新潟市美術館(北川フラム館長)の企画展示室内でかびに続き、虫が発生した問題で、新潟市美の環境調査をした東京文化財研究所(東文研)が、国宝などの展示に必要な書類を虫が確認される前に発行していたことが分かった。書類は展示の「お墨付き」になるが、佐野千絵・東文研保存修復科学センター保存科学研究室長は「担当の学芸員との信頼関係は確立されている」として、改めて環境調査をせず書類は有効との考えを示している。【立上修】

 新潟市美は今春、中宮寺や法隆寺などが所蔵する国宝や重要文化財の仏像計14点を展示する企画展「奈良の古寺と仏像」を計画。仏像の貸し出しに当たり、東文研は文化庁から環境調査依頼を受けた。貸し出しに「お墨付き」となる書類は2月23日に発行した。

 新潟市美では、開催中の企画展「新潟への旅」で企画展示室に展示した「エコ電動カート」からクモや甲虫類の昆虫が発生。大関洋一副館長の説明では、2月16~26日に同室内でクモ30匹、その他の虫4匹が確認されたという。

 佐野室長によると、新潟市美から虫が発生したという連絡があったのは2月26日。酸化エチレン系の薬剤で企画展示室の全3室を殺虫濃度での燻蒸(くんじょう)をするよう指示したが、9日現在実施されていない。

 新潟市美は虫の発生を東文研に報告する前、展示室内で展示作品を覆い、市販の燻煙殺虫剤をたいているが、市美側の独自判断といい、佐野室長は「今回の作品には問題がなく、ある程度効力がある」と説明している。

 一連の問題で、新潟市の篠田昭市長は8日、「仏像展を確実に成功させるため」として非常勤の北川館長の更迭を発表している。

 ◇東京文化財研究所とは

 国立文化財機構の下部組織で、文化財の保存、修復を行う公的な研究機関。文化庁の依頼による調査をはじめ、美術館、博物館などからの要請に応じ、技術指導や助言などを行う。石室の壁画がかびなどで劣化した高松塚古墳やキトラ古墳も担当している。

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