2008年01月11日

エピデミック 〔川端 裕人〕 3

エピデミックエピデミック
川端 裕人

角川書店 2007-12
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≪内容≫
わずか3000人の町で、瞬く間に広まった謎の集団感染。
疫学者ケイトは、危機に晒された町の命を救うことができるのか?
破滅の危機に直面した人間たちたちの、未曾有のドラマ。
緊迫の10日間、渾身の書き下ろし!
(角川書店・HPより)

久しぶりに川端さんの小説。

東京に程近い半島の突端にあるC県T市で、インフルエンザの重症患者が集積している。今の世の中、青壮年の重症患者など滅多に見られないというのに、総合病院に入院している患者のうち2名は青壮年だった。
たまたま、C県での仕事を終えたばかりのフィールド疫学者・島袋ケイトは、この連絡を受けて現地へ向かうことに。
インフルエンザが重症化した患者には何か共通点があるのか、カルテを見ると3人とも崎浜地区の住人であることが分かったため、保健所へ通達し、ケイト自身は崎浜に向かい現地調査を始める。

単なるインフルエンザではなさそうな症状で次々に病院に運び込まれる患者たち、そして治療の甲斐もなく亡くなってゆく患者たち。
というと、数年前に流行したSARSや鳥インフルエンザ、あるいは近年懸念されている新型インフルエンザがとうとう発生したのか…と、小説だと分かっているけれど、怖いなぁと思いながら読みました。
また、疫学者がどのような仕事をするのか…というのも全く知識がなかったので、新鮮でした。
何かしらの集団感染が生じた場合、“時間・場所・人”という条件から共通する部分を分析し、原因と感染経路を探り出すのが仕事なのだそう。
もちろんそれ以外の仕事・役割はあるのだろうけれど、門外漢の私には良く分かりません(^_^;)
でも、感染が広まらないように水際で戦っている人って、病院の医者だけじゃないんだなぁということが分かっただけでも収穫。
疫学の難しい用語などもありましたが、興味深く読めました。

印象深かったのは、人間も生態系の中にむき出しで存在しているということ。
ウイルスも生態系の一員であり、ウイルスにとって人間とは生存の場所、つまり「環境」なのだということ。
感染症というのは、ただ病気であるというだけでなく、人間はみな環境の一部であり環境そのものだということを示しているということ。
文明が発達して、自分達だけは地球の生態系とは別枠で生きていると錯覚しがちだけど、私たちも生態系の一部分なんですね。
そんなこと、普段全く意識しないでいたので、これはちょっと目からウロコが落ちた気分になりました。

ただ、主人公の島袋ケイト以外に、他のフィールド疫学者、総合病院の医師、崎浜の小児科医に保健所職員、新聞記者、動物愛護団体の職員、謎の少年、ケイトの母親と娘…と登場人物が多くって、少々混乱しました。
こういうときには、本の最初に登場人物リストを付けておいてくれると、読むとき楽ちんなんだけどな〜(自分の記憶力のなさを棚に上げてます(^_^;)

単行本
角川書店[2007.12発行]
【読了 2008.1.2】

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1. 「エピデミック」川端裕人  [ ナナメモ ]   2008年01月24日 21:04
エピデミック 川端 裕人 JUGEMテーマ:読書 東京近郊の農業と漁業の町、崎浜でインフルエンザと思われる患者が立て続けに重症化して志望した。現場に入った国立集団感染予防管理センター実地疫学隊隊員・島袋ケイトは、ただならぬ気配を感じていた。果たしてこれはイ...
2. エピデミック  [ ぼちぼち ]   2008年02月09日 19:06
JUGEMテーマ:読書 謎の感染症に、シングルマザーで疫学者のケイトが立ち向かう! わずか3000人の町で、瞬く間に広まった謎の集団感染。疫学者ケイトは、危機に晒された町の命を救うことができるのか? 破滅の危機に直面した人間たちたちの、未曾有のドラマ。緊迫の10日...
3. エピデミック(川端裕人)  [ Bookworm ]   2008年02月14日 15:08
打ち終わった記事をクリックひとつで消してしまって、どっぷり凹んでおります。あ??ぁ、自分で自分が信じられん;;;自分に向かって石でも投げたい気分ですよー(笑)ということで、「もういいや。」と投げやりになりそうな気持ちを奮い立たせて、もう一度やり直しです。。。
4. エピデミック<川端裕人>−(本:2008年26冊目)−  [ デコ親父はいつも減量中 ]   2008年02月19日 23:44
エピデミック 出版社: 角川書店 (2007/12) ISBN-10: 4048738011 評価:82点 (ネタバレあります) 会社のリスク管理部門では、最近「「パンデミック(限られた期間にある感染症が世界的に大流行すること)リスク」への対応は必要か」などという議論がなされ始めてい...
5. 「エピデミック」川端裕人  [ 図書館で本を借りよう!〜小説・物語〜 ]   2008年03月31日 08:53
「エピデミック」川端裕人(2007)☆☆☆★★ ※[913]、国内、現代、小説、疫学、感染症 ※このレビューにおける「疫学」の説明はあくまでも作品を読んだレビュアーの理解であり、もしかしたら誤った理解に基づく文章になっている可能性があります。注意願います。 好き...

コメント一覧

1. Posted by タケシ   2008年01月12日 01:55
>私たちも生態系の一部分
普段なにげなく生活していると、気付かないですね。というかやはり意識しないです…
ウイルスにしてみれば、人間以外の動物との違いは、服を着ているかどうか位ですか。
他動物との共存という概念は無く、それはまさに文明の発達の証で、しかし根本的には互いに相対的に共存している。のかな〜
(^o^;
2. Posted by すずな   2008年01月12日 09:01
こんにちは。
あら、なんだか私好みのお話のような気がしますよ(笑)
早速、探してみなきゃ。
3. Posted by エビノート   2008年01月12日 21:57
タケシさんへ♪
そうなんです。
人間も環境の一部って、言われてみれば確かにそうなんだけど、普段はまったく考えもしませんもんね〜。
かといってウイルスに感染して、病気になっちゃうのはやっぱりイヤなんですけどね(^_^;)
4. Posted by エビノート   2008年01月12日 21:59
すずなさんへ♪
こんばんは!
緊迫感のある物語でしたよ〜。
いろいろな要素が盛りだくさんで、ちょっと疲れてしまうって面はありましたけど、力作でした♪
機会があれば読んでみてくださいね〜!
5. Posted by なな   2008年01月24日 21:06
疫学って言う学問がある事すら知らなかったので、とても興味深くて、仕事に行かないで、家事もしないでずっと読んでいたいって思いました。
視点、クルクル変わってちょっとわかりづらかったですね。
6. Posted by エビノート   2008年01月24日 21:16
ななさんへ♪
私も疫学ってなに?って状態だったので、興味深かったです。感染症の被害が広がらないように、水際で仕事をしている人って医者や看護師さんだけじゃないんですよね。目からウロコでした。
視点の切り替えにはちょっと戸惑っちゃって、この人は誰だっけ?と、なっちゃいました。
気にせず読み進めても良かったんですけどね〜(^_^;)
7. Posted by ちきちき   2008年02月09日 18:50
こんばんは。
がっつりサイエンス系のお話で、読み応えがありました。
専門的なところもしっかり説明してくれてて読みやすかったです。
ウィルスパニック、本当にありそうで怖いですよね。
8. Posted by エビノート   2008年02月10日 21:32
ちきちきさんへ♪
こんばんは!
本当に読み応えありましたね〜。そして、勉強にもなりました。
ウイルスパニック、本当にありそうですよね〜。新型インフルエンザの発生の可能性は100%とか、TVで言ってるのを聞くと、ゾゾッとしてしまいます。
9. Posted by すずな   2008年02月14日 15:11
こんにちは。
読みました!
エビノートさんも書かれてる通り、登場人物が多くって混乱しましたが、ドキドキハラハラ面白かったです。
と同時に、現実でも起こりうるというリアリティありすぎなところが、すごく怖くも感じました。
10. Posted by エビノート   2008年02月16日 20:40
すずなさんへ♪
こんばんは!
ちょっと登場人物多かったです。こんがらがっちゃって(^_^;)
でも、元栓は何なのか?どうやって終息させるのか?気になって最後まで面白く読めました。
面白いと書いちゃったけど、これが現実になったらと思うと怖いですよねぇ〜。フィクションの中だけであって欲しい

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