2010年03月17日
ハート・ロッカー
爆弾処理班としてイラク戦争に参加
したジェームズ一等軍曹。爆弾処理に
危険な刺激を求めるジェームズは、
ロボットによる安全な処理を拒み、
危険度の高い任務にも積極的に取り
組んでいた。自らの危険を顧みず、
周囲にも損害を与えかねないジェームズ
の行動に、チームの仲間は次第に
不満を募らせていく。
本年度のアカデミー賞でライバル『アバター』を打ち破って作品賞
を含む6冠に輝いた戦争映画。爆弾処理という危険な任務を通して
描かれるイラク戦争に対する批判、危険を求める兵士たちの危うい
精神状態などを緻密に描いたことが大きく評価されているんだと
思いますが、僕が気に入ったのはそんな部分ではありません。
この映画はミリタリー描写が最高に素晴らしいんですよ!!
まずは冒頭で出てくる最初の爆弾処理。いつ爆発するかもわからない
危険な爆弾を解体する緊張感がたまりません。このシーンで爆弾の
危険性と任務が死と隣り合わせであること、周囲の野次馬に爆弾魔が
混じっているかもしれない事を、ガイ・ピアーズがその身を犠牲にして
教えてくれます(笑)。
次に痺れたのが自動車爆弾の解体。意識を集中させるために防護服を
一式脱ぎ捨て無線も捨てるジェームズ。その身を晒して爆弾を解体
する姿がとても格好いい。ひとつの作業に集中していると、周囲の
全てが集中の妨げになるんですよね。僕も昔、溶接作業とかしてた
時は意識が周囲の全てと隔絶されていたので、その心境がよく解ります。
そして一番素晴らしかったのが、イラク兵との狙撃戦。「え、爆弾処理の
映画じゃないの?」という突っ込みがあるかもしれませんが、これが
映画界屈指の狙撃シーンなんですよ。
多くのTVゲームで登場するスナイパーライフル。『メタルギアソリッド』
でも『HALO』でも、僕が愛用するのがスナイパーライフルです。
じっと動かずに獲物を待ち受け、ターゲットスコープに獲物を捉えた
その瞬間に一撃で急所を撃ち抜く。これがたまらないんですよね。
狙撃手に動くことは許されません。ひとたびスコープから目を離せば、
再び敵の姿を捉えることは難しくなります。しかも移動している間も
敵はこちらを狙っているかもしれないのです(狙撃の恐怖はレイフ・
ファインズが身を挺して警告してくれます)。
だから観測手のジェームズと狙撃手のサンボーンに動くことは
許されない。たとえ一人を倒しても、他の狙撃手が潜んでいる可能性が
ある以上動くことは出来ない。たとえ背後から狙われているとしても
自らそれを確認することはできず、背中は別の味方に任せるしかない。
そんな極限の緊張感を、このシーンは本当に見事に描いていました。
いやー、素晴らしい狙撃映画だった。あ、爆弾解体映画か。
素晴らしかったけど、どちらかというとアカデミー賞よりもミリタリー
マニアに受けそうな映画でした。
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この記事へのコメント
あれは秀逸でしたね。
その秀逸さがあるからこそ、薬莢やジュースでスイッチが入ってしまう様が恐ろしく感じました。
狙撃シーンは本当に素晴らしかったですね。敵の姿や視点を最小限にとどめたのもリアルで良かったです。
他の戦争映画ではなかなかお目にかかれない、「静」の戦いでした。
2本目。(アカデミー賞発表のその時間にサンドラの「幸せの隠れ場所」とコレを2本見に行っておりました♪)
正直ミニシアターガラガラ。平日の昼間だったんですが
年配多し。
これが賞を取るとシネコンで1日7回回すとこも
あるとか。
日本人て・・・。(笑)
いや〜、胸が痛い、重たい映画でした。
コレがハリウッドのアクション映画で
ブラピとかスタローンとかが主役だったら
爆風のあとニヤリと笑って歩いてくるんですが
いきなり死んでるしね。
ああいう仕事につくひとってどんな心境なんでしょね。
誰かの命を救うための仕事なんだけど
自分の命は・・・。
「公開時は全く興味なかったけど、話題になったから観に行ってみよう」という日本人のミーハー精神が嫌いです。もっと本質的な部分で映画に興味を持って欲しいですよね。
>ああいう仕事につくひとってどんな心境なんでしょね。
この映画で描かれている兵士の心境は極端なものだと思うんですが、それを断言できない漠然とした異様さが、昨今の戦争には漂っていますよね。
すごい緊迫感のある映画で、すっかり目が乾いてしまいました。
マニアにもウケるのかもしれないですが、こういう無骨な映画が、アカデミー賞を取ってくれたので、本当にうれしいです。
ドキュメンタリー風の作品なので
ストーリー性は皆無でしたが、爆弾処理班から
戦争の日常が非常にリアルでした。
今度、訪れた際には、
【評価ポイント】〜と
ブログの記事の最後に、☆5つがあり
クリックすることで5段階評価ができます。
もし、見た映画があったらぽちっとお願いします!!
今年のアカデミー賞って、作品賞候補が10作に増えたからなのか、意外なノミネート作品がたくさんありましたよね。そんな中で頂点に輝いたのがこういうマニアックな映画だというのは感慨深いです。
でもやっぱり『アバター』にとって欲しかった、というのが正直な所なんですよねぇ。
シムウナさん、コメントどうもです。
戦争描写はとにかくリアルでしたね。現代戦争は銃撃戦ではなく、静寂の中に一瞬の地獄が垣間見えるものなんでしょうね。
この映画は少し前に観たのですが、、、感想を書くのに手間取りました(汗)何をどう書いていいか分からなくて。
>ミリタリー描写が最高に素晴らしいんですよ!!
スッゴク緊迫感がありましたよね〜
観終わった後にグッタリとしました・・・ちょっと頭痛がするくらい緊張して観ていました。
確かに評価が難しい映画ですよね。面白いんですけど、そういう部分を上手く文章に出来ないというか。
僕は文章にしやすいミリタリー描写に絞って逃げてしまいましたけど(笑)。
>ちょっと頭痛がするくらい緊張
その緊張感が本作一番の見所ですよね。爆弾解体完了時の達成感もひとしおでした。
評価高いなぁw
私はこの手のゲームも苦手(下手くそ)ですし、
どーも、戦争嫌悪が前面に出すぎて、
全く評価できませんでした。
私は戦争映画は正しく評価するように
作られてないようです。
そういえば、ライフルのシーンは確かに
緊張したなぁ。
あんな遠くても当たるなんて、
シティーハンターの冴羽さんみたいだ
と思った段階で真剣に見てないなぁw
戦争映画の多くは戦争批判を含んでいますから、そういう視点で観れば違った印象を受けるのではないでしょうか。この映画も、戦争中毒に陥る兵士の危険な心情を描いてますし。
>シティーハンターの冴羽さんみたい
そういう見方でも全然良いと思いますよ。僕だってゲームのことばかり考えてましたし(笑)。結果として楽しめればオールOKですよ。