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※19/12/20発売のHD版をプレイ
戦後から10年程経過した時代を舞台とする、血の香るミステリーを中枢に置いた物語。

ユーザが参加出来るような推理要素も多分に含まれているが、何も考えずとも物語が進むにつれて本作に蔓延る思想の形が明瞭な形を帯びてくる。

もっと知りたい。純粋にその一言で説明し切れる感情がページを捲る手を加速させるような魅力が存在しているため、読んで後悔を抱かない内容であった。






 
非難の対象でしかない連続殺人という行為が本作の中心にあるが、視覚があれば一瞬で理解できる芸術的な確信のもとに犯行されるから一息に不快感を露わに出来ない。褪せぬ興味を持続させるこの性質は本当に良い意味で狡いなと思う。

また戦後からまだ間もないが復興の気配がいよいよ実体化してきた昭和31年代の時代設定も面白くて、めいめいに精力的な活動を行う人間達の姿が印象的だった。

人の死やサイコパスな価値観を芸術に昇華させることには畏怖の念を抱きつつも、誘蛾灯に引き寄せられる虫のように、気づけばいつの間にか本作の象徴について考えてしまう自分がいる。

あの思想に対して100%の理解が出来るわけではなかったが、一定の価値は見いだせたのかなと思う。