彼女が「何故感染しないのか?」に誰も疑問や興味を持たないのが違和感でした。
映画はシュミレーションのような印象です。とはいえそこで見せつけられたものは衝撃的でしたね。
2. Posted by ノラネコ   2008年11月27日 23:29
全体的には面白かったのですが、期待が大きすぎた様です。
ディテールの破綻、特に主人公が何を考えているのか判らないところが気になってしまい、中盤物語に入れませんでした。
これがメイレレスでなければ、こんなに期待もしなかったのでしょうけどね。
社会性のあるSFとしては十分及第点ながら、メイレレス作品としてはイマイチという感じです。
3. Posted by ミチ   2008年11月27日 23:34
どんな感染症であっても、必ずある一定の感染しない人たちがいるんですよね。
それを解明するために云々〜という流れだと、「アイ・アム・レジェンド」っぽくなってしまいますし、この映画は意外な方向に向かっていました。
日本人俳優も最後まで中心的人物でしたね。
4. Posted by えめきん   2008年11月28日 21:05
たいむさん、コメントどうもです。

確かにシミュレーションのような内容でしたね。主人公だけが感心しない事に誰も疑問を抱かないのも、そういうシミュレーション的な印象を強めていました。
それでも衝撃的な内容に違いはありませんでしたけどね。



ノラネコさん、コメントどうもです。

メイレレス作品は『ナイロビの蜂』しか観た事がなかったんですが、それでも重厚な人間ドラマが得意だという印象があります。そんな彼の持ち味は十分に活かされていましたが、物語の細かなディテールにも、もうちょっと気を配って欲しかったですね。
5. Posted by えめきん   2008年11月28日 21:10
ミチさん、コメントどうもです。

病気の謎や、なぜ主人公だけが感染しないのかという点を追求すると、確かに別のジャンルになってしまいそうですね。
そこまで明確にする必要もなかったとは思いますが、劇中の人物がその点に言及しないのには違和感がありました。その点が改善されていればもっと凄い作品になったでしょうね。

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