0609_interview_title0609_01_w2800609_02_w280
現在、Mさんは本科マスターコース3ヶ月目。  ※前回の記事
今は足に合わせて作るための試着靴を勉強中です。


Q.靴を作るきっかけは何ですか。

A.もともと靴が好きで、靴を作るような仕事がしたいと思っていました。それで、最初は家の近くで、オーダーメード靴のお店があったので、そこでアルバイトを始めました。見習いのような事ができたらいいなと思ったんです。
だけど、そこで働かせてもらううちに、自分のやりたいのはここで扱っている紳士靴や紐靴ではなくて、女性用なんだとか、作り方をきちんと学ぶためには、アルバイトの経験じゃ足りないんだとか、いろいろ分ってきました。

Q.それで工房へ?

A.そうですね。インターネットで女性用の靴作りをちゃんと教えていそうなところを調べたりしました。それで工房へ見学に来て、斉藤先生に自分の希望を伝え、いろいろ話をお聞きしました。
そ の時点では台東分校も検討していたので、それも話したところ、靴作りといっても教えているところによって専門が違うこと、対象がオーダー靴なのか、既成靴 なのか、一人で全工程作るのを目的としているのか、分業を前提としているのか等も違うので、そこら辺もよく考えて選んだほうがいいよ、等、アドバイスもい ただきました。

Q.工房へ来られたときは試着靴は履いてみましたか。

A.い いえ、その時は履く機会がありませんでした。でも、10センチヒールくらいのパンプスを見学に履いて行ったのですが、それを見た斉藤先生が、もう少しこの 靴が足に合うようにと手にとって調節してくださったんです。市販の10センチヒールなので、前に滑りやすいとか、かかとが抜けやすいのは多少こんなものか と思って気にすることもなく履いていたのですが、先生に調節してもらったら、少しのことなのに、調節の前と後ではぜんぜん履き心地が変わってしまって、こ れにはびっくりしました。
その後、帰って考えてみて、工房の本科を始める前に、ここで何足か作ってみたいと趣味コースに入ることにしました

Q.趣味コースだと、自分の足に合う靴作りが体験できますね。

A.そう、そこで自分の足に合わせて何足か作りながら、なるべく早く、作り方全体をマスターしたいと、できるだけ講師の方に手伝ってもらわないで自分で手順も覚えていくようにしました。ノートに細かく書いたりして。

そして今はもう、本科のマスターコースにいらっしゃるんですね。

そうです。今はここを選んで本当に良かったと思っています。ここでしか学べない事が沢山あると思います。
0609_03_w2800609_04_w280
Q.今はどんなことをされていますか。

A.本科の生徒どうしで試着靴を作っています。一番最初にマスターコースで試着靴を作るときは、同じ人の同じほうの足で、斉藤先生と自分とそれぞれ試着靴を作り その出来を比較しました。履いてみてもらって、その様子を先生とチェックしていきます。先生のと自分ののどこがどう違うのか、何が足りないのか、どうしてこうなったのか、調べ、考え、次からはその人の足に合うものができるまで何度も試着靴を作り直ししていきます。
こうして毎回、その人の足に合うOKをもらうまで作りなおしたりする作業を、今のところ3ヶ月で16足くらい(片足しか作っていないケースも何人かあります。)作っています。
何度も作っていくうちに、トレースで足の特徴をとらえる事、それを木型に反映させること、その木型がきちんとできても、それを基にした靴作りが正確にできなければ木型をきちんと反映させたものにはならない事など、、、、やればやるほど、いろんな事が分ってきました。
0609_05_w2800609_06_w280
頭 では分っていても、靴の方向と足の方向を合わせることの難しさとか、その人の歩き癖をどう靴作りに盛り込むか、など、なかなか1回で試着靴が合う事はなく て、1人の人について2~3回は作りながら、その精度を上げていくのですが、今はまだまだ、ゴールが見えない感じですね。
斉藤先生は、「足にぴっ たりな靴が富士山の頂上だとしたら、自分もまだ完成度は100%ではなくて、富士山の八合目くらいかな。」と言いますが、それなら私はまだ富士山の登山準 備中、といった感じだと思います。でもいつか必ず、お客さんに「足にぴったりで嬉しい!」と喜んでもらえる靴が作れるようになりたいですね。それが今の目 標です。

Mさん、沢山お話きかせて頂いて、ありがとうございます!