2008年05月03日

ジーン・ワルツ 〔海堂 尊〕 4

ジーン・ワルツジーン・ワルツ
海堂 尊

新潮社 2008-03
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おすすめ平均

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≪内容≫
どこまでが医療で、どこまでが人間に許される行為なのか。
強烈なキャラクターが魅せる最先端医療ミステリー!

美貌の産婦人科医・曾根崎理恵――人呼んで冷徹な魔女(クール・ウイッチ)。
人工授精のエキスパートである彼女のもとにそれぞれの事情を抱える五人の女が集まった。
神の領域を脅かす生殖医療と、人の手が及ばぬ遺伝子の悪戯がせめぎあう。
『チーム・バチスタの栄光』を越えるドラマティックな衝撃があなたを襲う!
(出版社・HPより)

海堂尊さんの新作『ジーン・ワルツ』は、最近特に問題が深刻化している産科医療をテーマにした作品でした。
舞台が東京に移っていることもあるのでしょうが、これまでの作品とのリンクは少なめ(『医学のたまご』との関連、そして主人公・曾根崎理恵の出身地が桜宮市というくらい?)でしたね。
そして、やはりテーマのせいかなぁ〜。
これまでの作品とはちょっと違って、エンタメ寄りというよりは、より真正面から現在の医療が抱える課題を訴える作品になっていたような気がします。

産婦人科の医師、曾根崎理恵が非常勤として通う閉院間直のマリアクリニック。
そこに集まった最後の5人の妊婦。
通常の妊娠、あるいは不妊治療で授かった赤ちゃん。
望んで授かった命、あるいは望まないまま授かってしまった命。
妊婦の年齢も様々で、それぞれに事情は異なるものの、理恵は5人の妊婦に真摯に向き合ってゆきます。
ところが、曾根崎理恵は認可されていない代理母出産を行っているのではないかとの情報がもたらされ、帝華大学の清川は曾根崎理恵の周辺を調査することに。

この作品を読んでいると、妊娠・出産が容易なものではないということが理解できます。
高齢出産、不妊治療というだけではなく、たとえ妊娠したとしても無事に出産するまでに流産というリスクが少なからずあること、異常出産というリスクも思ってた以上にあるんだということを知りました。
それなのに、これはニュースでも報道されていることですが、産科医不足の深刻さへの問題提起にもなっているし、何より妊娠・出産が無事に行われることってほとんど奇跡に近いことなんだなぁ〜と、いろいろと感じさせられました。
どんな状況にあっても、出産を決意する母親の姿には感動。
そして、終盤の出産シーンには圧倒されました。
母は強しだなぁ〜。

曾根崎理恵の姿を全肯定できるかというと、これまた考えさせられるところなんだけれど、何もしないままでは現状は変わらないとする姿勢はもっともです。
出産したいと考えているのに、産科医がいない、十分な環境が整っていないということで、住んでいる地域で出産出来ないってことになるのは怖ろしいことだよなぁ〜と、女である私はそう思っちゃいます。

単行本
新潮社[2008.3発行]
【読了 2008.5.2】

★TBいただきました★
ジーン・ワルツ(気楽に♪気ままに♪のんびりと♪ ゆきさん)

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1. ジーン・ワルツ(海堂尊)  [ Bookworm ]   2008年05月04日 16:17
不妊治療、代理母、少子化問題。10代の妊娠に中絶。医師、助産師不足。そして、産科医に対する医療訴訟の多さ、などなど。今の日本の医療で、もっと優先して解決されるべきでは、と個人的に思っている問題を扱った作品でした。
2. 【ジーン・ワルツ】 海堂尊 著  [ じゅずじの旦那 ]   2008年05月10日 21:28
ふ〜ん、そういうことだったのねぇ、「医学のたまご」は… 生命の誕生を支配するのは  神か、それとも医者なのか? どこまでが医療で、どこまでが人間に許される行為なのか。強烈なキャラクターが魅せる最先端医療ミステリー! 美貌の産婦人科医・曾根崎理恵―...
3. 【海堂尊】ジーン・ワルツ  [ higeruの大活字読書録 ]   2008年05月11日 15:34
4  『流星の絆』と同時に借りて、さてどっちを先に読もうかとしばし悩んだのだが、こっちを先に読むことにした。「好きなものは後回し派」なんだよね。 新潮社 2008/3/20 発行  主人公は美貌の産婦人科医・曾根崎理恵。人工授精のエキスパートである彼女のもとにそれ....
4. 「ジーン・ワルツ」海堂尊  [ しんちゃんの買い物帳 ]   2008年05月14日 11:29
ジーン・ワルツ(2008/03)海堂 尊商品詳細を見る 桜宮市・東城大学医学部を卒業、東京・帝華大学に入局した32歳の美貌の産婦人科医、曾根崎理??..
5. ジーン・ワルツ  [ ぼちぼち ]   2008年06月22日 20:37
JUGEMテーマ:読書 どこまでが医療で、どこまでが人間に許される行為なのか。強烈なキャラクターが魅せる最先端医療ミステリー! 美貌の産婦人科医・曾根崎理恵――人呼んで冷徹な魔女(クール・ウイッチ)。人工授精のエキスパートである彼女のもとにそれぞれの事情を抱...
6. 『ジーン・ワルツ』/海堂尊 ◎  [ 蒼のほとりで書に溺れ。 ]   2008年06月26日 22:09
海堂尊さんと言えば、桜宮市にある東城大学医学部付属病院に発生する怒涛のトラブルの物語「バチスタ・シリーズ」が今のところのメインですが、今回の舞台は桜宮市ではなく、東京の産婦人科医療問題。 『ジーン・ワルツ』の主人公は、帝華大学の産婦人科学の気鋭の助教・曾...
7. ジーン・ワルツ/海堂尊  [ hibidoku〜日々、読書〜 ]   2008年06月29日 11:49
JUGEMテーマ:読書 読書期間:2008/6/21〜2008/6/22 [新潮社HPより] どこまでが医療で、どこまでが人間に許される行為なのか。強烈なキャラクターが魅せる最先端医療ミステリー! 美貌の産婦人科医・曾根崎理恵――人呼んで冷徹な魔女(クール・ウイッチ)。人工授精...
8. ジーン・ワルツ<海堂尊>−(本:2008年142冊目)−  [ デコ親父はいつも減量中 ]   2008年10月30日 22:36
ジーン・ワルツ # 出版社: 新潮社 (2008/03) # ISBN-10: 4103065710 評価:90点 文句なしに面白い。 地域医療の問題、産科医師不足の問題、思考が硬直化した官僚たちの愚かな医療への対応、そんなことに憤りを感じながら読み進めるうちにあっというまに主人公の曽...
9. 海堂尊 『ジーン・ワルツ』  [ 映画な日々。読書な日々。 ]   2008年11月24日 13:47
ジーン・ワルツ/海堂 尊 ¥1,575 Amazon.co.jp 産婦人科医・理恵――人呼んでクール・ウィッチ。医者がヒトの生命を操ることは許されているのか? 現役医師作家が挑む、現代日本最大の医療問題。『チーム・バチスタの栄光』を超える強烈なキャラクターとスリリン...
10. ジーン・ワルツ 海堂尊  [ 色々なポイント+α ]   2009年04月06日 00:12
ジーン・ワルツ 海堂尊 桜宮市・東城大学医学部を卒業、東京・帝華大学に入局した32歳の美貌の産婦人科医、曾根崎理恵―人呼んで冷徹な魔女(クール・ウィッチ)。顕微鏡下人工授精のエキスパートである彼女のもとに、事情を抱えた五人の妊婦がおとずれる。一方、先....
11. 海堂尊『ジーン・ワルツ』  [ itchy1976の日記 ]   2009年04月15日 12:23
ジーン・ワルツ海堂 尊新潮社このアイテムの詳細を見る 今回は、海堂尊『ジーン・ワルツ』を紹介します。今回は、産婦人科の問題にスポットを当てた社会派小説です。産婦人科医の減少、代理母、少子化、人工授精の問題について著者の気持ちが詰まっているなあという印象だ。...
12. ジーン・ワルツ  [ Yuhiの読書日記+α ]   2009年06月10日 23:20
海堂尊著「ジーン・ワルツ」をようやく読了しましたー。「ひかりの剣」に出ていた清川さんが準主役で出てると聞いてから、ずっと読みたかったのですが、図書館で予約してもなかなか来なくて・・・。 本作は「チーム・バチスタ」シリーズの番外編に位置づけられると思います...
13. 本 「ジーン・ワルツ」  [ はらやんの映画徒然草 ]   2010年06月27日 20:17
「チーム・バチスタの栄光」の海堂尊氏の新作。 海堂氏の小説は産婦人科医療をテーマ
14. 海堂尊「ジーン・ワルツ」  [ ご本といえばblog ]   2011年09月12日 17:21
海堂尊著 「ジーン・ワルツ」を読む。 このフレーズにシビれた。  何もしないで現状を支えていくという選択肢の方が危険な道です。理想の医療といる影に捕らわれて、医師がどん ...

コメント一覧

1. Posted by すずな   2008年05月04日 16:22
こんにちは。
私も、今までの作品の中では、もっとも直接的に医療現場での現状を訴える作品だったのではと思いました。
100%安全な出産は無いんだ、どの出産も危険と隣り合わせなんだ、という思いがとっても印象的でした。
2. Posted by エビノート   2008年05月04日 21:32
すずなさんへ♪
こんばんは。
これまでも医療現場の抱える問題を作品に取り込んできた海堂さんでしたけど、読んでいる私はどこか他人事だったりで・・・。
けれど、この問題は自分の問題として考えちゃいましたね〜。
妊娠するのも、無事に出産するのも本当に奇跡的なことなんだなぁと、この作品を読んで改めて感じました。
3. Posted by じゅずじ   2008年05月10日 21:33
こんばんは。

今回のは、切実でした!
いろんなパターンの妊婦さんを題材に、問題を掘り下げてくれたような。
おっしゃるとおり、曾根崎理恵の行動にはちょっと疑問はありましたけど、やっぱり行動しないことには何も変わりませんからねぇ。
4. Posted by higeru   2008年05月11日 15:47
 二人の息子が五体満足に生まれたことに、今更ながら感謝! でも彼らに子供が生まれる頃のことを想像すると…海堂さんに厚労大臣にでもなってもらおうか。(^^;
5. Posted by エビノート   2008年05月11日 19:10
じゅずじさんへ♪
こんばんは。
本当に切実な問題ですよね。自分自身にも関わってくることなので、より考えさせられます。
自分の住むところで子どもは産めるのか、十分な体制が維持されているのか、思わず検索しちゃいましたもん。
曾根崎理恵の行動には全面的には賛同出来ない部分はあるけれど、現場から変えていこうという意志は感じられましたよね〜。
6. Posted by エビノート   2008年05月11日 19:16
higeruさんへ♪
五体満足に生まれてくること、それがどんなに奇跡的なことなのか感じさせられましたね〜。
これから子どもを・・・と考えている全ての人が安心できるような体制作りなど課題は山積みですが、早急にどうにかしないと、この国の未来はないんじゃないか・・・なんて考えてしまいますね。
海堂さん、最近TVなどでも医療の抱える問題点などを話されているようですし、これからも小説とあわせて、考えるきっかけを与えてもらえると良いですよね。
7. Posted by しんちゃん   2008年05月14日 11:34
こんにちはー。
えらい問題提起が前面にでた作品でしたね。
学生の金田くんに近い立場で興味深く読みました。
そんな中で、双子ちゃんの一人が…にはニンマリでした。
8. Posted by エビノート   2008年05月15日 20:30
しんちゃんへ♪
こんばんは〜。
この作品は直球勝負って感じの一冊でしたね。私も知らないことがたくさんだったので、金田君と同じような目線で勉強しました。
双子の一人がねぇ、こう繋がるとはビックリでした〜。
9. Posted by ちきちき   2008年06月22日 20:37
メッセージ性の強い作品でしたね。
興味深く読めるところと、ちょっと苦手で怖くて読み進むのが辛いところがあって、怖々の読書でしたが、出産シーンでふっとばされました。
いろいろ考えるところありました。
10. Posted by エビノート   2008年06月24日 20:47
ちきちきさんへ♪
この作品が海堂さんのこれまでの作品の中で一番メッセージ性が強かった気がしますね。
自分にも身近なテーマなので、イロイロ考えさせられました。
怖くもあったけれど、出産シーンの母の強さは感動的でしたね。
11. Posted by 水無月・R   2008年06月26日 22:44
エビノートさん、こんばんは(^^)。
この物語は、医療界の問題の現状のほんの一端なのだと思います。
問題は山積み、対応は見当はずれの後手後手。
やっぱり白鳥に登場してもらって、抜本的に根底から覆してもらわなくてはダメなんでしょうかね(笑)。
12. Posted by エビノート   2008年06月27日 22:13
水無月・Rさんへ♪
こんばんは!
確かにこの問題は山積みですよね。この国の未来はないんじゃないか・・・と思うのに、少子化対策とか、医療改革とか上手くいってないような気がします。
白鳥が思う存分手腕を発揮したら、ぶち壊れちゃうかもしれないけれど(笑)
思い切った改革、思い切った方策が必要だと思います
13. Posted by ゆき   2008年09月19日 15:26
こんにちわ。
一気読みの作品になりました。
作者の問題提起はとても的確だと思います。
少子化対策をうたうなら
政府ももっと現場に真剣に
向き合ってくれればいいのに。。。と。

それぞれの妊婦が出産を決断する
シーンや、出産シーンは
とてもよく書かれていて
感動してしまいました。
作者は立会いの経験でもあるのか?と
思わず疑ってしまうほど・・・w
ラストの理恵の決断は凄いと思うと同時に
現実にこういう方が居たら
少しはまた違った動きがあるんじゃないかなぁと思いました。

PS:上手くTBできません・・w(:_;)w
14. Posted by エビノート   2008年09月19日 21:48
ゆきさんへ♪
こんばんは。
TB不調のようですね。ご迷惑をおかけしてすみません(^_^;)それでは、記事の中で紹介させていただきますね。

わたしも一気読みでした。
この作品は、女性としては無視出来ない問題ですもんね。描かれる問題を真剣に考えちゃいました。
ほんと、政府にはしっかりとした対策をしてほしいものです。

出産の場面は、感動的でしたね。
そして、出産を経験してないわたしには圧倒的でした。
母は強しですね!
理恵には否定的なとこもあるんですが、自分が現状を変えてやるという強い意志を感じました。
15. Posted by masako   2008年11月24日 14:04
こんにちは。
今回はメッセージ性が強かったですね。
面白いというより、いろいろ考えさせられました。そしてエビノートさんと同様に、妊娠・出産は安全なものではないというのをこれを読んですごく感じました。

理恵の思いはわかる。でも彼女がしたことが正しいのかどうか、、、それは微妙なところでもありますよね。でも少しでも問題が解決されるきっかけになればいいなーと思いながら読みました。
16. Posted by エビノート   2008年11月24日 20:09
masakoさんへ♪
こんばんは。
メッセージ性強かったですね。妊娠・出産って自分にも身近なテーマなのでより強くいろいろ考えちゃいました。
無事に赤ちゃんが産まれることって奇跡のような確率なんですね。命を大切にしないとなぁ〜とも思いました。
理恵の行動を全面的に肯定はできないんだけれど(特に清川に対する件とか)、でも何とかしないと現状は変わらないですものね。その意気込みはすごいなぁ〜と思います。
17. Posted by しお   2009年04月07日 11:42
人口受精や代理母出産がどうのこうのより、行政の方が気になってしまいました。法律は国民を守りためにあるはずなのに・・・
18. Posted by エビノート   2009年04月12日 21:16
しおさんへ♪
こんばんは。
安心して子どもを産める環境、これを整えるのは行政の責任ですよね〜。
山積みの問題を切り崩していって欲しいものです。

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