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Parasolブランドが9作目に贈るのは、コメディを基調としながらキャラ萌えの嵐が吹き荒れる作品。序盤からキスだけに留まることなく、エッチシーンを惜しみなく起用してきたところには魂を揺さぶられた。

変幻自在に巨乳と貧乳が入れ替わる設定は、最初は巨乳・貧乳両派閥にとって邪道となるのではないかと危惧してしまった。しかし、時代に合わせて巨乳をプッシュアップすると同時に貧乳派の確かな愛を否定しないところは印象が良く、Hシーンもユーザの好みに合わせて巨/貧を入れ替えられる一挙両得な仕様となっていた。

こうして、巨乳と貧乳の不毛な争いは、恋嵐スピリッチュの君臨によって調停がなされたのである(完)。

共通ルートの中でハーレムが形成されて個別ルートへと分岐していく様は、これまでのブランドイメージとは一線を画していた。

「危機を乗り越えるためにはエッチが必要」といった設定の割には、敵と比較して主人公サイドに実力に軍配が上がっている場面が多いので緊張感を持たせられなかった点が痛い。ただ、あくまでも主題はキャラ萌えでありそして(実)妹とするブランドの強い思想を感じたので納得は出来た。

・翼
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強気口調ながらいつのまにか流されて主人公のことを好きになってしまう可愛げのあるヒロイン。
今回の騒乱(嵐)に巻き込まれてしまった感が強い彼女だが、なんだかんだどのルートでもお話の最後まで一緒にいるのだから義理堅さが伺える。

退魔師としての実力面では糸世と牡丹に、主人公との絆の深さでは実妹の瑞穂に負けていて(彼女が覚醒する瑞穂ルートでは実力でも負ける)やや影の薄い立ち回りを強いられているが、だからこそ彼女のコンプレックスが浮き彫りとなって発露していた。

終始劣等感を抱えながらも気丈に振る舞う彼女の姿は髪色も相まって美しく輝く。

発展途上にあった彼女が、やがて迎えるであろうこれからの成長を願いたいものである。

・牡丹
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彼女のルートが終わったときは「しんみりするなぁ」「ほ(も)っこりするなぁ」「かわいいなぁ」ぐらいの感想だったのだが、全体を終えて振り返ると、個別ルートで見ることが出来る彼女のキャラクター性とエピソードは群を抜いて良かったと確信を持って言える。

まず特筆すべきは彼女の中途半端な猫口調。「~なのだわ」と発言するや「~だにゃ」と突如崩れてしまい傾向が読めないのは独特な特徴である。これはおそらく、永い時間を生きたことで猫から神へと変貌を遂げた彼女が根源的には猫であることの証明を、猫らしい彼女自身の仕草を神としての誇りによって隠そうとする努力が垣間見えているのだ。その行動があまりにもいじらしく可愛い。かわいい。可愛い!!

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シナリオの終盤で到着するこの背景は同ブランド過去作「晴のちきっと菜の花びより」でも重要な舞台となっている場所であり、だからこそこの場所で、彼女らしい花を主題にしたエピソードが展開されたことがとてもとても嬉しかった。(エッチは別の場所で行って欲しかったが……)

立ち絵は常に”猫の手ポーズ”を維持しており、これも非常に可愛かったが、あまりにもそのポーズしかしないので手が疲れていないか心配になった。

人ならざるものとして発生しやすい事象として人間を恨んでいた過去が回想され彼女に同情したのもつかの間、人であるからこそ得られる優しさや温かさに触れ、人と共に生きていく決心をより強く固めていくことになる。人外との恋愛モノとして非常に良かった。私が購入した5月新作の中では一番お気に入りのルートとなった。

・糸世
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役割は中心的ながらどことなく地味で、登場人物からは清楚系ビッチと名付けられてしまいその印象が強くなってしまったヒロイン。

まず話の序盤からエッチしまくっていることによって作中に蔓延る貞操観念がゆるくなっているので清楚系としての魅力が半減してしまっている。作品構造が仇となった犠牲者なのかもしれない。

個別のシナリオは当然大筋となり退魔師関連の面白い裏話などが聞けるのではないかと期待したが、あまりそんなことはなくただイチャイチャしていたら終わってしまったので拍子抜けした。

日常生活において主人公の前では思わず表情を崩してしまう可愛さと戦闘時の凛々しさ(特に刀を構えているCGは毅然としており格好良く美しい)を両立しているヒロインであったが、もう一歩彼女の深いところまで踏み込んでいきたかった。

・瑞穂
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実質的なトゥルーを飾る実妹ヒロイン。

主人公の家庭について隠されていた要素が明かされることや、修正パッチで追加されるエリーゼルートの元になっていることからもこのルートが重要であることがわかる。

尤も、全ルートである程度主人公と各ヒロインの行動はある程度共通しているようだが、共通ルートでも他の個別ルートでも一切、瑞穂とは肉体関係を結ばなかったからやはり彼女は”特別”なのである。(感覚が麻痺しているから特別に感じるが当たり前ではある)

結局最後までコメディ調を崩さなかったが、まさかあのラストでタイトルの一部分を回収するとは思わなかった。

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決して重い雰囲気を打破するものではなかったが、幼少期を共にしたからこそ繰り出せた必殺技であり、形骸的では済まない根源的な兄妹愛を感じる場面。微妙な身長差が微笑ましい。

欲を言えば、シリーズ恒例となっている「シスッター」の描写を濃くして過去作の妹ヒロインとの絡みをもっと見たかった(TwitterのようなSNSではなくスレッドツリー式の大型掲示板に変貌を遂げていたところも気になる)。

Parasolによって実妹の素晴らしさを教育され続けていく私が、この概念を良きものとして捉えられる日は、ひょっとすると近いのかもしれない。そう思わせられた一作であった。