2006年11月11日

闇の底 〔薬丸岳〕 4

闇の底闇の底
薬丸 岳

講談社 2006-09-08
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おすすめ平均

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≪内容≫
少女を犠牲者とした痛ましい性犯罪事件が起きるたびに、かつて同様の罪を犯した前歴者が首なし死体となって発見される。
身勝手な欲望が産む犯行を殺人で抑止しようとする予告殺人。
狂気の劇場型犯罪が日本中を巻き込んだ―。
絶対に捕まらない―。
運命が導いた、哀しすぎる「完全犯罪」。
『天使のナイフ』の薬丸岳が描く、欲望の闇の果て。
江戸川乱歩賞受賞第一作。
(BOOKデータベースより)

第51回江戸川乱歩賞を受賞した薬丸岳さんの受賞後第1作は、性犯罪、それも子供を暴行し殺害するという犯罪をテーマにした小説でした。
前作も少年による犯罪という、深刻な社会問題をとりあげていましたが、今作も今現在、多くの人たちが憂慮している問題を取り上げた意欲作でした。
そして、読者に対して深い問いを投げ掛けている内容になっていました。

埼玉県で女児が殺害されるという事件が発生。
その事件を担当する捜査員のひとりである長瀬は、かつて自分の妹を同じように殺害された経験をしている。
長瀬は、犯人への怒り・憎悪を原動力にして捜査にあたるが、めざましい進展は見られない。
そんななか、ある公園のごみ箱の中から、一人の男の死体の一部が見つかった。
残酷な手口で殺害されたその男はかつて子供を殺害した前科を持っていた。
死体に刻まれた「S」の文字。
そして送られてきた犯行声明文。
「サンソン」と名乗る死刑執行人の正体は――?
世間が騒然とするなか、長瀬は、女児殺害事件の捜査から外れ、「サンソン」による連続殺人事件の捜査本部で捜査にあたることになる。

長瀬刑事が抱く、犯罪者への怒り・憎悪。
そして、自らを責める気持ち。
何年たっても拭い去ることのできない哀しみ。
彼自身のトラウマなどに胸が痛みました。
「サンソン」事件の捜査にあたるということは、子供に対する犯罪を犯した人間の命を守るということ。
罪を償ったとはいえ、なぜ被害者家族である自分が憎む相手を守らねばならないのか。
これが警察官の仕事だというなら、自分は警察官に向いていないのではないか。
と長瀬刑事の葛藤する姿も読んでいて複雑な思いを抱きました。
自分だったらどうするだろうか?とついつい考えてしまって。

子供に対して罪を犯したものを殺害する。
罪人を裁くという点で、「サンソン」が『DEATH NOTE』の「キラ」をちょっと思い浮かべてしまいました。
が、「サンソン」の正体、「サンソン」の意図したものが分かる最後は驚き。
そうくるか!って感じ。
イロイロ予想を立てて読んでいたものの、ことごとく外れでした。
最後の最後まで読ませる内容だったのは前作同様で、やはり力のある作家さんだなぁと思います。

単行本
講談社[2006.9発行]
【読了 2006.11.10】

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や・ら・わ行:薬丸岳 

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トラックバック一覧

1. 闇の底 薬丸岳  [ 粋な提案 ]   2006年11月13日 02:19
装幀は多田和博。カバー写真はgettyimages。「天使のナイフ」で第51回江戸川乱歩賞受賞後の第一作。 小学生の時、置いてきぼりにした妹を殺された過去を持つ刑事、長瀬一樹は女児殺害事件に取り組みます。五歳の娘を持つ刑事  !
2. 薬丸岳「闇の底」  [ 聞いてあげるよ君の話を ]   2006年11月17日 11:26
3 少女の狙った性犯罪事件が起こり警察が必死に捜査をはじめた頃  公園のゴミ箱に男の首が発見される その首は少女の性犯罪事件の前歴者のものだった そして警察やマスコミに「死刑執行人、サンソン」を名乗る犯人からの 死体処理の映像が届けられる 犯罪者を憎み次なる....
3. 「闇の底」薬丸岳  [ AOCHAN-Blog ]   2006年11月28日 22:00
タイトル:闇の底 著者  :薬丸岳 出版社 :講談社 読書期間:2006/11/16 - 2006/11/17 お勧め度:★★★★ [ Amazon | bk1 | 楽天ブックス ] 少女を犠牲者とした痛ましい性犯罪事件が起きるたびに、かつて同様の罪を犯した前歴者が首なし死体となって発見される...
4. 闇の底  [ ぼちぼち。 ]   2006年12月03日 20:47
『闇の底』薬丸岳(講談社) 少女を犠牲者とした痛ましい性犯罪事件が起きるたびに、かつて同様の罪を犯した前歴者が首なし死体となって発見される。身勝手な欲望が産む犯行を殺人で抑止しようとする予告殺人。狂気の劇場型犯罪が日本中を巻き込んだ―。絶対に捕まらな...
5. 【闇の底】 薬丸 岳 著  [ じゅずじの旦那 ]   2006年12月04日 19:22
少女性犯罪…「手紙」に引き続き、重いテーマ。 常に矛盾と背中合わせ…警察の犯罪抑止力に疑問を投げかける一冊。 いやぁ、自分の素直さを実感しました。作者の罠に、そのままはまってました (^o^)/  少女を犠牲者とした痛ましい性犯罪事件が起きるたびに、  か...
6. 闇の底  薬丸岳  [ 今更なんですがの本の話 ]   2006年12月14日 21:50
ある日、一人の少女を狙った残虐な事件が起きてしまった。かつて幼き妹を同じように殺された警察官・長瀬は、激しい怒りとともに犯人逮捕に向けて駆けずり回っていた。 時を同じくして、過去に少女を暴行、殺害した前科のある男達が殺された。小さな娘を持つ村上は複雑な....
7. (書評)闇の底  [ たこの感想文 ]   2007年01月30日 12:57
著者:薬丸岳 闇の底価格:¥ 1,575(税込)発売日:2006-09-08 小
8. 闇の底  [ 気楽に♪気ままに♪のんびりと♪ ]   2007年02月27日 19:40
************************************************************ 少女を犠牲者とした痛ましい性犯罪事件が起きるたびに かつて同様の罪を犯した前歴者が首なし死体となって 発見される。身勝手な欲望が産む犯行を殺人で 抑止しようとする予告殺人。狂気の劇場型犯罪が 日本....
9. 【薬丸岳】闇の底  [ higeruの大活字読書録 ]   2007年07月02日 00:33
3  乱歩賞受賞作『天使のナイフ』の薬丸岳の第二作である。前作では少年犯罪がテーマだったが、今回取り上げたのは少女に対する性犯罪である。 闇の底講談社 2006/9/8 第 1 刷発行  埼玉県の山中で七歳の少女の死体が発見される。そして三日後、同じ県内の公園のゴミ箱...
10. 「闇の底」薬丸岳  [ しんちゃんの買い物帳 ]   2008年06月30日 12:38
闇の底(2006/09/08)薬丸 岳商品詳細を見る 埼玉県警からの連絡を受けて、日高署の長瀬たちはすぐに現場へ向かった。山道脇の斜面の草むらに牧本??..
11. 「闇の底」  [ 月灯りの舞 ]   2009年01月04日 00:48
「闇の底」 薬丸 岳:著 講談社/2006.9.8/1500円 幼女殺害事件のたびに、性犯罪の前歴者が首なし死体となって 発見される連続殺人事件が起きる。 「死刑執行人、サンソン」を名乗る犯人の正体と真の狙いは何か!?                    ...

コメント一覧

1. Posted by やぎっちょ   2006年11月12日 01:59
はりゃ〜。一発やさんじゃなかったんですねぇ〜。(なんて失礼な・・・)
読んでみようかなぁ。うーん。最近黒いのがちょっと重いので、白いの読みたいんだよなぁ〜〜。
また今度にしようかな★
2. Posted by エビノート   2006年11月12日 19:13
やぎっちょさん
こんばんは!
デビュー作だけで消えてしまう作家も多いから、2作目を発表するだけでもすごいんでしょうけれど、薬丸岳さん2作目もなかなかでした。
一発やさんではなかったみたいで、ほんとに良かったです。
確かに、黒いのを受け付けない時期ってありますよね〜
そういう時は無理に読まなくても良いと思います。
その時々で読みたい本を読むほうが良いですよね〜
3. Posted by 藍色   2006年11月13日 02:19
エビノートさん、こんばんは!
前作の少年犯罪に続いて、こういう社会問題となっている女児誘拐殺人をテーマに、
長瀬刑事の苦悩、葛藤まで、すごく上手に描いていましたね。
期待以上で、最後まで気が抜けない、すごい力量の作家さんですよね〜。
私もすっかり騙されました。
そして、次回作がすごく楽しみです(気が早いっ、笑)。
4. Posted by エビノート   2006年11月13日 20:40
藍色さん
こんばんは!
本当に作者の力量を感じましたね〜
加害者の更正の難しさ、被害者家族の癒えない心の傷など、社会問題を巧く取り込んで、ミステリとしても十分に楽しませる内容になってましたね。
この小説が投げかけてくるものは深くて重いものだし、小説として楽しむと同時に考えさせられる内容でもありました。
次回作も期待大です!
気が早いけれど、本当に楽しみですよね♪
5. Posted by きりり   2006年11月17日 11:25
もしや〜と、かなりドキドキしながら読んでました
比較的わかり易いかな?とか思いながら、私も最後が、え〜そうきたか!と驚かされました
前回のが、あまりに組み立てすぎな感じもしたので、この本が逆に読み易い感じがしました
今後も楽しみな作家さんですね
6. Posted by エビノート   2006年11月17日 23:08
きりりさん
こんばんは!
犯人をいろいろ推理しながら読んだんですが、ことごとく予想を裏切られ、ある意味爽快でした。
またもやってくれたな〜って感じです。
前作を比較できるほど覚えてないんですが、今回の作品も上手かったですよね〜
今後が本当に楽しみです。
7. Posted by あおちゃん   2006年11月29日 00:18
こんばんは。
一発屋じゃないことを証明してくれた内容でしたね。
これで安心して追っかけることができます!
8. Posted by エビノート   2006年11月30日 19:16
あおちゃん
こんばんは!
そうですね〜ますます次回作が楽しみな作家さんです。
できるならば早く、次回作を読ませてほしいですね!
9. Posted by ちきちき   2006年12月03日 20:43
2作目もしっかりしてましたね。
私はラストにすごく衝撃を受けて、ああでも小説としてはこの終わり方しかないのかな…とかいろいろ考えてしまいました。
次回作も楽しみですね。
10. Posted by エビノート   2006年12月04日 21:02
ちきちきさん
2作目も満足の一冊になりましたね〜
実力のある作家さんなんだなぁと、今後が楽しみです。
社会問題を取り上げて、なおかつ読者を楽しませる作品でしたね。
私もラストには衝撃を受けました〜
「サンソン」が現れるのは、小説の中だけであって欲しいと思いますけど、「サンソン」を求めちゃう気持ちも分かるし…
いろいろと考えちゃいますよね。
11. Posted by juzji   2006年12月04日 23:23
言葉では「ツミビト」も平等に…とは言うけれど。

今の司法は犯罪者擁護に重きがあり、被害者側への配慮が欠けているように思う。そこがこのような「サンソン」を生み出す要因になるのではないでしょうか?

重い、一冊でした。
12. Posted by エビノート   2006年12月05日 20:45
juzjiさん
こんばんは!
「サンソン」という登場人物を通して、人が人を裁くとはどういうことなのか、
長瀬を通して、被害者の心の傷の深さとか、
いろんなことを考えさせられましたね。
13. Posted by たまねぎ   2006年12月14日 23:26
長瀬の葛藤や怒りには胸が潰れますよね。その果ての結末には言葉がありませんでした。
サムソンにしても、許されることではありませんが、愛ゆえの行動であると思うと、複雑な気持ちになります。せめてもう少し違う方向へむいていればと。
14. Posted by エビノート   2006年12月15日 21:04
たまねぎさん
こんばんは!
長瀬刑事の姿にはこちらもいろいろ考えさせられました。被害者にとっては、犯人が捕まっても、刑に服しても、癒されることのない怒りや無念があるんだと思います。
長瀬が最後にどういった気持ちであの決断をしたのか考えると、複雑ですね。
サンソンにしても同じです。
15. Posted by しんちゃん   2008年06月30日 12:38
こんにちは。
手に汗握るどきどきの作品でしたね。
読み終えたあとにタイトルを振り返ると…。うまいですね、この人。
黒いのが好きなのではまっちゃいそうです。
16. Posted by エビノート   2008年07月01日 19:53
しんちゃんへ♪
こんばんは。
最後の最後まで読ませる内容でしたよね〜。上手いなと思いました。
タイトルの意味も、確かに深いかも。どこまでも深い深い闇の中に落ちてゆく感じが上手く出てました。
黒いの好きなら、薬丸さんの他の作品もおススメです。

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