靴の自作工房hiro - 職人の独り言

工房のオーナー講師斎藤のひとりごとです。思いつくまま、木型についての考察や日々の発見、感じたことなどを時々更新しています。

IND本科

自作工房IND本科
IND本科で学ぶ内容はオーダー靴製作とその販売である、オーダー靴は既製靴とは異なり履く人の足を特定して製作する為に、すべての部材は一つ一つ手つくりとなる、手を加えないで使用できる部材は一つとしてない、木型、アッパーは言うに及ばず、中底、カウンター、シャンク、ヒールに至る全てが手加工によって作られるため部材加工の技術習得が課せられるのが他の教室、学校と異なる点である、これは趣味のコースにおいても同じである、難易度の高い加工は講師によって行われるが、望めば生徒さんもその作業を経験できる。
2017_1012_6737_w800
基礎、マスター、シニアコースを経て課題が終了した生徒はその後、インターン制度を利用してその後も在籍することができる。
月額15,000円の在籍費を払えば曜日、時間の制限なく工房を使用し、工房にあるすべての木型、設備を使用できる。
50種類、1,600足の木型から好きな木型を選択し、使用料¥1,000を支払うことで活用できる。
講師及び斉藤に質問、指導を得ることも出来、自身のお客から受注して、工房内で試着、採寸などを行う事もできるのがインターン生として在籍する理由でもある。
今年4月に有志を募ってインターン生3名が中目黒でオーダー受注会を開く。
思い思いのデザイン、企画を形にして世に出る一歩を踏み出す、4月28,29,30日を予定している、私も参加する予定である。
現在自作工房ではオーダー靴受注をしているが、そこに従事するのは全て自作工房卒業生である、この働く場の提供も今後増やして行きたいとかんがえる。自身で工房を営むまでの間、実践で自身の技術に磨きをかける場の提供も不可欠であると考える。

保存保存

カスタムオーダーとは

オーダー靴と一言に言っても多種多様な形が存在する、足幅に合わせて革やパテをつけた木型に好みの革で製作するものが大半である。
これはオーダー靴と言うには余りにもおこがましい、ゆえにセミオーダー、もしくはイージーオーダーとしている、・・・オーダーとしている根拠は好みの革を選んで個別に作られたからであろう。使用する木型は量産用、つまり既製靴木型の甲に革を貼ったに過ぎない。
木型の底面は同じにしないと新たに底を大きくした幅に作り直さなくてはならないから極力底面の幅は変えないで木型の厚みだけで処理している。

自作工房では、それらとの違いを明確化する為に『 カスタムオーダー 』としている。

カスタムとは木型の再構築である

独自に設計した靴木型をベースにして、つま先の高さや余裕、好みのつま先形状甲の薄さ厚みワイズ幅踏まず距離踏まずアーチ踵骨の長さ踵のカーブ踵幅形状を細かく木型上に反映させ、中底、本底、シャンク、ヒールなど全ての部材をこの寸法に適するよう個別に製作・調整する。
そのうえで、選んで頂いた革を使って1足づつ作り上げていく。これがカスタムオーダーとしている
ゆえに製作できる数は限られている。
1223_9627_011223_9624_01
カスタムオーダーを始めたきっかけは、「足に合っていないとわかっていてもフルオーダーは高価すぎて買えない」との一言。
どれほどなら検討してもらえるかの問いに5万円との答えが帰って来た。

5万円以内で製作するためには、以下の2つのコストをなくすことが必要であった。
1.木型工場で製作依頼する専用木型 
2.専用試着靴

試着靴は測定靴を各サイズ用意することで対応し、専用木型に関しては社内で作り上げる木型に納品時にパットによる調整で出来得る手法を構築した。

ただしこの場合、万が一出来上がった靴が大幅に合わない場合作り直すリスクを製作者側が負う事の覚悟が必要である。

現在月製作が15~20足、現状の製作規模ではほぼ限界に近づいている。
製作量を増やすか否かは迷うところである。なぜならば使用する木型構築は全て私一人で作っている。
ここが量をふやすネックでもあるが、まだ他の人にゆだねる覚悟は出来かねている。
保存保存

カスタムオーダー用に作られた木型

IMG_0406IMG_0405 来栖IMG_0330IMG_0087IMG_0086DSC01328080911_02080911_01091021_01_01P1010137吉村木型

カスタムオーダー 

都内の整形外科から紹介されたと言って靴の相談にお見えになったYさん、早速足を拝見した、左足はさほどでもないがが右足は距骨が
と特出して歩行の度に内に倒れ歩行がままならぬ状態であった、現在履かられている靴市販のウオーキングショーズ、距骨が靴からはみだしてかろうじて履き口を潰して支えている状態、これでは歩行時に体を支えきれず体が大きく内側に傾いてしまう。
私の提案として足首まですっぽり覆うブーツ形状を勧めた、靴内で距骨下に体の傾きを支えるパットを挿入して歩行時の内倒れを防ぐ工夫をすることで安定した歩行を可能にし、ズボンでその部分を覆って見た目に違和感のない靴になると説明、承諾を得た。
本来この形状を木型にするためには足の石膏採りと専用木型がが必要であるが製作コストがかさみ、法外な金額になってしまうために採寸した数値を既製の木型にロウで盛り付け製作木型にすることで費用を最小限に抑える工夫をこころみた。
昨日その納品、足入れ、試し歩行をしながら挿入するパットの調整をし、満足して頂いた。歩幅も大きくなり、肩の揺れもなくなった歩行確認ができ、製作側としても満足する結果であった。吉村足吉村木型吉村完成
保存保存

足底腱膜とパンプスの関係

足底腱膜は足裏を広く覆っており、踵骨内部突起部から基節骨に伸びている、母趾を背屈させると健が引っ張られ踵骨を牽引し、中足骨骨頭と踵骨の距離が短くなり、アーチが上にあがる。足底腱膜炎の有無を確認するのに母趾背屈して確認する、背屈角度を30度を超えると縦アーチが著しく上がってくる。採寸時に両手を支えつま先立ちをしてもらい、足裏の足底腱膜の張り具合を確認する事が必要である。張りが強く出る場合はその腱膜が当たらない工夫を木型上に設ける事が肝要となる。
母趾30度はヒールの高さにして6cm程、足長によって違いはあるが、6cmを超えるとアーチが大きく持ち上がるために腱膜炎の症状がある場合はそれ以上のヒールを勧めるべきではない。
6cmを超えるヒール高の場合、上記に記したように中足骨骨頭と踵骨までの距離が縮まるためにその距離を把握し、その距離にあった木型の選択が肝要である、その距離変化は人によって様々であるゆえ、その距離確認は履ける条件の最優先課題となる。

理学療法士との共同検証とロウによる木型修正の妙

IMG_0402 来栖トレース岐阜からお出でのKさん、右足の変形にお悩み、楽に歩ける靴とのご依頼、拝見すると、踵の内反で外側に倒れ脛骨が外に倒れている、加えて第3趾が両側から押され、下に潜り込む形となっている、ゆえに第3趾の指先が下に出ている為にその他の指が地面につかず体のバランスが保てない為、現在では杖が必要となっている、左足で体を支える為かなりの負担が生じ、腰痛も出ている。
理学療法士の三浦氏と共同検証で靴内でのインソール処置が必要であるために製作する木型に4mm程のインソールスペースを確保する必要があることが確認された。
左足には何ら異常がないのだが、踏まず距離が非常に短く市販で販売されているどの靴にも合わない、足長は22.5cmだが少々ワイズ幅があるためご自身で選択する靴は23.5cmとの事、これでは足は前後に動き疲れること夥しい。
左足は21.5cm、2cmヒールのコンフォート木型を選択、踏まず距離を修正して使用する事にした、右足はまず踵部を外側に倒し、脛骨の倒れをそのまま再現することになった、これはショパール関節の動きがほとんどない為、倒れを直す矯正処置ができないと判断したためである。第3趾の突き出た状態を収めるために木型前部に4mmのロウを盛り付け、指先が当たる部分を開けた、靴が出来た後、4mmのパットを指先部分をくり抜いた状態で装着することで指先は穴に収まり、他の指が着知できる状態を作った。
右足は足長が20.5cmだが、左右であまり差が目立たない様にとの意向に沿って木型の全長を左足と同じ大きさに修正した。
理学療法士との共同検証が出来ることと、ロウによる修正が出来得る自作工房ならではの対処である。

IMG_0406 IMG_0405 来栖

足の検証とその対策 その3 開張足

横のアーチを形成する靭帯が緩んでアーチが形成されず、加重すると鉾に広がってしまう、中足骨骨頭付近を絞ると足幅は細くなる、荷重時と非加重時の差が著しい事が確認できる、その度合いは小指側と内側を両手で掴み交互に上下に動かし、その動きや柔らかさを確認、進行する度合いを測ることができる。
測定はテープで中足骨の遠部位をテープで巻いて本来の形状に戻して測定する事で木型の大きさを見極めることができる、フットプリント採取はテープを取り去り、広がった状態で採取する事でその違いを見ることができる、往々にして足裏にタコや魚の目ができており
それらを削除する事も肝要である。
ちなみに開張足の場合、こんにゃく足と呼ばれる靭帯、筋肉の柔らかい足と言えば聞こえは良いが、筋肉靭帯が弱く、中足骨まで広がった状態の足、これは時として足だけではなく体全体の筋肉が柔らかい、つまり弱い場合がある、そのような人はテニスなど、ボールを弾き返す事が困難なはずである。
靴への調整は第2~第4中足骨骨頭の少し後ろにパットを挿入、第1、第5にかからない位置に貼る事が肝要である。

全ての部材の内製化

自作工房で製作する靴のほとんどの部材は工房内での加工が主体となる。
中底、ヒール、ウエッジヒール、シャンク、月型等である、素材を購入して一つ一つの形状や内様に基づいて加工される、故に製作数量に限りがある、量産性は全くない。

中底は、体重を支える部位の厚みを8~10mmにしたことでより安定度を増し、シャンクの取り付けも皿ビスで強固に固定され、且つ市販のヒールの取り付け傾斜を調節し、地面に対して直角に取り付けられる、これは体重を支えるためには必然である。後進国で生産された多くの靴の問題はこの中底にある、とにかく弱い、つま先と踵部を持って捻ると簡単にねじれてしまう、これでは体重を支えることは不可能である。
0925_2051_w600
ヒールはそのまま使用できるものは皆無といってもよい、取り付け部の傾斜角度、高さは必ず1足ずつ調整が必要となる、靴の釣り込みは100%職人の手で釣り込まれる、ライニング、カウンター、甲革の3つを同時に中底に巻き込み釘で固定する、その厚みは一つ一つ違うためにヒールの高さも一つ一つ違ってくる、統一された着地位置に設定するにはその調整は欠かせない。
多く工場では中底にシャンクが内蔵されたものを使用する、自作工房では後付けである、なぜならば木型の底面のカーブが履く人の足カーブに合わせて修正されているため、そのカーブに一つ一つ合わせなくてはならない、叩いて曲げて取り付ける。
月型と言って裏革と甲革の間に2.5mmの革をいれて靴の強度を保つのだが、デザインなどによってその大きさはまちまち、そのデザインに合わせ切り,漉いて調整する。
量産工場では各作業が分業されている、数を製作するには良いが製作過程で生じた狂いや間違いが見過ごされる可能性が高い、工房では一人の職人が全てを通して製作する方法をとっている、効率は悪い、が品質は一定する。
オーダー靴を製作するには量産性はは二の次、三の次になる、故にコストは数倍にあがるが、致し方ないと考えている、質を落として利益を過度に追究するのであればオーダー靴を生業とはしない。保存
靴の自作工房ヒロのホームページへジャンプします。
tel:03-6231-1871
東京都中央区日本橋横山町5-18

趣味コースのブログ
お客さん紹介
にほんブログ村 その他趣味ブログ 習い事・お稽古へ

月別アーカイブ
ギャラリー
  • IND本科
  • カスタムオーダーとは
  • カスタムオーダーとは
  • カスタムオーダー用に作られた木型
  • カスタムオーダー用に作られた木型
  • カスタムオーダー用に作られた木型
  • カスタムオーダー用に作られた木型
  • カスタムオーダー用に作られた木型
  • カスタムオーダー用に作られた木型
記事検索
タグクラウド
QRコード
QRコード
  • ライブドアブログ