靴の自作工房hiro - 職人の独り言

工房のオーナー講師斎藤のひとりごとです。思いつくまま、木型についての考察や日々の発見、感じたことなどを時々更新しています。

マスターコース

IND本科

自作工房で営む本科、つまり靴作りを生業としたい方を対象とした養成科で培う技術はオーダー靴製作並びに靴作り教室運営、靴の調整及び修理である。製作、調整する靴の主軸はパンプス。基礎、マスターコース10~14ヶ月はひたすらパンプス作りに明け暮れる。
この期間に製作するパンプスはおよそ20足を超えるであろう。作る度ごとに足入れ、歩行を見て不具合をみてその原因を見極め、再度修正を施して試着、この繰り返しがおこなわれる。
歩きをみて不具合とその原因を見極めるのは様々な試着を経験する以外学ぶ方法はない。オーダー靴作りに携わるには不可欠な要素である、と同時に履けない靴を履ける様に調整する技術も一緒に学ぶことになる、生徒たちの試着には必ず参加し、問題の原因が見いだせない場合、その不具合の箇所、それを是正する処置を生徒たちの前で行い、その見極め方、修正方法を見せる、他の生徒が行う試着には、出席している殆んどの本科生が参加、その成り行きを見つめ、学習する。
この調整技術は将来工房を立ち上げた際に必ず役立つと信じて疑わない、女性の多くは履けない靴を数多くしまいこんでいる、それらの靴を調整することでお客の信頼を得、将来のオーダー靴のお客予備軍となる確立は高い、オーダー靴工房は敷居が高い、故になかなか訪れる客も少ないが調整ができるのであれば、またそれが履ける様になるのであれば来店してくれるお客は増えてくるはずである。 修理は履かなければ生じないが、調整は殆んど履かれてない、履けないのでしまい込む靴が対象となる、修理とは次元の違う内容である。
その後のシニアコースでは短靴、ブーツ、サンダル、ローファーの木型、型紙、製甲、底付けを学ぶが、基本はパンプスにある、そこで培った足に合わせる技術と知識はすべての靴に当てはまる、工房では卒業した生徒たちも多数通っている、工房を自身の工房と位置づけ、営業活動、製作活動を行っている、工房には1200足を超える木型があり、機械が自由に使え時間の制限がない上に問題を相談できる齊藤や酒井が控えている環境は離れがたいであろう、そこに払う金額が月額¥16,200、本科卒業生だけに与えられた特権である。

トレース画上に木型を置く初期位置の選択

本科マスターコースで学習する内容が年々進化している。

木型を選択する際の限定が広がり、トレース画と合わせる際の初期位置設定が今までは内ポールだけであったものが今は外ポールを初期位置として木型を置く事が少なくない。

外のポールに合わせると当然ながら内ポール位置や踏まず距離の修正も必要になるが踵の形状修正が可能になる、踵骨が上向きの場合踵の設置部に脂肪が多く安定しづらい為に底面の一部分を絞り、踵を安定化させる、通常の木型の最後部は底面からおよそ20mmの位置なのだが、この膨らみ位置を5mm程下げ、その位置から底面にかけてのカーブを強くすることで踵をロックする。
外ポールで初期位置を設定することのもう一つの利点は外ポール直後に余分な空間ができるのを防ぐことが可能となる、ただし内ポールはかなり後ろに下げる事が必要となるが、修正としては外ポールの位置を前にずらすより容易に行える。
外ポールにあわせて木型をおくと踵を伸ばす必要が生じる、踵の形状を作る上では良いのだが伸ばす方向を間違えないよう考慮する必要がある。

木型修正

マスターコースで学ぶ木型修正、本科生どうし、採寸、フットプリント採取の情報で木型を選択し、トレーズ画に合わせてロウ盛、製甲し、底付けして履き試し、検証し、不適、不具合の原因を追求し、再度木型調整、また製甲から始め、履き試しが繰り返される。


ここで培うものは木型修正のみにとどまらない、出来上がった靴の完成度の向上。

ひとつひとつの作業の積み重ねが質を向上させる、マスターコースで学ぶ6~8ヶ月感で少なくとも10足は作る。この繰り返しが靴作りには必要、パンプス作りで製作基礎を培っている。
もう一つ学ばなければならないもの、それは原因究明、不適、不備の原因究明である。

これができなければ2回目は無いも同じ、マスターコース、シニアコースの生徒たちが一緒になって原因究明をする。 結論が出るとその原因と修正方法を報告にくる、その結論が正しければ合格となり、次に進が、その原因報告が的を得てなければ正しい原因を伝え、それを立証する為にパットを入れたり、靴を切り裂いたり、くりぬいたりして証明し理解を促す。
不適、不備は木型の修正不良が原因とばかりは言えない、ヒールの取り付け不良、ヒールの高さ調整不良、釣り込み不良、中底加工不良など製作過程で行った確認不備が履き試しに如実に現れるその怖さを知っておくことも今後につながる勉強である。

新しい年を迎えて

2015年が始まった、昨年は年初から工房の引越しから始まり1階の店舗のオープン等、激変の年、忙しかったが充実した日々でもあった、1階をマネージする佐野、三浦両氏とのコラボレーションも上場の滑り出しを見せ、
新しいチャレンジであるコンフォートシューズのセミオーダー靴の販売展開も軌道に乗りつつある。
単に靴の販売に留まらず、お客の抱える足のトラブルを理学療法を加えた施術を施し、適切なアドヴァイスを提供することで、徐々に信頼を得、新しい販売手法を確立している。
靴を制作する基本となる木型の設計において両氏の理学療法の観点からのアドヴァイスや提案はお客のニーズを捉え、他に類を見ない靴となり、お客の信頼を得る源になっている。

教育の面に於いても今年から学ぶ内容を活字にした教材を用意。その教材を基にした実習展開を開始している、教材はマスターコース~シニアコースでの学習に活用される。講師の説明を受け、その説明を教材で確認し、実習で身につける事で確かな技術、知識が養われると確信する。
現在はシニアコースで学ぶパッティング手法の教材作りが始まっており、木型から始まるオーダー靴作りから修理、調整の技術を学ぶ数少ない養成機関として2015年より発足する。
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木型修正

マスターコースで行なっている生徒同士の試着はほぼ毎日誰かが行なっている。
採寸したトレース画とフットプリントを頼りに履き手の生徒の足に合わせて木型を修正し、靴を作り、試着、これをを繰り返して行う。
この実践学習で学ぶことは多い。製靴を繰り返すことで基礎で学んだ型紙、製甲、底付けの完成度を高め、トレース画から足の特徴を読み取り、正しい木型を選択し、正しく木型をトレース画に置き、そこから見える不足を築盛し、中底を修正した中底に密着させ、釣り込む、本底の加工、コバ処理の精度と完成度を高め、接着、ヒールの高さ調整、靴の安定化などどれも繰り返し行うことで習得できるものばかりである。
木型の選択と言っても決まった形の木型のサイズを選択するだけではない。
まずヒールの高さは履き手の希望で1~8cmまで1cm刻み、次にトレース画から見える足の形態を考慮し、その足の特徴に見合った木型の種類を選択しなければならない。ちなみに4cmヒールの木型は3種類、6cmヒールは3種類、8cmヒールは2種類、加えて1cmヒールは3種類、3cmは3種類、5cmは2種類とパンプスの木型だけで16種類もある。
これらの木型はそれぞれが足の特徴に合わせて設計されたものであり、つま先の形の違いで分別されているのではない。つま先の形はロウ修正によって如何様にも変化させる事ができる。
パンプスのデザインはつまるところトップラインの位置。そのラインを浅くする為にはそれに合った木型を選択し、且つ浅くするための修正も必要となる。
これらの木型の選択をするにあたり、その木型がもつ特徴を理解する必要があり、それゆえに木型の構成、各部位がもつ役目等を理解することで木型そのものの理解を深め得る事が可能となる。
せっかく正しい木型を選択出来たとしても、トレース画に正しく置く事が出来てなければその後行う木型修正は間違った修正となってしまう。
昨日は試着した足の向きが内側に寄っており、トウ先が外に向いている様に見えた。これの原因は木型がトレース画に正しく置かれていないゆえに生じたもの、つまり木型を内側に寄せすぎた為に外側への肉つけが多すぎ、外側へのに肉つけが少なすぎたために生じている。
最後に、試着した際に底に生じている問題を認識し、どこにその原因があるかを見極める事が必要、この見極めが最も難しく、最も重要なのである。
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tel:03-6231-1871
東京都中央区日本橋横山町5-18

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