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「電車」というロケーションをどう活かしてくるのか。本作をプレイする上で最も注目が走る部分はそこだと思うが、絶妙な線を突く方向性で攻めてきたな、という印象だった。当たればいい印象で終わる、典型的なロープライス作品の成功例。

以下ネタバレ注意(シナリオ上肝要な部分を含みます)





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これは私の超個人的な趣味なのだが、お互いを強く意識するきっかけにおしっこを採用してくれたのは超絶大ファインプレーと言わざるを得ない。

というのも決して雑なシチュエーションでそのイベントが起こったわけではなく、電車が止まってしまうというロケーション特有のアクシデントが起因になっているので、タイトル通りのLocation Loveが果たされたことを強く強く読者に認識させてくれている。

鉄仮面を張り付けたように無愛想だった鳰ちゃんも、その内面を知れば知るほど可愛さが増していく。その容姿、佇まいから「高嶺の花」と思われていた彼女が実は「コミュニケーション不得意」な人間だったということも共感および好感が持てる。

それに加えて、亡くなったお婆ちゃんのことをいつまでも大切に想い続け、言い付けを守り続ける心優しい少女だと知った暁には、もうグイグイと引き寄せられるように惹かれてしまった。

他人に自分の秘密を悟らせまいとする自尊心の高さによって、孤高という形を取ってクラスの中で半ば浮いてしまっていた彼女が、主人公への愛で元来の素朴な性格が浮き彫りになっていく段階を駆け足でありながらも着実に踏んでいくように恋愛の過程を描写している点も素晴らしかった。

複数回も電車内でHというやや異質めいた行為に及んでもなかなか恋人関係に発展しないのは本作における特徴的な部分のひとつであると思うが、その理由にお婆ちゃんが絡んでいることからは彼女の純真さを感じられるし、回りくどいやり方ではありながらも確かに関係が進展していると感じられたので結果としては良い方向に傾いていたと思う。

優しさを武器にしているはずの主人公が二重人格ではないかと思えてしまうぐらい暴走に近い行動を繰り返すのに対し、流されるままに恋心を募らせていく姿は、それだけでもうあまりにも可愛すぎる。第一印象とのギャップが非常に激しく、何度も見せる赤面の表情は彼女の魅力度を跳ね上げた。

導入部のおしっこシーンはともかく、良い面ではありながらもやはり付き合う前段階でHシーンを詰め込みすぎた点は惜しい。ただ、車窓から眺める流れる景色や、雨模様の中でも映える彼女の赤髪、不安の感情を爆発させた時に流した涙。そのどれもは、間違いなく輝いていた。