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築き上げられた独自の世界観は、そこから生まれ落ちる人間(とその異種族)達が紡ぎ出すストーリーを引き立たせるに充分な完成度を誇っていた。明けない夜は不気味さを連想させ、犯罪の温床となる様をありありと想起させられる。闇夜に駆け抜ける彼らの姿は、眺めているだけでも楽しいのだ。

以下ルート毎の感想(ネタバレ注意)

・共通
ワクワクさせる導入だなと思う。特に上手いと思ったのは世界観をひとつひとつ余すこと無く丁寧に紹介していく点であった。

その上で、紡がれようとしているストーリーはその世(夜)にはびこり、巣食っている闇がどれだけ深いかの想像を無限大にさせてくれるものだった。私は基本的に常日頃「期待を裏切られた」という発言には期待し過ぎる方が悪いと思っているのだが、これは期待するなという方が酷だろう。

・シフォン
107
最強ヒロイン。字面通りの戦闘能力だけでなくナンバーワンの可愛さとしての強さを持つ。
セグイット族の女性という作中にあまり表立って描写されないそのレアリティが、そのまま彼女の個性を際立たせている(他にキャラクターが登場せず、セグイットの女性は普遍的にこうだ、ということしか語られない)。

特に強大な戦闘力を持ちながら全くそうは思わせない謙虚な姿勢と、詐欺に引っかかってしまう程危うい優しさを持ちしかも強そうには見えない外見がギャップとなってかものすごく惹かれた。立ち絵の小ささが反則。

自己評価の低さとスペックの高さがあまりにも不釣り合いである。ルカ(=主人公)に意図せず裸体を見られてしまった際は慌てることすらしないのは余程自分に自信が無く、プライドを持っていないことを表している。その凹凸の無い裸体はあんなにも美しく、芸術のように思えるにも関わらずだ。

127
騙されやすい上感情を露わにすることもあるが、基本的には冷静に物事を判断出来るというスタンスも良い。そこに確かな自分の意志があり、それに基づいて行動できる強さは誰しもが漠然と求めている部分であると私は思う。

彼女のルート以外でも活躍する場面が多く、「仕事のため」と余計な口を挟まず静かに役割を全うする存在感の薄さと確かな仕事ぶりも好きだ。影の立役者として屋台骨を支える職人のようなしたたかさがある。逆境でも諦めず強く生きていく彼女の姿を忘れず、その精神を参考に何事も頑張っていきたいものである。

・メル
152
私達の観点からみれば「異世界の中の異国のお姫様」という、感情移入の隙など全くないと思わせるヒロインである。

ルカのあの性格も災いして、お世辞にも恋愛描写が上手いといえるシーンがあまり存在しない本作であるが、中でも恋愛関係への発展に無理やりさを感じるルートであった。

彼女のルートで登場するゲノム国の内紛も解決部分まで見ることは叶わずにいたので、「トゥルーに期待しよう」と最も強く思わせたルートであった。尤も、トゥルーではゲノム国のゲの字もなかったので改めて続編に期待したい。

メルの子供が国宝級の能力を継承するという設定にルカがメルと恋愛関係に落ちることで生まれる結び付きが絶対にあるはずだし想像しやすい点なので、ぜひとも続きを書いてほしいところである。

・小町
178
職場で自由に振る舞い、万人に愛想を振りまく「女性」。
ちなみに唯一、普通の人間のヒロインである。

いつも合コンを画策するように理想の高い男を求めているが、その姿勢であるにも関わらず落ちこぼれのルカと付き合う展開になってしまう話が滅茶苦茶面白かった。特に小町が荒ぶるシーンは見どころである。どことなく夢がある話だ。

ルートでは表立って正義の側に立つ警察と裏社会の闇を克明に描いており、現実の”どこか”の国でも、というかどこでも似たようなことはしていそうだなと思わせる。特に流星ワールドアクターの世界では「持つ者」と「持たざる者」の差が能力の有無という形で如実に現れており、生まれ持った素質と境遇、そしてどう立ち振る舞うかによって人生が大きく変わってしまうシビアな印象を持った。

・クラリス
192
直属の後輩となるエルフのヒロイン。

正義を重視する思想を持っているため、減らず口を叩き、生意気な言動が数多い。これはルカの自業自得な面が数多いので致し方ないが、「病人が出て助けを求めている場面で定時外の労働であることを持ち出す」シーン等、冗談にしてもその言動で気分が悪くなる場面もあった。

ただその代償としてルカにぶん殴られたり仕事内外でこき使われているなどぞんざいに振り回されている場面も多い。あたふたして感情を露わにしながらも言うことに従ってくれるのはクラリスが良い子であることの証明である。

彼女の過去とルカの過去が一致していくエピソードはなかなか面白かった。シナリオ全般を見渡すとスッキリしない点の方が多いのは事実だが、クラリスが真相に辿り着いてルカに心を許す場面で色々な溜飲が私としては下がった。

・アフター及びシナリオについて
シナリオという一つの観点で見ると、大きな物語のプロローグと言っても過言ではない。ただ、様々な種族が同じ国で暮らし、密接に関わっているという世界観は非常に素晴らしく、キャラクターという観点で見るとなかなか満足出来るものだったのかなと思う。

というのも、ヒロインが4人中3人が異種族であり、サブヒロイン扱いになるであろうピクシー族のメリッサちゃんとの共同生活もなかなか楽しいのである。

なので、この物語を見る上で「楽しみ方はなにか」と問われれば、私は「限りなく人間に近い人外の女の子と一緒に事件を追ってある程度解決したらイチャイチャするところを全力で楽しむゲーム」と答えたい。シフォンちゃんマジでかわいい。最強!!