あけましておめでとうございます。今年もEarth Colorをよろしくお願いいたします。

新年の抱負は、ケニアlove!と胸を張って言える一年にすること。まだまだ西アフリカ(特に仏語圏)loveを引きずっていて、西に比べてケニアは奥ゆかしさとあやしさと愛想が足りないと思う今日この頃ですが、まだまだ私がケニアにどっぷりつかっていない証拠なのだと思います。がんばってどっぷりつかります。


さて、ケニア協力隊市場調査団の活動報告です。先日、僕の大学院の同級生で、日本でソーシャルマーケティングの会社を経営しているJ君がケニアにきて、隊員の任地訪問・隊員向けのマーケティング講座を行ってくれました。J君は、昨年セネガル隊の応援にもきてくれており、貴重なマーケティングの知見をシェアしてくれ、ありがたい限りです。

初日は、ケニア中部の農村で活動している隊員と、小中学校で理数科教師をしている隊員の任地訪問。

農村では、農家の団体(農協みたいなもの)に会い、彼らが進めている灌漑プロジェクトの話を聞きました。この地域は降水量が少なく、灌漑を入れることで、農地の生産性が飛躍的に向上したり、野菜の値段が高いタイミングに合わせて生産できるなど、灌漑の効果は抜群です。もちろん、問題は導入と運営の費用で、最初の灌漑設備はJICAの支援でできたものの、それをより多くの農家が裨益するように、広げていくのが課題、とのこと。この団体のメンバーになると登録料と灌漑施設利用費を払い、それを元手に灌漑設備を広げていく、という仕組み。課題はあるものの、ミーティングが時間通り始まったり、こちらの質問にピンポイントで答えてくれたり、レベルの高い団体でした。協力隊員のサポートがしっかりワークしている素晴らしい例だと思いました。英語で会話できたのもあるけれど、ケニアの農村部でも農民(少なくても団体の代表者レベル)はしっかり教育を受けている感じで、ケニアという国の底力を感じた気がします。

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そこから、理数科教師の任地へ。数学の授業を見学しました。中学生が、1/4x – 2 = 5、みたいな一次方程式を解く、という内容で、生徒たちも外人たちがたくさん来て緊張していたのかもしれませんが、すごい規律のある授業で、先生の質問にもたくさん手があがり、感銘を受けました。少なくとも、僕が教えていたセネガル空手道場の子供たちよりは、よほど生徒たちのdisciplineがしっかりしていました。。。校長先生ともお話ししましたが、教育者らしいしっかりした方でした。

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授業のあと、生徒の一人の家に遊びに行きました。とうもろこし畑をかき分けて坂を上っていたところにある小さな家。こんな普通の家の子供が、しっかり勉強していて、一次方程式をきちんと解けるのは、すごいことだと思います。

この教育基盤の強さが、サハラ以南アフリカの中で相対的に強い成長を遂げているケニアの骨格になっているのでしょう。

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夜は、隊員たちがJ君をかこんで、マーケティング講座。「行動変化が起こりにくい環境では、難しい環境でもなぜか行動変化を起こしている例外的な優等生(ポジティブ・ディービエンス – よい意味での「外れ値」)に着目、というのがテーマ。

こういった「変化を起こしている個人に着目」というのは、調査団の合言葉ですが、J君の話をもとに、あえてもう一度整理してみます。

マーケターは、「なぜウチの商品を買ってくれないのか。。。」と朝から晩まで悩んで、買わない人の買わない理由を探りたくなるのが自然な心の動き。

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もちろん、ハッキリと買わない理由がある場合は、それを取り除けばいい。でも、難しいのは積極的に買う理由がないから買わない場合。例えば、街頭調査で、「自動販売機でジャスミン茶を買ってもらえる理由を調べています」と言われて、インタビューを受け、「以下の中から、あなたがジャスミン茶を買わない理由を教えてください - |傭覆高いから、▲僖奪院璽犬ださいから、そもそもあまり自販機にジャスミン茶がおいていないから」という質問をされたとします。でも、なんとなく買う理由がないのだから、こうやって聞かれても困りますよね。なので、「うーん、じゃあ、かな」みたいに適当に回答してしまうのです。で、の回答がたくさん集まったジャスミン茶メーカーは、じゃあ、流通業者にもっとマージンを出して、たくさん流通させてもらおう、という今一つ解決につながらない手を打ってしまうかもしれない。これじゃ、調査をやる意味がないでしょう。それよりは、大半の人が買わない中、それでもジャスミン茶を愛飲している人に話を聞いたほうが、ヒントが出るかもしれない。


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実際に、この「ポジティブ・ディービエンス」の考え方を使って、ヒットを出した漂白剤入り洗剤の話や、がん検診受診率向上プロジェクトの話をしていただきました。

J君いわく、「隊員のみんなが起こそうとしている変化は、今まで村になかったことで目新しく、なかなか村人に受け入れられない。保健隊員が村の女性たちに妊婦検診を受けてほしくて、『なんで健康のためなのにきてくれないのー!』とがんばって説得しても、普通はなかなか動いてくれない。だからこそ、その中でも妊婦健診を受けている人に着目して、なぜ彼女たちが受けているかの理由を探ったほうがいい。また、村全体をいきなり動かすのは無理。でも、最初の10%の村人を動かすことはできる、そうやって先駆者が出ることで、残りの人々も動く」

また、「ポジティブ・ディービエンス」をもう少し学問的に説明した図も面白かった。

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国際機関などは、無関心期の人たちを関心期に移そう、ということに力を入れている(啓発キャンペーンみたいな)。でも、本当に動かさなきゃいけないのは、準備期の人を実行期に移すこと。ただ、準備期の人をidentifyするのは、大変。なぜなら、彼らが無関心期や関心期の人たちに埋もれてしまっているから。それよりは、実行期の人に話して、なぜ彼らが最後の壁を乗り越えたかを理解したほうが、作戦が立ちやすい。

いい講義でした。ケニアの協力隊の人たち全員に聞いてほしかったくらいです。

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隊員任地訪問のあとは、アンボセリへ。朝日に映えるキリマンジャロ、最高でした。

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