2006年08月05日

コールドゲーム 〔荻原浩〕 3

コールドゲーム (新潮文庫)コールドゲーム (新潮文庫)
荻原 浩

新潮社 2005-10
売り上げランキング : 125825
おすすめ平均

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

≪内容≫
高3の夏、復讐は突然はじまった。
中2時代のクラスメートが、一人また一人と襲われていく…。
犯行予告からトロ吉が浮び上がる。
4年前クラス中のイジメの標的だったトロ吉こと廣吉。
だが、転校したトロ吉の行方は誰も知らなかった。
光也たち有志は、「北中防衛隊」をつくり、トロ吉を捜しはじめるのだが―。
やるせない真実、驚愕の結末。
高3の終らない夏休みを描く青春ミステリ。
(BOOKデータベースより)

「イジメ」という重いテーマの作品だけに、読んでいて辛い部分がありました。
トロ吉に対する中学時代のイジメの数々の描写。
その後の復讐を予感させるためには仕方のないことでしょうが、衣類を脱がされ、殴られ、蹴られ、給食にはフケをかけられ、雑巾の縛り汁を入れられるなどなど、現実にはあってほしくない、小説の世界だけであって欲しいというような描写なのです。
けれど、現実にもこういうイジメの数々はあるんだろうなぁと思うとね…暗い気持ちになり、どうも読むのが辛かったです。

主人公は、甲子園の予選で敗退し、進路決定が目前に迫った高校3年生の光也。
小学校時代からの親友、亮太から中学校の同級生が犯行予告つきで次々と襲われているという話を聞く。
犯人はトロ吉なのか?
亮太らと「北中防衛隊」を作ってトロ吉を探し始めるのだが…

同級生が次々と襲われることがきっかけで、過去のイジメに向き合うことになった光也たちですが、残念ながら共感はできません。
いじめた側の論理は、どんなものであろうと許容出来ないんですよね。
いじめた側にしてみれば、軽い気持ちでやったこと、たいしたことない、もう過去の話、忘れちゃったよそんなこと!
なのかも知れないけれど、いじめられた側としては決して忘れることの出来ない体験でしょうから。
光也たちの論理もなんだか納得できずでした。
被害が出ているのに警察には行かず、自分たちで解決しようとする。
その理由が、警察に行くと必然的に自分たちの過去の行いを話さなければならないから…というものなので(他の理由もあるにはあるんですが…)
光也たちの視点からかかれる物語は、身勝手すぎるというのが私の感想。
だけど、こういう考え方も小説の中だけの話じゃないんだろうなぁと思うと、またまた暗澹たる気持ちになってしまう。

「青春ミステリ」ってことですが、読後感はスッキリした爽やかなものではありません。
登場人物に共感させない、イジメに対する嫌悪感を喚起する、それを計算して書かれた小説でしょうねぇ、きっと。
好きな作品ではないけれど、上手いなあと思います。

文庫
新潮文庫[2005.10発行]
【読了 2006.8.2】

ランキングに参加してます♪
よろしければクリックお願いします
にほんブログ村 本ブログへ
人気blogランキングへ(こちらは携帯にも対応しています)

ebinote at 23:07コメント(10)トラックバック(9) 
あ行:荻原浩 

トラックバックURL

トラックバック一覧

1. ● コールド・ゲーム 荻原浩   [ 本を読んだら・・・by ゆうき ]   2006年08月06日 01:05
コールドゲーム荻原 浩 講談社 2002-09by G-Tools 甲子園に届かなかった17歳の夏。進路に悩む光也の周りで、中学時代のクラスメートに次々と悪質な悪戯が行われるようになります。その悪戯は、中学2年生のとき、クラスでいじめの標的であったトロ吉の復讐なのではないか...
2. (書評)コールドゲーム  [ たこの感想文 ]   2006年08月06日 04:27
著者:荻原浩 高校3年の夏、甲子園の地方予選で惨敗。目標を失った光也は、幼馴染で
3. 「コールド・ゲーム」荻原浩  [ 読書感想文 と ブツブツバナシ ]   2006年08月07日 10:14
「コールド・ゲーム」荻原浩 高校3年の光也は、中学のクラスメート達が 連続して襲われている話を聞かされる。 どうやら犯人は、当時のいじめられっこで、 次々と「復讐」を実行していく。 そんな中、 光也らは「防衛隊」を結成して 「復讐」を止めようとするの...
4. 「コールドゲーム」荻原浩  [ AOCHAN-Blog ]   2006年08月07日 13:04
タイトル:コールドゲーム 著者  :荻原浩 出版社 :新潮文庫 読書期間:2006/03/28 - 2006/03/31 お勧め度:★★★ [ Amazon | bk1 | 楽天ブックス ] 高3の夏、復讐は突然はじまった。中2時代のクラスメートが、一人また一人と襲われていく…。犯行予告からトロ...
5. コールドゲーム [荻原浩]  [ + ChiekoaLibrary + ]   2006年08月07日 13:58
コールドゲーム荻原 浩 講談社 2002-09 高校三年生の夏。中学時代のクラスメイトに次々に降りかかる奇妙な事件。犯人はいじめられっこだったあの男なのか??事実を突き止めるべく動き始めた光也たちでしたが…。 この物語のテーマになっているのは「いじめ」。とても重...
6. 『コールドゲーム』 荻原浩  [ *precious memories* ]   2007年09月05日 18:12
高3の夏、復讐は突然はじまった。中2時代のクラスメートが、一人また一人と襲われていく…。犯行予告からトロ吉が浮び上がる。4年前クラス中のイジメの標的だったトロ吉こと廣吉。だが、転校したトロ吉の行方は誰も知らなかった。光也たち有志は、「北中防衛隊」をつくり、ト...
7. 『コールドゲーム』を読んでみた  [ フラグ・ソウル ]   2007年10月24日 15:27
予告していた本の感想です。 ○タイトル 『コールドゲーム (新潮文庫) 』 ○作者 荻原 浩 コールドゲーム (新潮文庫)/荻原 浩 ¥700 Amazon.co.jp ○内容   高3の夏、復讐は突然はじまった。  中2時代のクラスメートが、一人また一人...
8. コールドゲーム(荻原浩)  [ Bookworm ]   2007年10月31日 14:10
うーむ。最近、このテーマもよく読んでるような気がする。多いよなぁ・・・と、ちょっとテンション下がり気味で読みました。
9. コールドゲーム<荻原浩>−(本:2009年32冊目)−  [ デコ親父はいつも減量中 ]   2009年03月02日 23:29
コールドゲームクチコミを見る # 出版社: 講談社 (2002/09) # ISBN-10: 4062114569 評価:76点 いじめをテーマに、ミステリとホラー色も加えてうまく纏め上げた作品。 クライマックスの盛り上がりは絶品で、読んでいるこちらも背筋がゾクゾクした。 なのに、この...

コメント一覧

1. Posted by ミー   2006年08月05日 23:57
あらすじを読んだ時点でトロ吉がんばれ!って思いましたが、、襲撃を応援するのもどうかと思いつつ
いじめっこ側の視点なんですね。
読後のスッキリもないんですねー!ふへえ
2. Posted by エビノート   2006年08月06日 00:55
ミーさん、こんばんは!
どちらを応援していいのか分からないというか、どちらも応援出来ないんですよ〜
読後もスッキリしないというか、ウ〜ンと考え込んでしまって、印象に残るそんな作品でした。
3. Posted by ゆうき   2006年08月06日 01:06
そうなんですよねー。どっちも応援できない・・・。
それに、自分の学生時代をふりかえると、
誰のことも一概に責められず・・・複雑な心境でした。
TBありがとう。
4. Posted by エビノート   2006年08月06日 21:09
ゆうきさん
こんばんは!
いじめた側に共感はしづらいし、いじめられた側に同情しても復讐は応援出来ないし…で、難しかったですね。
読み終わった後複雑な心境になる、後を引く上手さのある小説でした。
5. Posted by じゅん   2006年08月07日 10:41
ひさびさです!
オレは、いじめとかが実感としてわかないので、
いじめ自体がフィクション的なんすよね。
だから、怖いホラー的な印象のほうを強く感じましたーー
荻原さん今、「明日の記憶」読んでます!
出版順に読んでやっとたどり着きました(笑)

TBしたんですが、失敗かな??
6. Posted by エビノート   2006年08月07日 21:08
じゅんさん
ホントご無沙汰してしまって、すみません〜
私は、ここまでひどくないにしてもイジメがあったので、余計にいろいろ考えてしまいました。
じゅんさんの記事を読んで時々出版順を確かめたりさせてもらってます
『明日の記憶』原作も映画もどちらも良かったですよ〜

TBはいったん下書きの状態になってすぐには反映しないように設定しています。
ご迷惑をおかけしました。
TBちゃんと届いてますよ〜
7. Posted by じゅりん   2007年09月05日 18:18
こんばんは〜♪
古い記事に失礼します^^
TBさせていただきました♪

本当に辛い物語でしたね。。
でもこういうイジメってきっと実際にもあるんでしょうね・・。
こういうのを読むと、私は自分の子を学校に行かせるのが本当に怖くなります。。(来年から小学生なのです〜)
フィクションとして割り切って読めば、とてもよくできた社会派ミステリだと思うのですけど、心中は複雑でした。
8. Posted by エビノート   2007年09月05日 20:14
じゅりんさんへ♪
こんばんは!
TBありがとうございます♪
古い記事でも大歓迎です〜(^o^)/

いじめる側といじめられる側の気持ちには大きな開きがあるんだよなぁ〜ということをこの本で改めて意識させられました。
心に受けた傷は見えないだけに、余計に深刻ですよね。
9. Posted by すずな   2007年10月31日 14:21
すっきりしない読後感でしたね。
なんだか、やるせなさだけが残ったような・・・。
”著者の計算かも”というエビノートさんの言葉に、胸のつかえがおりたような気がします。
10. Posted by エビノート   2007年10月31日 21:29
すずなさんへ♪
そうそう、やるせない読後感でしたよね。
どちら側にも100%肩入れできなくて、途中苦しくもありましたし。
こういうやるせなさは、フィクションの世界だけであってほしいです、本当に。

コメントする

名前
 
  絵文字
 
 
プロフィール

エビノート

rssなど
【ほんぶろ】にて、
特集ページを
作成していただきました♪
↓↓
エビノートの特集ページ


Subscribe with livedoor Reader
月別記事
お気に入り
いらっしゃいませ♪
メールはこちらから
アクセス解析
QRコード
QRコード
訪問者数
  • 今日:
  • 昨日:
  • 累計: