靴の自作工房hiro - 職人の独り言

工房のオーナー講師斎藤のひとりごとです。思いつくまま、木型についての考察や日々の発見、感じたことなどを時々更新しています。

採寸の前に必要な確認

新規でのオーダー依頼に際してお客の足の状態を確認する必要がある。靴、特にパンプスにおいては歩き癖や足の状態によってはいくら測定値に忠実に作っても様々な問題が生じる。まずはお客の話を聞く事から始まる。どんな不具合があるのか、お客からの問題提示は生じる不具合であり、その不具合が生じる原因は製作者が見極める必要がある
特に以前起こした骨折、捻挫、様々な病歴は確認しておく事が必様である、生じている問題が歩行にどんな影響を及ぼしているか素足、履いてきている靴を履いての歩行で確認する。頭、肩
足の動きなどで足の状態や歩行癖を、また足の潰れ、ねじれ、脚長差、内外旋など足の運びを見て問題点を見定め、完成後その動きに対する補正パットの挿入が必要である。

寸法通りに製作する事がオーダー靴製作には不可欠だが、それに加えて歩行に対する靴への対処も同等に必要な処置であると言える。
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踵が抜ける

踵が抜けやすい原因は多数あるが靴が原因ではなく、履く人の足の動きが起因することも希ではない。
足底腱膜、ショパール関節からのねじれ、O脚、こんにゃく足が原因となる歩き癖などが挙げられる。

足底腱膜が踵を挙げると張り出して足を押しやる場合、
足を調べればわかるが歩き癖は靴を履いて歩行してもらい、その歩きを観察して見極めなくてはならない。
フットプリントで踵の着地面積が小さい場合、
踵を挙げると細くなり抜けやすい、踵内側へのパットでその動きを抑制。

O脚で歩行時、踵が左右前後に傾きが見られる場合、
立脚時に体重がそと側にのり、体重が前に移動した際、足が内側に傾く、この時点で外がわポール位置が浮き、足が外側前方に滑り、踵が空いて抜けやすくなる。外がわポール位置へのパットが必要となる。

人の歩き癖は様々でありその足の動きを見極める知識がパンプスオーダー靴制作には必要となる、故にパンプスは難しいと言われる所以である
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様々なパンプス形態における木型修正

自作工房のパンプスリピートオーダー率は60~70%になる。

およそほとんどの方から2足目、3足目のオーダーをいただくが、初回と同じ形とは限らない、むしろその形態は変わっていく。
初回は歩きやすさを重視され、ヒールも太め、高さも控えめの6cmヒールが多いが、2足目からはヒールはピンヒールとなり、高さも8cmを望まれる。
ピンヒール、もしくは着地面積が小さいヒールを使用する場合、中底の強度が必要となる。自作工房ではおよそ8mmの厚さの中底を使用する。着地面積が小さくなればその支えである中底の強度は従来の3倍必要となる。そのまま厚い中底を使用すればヒールはその分低くなってしまうため木型の着地位置を4mm高くしておく必要が生じる。強度を増すためにシャンクを2本つければ事が済むと言った靴製作者がいたが、それは中底に求めている強度を理解していない暴言である。
求めている強度は横へのねじれであり、上からの重力を支える強度ではない事を理解してない。
加えてヒールの着地位置は足の踵骨から35mmないし40mm前方に位置することが望ましい、これは踵の中心がそのいちにあり、最も安定する位置であるからである。

普通のプレインパンプスからセパレートパンプスに変更することもしばしばある。
普通のパンプスに使用したパンプス木型をそのまま使用すれば間違いなく前にすべり、ストラップに頼る靴になってしまう
木型の底部を履く人の足に合わせて絞り込む、加えて履き口のエグリはストラップを取り付けない場合は深めに設定し、履ききわは足に食い込まないよう緩くし、その直前を絞り込む、出来得れば甲革と裏革の間にスポンジを挿入し、上からの抑が加えられる工夫等も有効となる。
その形、用途、足の形状に合わせ木型、中底、などへの工夫が肝要である。

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歩行による足裏の変化

採寸時は概ね立脚し、荷重値及び座位での非荷重値、または最近脚光を浴びているスキャナーでの測定がある、この値または状態は動きの無い状態での測定である。
【全身の1/4もの骨が集中している足の動きの複雑さ】
足は28個もの骨が組み合わさりその一つ一つが靭帯で繋がり一つ一つが変化することで歩行を可能にしている事は周知の事実である。

主な関節の動きは距骨下関節、距骨が踵骨に載り、前後左右に動く。
よく駅のホームで足を外側に倒している人を見かける。彼ら彼女たちはその姿勢が楽なのであろう、この動作によって外側の靭帯が伸びてしまっている事は想像に難くない。
前後への変化は第1.2楔状骨が動き、ショパールまたはリスフラン関節で捻れを起こし、体重を外側に移動させ、蹴り出す状態をつくり、体重を内側に倒し蹴り出して推進している。この時点でPIP関節やDIP関節が動き蹴り出しを促す。またアキレス健は伸び、後ろ側に張り出す。つまり足は歩行時に様々な動きをして歩行を実現している。
ならば静止状態の測定をそのまま木型に反映しても満足のいく靴になるかと言えば、否である。
採取された形状、数値を基に動きによる変化を想定し、その動きをさまたげることがない空間を設ける事が必要となる。
足の数値を正確に測るだけでは靴木型を作るための資料としては不十分であると言わざるを得ない。
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足と靴と木型

足の採寸時、足の向きをその人の歩く姿勢、つま先が外向きまたは内向きか、膝蓋骨の位置、やはり内側に向いているか外向きなのかを同時に確認する必要がある。

採寸用紙には足を置く縦のラインが惹かれておりそのラインに合わせて足を置く人をよく見るが、測定する前に足踏みをしてその足の向いた状態での採寸が望ましい。

足はフラットの状態と踵をあげた状態では違ってくる。

踵を上げていくと足はねじれ現象を起こし、固定化する。つまり第3.4.5中足骨で体を支える状態になっていく。この足の固定化がヒールのあるパンプスを履く上で必要となる。これは歩行時に踵外側から着地し外側に体重移動する過程と同じ原理である。つまり足を固定化することで体を支える状態を作り出している。
ヒールのあるパンプスはまさにこの状態を維持する状態にあるわけである。従ってパンプス木型を製作する際に第3.4.5中足骨骨等周辺への配慮、すなわちフットプリントなどが表している状態を考慮して製作する事が必要となる。
内側ポールポイントはその位置がある程度の変化を収容できるスペースが、アーチカーブの変化(歩行時の変化)に対応出来得るスペースの確保が必要になる。
このアーチカーブの変化を抑制する為に縦のアーチパットの使用は有効であるが、高さ長さ、幅と位置が適切でないと逆効果になりかねない。
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納品時の確認

オーダー靴は足のサイズに合わせて製作する、これは基本中の基本であるが、なにをどのように合わせるかは製作者各人それぞれの考え方があって当然であろう。
靴に求められる合わせると言う内容は、歩行する人が歩くことに躊躇、もしくは懸念を抱くことなく歩行できることにある。
足の踵周り、踏まず幅、踏まず距離、踏まずカーブ、足長、ワイズを木型に反映、且つ歩行に際しての足の動きを考慮し、動きに対しての余裕を設け、歩行に支障がないようにする事が肝要である。

立脚時の足の状態と歩行時の足の状態には少なからず差が生じる、歩行時には体重が片足に載り、瞬時にその体重が反対の足に移る、足のアーチは荷重時には体重で押されアーチは下がる。

つまり下がった分足に変化が生じる。立脚時には問題なくても歩き始めると足が前に滑る、または履き口に当たるはこの変化に対して靴が順応できてない事が原因となる。

足にあわせて製作した後、足を入れ、歩行し、その動きを、歩行する様子を見ながら観察し、その動きを和らげる対処が必要となる。
例えばアーチカーブの変化であり、ねじれであり、内倒れ、回扇、横アーチの潰れ、PIP、DIP関節の動き回内、回外である。

これら変化の全てに木型では対応しきれない、部分パットなどが必須となるが、靴製作者には残念ながらこれらの知識は十分とは言い難い。これらの知識はオーダー靴製作者には必須であると考える。
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開帳足

数日前に足の裏が痛くて歩けない、何故か?と相談にお見えになった、足をみると右足の甲に張りがなく
持ち上げると簡単に反ってしまう、ふくらはぎを手で強く挟みつけて同じ動作をすると動かない、その位置を骨盤の下を抑えて行うとより張りが生じてくる、つまり脚の筋肉の衰えが足に影響を及ぼし、扁平足となって体重が乗ると神経を刺激して痛みを生じる。足裏の位置が本来痛くなる位置より少し外側であった、これは足の外扇、つまり足先が外側に曲がり着地位置が外側になった為、神経が通る道筋を抑えるために生じる痛みであった。
これは治療院に行って治療する事が必要、靴屋の私には手に余る、懇意にしている治療院を紹介した、
(指圧屋 山下氏、指圧屋で検索してください)

踵の方向性

昨日男性が歩くと小指があたり痛くなるので幅を広げて欲しいと工房においでになりました、履いてみてもらうと
小指が痛くなるほどは当たっていないのが見て取れた、歩行をしてもらうと着地時に足が僅かに外側に流れていることが確認できた。
靴を脱いでもらい、靴の底面を見てみるとトウサキがうちに振れている形状にも関わらずヒールの向きはまっすぐに向けられている、靴は内ぶりなのに踵はまっすぐ、これでは足は外側に向かってしまう、踵は足が踏み出す方向性をナビゲートすることをわきまえない典型的な取り付けであ歩行時に着地する位置にヒールの顎の向きがその着地位置に直角に尽きてなければならない、外見を考慮するあまりに歩きやすさを犠牲にしている。
靴の幅を広げることなく、ヒールの向きを修正しただけで小指が当たらなくなった。
これは紳士靴の様に踵幅が大きなものに限らずピンヒールのような小さなものでも同じ事が起きるので一度確認することをお薦めする。


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tel:03-6231-1871
東京都中央区日本橋横山町5-18

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