靴の自作工房hiro - 職人の独り言

工房のオーナー講師斎藤のひとりごとです。思いつくまま、木型についての考察や日々の発見、感じたことなどを時々更新しています。

ショパール関節

外扇、内扇

【 木型を外振り、内振りにする必要 】
木型を製作する際、足の軸線と木型の軸線を合わせる事が必要ですが、足の軸線は直線で良いのかと考えてしまう、踵の向きを軸に見て足は真っ直ぐばかりでなくショパール関節を軸に内、または外に振れている事が多く、木型を外振り、内振りにする必要が生じてくる。
この際踵の回外,回内もあるため、外扇、なのか内扇なのか、または踵の回外なのか回内なのかの判断が重要になってくる。
アキレス健の傾斜や位置、足の全体像からの判断になるがフットプリントやトレース画をよく見ればその違いを判別できる。

【 木型をトレース画のどの位置に置くか 】
既存の木型に修正を加える際、木型をトレース画のどの位置に置くかが正しく修正出来るか否かの分かれ目となる。
外側に振れている足の木型を作るのに木型を真ん中に置けば外側が不足して歩行中外側(小指側)に痛みを伴う。木型の修正の基本中の基本である。

正しくトレース画に修正する木型を置く勉強は本科マスターコース及びシニアコースで徹底して学んでいる、時折抜き打ちに生徒に木型が正しく置けているかテストも行うが難しい判断が必要なケースも多々見受けられる。
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歩行による足裏の変化

採寸時は概ね立脚し、荷重値及び座位での非荷重値、または最近脚光を浴びているスキャナーでの測定がある、この値または状態は動きの無い状態での測定である。
【全身の1/4もの骨が集中している足の動きの複雑さ】
足は28個もの骨が組み合わさりその一つ一つが靭帯で繋がり一つ一つが変化することで歩行を可能にしている事は周知の事実である。

主な関節の動きは距骨下関節、距骨が踵骨に載り、前後左右に動く。
よく駅のホームで足を外側に倒している人を見かける。彼ら彼女たちはその姿勢が楽なのであろう、この動作によって外側の靭帯が伸びてしまっている事は想像に難くない。
前後への変化は第1.2楔状骨が動き、ショパールまたはリスフラン関節で捻れを起こし、体重を外側に移動させ、蹴り出す状態をつくり、体重を内側に倒し蹴り出して推進している。この時点でPIP関節やDIP関節が動き蹴り出しを促す。またアキレス健は伸び、後ろ側に張り出す。つまり足は歩行時に様々な動きをして歩行を実現している。
ならば静止状態の測定をそのまま木型に反映しても満足のいく靴になるかと言えば、否である。
採取された形状、数値を基に動きによる変化を想定し、その動きをさまたげることがない空間を設ける事が必要となる。
足の数値を正確に測るだけでは靴木型を作るための資料としては不十分であると言わざるを得ない。
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足、木型、パッティング

長年パンプスのオーダー製作をしていると、“一見問題ないように見える方が、いざ歩き始めると踵が抜けやすくなるケース” というのに度々お目にかかる。

靴に問題があるのではなく、足の動き自体が足を前に押しやる事がほとんどである。

20171006_7903_w600典型的なケースを2~3挙げてみると、足底腱膜、扁平足、ショパール関節以前のねじれ・・・または踵部のねじれである。
もう一つ。最近経験した事だが、踵が柔らかいため、着地時と踏み込み時の踵底辺の大きさに変化が生じる、つまりカカトを上げると踵にある脂肪層が下に下がり、幅を小さくして蹴り出し時に踵が抜けやすくなると言う事例。
立脚時にはある幅を維持しつつ推進時に細くなる踵をいかに抑え、抜けなくするか・・・木型だけでは対処できないところをパットの機能を組み合わせることでこれらに有効に対処できるのである。

足のねじれ、扁平足等も概ね同じ対処で解決できるが「測定時の踏まずの長さは靴を履いた時点で踵が上がりその距離に変化が生じる」という事を理解しておくことが肝要である。つまり短くなるがために踵に隙間が生じて抜けやすくなる。

パンプスという履物、履く人に合わせる技術には『足』・『木型』・『パッティング』の知識が不可欠である。

オーダー靴製作におけるアーチ形成

IMG_0566オーダー靴がオーダー靴たる所以は履き歩行してかかとが抜けない、指先が痛くならない、長時間の歩行に際して疲れない等の基本的要因が求められる。
【木型上での配慮】
これらを可能にする為に考慮しなくてはならない木型上での配慮は多種多様であるが、まず挙げられるのは踏まずの長さ、アーチ形状だと考えられる。
特に注意するケースとして凹足、つまりハイアーチへの対応が挙げられる。
アーチが高いということは体重がかかった時点での変化が大きく、踏まずの距離やアーチ形状の変化がある。体重がかかればアーチは潰れ、足長は長くなる。立脚時と歩行時に差が生じる点である。
特に注意する点は足のねじれ、ショパール関節をもとにして足が内側にねじれる。つまり回内する事が多く見られる。
写真の様につま先立ちをしたとき、多くの場合かかとが内側に曲がる。これは靴を脱ぐ時にする行為に類似している。故に踵は抜けやすい状態での歩行となる。
また、アーチが潰れるということは、足底腱膜が引っ張られ足裏に張り出すという点も考慮する必要が生じる。この場合アーチが高い為に立脚時の踏まずに隙間ができ、アーチパットが挿入されている事が多い。が、このパットに腱膜があたり足を前に押しやり、靴の中で足が前に押されることが多い。
足のねじれに対しては靴の前後に2~3mmのパットを挿入して捻れを軽減する必要がある。足の測定時にこれらを確認しておく事が肝要である。
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パンプスの難しさ

オーダー靴には調整が絶対と言って良いほど必要である。
一旦納品し、数週間後その履き具合を確かめ、不具合が出ればお持ち願いよりその適合性を高める必要があると信じる。

例えばこのような例、
【ほぼ一日歩くと足裏に痛みを感じたと靴をお持ちになった。

店内で歩行を確認するとほんのわずかだが足が前に動いて踵が微かに上下していた。ヒールの高さが2mm程高くなっていたのでその着地位置をわずか数ミリ後ろに下げ、足が所定の位置で着地できるように調整をほどこした。
ご本人はその変化を認識できないでいたほどわずかな調整だが、また長い時間歩いて戴いてその変化を認識していただけるはずである。


靴内のわずかな凹凸が歩行時の足の動きを受け入れ且つ固定する。つまり、着地、固定、推進と足は歩行の状態で変化する。
蹴り出すには親指側に力が加わるためにショパール関節から前がねじれ楔状骨下がさがり、親指で強く蹴り出す事が可能になる。その際小指側は数ミリ浮き上がる事になるためにかかとはわずかだが外側に移動する。
このメカニズムが靴内で起こるわけであるから足のサイズに合わせたオーダーパンプスはその各人の動きの大きさに寄って調整する必要が生じる。 
足が柔らかな場合、親指に力が入らず外側の3趾で蹴りだすことになり踵は内側に動き、かかとが脱げやすくなる、この場合親指の蹴り出しを強くするパットの挿入が必要となる。

これらを歩行から読み取り適切な処置を施す技術と経験、知識が不可欠、ゆえにオーダーパンプスは難しく、それらの知識がない作り手はお客からの信頼を勝ち得る事は難しく、リピート率は低下し、生業として成り立たない状況に陥る。

どこそこで作った靴だが、と言って調整依頼を受ける事が少なくない、履いているうちに良くなると言う具にも着かない言い訳でやり過ごす業者もいるようである。
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