コンゴの農場案件のため、コンゴ南部のルブンバシを再訪してきました。今回の主なゴールは、環境専門家と一緒に、プロジェクトの環境・社会面でのインパクト評価をすること(環境デューディリジェンス)。アフリカでの大規模農場案件は、公正・公平な手続きを経て現地の住民を巻き込んで土地を取得しない限り、NGOなどから「land grab」(貧しい人たちからの土地の収奪)と批判されます。そういった住民との関係でリスクがないか、あるとしたら、どのようにマネージすべきなのかを考える、というのが今回のミッション。
何度コンゴにいっても、感銘を受けるのが空港のカオスな様子。今回も、死んだ魚の目をしたようなおばちゃんが、パスポートコントロールにいて、遅々として作業進まず。「職業は?」と聞かれて「バンク・モンジャール(世銀だよ)」と言った瞬間、おばちゃんは「あんたはコンゴにどかっとお金を落としてくれるのね?」と聞き、「もちろんだよ、ママ(コンゴでは女性をママ、男性をパパと呼ぶ)。ドカッと落とすから、まかせておいて」と言うと、今までの死んだ魚みたいな目がランランと輝き、パスポートに晴れてスタンプが押されたのでした。
押しあいへしあいして、荷物受取場の喧騒を抜け、空港ビルを出ようとすると、官憲に「そこの中国人、荷物をあけよ」と袖をつかまれる。ここも、フランス語とスワヒリ語を混ぜて「パパや、よく聞きたまえ、日本はコンゴの大いなる友人なのである。その証拠に僕のスーツケースにはコンゴの偉大なるビール、テンボとシンバとプリムスのステッカーが貼ってあるであろう」とわけのわからない理屈で逃れる。こういうノリで許してもらえるあたり、セネガルと似ています。ケニアのような英語圏の国ではこうはいかない気がします。
<ルブンバシの街。プリムス・ビールの模型が迎えてくれます>

晴れて空港を抜け出して、農場へ。
ちょうど雨期に入ってトウモロコシがぐんぐん伸びています。

土地取得のプロセスで何か問題がなかったかの地元住民へのインタビューも興味深いものでした。
まずは、住民を代表するべく農場近隣の10個の村を纏めるチーフ(部族長)にご挨拶。部族長の方の家に伺うと、自動車や発電機などもあって、豊かそうです。円形の藁ぶきの集会場があり、そこで部族長を待ちます。5分ほどして部族長が、コールテンのジャケット、ケニアのカンガ布のような現地布のスカート、といういでたちで現れ、我々は慣習に従いうやうやしく両手で握手します。アフリカ5年目で、はじめて部族長と名のつく人に会うわけで、なかなか緊張しました。時間を頂いたお礼として、コカ・コーラ20缶を差し入れます。
ミーティングでの部族長のコメントはリーズナブルなものでした。
「御社の土地取得に関しては、私の先代の族長と公正に交渉されたうえで決まっており、ルールにのっとっている。そして、御社が農業ビジネスですぐにリターンが出ないことはわかっている。だから我々としても地域貢献のために学校を作れ、病院を作れ、などと過大な要求をするつもりはなく、村人のなかで雇用を生み出し、御社の農場と共に地域も成長していきたいと思っている」
大企業が地域に入ってくると、あたかも企業がATMのキャッシュマシーンかのように、無茶な要求をするケースもありますが、こんなまともなコメントで一安心しました。
土地取得の際、もめごとはありましたか?と聞くと、「ひとり無茶な村人がいて、0.03ヘクタールの小さい畑の代償に、ミニバス(ケニアでいうマタツ)を4台よこせと会社に要求して、裁判に持ち込んだ者がいて、当然裁判では要求が認められず、企業側の勝訴に終わった」とのこと。これを機に儲かるバスビジネスを始めようとしたその人の気持ちはよくわかりますが、アフリカの農場案件では、あるあるですね。
翌日は、地元の小学校に、10村の村長、地元のNGOの代表などを集めて、ミーティング。部族長がおっしゃったような感じで、特段の不満もなさそうで安心しました。ひとつ興味深かった提案は、企業側でラジオチャンネルを作って、地元住民向けに、農業のプロとして農業情報やアドバイスを放送してほしい、というもの。確かに日本の僕の地元でも、よく町内放送で、「今年は霜に注意してください」とか、「○○の品種のおコメは、そろそろ植え時です」みたいな情報が流れていて、こういうの、確かにコンゴであればいいなあと思います。

出張後半は、コンゴ南部の主食であるトウモロコシ粉の市場調査。マーケットに食い込んでじっくり行うことができました。

そして、今回の出張のハイライトは、コンゴのこの州の州知事様とのミーティング。当該プロジェクトが州にとって戦略的重要性を持つ、ということから、お時間を頂けました。この知事様、アフリカ業界では大変有名な方で、もともと輸入業者から身を立て、就任以降鉱物資源の輸出量を100倍にし、腐敗をぶったぎって税収を何十倍にもした辣腕の持ち主です。自前のサッカーチームも持っていて民衆にも大人気。今まで、失礼ながらアフリカの政治家でろくな方にお会いしたことがなかったのですが、この方のお話には心から感動しました。コンゴの希望です。ビバ、コンゴ!これからもコンゴに食い込んでいきたいと思います。

コンゴ、行けば行くほど、奥深い国です。
何度コンゴにいっても、感銘を受けるのが空港のカオスな様子。今回も、死んだ魚の目をしたようなおばちゃんが、パスポートコントロールにいて、遅々として作業進まず。「職業は?」と聞かれて「バンク・モンジャール(世銀だよ)」と言った瞬間、おばちゃんは「あんたはコンゴにどかっとお金を落としてくれるのね?」と聞き、「もちろんだよ、ママ(コンゴでは女性をママ、男性をパパと呼ぶ)。ドカッと落とすから、まかせておいて」と言うと、今までの死んだ魚みたいな目がランランと輝き、パスポートに晴れてスタンプが押されたのでした。
押しあいへしあいして、荷物受取場の喧騒を抜け、空港ビルを出ようとすると、官憲に「そこの中国人、荷物をあけよ」と袖をつかまれる。ここも、フランス語とスワヒリ語を混ぜて「パパや、よく聞きたまえ、日本はコンゴの大いなる友人なのである。その証拠に僕のスーツケースにはコンゴの偉大なるビール、テンボとシンバとプリムスのステッカーが貼ってあるであろう」とわけのわからない理屈で逃れる。こういうノリで許してもらえるあたり、セネガルと似ています。ケニアのような英語圏の国ではこうはいかない気がします。
<ルブンバシの街。プリムス・ビールの模型が迎えてくれます>

晴れて空港を抜け出して、農場へ。
ちょうど雨期に入ってトウモロコシがぐんぐん伸びています。

土地取得のプロセスで何か問題がなかったかの地元住民へのインタビューも興味深いものでした。
まずは、住民を代表するべく農場近隣の10個の村を纏めるチーフ(部族長)にご挨拶。部族長の方の家に伺うと、自動車や発電機などもあって、豊かそうです。円形の藁ぶきの集会場があり、そこで部族長を待ちます。5分ほどして部族長が、コールテンのジャケット、ケニアのカンガ布のような現地布のスカート、といういでたちで現れ、我々は慣習に従いうやうやしく両手で握手します。アフリカ5年目で、はじめて部族長と名のつく人に会うわけで、なかなか緊張しました。時間を頂いたお礼として、コカ・コーラ20缶を差し入れます。
ミーティングでの部族長のコメントはリーズナブルなものでした。
「御社の土地取得に関しては、私の先代の族長と公正に交渉されたうえで決まっており、ルールにのっとっている。そして、御社が農業ビジネスですぐにリターンが出ないことはわかっている。だから我々としても地域貢献のために学校を作れ、病院を作れ、などと過大な要求をするつもりはなく、村人のなかで雇用を生み出し、御社の農場と共に地域も成長していきたいと思っている」
大企業が地域に入ってくると、あたかも企業がATMのキャッシュマシーンかのように、無茶な要求をするケースもありますが、こんなまともなコメントで一安心しました。
土地取得の際、もめごとはありましたか?と聞くと、「ひとり無茶な村人がいて、0.03ヘクタールの小さい畑の代償に、ミニバス(ケニアでいうマタツ)を4台よこせと会社に要求して、裁判に持ち込んだ者がいて、当然裁判では要求が認められず、企業側の勝訴に終わった」とのこと。これを機に儲かるバスビジネスを始めようとしたその人の気持ちはよくわかりますが、アフリカの農場案件では、あるあるですね。
翌日は、地元の小学校に、10村の村長、地元のNGOの代表などを集めて、ミーティング。部族長がおっしゃったような感じで、特段の不満もなさそうで安心しました。ひとつ興味深かった提案は、企業側でラジオチャンネルを作って、地元住民向けに、農業のプロとして農業情報やアドバイスを放送してほしい、というもの。確かに日本の僕の地元でも、よく町内放送で、「今年は霜に注意してください」とか、「○○の品種のおコメは、そろそろ植え時です」みたいな情報が流れていて、こういうの、確かにコンゴであればいいなあと思います。

出張後半は、コンゴ南部の主食であるトウモロコシ粉の市場調査。マーケットに食い込んでじっくり行うことができました。


そして、今回の出張のハイライトは、コンゴのこの州の州知事様とのミーティング。当該プロジェクトが州にとって戦略的重要性を持つ、ということから、お時間を頂けました。この知事様、アフリカ業界では大変有名な方で、もともと輸入業者から身を立て、就任以降鉱物資源の輸出量を100倍にし、腐敗をぶったぎって税収を何十倍にもした辣腕の持ち主です。自前のサッカーチームも持っていて民衆にも大人気。今まで、失礼ながらアフリカの政治家でろくな方にお会いしたことがなかったのですが、この方のお話には心から感動しました。コンゴの希望です。ビバ、コンゴ!これからもコンゴに食い込んでいきたいと思います。

コンゴ、行けば行くほど、奥深い国です。