2008年01月12日

とりつくしま 〔東 直子〕 3

とりつくしまとりつくしま
東 直子

筑摩書房 2007-05-07
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≪内容≫
あなたは何に「とりつき」ますか?
死んでしまったあなたに、とりつくしま係が問いかけます。
そして妻は夫のマグカップに、弟子は先生の扇子に、なりました。
切なくてほろ苦くて、じんわりする連作短編集
(出版社/著者からの内容紹介より)

東直子さん、初読みです♪
小説家としてだけでなく、歌人としても活躍されている方なんですね〜知らなかった。

この世に未練がある、死んだことに納得がいかない、どうしても会いたい人がいる、見ておきたいものがある……そんな方々のために、とりつくしま係は、日夜業務を果たしています。
さあ、あなたは何にとりつきますか?
ただし、生きているモノはダメですよ。
生きているモノには魂の先住民がいますからね。
とりつくことが出来るのは、モノだけなのです。

死んで生まれ変わるというのではなしに、モノにとりつく。
このルールに則ってこの世に残した未練と向き合うことになった10人の死者たち。
モノは自分の意志で動いたり、生きている人に言葉をかけたり、何か働きかけたりすることも出来ない。
ただ、モノを通じて世界を眺めることが出来るだけ。
しかも、これぞというモノにとりついても、たまにしか用いられない可能性だってあるし、そもそも生きている人が大切に扱ってくれるとも限らない。
かなり制約のある設定で、何とも不自由だなぁ〜もどかしいなぁ〜という気持ちで読みました。
で、考えてしまうのは私だったら何にとりつくかなぁ〜?ということ。
これぞというモノがなかなか思いつかないんだよねぇ…。
この人と離れたくない、ずっと見守っていたいという強い執着って今のトコないからなぁ。
未練を残さずにあっさり成仏したいという気持ちもあるしねぇ〜、難しい。
けれど、逆に身の回りにあるモノに誰かの魂がとりついているかも?と考えると、楽しいかもしれない。
(「名前」を読むと、ウムム、ちょっとヤダぞと思っちゃうんだけどさ 笑)
と同時に、身の回りにあるモノをもうちょっと大事に扱わんとなぁ〜と反省もするのだけど(^_^;)

どれも短い話で、しかも読みやすい文章なのであっという間に読めるのですが、モノにとりついてこの世に戻った人たちのいじらしさがじんわりと伝わってきました。
野球をしている息子の中学校最後の試合を見届けるために、「ロージン」にとりついて戻った母親の話、友だちだけでなくママもきっと来てくれると思って「ジャングルジム」にとりついた男の子の話、家族をマッサージして癒してやるために「マッサージ器」にとりついた父親の話など、じんとしてしまう話が好きだったなぁ〜。
死者が生者を想い、そして生者が死者を想う。
言葉でのコミュニケーションは取れないけれど、そこに想いの交流があるような感じがして泣けてしまう。
けれど、そんな泣ける話だけでなく、ツンと胸に刺さる痛みを感じる話、ユーモラスな印象の話などもあってバラエティ豊かでした。

★収録作品★
「ロージン」
「トリケラトプス」
「青いの」
「白檀」
「名前」
「ささやき」
「日記」
「マッサージ」
「くちびる」
「レンズ」
番外篇「びわの樹の下の娘」

単行本
筑摩書房[2007.5発行]
【読了 2008.1.3】

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1. 「とりつくしま」東直子  [ ナナメモ ]   2008年01月12日 21:49
とりつくしま 東 直子 死後、この世に未練を残し「とりつく」ものを探している人に声をかける「とりつくしま係」。とりつくことが出来るのは生きているモノ以外。とりつくものが決まるととりつくしま係が半透明の紙を取り出す。そして死んだ人は息を吹きかけるのだ。 ...
2. 「とりつくしま」東直子  [ しんちゃんの買い物帳 ]   2008年01月13日 12:44
とりつくしま東 直子 (2007/05/07)筑摩書房 この商品の詳細を見る この世に未練がある、死んだことに納得がいかない、どうしても会いたい人がいギ..
3. 『とりつくしま』/東直子 ◎  [ 蒼のほとりで書に溺れ。 ]   2009年06月16日 22:00
ううむ・・・。いかん・・・。 「ハートフルファンタジー」な評判の方ばかり覚えてて、「死んだ人がものにとり憑く」という根本的な設定をすっ飛ばして読み始めてしまいました。 そして・・・泣いてしまいましたよ。・・・く、くそう。ダメなんだようぅ??こういうの。 逝...

コメント一覧

1. Posted by なな   2008年01月12日 21:50
こんばんは。
出来ることならこの世に未練を残さずにいきたいものですが、自分だったら何にとりつくかな…って考えますよね。
邪険に扱われたら悲しいな。
2. Posted by エビノート   2008年01月12日 22:48
ななさんへ♪
こんばんは!
何にとりつくか・・・難しいですよね〜。
最初は本を思い浮かべたんですけど、本にとりついても、私は読めないじゃん!と却下しちゃいました(^_^;)
邪険に扱われたら、確かに悲しい。
できれば大切に扱ってもらえそうな何かにとりついてみたいですよね。
3. Posted by しんちゃん   2008年01月13日 12:49
こんにちは。
とりついたモノがあっさり捨てられたら、身も蓋もない。
それに悪口を聞かされたら成仏できないですよね。
でも「マッサージ」のような温かさもあるから
日頃の行いがすべてでしょうね。
4. Posted by エビノート   2008年01月13日 22:52
しんちゃんへ♪
こんばんは!
何にとりつくか、選択を誤ると哀しい結末をむかえちゃいそうですよね。
選ぶ時は、よくよく考えて選ばないと、ですね。
「マッサージ」のように、遺してきた家族の本音が聞けるとよいのですが、日頃の行い悪いんですよね〜反省(^_^;)
5. Posted by 水無月・R   2009年06月16日 22:07
エビノートさん、こんばんは(^^)。
私も、何にとりつくべきか思わず考えました。
だけど、何かにとりついて、知りたくなかったことを知ってしまったりもしそうな気が・・・。
私も、日ごろの行いが(-_-;)。
「青いの」なんかは、ちょっと悲しいんだけど微笑ましくて、好きでしたね〜。
「ロージン」のお母さんの消え逝くときの清々しさも、印象的でした。
6. Posted by エビノート   2009年06月25日 21:12
水無月・Rさんへ♪
こんばんは。
お返事が遅くなってしまい、すみません。
何にとりつくか、悩むところですよね〜。
知りたくない本音は聞きたくない、けど家族のその後は気になる〜と悩ましいところです。
切なくなる話もありましたが、どれも大切にしていたモノ、家族への愛情が溢れてましたね!だから余計にしんみりしてしまいました。

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