一一七 血の池
1武将が血のついた刀を洗ったと伝える池。

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「一一七 血の池」
 武将。鳥取。愛媛。

 「血の池」と呼ばれる池は各地にあります。小松DBによると「刀を洗った」という以外に「敵の首を洗った」「戦いに負けた神が隠れた」「ホトトギスが血を吐いた」など異なる由来もあります。

 基本的には「水が赤く見える池」をそう呼んでいるわけですが、「大事がある時の前触れとして赤くなる(愛知)」「雨乞いの池(長野)」などと言われるものもあるようです。

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意外ですが『名彙』に「血の池」はありません。
小松DBから引用。

・愛知県知多郡美浜町
「大御堂寺の大門東側にある小さな池は、長田父子が義朝を殺した後にその首を洗った池である。国に大事があるとき、その前触れで池の水が血のように赤くなることから、血の池といわれている。また、義朝の霊魂が氏族を守るため凶事を知らせるともいう。」

・長野県佐久市
「閼伽流山頂仙人ヶ嶽の北150メートルにある。昔、ほととぎすがこの池の端で鳴いて血を吐き、そこの水が赤く染まったので血の池になったという。」
・長野県佐久市
「閼伽流山頂仙人ヶ嶽の北150メートルにある。この池で雨乞いをすると必ず雨が降るとされ、昭和になっても一度あった。」

・茨城県久慈郡大子町
「八溝山の上野宮と下野宮の神がけんかして上野宮が負け、新田の滝の裏に入ってしまった。そこには血の池がある。」

・香川県
「讃岐の七不思議。山を越えて海へ逃げるという、安戸池の鯔(ぼら)。龍灯が海から来て点る、白鳥村の龍頭の松。善人が座ると動くという、志度の浦の動石。行えば必ず雨が降るという、由良神社の甕洗い。人が踊ると神池も踊る、苗羽村の聖社。赤黒い水を湛える、屋島の山上にある血の池。海に身を投げた糸撚りの女の魂が残るという、高松の糸撚りの浜。」

やはり「血の池」という名称でも、その伝承内容は様々で、『大系』例話とは一致しません。
「太刀 洗う」では以下の伝承がヒットしました。

・山口県大島郡周防大島町
「たちばな川は、昔この地に住んだ盗賊を村人が斬り、その血をこの川で流したので太刀洗といわれていたのが訛ったものであるという。その盗賊の墓というのが残っているが、これに触れると病気になるという俗信がある。」

「太刀を洗った」が「たちばな」に変化したとのことですが、無理があります。
と、いうか「太刀を洗った」とか「血を洗った」話は「片葉の葦」或は「片目の魚」につながる事例もありますね。

Google検索で「血洗いの池」を調べると、学習院大学構内の池が一番上にヒットします。
「高田馬場の決闘」で有名な堀部安兵衛が血刀を洗ったという伝説があります。
一度ぐらいは見に行ったことがある気もするのですが、当時はあまり興味がなかったためか記憶が定かではありません。「池があるから構内に蚊が多い」という話は聞いたような気もします。