捕魚祭

魚を取る儀式はマラリアラジ(malalialaji)という。これは部落全体で参加する儀式である。通常葬礼の最後もこの儀式を行い、葬礼の終了を意味する。結婚で行うこともでき、やはり婚礼の終了を意味している。悲しみや喜びを洗い流し、全てが通常生活に戻ることを意味している。行われていた儀礼にピリオドを打つ意味があるのである。

 捕魚祭の時は、頭目が祈祷を行ない、男女ともに水に入る。しかし主として参加するのは男である。女は水に入って魚を取るが男よりたくさん取ってはいけない。終了後はその場で調理するが、調理の前に三柱の神に祈る。第一の神はマラダオ(maladaw)、第二の神は川の神、第三の神は水鬼である。神々に我々の豊作を祈る。神に祈りを捧げた後、それぞれ分かれて調理を開始する。マラダオへの供物を調理し、マラダオを祀る杯を用いて、祭祀者と頭目がそれを食べる。その他の物は部落の人々が一緒に調理し、その場で食べ終わる。家へ持ち帰ってはいけない。唯一持ち帰ってよいのは婦女が自分で捕まえた魚である。男が捕まえた物は必ずその場で食べ終らなければならない。神々を拝した後の食べ物は、頭目と部落の数人の年長者たちの指示の下、皆で食べる。しかし現在は池に行って魚を捕まえるだけで、神々への祭祀を行うことはない。

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祭、とは言っていますが、祭祀中の一つの儀礼の名称のようですね。マラリアラジ。

部落全体で参加、とのことですが、葬礼結婚式といった個人の人生儀礼において行われるもののようです。個人の人生儀礼に部落全体で参加するというのが、既に特殊ではありますが、それぞれの部落の人口が少ないから、でしょうか?

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部落レベルの祭についてはこれから翻訳しますが、そういう部落レベルの祭では捕魚祭は行わないのでしょうか?
内容的には「魚を取ってみんなで食べる」というものですが、食べることに意義があるなら祭の「直会」という事になるでしょう。

マラダオ神については今後の資料で詳細がわかることを期待しましょう。
第三の祭祀対象「水鬼」ですが、「水死者の霊」という事だと思います。基本的には悪い霊だと思いますが、祭で神々を祀るに当たって、このような悪い霊に対しても祭祀を行うというのは良くあることです。

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「魚を食べる」というのは良いのですが、わざわざその場で捕って調理する、というというのはやはり特殊だと思います。

食べても良い魚、悪い魚、などの分類もありそうですが、どうでしょうね。