2006年07月22日

あやし うらめし あな かなし 〔浅田次郎〕 3

あやしうらめしあなかなしあやしうらめしあなかなし
浅田 次郎

双葉社 2006-06
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≪内容≫
日本特有の神秘的で幻妖な世界で、生者と死者が邂逅するとき、静かに起こる優しい奇蹟。
此岸と彼岸を彷徨うものたちの哀しみと幸いを描く極上の奇譚集。
名手が紡ぐ、懐かしくも怖ろしい物語。
(BOOKデータベースより)

●収録作品●
「赤い絆」「虫篝(むしかがり)」「骨の来歴」「昔の男」
「客人(まろうど)」「遠別離」「お狐様の話」

どの話も怪しい、不思議な色合いに包まれた話でした。
日本固有の、神社やお寺、祝詞やお盆など、日本人の魂の中に刻み付けられている文化を背景にして起こる怪異。
また、太平洋戦争を乗り越えた人、命を失った人、彼らの語る戦場の話、戦時中の話もあります。
忘れてはならないこと、失ってはならぬものを思い起こさせる内容になっていたと思います。
終戦記念日、お盆を迎えるこれからの季節にぴったりの作品。

怖さを主張する怪談、ホラーでは決してなく、そこに描かれているのは、どこか懐かしく、それでいて哀しい情愛。
登場する人物それぞれが、精一杯生きたその人生を思うと、じんわりと胸が熱くなってきました。
とくに、良かったのは「昔の男」と「遠別離」

「昔の男」
「きょうね、昔の男と会うの」
夜勤明けに逸見さんは私にこう言った。
東京都内の歴史ある病院に勤める私・浜中は、恋人とのデート中、逸見さんが昔の男に会っている場面を偶然目撃してしまう。

誰にとっての「昔の男」なのか、その意味が本当に分かるところでは、何だか感動してしまいました。

「遠別離」
妻を残して、徴兵された矢野二等兵は、衛兵として勤務している。
営門の見張りについた矢野二等兵は、通りの向こう側に腰の曲がった老婆がぽつねんと立っているのを見かける。
花束を持ってたたずむその老婆は一体何者なのか――。

この話もラストは涙をこらえ切れませんでした。
最後は、青年と同じように敬礼をしたくなる、そんな感動を味わうことができました。

そこはかとなく怖ろしく、恨めしい。そして哀しい。
哀しいけれど、愛しく優しい。
ほんのりとあったかい気持ちになれるようなそんな短編でした。
はぁ〜っ、やっぱり浅田次郎さんの短編は良いですねぇ。

単行本
双葉社[2006.7発行]
【読了 2006.7.20】

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あ行:浅田次郎 

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1. あやし うらめし あなかなし  [ シンさんの偽哲学の小部屋 ]   2006年07月31日 02:50
サイドバーのオススメ小説で紹介してる「壬生義士伝」の著者である浅田次郎さんの作品
2. あやしうらめしあなかなし/浅田次郎  [ Crescent Moon ]   2006年09月29日 23:59
3  日本特有の神秘的で幻妖な世界で、生者と死者が邂逅するとき、静かに起こる優しい奇蹟。 此岸と彼岸を彷徨うものたちの哀しみと幸いを描く極上の奇譚集。 名手が紡ぐ、懐かしくも怖ろしい物語。(「BOOKデータベース」より)   「赤い絆」「虫篝」「骨の来歴」「昔の....
3. あやしうらめしあなかなし - 浅田次郎  [ 脳内TraP ]   2007年01月13日 13:57
浅田次郎の綴る文章はやはり上手いし読み易い。違和感なくその世界にすっと入れてしまうから心地良い。
4. 幽霊と共に歩む  [ 活字の砂漠で溺れたい ]   2007年05月07日 19:36
この世には、不思議なことが殊の外、多いのだよ、関口君!! とでも言いたげな短編集だった 苦笑 もともと浅田次郎さんは、 幽霊をとても巧く物語に要に登場させては、 涙や笑いを一つのペーソスとして描いてきた作家である。 「プリズンホテル 夏」や「鉄道員」 ...
5. あやしうらめしあなかなし<浅田次郎>−(本:2007年100冊目)−  [ デコ親父はいつも減量中 ]   2007年09月16日 11:25
あやしうらめしあなかなし 出版社: 双葉社 (2006/06) ISBN-10: 4575235539 評価:75点 生者と死者に関する、うらめしくもあなかなしな短編が7つ。相変わらずうまいのだが、今回は胸にグッとくるほどのインパクトがなかった。 泣きの浅田にしては、ちょっと甘めだ...

コメント一覧

1. Posted by yori   2006年07月23日 10:06
おはようございます!!
これは浅田さんの新作ですね!!
書店で平積みになっていたので、
気にはなっていました。
エビノートさんの記事によると、
京極堂風の趣を取り入れて、
尚かつ浅田節は損なわれていない
という感じがしますね 笑
いやあ〜 気になります 笑
2. Posted by エビノート   2006年07月23日 18:45
yoriさん
こんばんは!
最新作、図書館で見つけて即!手に取りました。
良かったですよ〜
京極堂の風の趣、そんな感じです。
と言っても、もちろん京極堂は登場しませんが、浅田さんの短編、今回も堪能しました♪
3. Posted by プリン   2006年07月24日 00:32
わたしはごく最近、浅田次郎を初めて読んで、現在ハマり中ですo(^-^)o

まだ6冊くらいしか読めていないんですが、作風が幅広い作家さんという印象です☆

この本も、今まで読んだどの本とも違う印象を受けました〜
全冊読んでも浅田次郎という作家を知り尽すことは出来ないのかもしれませんね(^o^)/
4. Posted by エビノート   2006年07月24日 17:07
プリンさん
「プリズンホテル」もうすぐ制覇ですね〜
笑いどころのある作品から、泣ける作品まで、国も時代も飛び越えて色んな作品で楽しませてくれますよね
>全冊読んでも浅田次郎という作家を知り尽すことは出来ないのかも
おおっスルドイ意見ですねぇ〜
浅田次郎さん、まだまだ色んな引き出しを隠し持ってそうです
5. Posted by シン@偽哲学者   2006年07月31日 02:53
はじめまして^^先日私もこの本読みました。
個人的には2章3章が好みです♪
TBさせてもらおうと思ったのですが
うまくいかないのでコメントだけさせてもらいます。
と、浅田さんの作品なら
「壬生義士伝」が素晴らしい作品だと思います(^-^)
ということでポチっとクリックしておきます☆
6. Posted by エビノート   2006年07月31日 16:46
シン@偽哲学者さん
こんにちは!はじめまして!
TB上手くいってます、大丈夫です。
スパムTBが多いので、いったん下書きの状態にしておく(承認制)という形をとっていまして、こちらこそご迷惑をおかけした形になってしまいすみません。
どの作品も味わい深くて、それでいてちょっと怖さも秘めていて、浅田さんらしい作品集でした。
「壬生義士伝」いいですよね〜これは、涙なしでは読めない、素晴らしい作品だと思います!
7. Posted by Ray   2006年09月30日 00:06
日本ならではの、情感溢れる怪異な話――良いですよね〜
好きな分野です^^

人外の物が関わるような不思議な話も好きですね♪
8. Posted by エビノート   2006年09月30日 00:38
Rayさん
こんばんは!
こういう話を読むと日本人でよかったなぁ〜と思いますね。
風土に根ざした怪異、不思議な話堪能しました。
9. Posted by Calroz   2007年01月14日 03:27
こんばんは!脳内TraPのCalrozです。コメントいただきましてどうもありがとうございます♪浅田次郎の作品はじんわりと心に響く物が多くて良いですよね。
この本で怖いと思ったのは「お狐様の話」が一番怖かったです(^^;)

どうぞこれから宜しくお願いします!
10. Posted by エビノート   2007年01月14日 17:43
Calrozさんへ♪
こんにちは!
TB&コメントありがとうございました。
確かに「お狐様の話」は怖かったですよね〜
冒頭の「赤い絆」とともに、これは夜、眠る前に話をしてもらうという内容でしたよね。
寝物語に語られる話ってことで、一層怖さが募ってくるのかも知れませんね。

こちらこそ、これからも、よろしくお願いします!
11. Posted by yori   2007年05月07日 19:38
やっと読みました 苦笑
良かったです。
そこはかとない怖さと同様に、
そこはかとない良さでした!!
12. Posted by エビノート   2007年05月08日 20:49
yoriさんへ♪
こんばんは!
怖さの中にも、それらに触れた人々の情が感じられる短編集でしたね。
浅田さんの最新作「月島慕情」も
早く読んでみたいなぁ〜と思ってます。

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