靴の自作工房hiro - 職人の独り言

工房のオーナー講師斎藤のひとりごとです。思いつくまま、木型についての考察や日々の発見、感じたことなどを時々更新しています。

足のトラブルへの対処

今年下半期は様々な足のトラブルを抱えたお客のパンプス依頼が多く、みのり多い年であった。
こんにゃく足
(指先を強く握っても痛みを感じない、靴内で足先が細くなってしまい足が前に滑りやすい)、
開張足
(体重をかけると指先が左右に広がり立脚時の採寸で作られた靴はキツく感じてしまう)、
扁平足
(踏まずが落ち、かつ踏み込み時に足が内側に潰れる)、
凹足
(アーチが高く歩行時と非過重時で踏まず距離が変化する)、
神経過敏
(少しでも足を圧迫すると痛みを感じる)
O脚歩行
(股関節の歪みによるO脚、体重が外側にかかり小指側を常に圧迫する)
脚長差
(股関節の歪みもしくは脚の長さが左右で違う)
等、事前に確認できる事もあるが実際に長時間歩いて見ないとわからない事も多い。
むしろ30分、1時間歩行しないと生じない問題のほうが多い。

【 お客様の協力の重要性 】
納品後、およそ1~2週刊後においで頂き、生じた問題の原因を探り、その原因を突き止め対処する必要があり、お客様の協力を得て対処してきた。

こちら側として大切なことはお客の説明をしっかり聞き、その痛みや問題が起きる原因をしっかり説明し、理解してもらうことが大事である。
理解してもらえれば協力も得られる。素人だからと言って軽んじてはならない。答えはその訴えに隠れていることが多い

扁平足はただ踏まずが落ちているだけではなく、歩行時に足が潰れてしまう事が多い。
つまり内に倒れてつま先は外に流れ小指が常に圧迫される。内に倒れれば踵も内に倒れ隙間が生じ、踵が抜けやすくなる。
一つのトラブルがいくつもの問題に波及する、それらの諸問題がなんに起因するかを確かめる知識経験がオーダー靴制作には求められる。
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パンプスのオーダー製作

【 甲が空いている故の難しさ 】
パンプス及びローファーは甲が空いている故に足の甲で足の動きを抑制出来ないため製作の難しさが
他の靴に比べ高い。

【 甲を覆う靴との違い 】
甲を覆う紐靴は「足が前に滑るトラブル」に加えて「歩行時におこる甲の上下の動き」をも抑制できる。これは歩行癖をなくす働きももつ。甲が抑えられると歩行時に起こす足のねじれを起こさせない。

【 動きに対する対処 】
親指で蹴り出すことが出来ない人は小指側で蹴る動きをするか、もしくはすり足となる。この際、甲が上がり踵が内側に傾き踏まずの距離が短くなる、が故にパンプス等甲が空いている靴では踵が脱げやすくなるのだ。 これを抑制するには足の捻れを止める必要があるが、木型上でできることではない。靴内にパットを貼り、その動きを抑制する事が必要となる。

【 採寸データだけでは対処できないこと 】
オーダー靴では足の採寸をスキャナーで読み取りその数値を数値化し、それを基に木型を構築する技術が脚光を浴びている。確かに測り間違いや見落とし等をなくすことには効果的であろうが靴内で生じる足の動きを抑制出来ない、これがパンプス製作の難しさである。
出来上がった靴を履いて歩行を繰り返し、そこで生じる足の動きをみて、パットによる補正が不可欠となる。
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リセッティング 履けない靴がはけるようにする

履けない靴とはどんな靴? 履いていると踵が抜けやすい、つま先がいたくなる、小指が当たる、この中でも踵がすぽすぽで歩きにくいが圧倒的に多いようです。
こんな訴えに対してやってはいけない処置は、踵の上部に市販されている出っ張りのあるパットを貼り付ける、痛い箇所を伸ばす、やたら前に詰め物をするは三大悪処理と言えるでしょう。

踵が抜けやすいのは踏まずの距離が足と靴とが合っていないのが原因です、足幅があるから少し大きめのサイズの靴を買っているためでしょう、踵から内ポール、外ポールの距離を足に合わせて短くする必要があります、この処置ができなければ調整をするというのは過大広告に当たるでしょう、踵が小さいから抜けると言うのも言い訳に過ぎませんね、踵のカーブが靴のヒールカーブに合っていて、足が靴の最後部まで届いていれば抜けることはありません、踵が小さいと靴ズレができやすいと言えますが踵が抜ける直接の原因ではありません。

踵が抜けるもう一つの原因は足が前に滑り、踵に隙間が生じることです、踏まずの距離があっていない事を除けば他の理由はアーチカーブの足との不一致とヒールの高さ、及び取り付け角度が靴のカーブや高さに合っていないためです。

これらの原因を全て足に合った状態にすることが履ける靴にすると言う事です、靴の調整には
靴作りの総合的な技術、足の理解、木型の知識が要求されるかなり高度な知識と経験が求められることを認識していただきたい。



リセッティング(履けない靴を履ける靴にする技術)

リセッティングに持ち込まれる靴は総じて足に対して大きめのの靴が大半である。
持ち込まれる中には、たまにヒールの設定が地面に対して垂直ではなく、内、または外向きに取り付けられている、また、ヒールの高さが高すぎるため着地する靴の位置がつま先寄りに取り付けられているものも見かける。

足のサイズより大きい靴はまず、踏まず距離を合わせる必要がある。
単に前に詰め物をし、足が前に動かないようにしてあるのをたまに見かけるが、この処置は効果がないだけではなく指先を痛める。処置としては足が靴の踵に届くまで足を後ろに下げ、且つ前に戻らない工夫が必要となる。

踵から内、外のポールポイントまでの距離を測り、その位置に靴のポールポイントを合わせる技術が必要である、この処置なくして履ける靴にはなりえない。型の全工程を学んだ本科生に指導しているが、姿勢、歩行、足の生理学等学ぶ内容は多岐に渡る。

足を後ろに下げた後、ヒールカーブの修正も必要となる、得てしてカーブはキツめに設定されているため踵が靴の最後部まで届かず、ほんの少しの前への移動で踵が抜けてしまう。履く人の姿勢、歩行によってだけでもかなりの改善は見られるが、ヒールカーブの修正が必要な場合もある。
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パンプスを履くための5つの要素とは?

パンプスを履くための5つの要素
  1. 姿勢
    壁に背をつけて立った時、頭、肩、お尻、踵が壁に着いているか
    背中に必要以上に隙間が空いていないか(手のひら1枚分以上の隙間)
  2. つま先立ちをした祭、耳、肩、骨盤、くるぶしが垂直せん上にあるか
    この状態は骨盤の前傾、後傾による事が考えられます、治療院での補正が必要となります
    パンプスを長時間履き続けると足裏に疼痛が生じてきます、姿勢の悪さ、つまり前傾姿勢が頭を前方に傾け体重が足指の付け根に集中する為に生じるためです
  3. 骨盤
    骨盤のねじれで大腿骨との結合枌大転子と呼ばれる骨が外に出ており、
    0脚やX脚の原因となり、しいては足首がねじれ踵が抜けやすなる
  4. 足裏ケアー
    上記の状態で歩行を続けた結果、横のアーチがなくなり、指の付け根が常に強く圧迫され生じる開張足や浮き指で付け根が硬くなり、タコや魚の目が生じている、これは削り取っておく必要がある
  5. 歩行
    スニーカー等での歩行は踵から着地し指先で蹴り出す歩行である、
    踵が着地した時点では頭はいまだ少し後方に位置し体は後ろ傾斜状態である、
    甲を紐で抑えているが故に足は前に滑ることはないが、この方向をパンプスで行えば足は前に滑りがちとなる、
    パンプスでの歩行は歩幅を小さめにし、前に出した足で着地した時点で体は垂直に位置することが望ましい
  6. 足にあったパンプス
    親指と小指の付け根位置から踵までの距離が一致している事、
    足裏のカーブが靴のそれと一致していること踵の骨の長さが靴のそれと一致していること、
    踵のカーブや形状が靴の形状に合っている事、
    足幅や靴の長さが足に合っている事等が必要となる。

上記の条件を満たしている女性は非常に少ないのが実情です、特に30代後半から年配のかたは筋力の衰えから姿勢は前かがみで歩行されている方が殆どです、では上記の条件を満たしてなければパンプスは履けないかと言えばそうではありません、現に何かしらの問題を抱えながら履いている方が多く見受けられます。

靴を提供する側から申し上げれば、その状態でも履けるパンプスの提供をする事が要求されていますが、その限界もあることを理解していただきたいのです、
自作工房ではご依頼にお見えになるお客様の足、姿勢、足裏、歩行を等を拝見し、今までパンプスが履きづらかった原因を確認しその状態にあった靴つくりを行っています

その痛みや苦痛を軽減するための靴の構造の説明それを施工することの同意をいただくと同時に、併設する治療院での治療も状況に応じご案内しています。

市販靴・既製品の履き心地調整について

今お持ちの靴への対処にもオーダーの時と同様、お客様の足、姿勢、足裏、歩行を等を拝見し、今までパンプスが履きづらかった原因を確認しその調整を行っています。
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パンプスが合わないのは

自作工房にオーダーでお見えになる方の多くは30代後半~60歳台、9割の方がパンプスのご依頼です。
やはりご自分の足に合う靴が見つからないことでオーダーを選択された方々ですが、何故市販のパンプスでは合わないのか明確な原因をわかっておられる方はまれです。

先端が痛い、踵が脱げる、足裏が痛い、・・・等が主ですが、靴の問題もあるのですがご自身の足、つまり体にも原因があることは全く意識されていない方が殆どです。

パンプスという履物はスニーカーや紐靴等のヒールの低い履物とは歩き方が違ってきます。

スニーカー等は踵の後部から着地して靴全体で地面を捉え、指先で蹴り出す動作で歩行しますが、パンプスは踵全体、もしくは靴底全体で着地する姿勢が求められます。

このためには歩幅を小さく取ることが必須となります。パンプスを履いてスニーカーと同じように踵後部から着地する歩行をすれば足は靴内で前に滑ってしまいます。

まず、正しい歩行を身につけて頂くことで前滑りはかなりの割合で改善します。

ただし、この付帯条件として、パンプスが足に合っていることが必要となります。

足裏がいたい、踵が抜けるはもちろんパンプスの構造が足に合っていることが前提ですが、骨盤、股関節の歪み、前傾、後傾、そして姿勢も影響します。
姿勢が前かがみになると頭が前に出て重心が前方寄り(体が前のめり)になり、体重を足裏の前側部分に偏って支える格好になります。これが足の横アーチに大きな負担をかけます。長時間この姿勢で歩けば足裏が痛くなることは必然です。
この状態が続けば、開張足、浮き指、タコ、魚の目が生じてより歩行が困難になってきます。

自作工房では足の採寸前に姿勢、立ち姿、つま先立ち、等諸々のチェックをし、問題を提起して
身体、足裏のケアーを促します、と同時に靴への対応を説明し、対策の為の構造や形状に納得頂いてから製作に着手しています。


靴底、木型の改良、靴底材、中底の加工、反発材の設置などを状況に応じ施すことで身体の横ブレ補正やではローリング動作のサポートが可能になります。

工房では現在も研究を重ね、靴への対処と身体・足への対処を同時に進めることでオーダーして下さった方がより快適な歩行を楽しんでくださるよう努めています。
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※写真右側:黒のパンプスはCAの方用(4cmヒール)。
長時間の勤務でも足裏が痛くならず快適に履き続けられる工夫が随所に施されています。
※写真右側奥:ライトブラウンのパンプスは茨城の常連さん。
踵の着地面積が幅3cmもない細い足の方で、ねじれ補正がされています。
※写真左側奥:ブラックのコンフォート
旅行で長時間の使用でも痛くならない工夫を底面に施しています。

特別講座

シニアコース及びインターン生を対象とした歩行研究会を月1回行っている。
立ち姿勢、足踏み、片足立ちから読み取れる足、体の不具合が靴に及ぼす影響、その対策がテーマである。
壁を背にして立脚状態から読み取れる骨盤の歪み、肩の歪み、股関節の開き、膝関節の向き、足首のねじれ、踵の緩み、指先のそりなど全てが歩行に影響を及ぼす、また歯の噛み合わせ等も体全体の不調の原因となる。
幸いにして自作工房のビルでは治療院も併設している、オーダー依頼でおいでのお客や靴作りにかよっている生徒さんの姿勢等の確認で不調和が見つかれば治療院で根本治療をすることをアドバイスもしている。

足の寸法を測れば足にあった靴が作れると簡単に思われがちだが、事パンプスに限って言えばそれだけでは不十分である。
まずパンプスを履いての歩行を正しく歩行出来るよう意識改革をしていただく必要がある。スニーカー等を履いた時と同じ歩行では足は前に滑ることが多い、股関節の開きや大転子のズレ等がO脚の原因となり、踵からのねじれを起こしているために小指側が常にあたり内反小趾やタコ等の原因にもなっている。
初期の相談や採寸時にそれらが認めることができれば靴製作、木型構築に対処できてくる。
これからの靴製作者に求めれらる資質となると強く感じている。
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新しいデザインサンダル

サンダル昨日(6/6)お渡しした8cmヒールサンダル、ブーツ木型を基にして作りました、奥に映っているのが作業木型、サイドファスナーのロングブーツ用の木型ですので底面の形状はサンダルに合って
いるが内側のコーン立ち上がりが絞ってあるためにサンダルには
不適、故に足入れができるようにロウを持って緩くし、2の甲、中間甲、3の甲をお客のサイズに合わせ、且つ踏まずアーチ形状を
修正して製作、黒のスエードに薄いベージュの組み合わせは洋服に合わせやすい色合い。
お客を待っている間、りセッティングに訪れたお客がひと目で気に入ってくだされ購入を決めていただきました。
足が細く甲が薄い方なのでパンプス木型をサンダル用に修正して作る事にした。
パンプス木型からサンダル用への変更は踵底面幅、コーン立ち上がり、踏まず上がり修正、コーン修正など多岐に渡る。
履く足の状態に合わせて基になる木型を選択することが肝要。
サンダルは中底の堅牢さが命、今回の中底は厚み10mmにもなった、履いた瞬間にその堅牢さ
が履く人にも判る、安心して体を預ける事ができる安心感をもたらす。

靴の自作工房ヒロのホームページへジャンプします。
tel:03-6231-1871
東京都中央区日本橋横山町5-18

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