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作品概要

エロゲを制作する部活に所属して、作品作りを行っていく青春物語。



感想概要

実際にエッチをしてそれを参考にクオリティの高い抜きゲーを作るという短絡的かつぶっ飛んだコンセプトではあるものの、「最高の作品を完成させる」熱意に偽りが無かった。

ゲームが売れなければ廃部!そんな背水の陣が効いている。
楽しい居場所を失わないようにと滾る熱意のもと、妥協を許さず最高の作品を目指して突き進んでいく彼らが眩しいし、そんな中で行われる明るい掛け合いも相まって本当に楽しい。

プライベートをかなぐり捨てて、学園生活の大半をエロゲ制作に捧げようと遮二無二努力する精神がたまらなく好きだった。







感想詳細

本作最大の魅力は、圧倒的な成功体験を味わうことが出来る点だ。
学園でエロゲ制作なんて認可されるわけがない。創作活動なんてそう簡単に上手くいかない。制約の多い学園内でのゲーム開発なんて無理。
一切の躓きもない物語であれば、そういった思いが脳内を埋め尽くしていたかもしれない。

創作が甘くない現実を教えてくれたのが顧問の澤姫先生だった。
容赦のない熱血指導は時に理不尽にも見えたが、言葉の節々からエロゲへの愛が感じられて、部員およびプレイヤーの心を焚き付けてくる。

特に日向子ルートでは、作品の完成が危ぶまれる挫折展開が描かれる。
声優を担当する日向子は体験版の配布で「演技が下手」という指摘を受けており、諦めても仕方が無いと一旦は思わせてからの復活劇が見事だった。
胸の奥に少しでも燻るものがあるのならば、情熱の火は再び灯せる。そんな希望に勇気付けられるし、日向子が本当は諦めていないことを見抜いた陽太郎ら部員の慧眼、信頼が頼もしかった。

そして鮮やかに紡がれたサクセスストーリーが描いた夢は——こんなにも心地が良い!
現実に有り得ないような設定だったところで、そこで得た幸せを享受してはいけない理由など、ありはしない。



キャラクター感想

春咲日向子

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主人公・陽太郎の実妹。部活では音楽、声優担当。声優として演技力に課題あり。エロゲ界を見渡しても稀代のアホで、漢字は当然のように読めないし九九も出来ないが、好きなことに対しては努力して実力を身につけることが出来る。

彼女との会話ではしばしば漫才の状態になるが、頭の悪さを逆手に取ったボケと主人公の的確な突っ込みが冴え渡っていて非常に面白い。
特に共通ルートでは何度も笑わせてもらった。このまま笑えて、納得出来る締め方をしてくれれば満足出来るかなと思っていたのだが……。



まさかシナリオがこれだけ面白いとは!!

小中規模のシリアスを挟んで即売会で完売を達成しハッピーエンドに至る大筋は他ルート同様なのだが、
元々実力を持っている他のヒロインと違って日向子は「演技が下手」だった。
作品作りのためにエロいことをして練習するという行為は喘ぎ声を真に迫らせているし、彼女の成長が最高の結末を導いたと考えれば非常に感慨深いものがある。
運の良いことに私は日向子ルートを最初にプレイしたので展開が予測出来なかったこともあり、即売会での成功を見て感激のあまり泣きそうになってしまった。

実妹が~という点には全く拘らず、距離の近い明るい女の子で居てくれたことも嬉しい。
そのお陰で「妹として」という既成概念ではなく「日向子として」日向子を見つめられたと思う。
主人公が4月生まれ、日向子が次の年の3月生まれなので同級生。滅多に見ることのない稀有な設定だし、1日中傍に居てくれるから嬉しい。
勉強なんて出来なくたっていい。その明るさで、未来を照らし続けてくれればそれでいい。



明星茜

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同級生で、同じクラスに所属する女の子。部活では原画担当。気が強く忌憚のない意見を主張するタイプだが、教師の前では猫を被る。頭脳明晰。貧乳。一部の女子からは嫌われている。

シナリオでは彼女の傍若無人な性格が悪い方向に働いていたが、陽太郎をからかいながら誘惑する姿がたまらなく淫靡だった。
彼女が股布をずらして挑発してきたら最後、勃起は避けられない。

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日向子ルートで緊張する姿が可愛い。本気で作品作りに取り組んできた証左と感じられて嬉しくなる。



清河忍

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武人系ヒロイン。部活ではシナリオを担当。あらゆる作品に登場する武人娘の例に漏れず生真面目な性格ながらエロゲ制作の中核を担っているギャップがある。

彼女の性格を象るように、シナリオの本筋は至って真剣で素晴らしいものだった。
日向子と同じく体験版で指摘を受けることになる。その内容は「主人公が気持ち悪い」。
忍ルートにだけこの意見が飛び出すのは陽太郎との体験を盛り込んでいるから必然であり、この意見を貰ってからの忍の行動に目を奪われた。

「シナリオを書き直したい」。
最初は陽太郎を作品に投影させるのは辞めたいのだなと思った。諦めの境地に至るしかない。仕方ないか、そう納得も出来た。
しかし違う。忍は違う。放課後☆エロゲー部は違う!!
ヒロインの気持ちを表現し直して、魅力が伝わるように変更したいと、忍は言うのだ。
諦めない。絶対に良い作品にしてやる。不屈の闘志を燃やす炎が読者の胸を焦がした。

陽太郎への恋慕が、愛の深さが彼女の描く物語のクオリティに反映されていく様が好き。
初心なイメージが強いものの、BL本を隠し持っていたので元々エロには興味があった模様。PCゲーム部への所属も納得は出来る。

先述したエピソードからも分かる通り、決してブレない心を持つ忍の人間性に惚れ惚れとした。
彼女の描く人生もシナリオも、ハッピーエンドの連続であってほしい。



吉祥院やなぎ

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おっとり系の先輩。部活では塗りを担当。

立ち絵よりCGの方が幼く見えて可愛い。

話もキャラクターも特筆すべき点が何一つない。シリアスが薄い分、虚無に寄っていた。
そのでっかい乳に中身はなく、虚乳だった。
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やめてくれ。



立花澤姫

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部活の顧問である保健科教諭。勤務態度は非常に不真面目だがエロゲに対しての愛が猛烈。

部活も作品作りも彼女無くして成立しなかった。
必要な場面では檄を飛ばして制作の指揮を取るが、ある程度安定すれば自主性に任せるなど顧問としての役割を遂行してくれる。
口は悪いが、あらゆる言葉と行動が的を射ており、エロゲ愛は勿論のこと部員たちへの愛も随所に感じられた。

澤姫「……すげーよ、おめーら。ここまで出来るとは思ってなかった」
マスターアップ直後の一言。この人の下で頑張っていこうと思える最高の台詞だった。



猪井理乃

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生徒会に所属する。風紀に厳しいがエロ魔人な陽太郎のことが大好き。ハーレムルートでのみ身体の関係を持てる。

規律に厳しい型のツンデレといった感じで、デレの破壊力は抜群。実はエッチなことに興味津々なのもそそる。
澤姫先生の檄を受けてPCゲームの一員として溶け込み、かつての先入観を完全に覆して作品作りに没頭する姿は好ましいものだった。
共通ルートでも居てくれたら良かったのにと思わずにはいられない。



その他

実は音楽も良い。OPのinstや、ED兼挿入歌「キミがいるから」及びそのアレンジ曲が随所で流れ心に突き刺さった。