優勝ヒロインは
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文句なしの瑛美ちゃんだった。

主人公とヒロインの恋愛に比重を置いており、テンポが良くて読みやすい。主人公を中心としたハーレム軍団が形成されることはなく、ヒロイン同士のやり取りをも極力削減しているところが特徴的だった。だからこそ、丁寧さを欠いたと印象付けられる誤字・脱字の数々や個別√で突然飛ぶ時系列が印象を悪くしてしまった面も否定できない。シナリオは良くも悪くも平坦だが、キャラクター性を強調している働きをしていたので方向性は良かったと思う。

エロゲの構造上多くの場合はそれなりに尺のある共通√やシリアスを含むが、その2点をも削ったのは英断に近しい判断だといえる。キャラクター全員の性格もそうだが、とにかく不快感を持たせない作りになっているのは、良く考えると非常に工夫が凝らされているなと感じる(※HOOKSOFT全般がそんな感じだったらすいません。このあたりの記述は無視してください)。

シリアスが無い点を「起伏がない」と取るか「余計なことを考えず一生イチャイチャ出来る」と捉えるかで本作に対する印象は見違える。

失敗体験でカタルシスを得られるのであれば良いが、下手に方向性を誤ると心に傷を遺すだけで何も良い感情が湧き上がらない可能性もある。そのリスクを回避したのはファインプレーだと思う。

だが、その分丁寧であってほしかったテキスト面では、女の子とデートする場所がやたら偏っていたり(動物園とショッピングモールしか選択肢がないのか?あと映画鑑賞を頭ごなしに否定する価値観も何度か見られた)、個別ルートの展開がどれも似ており既視感を覚える。全ヒロインを攻略する想定があまりされていないんじゃないかと思った。

これは難癖に近いが、「全裸Hモード」をONにした際も主人公は服を着ている。これはつまり服を着たまま全裸の彼女と愛し合う構図が浮かび上がることになり、その姿には童貞の私ですら違和感を生じさせる(否、童貞だからなのか?)。まあ、とにかく、一般的には全裸Hというと全裸×全裸が基本線かなと思うのでそこはしっかり統一してほしいポイントであった。

コンセプトを貫き通すことに好感は持てるが、型に当てはめた構造を作り上げキャラクター性に沿った修正を加えるといった、1つのプロットから複数のルートが作成できるような手抜きをしているように見えるのも残念ながら事実である。

・望愛
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クラス委員長でしっかり者、気配り上手で多くの人間に人気がありながらもどこか抜けたところのある、理想が煮詰まった女の子。

序盤では引っ張りだこにされているシーンも見受けられるが、個別ルートに入ってからあまり見られなくなる部分が気になった(周囲が気を使ってくれているのか?)。

彼女のお人好しな面に付き合ってあげることをきっかけに、恋愛へと向かっていくところがよかった。ゆるやかな振る舞いで主人公へ急接近していく彼女の姿には、個別ルートで見える積極性が現れていたし、付き合ってからの彼女の態度にはドキドキされっ放しだった。

・凛
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片目隠しが可愛い。本作におけるダークホース。
公式HP、パッケージ、共通部分では顔を全て髪で覆い隠しておりその姿は伺い知れない。好きになれるかどうかは蓋を開けてみないとわからなかったのでそういうワクワク感もあった(個人的にはどのヒロインもそうであると思っているが、凛については特にそれが大事になると言えるはず)。

まず顔を隠している理由が「男が苦手」という割に主人公とは最初から親しげに話しているが、ある種そういった矛盾も人間らしいなと思えた。それなりに口数は多いが、肝心な部分では照れが出てしまうなど、やはり人付き合いは得意でないのだなと思わせる。可愛い。

ネットワークが普及しきっている今の時代では、一人になろうと思っても、一人になることは難しい。そのためか、現代では人付き合いをあまり得意としないままに交友関係をある程度作り上げてしまえるパターンも多いのだ(体験者は語る)。凛もそのパターンだったのかなと個人的に推測しているが、何にせよ、とにかく、照れた表情が可愛い!!!

・莉佳子
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最近よく耳にするようになった「陸上部は大人しい人間が意外と多い」という風潮を体現したかのようなヒロイン。

ヒロインが陸上部というと兎に角活発なイメージが思い浮かぶが、莉佳子は大人しいながらもストイックで芯の強いアスリート気質な女性だったと思う。

個人的に照れ顔が好きなだけではあるのだが、この娘も照れ顔が可愛い。頻発してしまう照れ顔は口下手なヒロインの特権だろう。特に好きなのは相合い傘をしている時のCGだった。

・恵梨奈
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女教師ヒロイン。シナリオでは一番好き。
あまり数は見てきていないが歴代で最も何の抵抗も無く生徒との恋愛を受け容れた女教師だった。彼氏が今までいなかったのは流石に嘘だろと言いたいが、「あなたと私の立場は!」で終始してしまいがちな生徒×教師の関係の中で、真剣に恋愛を考えていくのは、一周回って斬新であった。

特にエンディング前の屋上でのやり取り、エンディング後のエピローグは非常に自分好みで好感触だった。ここまで何も障壁のない女教師との付き合いは全く見たことがなかったので、本当にポジティブな考え方を重視する作品なのだなとこのルートを通し改めて強く感じた。

・美里
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奇人に近い常識人の、活発・活動的な先輩ヒロイン。
大規模な学園にある化学室を占拠して怪しげな活動を行っているというのはヤバさを感じるが、元気に人を振り回してはしゃいでいる行動が寂しさの裏返しなのだと分かると途端に可愛らしさを認識できた。

主人公からの不意打ちを受けて狼狽えるところもたまに見られるが、彼女の魅力は年上の余裕を醸し出して主人公をひたすら甘やかしたり快楽に陥れたりする部分にあると思う。とにかく主体的な行動を好むヒロインであり、攻略可能な7人のヒロインの内、一緒に居て楽しいと思えるのは間違いなく美里だった。

・裕香
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後輩のお嬢様ヒロイン。可愛い見た目と相まってキャラクター紹介の時点で既に優勝を確信した人も多いのではなかろうか。

四六時中側にいる黒服ボディーガードの武藤という人物を引き連れており、彼女を攻略していない時でもその姿は非常に目立つし、勿論彼女との恋をスタートする上でも中心的命題となってくる。

そのボディーガードは難攻不落……と思いきや、存外に人が良く、主人公を簡単にお嬢様へ接近させてしまう。これには、個人的には少し懐疑的になってしまった。

武藤氏は仕事熱心で雇用主(裕香の父)の命令を忠実に守っているのかと思いきや、学友を作らせてこなかったことを見かねた優しさによるものが大きいとはいえ、フラッとやって来た主人公との関係を短い期間であっさり認めてしまう。

裕香の父からしたら裏切りだし、裕香の身を大切にするための行動とは思えない。裕香の立場になって物事を考えてはいるので、年上の良き理解者としては考えられるが、ボディーガードとしては軽率極まりない判断に思えた。

本作が掲げ、良い部分もたくさんある「2人にとって都合のいい恋愛」の悪い面が、武藤氏の不可解な行動として影を落としてしまったのだろうと思う。

裕香がめちゃくちゃチョロく、あっという間に落ちてしまうところは可愛かった。修学旅行のお土産を受け取った時の反応や、瑛美と友達になった時の描写などが見られなかったのは心残り。可愛げのある仕草をもっと見ていたいヒロインだった。

・瑛美
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全ヒロイン7人中唯一昔の主人公を知っているという唯一無比なアドバンテージが、そのままメインヒロインの座へと押し上げていく。再会直後に少しギクシャクしていた2人の距離が”また”縮まっていく過程がしっかり書き込まれていて、もう……最高。

幼少期のかけがえのない思い出に引っ張られて主人公の前では甘えたがりなあどけなさを感じる彼女の風貌と言動にCV:春乃いろは氏の演技が完璧に噛み合っており、耳と目が幸せ過ぎて頭がおかしくなりそうだった。

付き合ってからのいちゃらぶも当然、失明レベルに眩しかったのだが、何よりも好きだったのは、先程も少し述べたが「子供の頃に想い合っていた人といきなりシェアハウスする、突如舞い込んだ身近過ぎる環境に置かれ互いを意識し過ぎてギクシャクしている状態」の描き方であり、告白シーンの直前は恋にあてられた際に包まれる独特の高揚感に支配された。この感覚はとても久しぶりだった。

告白シーンをプレイしている時の感情は、あまりにも興奮していたことしか思い出せない。とりあえず今、スクショで告白CGを確認したら突き上げた拳でモニターが割れそうになった。

物語の中で恋という主題が占めるウエートが大きい本作では、やはり、好きなキャラクターを見つけて全力で愛でる楽しみ方が一番満足できると思う。大好きになれた瑛美ちゃんが居てくれて本当に良かった。