中央社会保険医療協議会(中医協)の嘉山孝正委員(国立がん研究センター理事長)は5月8日、「今次診療報酬改定と日本医療の課題」をテーマに横浜市内で講演した。4月の診療報酬改定に向けた議論を振り返り、再診料や入院基本料の根本的な議論など「プリンシプル(原則)の改変があった」と評価した。一方、医学教育を課題の一つに挙げ、「大学の責任は大きい」と述べた。

 嘉山委員は講演で、中医協委員を引き受けた経緯について、「世間では大学はお金を持っていると思われているが、全国の国立大学病院の多くが赤字。医療はすべてがワンセットで、一つでも壊れたら駄目になる。僕が入らないと駄目だと思った」と説明。「日本医師会が(厚生労働省)保険局と、だいたい裏で説明していた従来の中医協とは変えよう、ということでやった」とした上で、「プリンシプルの改変としては、議論の中身が変わってきた」との認識を示した。
 また、社会保障費の年間2200億円の削減政策の転換があったと指摘し、「額の大小よりも、1円だろうと(増加に)転換したことに意味があった」と述べた。さらに再診料、外来加算料、入院基本料は「弁護士の相談料に相当するもので、われわれ医師の最低限の技術料。これを動かすことはできない」とした上で、これまでは点数のみが議論されていたが、「根本的な議論の萌芽(ほうが)があった」と評価した。

 医師の技術を診療報酬で評価する「ドクターフィー」の導入を主張した理由については、「社会が(技術を)認めていることを形にすることで、科の偏在の解消を目指した」と説明した。

■卒後臨床研修制度で「屋根瓦式」が崩壊する
 一方、日本の医療の課題としては、医学教育の劣化を指摘。少子化でたじろいだ大学が、受験者数の確保を優先して受験科目を減らしたことなどを原因に挙げ、「教育をちゃんとしておけば良い医者も育つ。大学の責任は大きい」と述べた。

 2年間で複数の科の研修を受ける卒後臨床研修制度については、「自分のところに来るとなると一生懸命教育するが、2年たってどこに行くか分からないとなると、どうしても見学型になってしまう」と指摘。これまで日本の医療を支えてきた、教授が准教授を育て、准教授が講師を育てる「屋根瓦式」の教育が崩壊するとした。


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