2009年01月23日

キネマの神様 〔原田 マハ〕 5

キネマの神様キネマの神様
原田 マハ

文藝春秋 2008-12
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≪内容≫
この世に映画がある限り、人々は映画館へ出かけていくだろう。
家族と、友人と、恋人と…。
壊れかけた家族を映画が救う、感動の物語。
(出版社・HPより)

去年、映画館に何回行ったっけ?1回?2回?
映画というと、家でDVDを見る、TVで放送されているものを見ることの方がやっぱり多いです。
それも楽しいっちゃ、楽しいけれど、この本を読むと映画館に行きたくなっちゃいますよ、きっと。

39歳独身の歩(あゆみ)は、社内抗争に巻き込まれて会社を辞める。辞表を出したその日に、歩の父は倒れて入院してしまった。歩の父の趣味は映画とギャンブルで、もうすぐ80歳に手が届くというのに、300万の借金を作っていた。退院した父にギャンブル依存を断ってもらうために、借金を自分の力で返させようと歩と母はタッグを組む。
一方、無職になった歩は、映画専門誌「映友」の編集部に再就職を決める。実は、歩が書いた映画に対する熱い思いを、父が「映友」のサイトに内緒で投稿していたのだった。
けれど後に、サイトの管理人が面白がっていたのは父自身の文章だったことが判明する。「映友」は部数低迷を打開するために、また歩は父のギャンブル依存を断つために、父の映画ブログ「キネマの神様」をスタートさせた。
小さな頃から映画を見続けてきた父の文章は好評で、英訳版のブログも開設した。ところがある日、英訳版のブログに、ローズ・バットなる人物が父の文章を否定するようなコメントを寄せる。

ギャンブルがやめられない、借金しても母や娘が返してくれるからまた借金をしてしまう、そんなどうしようもない父親だけれど、映画に対する愛情は誰にも負けない。
それが伝わってくる父親の「キネマの神様」の記事を読んでいると、言及された映画を見てみたくなる。
見たことがある映画も、見たことがない映画もね。
父親とローズ・バットとの会話は、見返りを求めない純粋なやり取り。
これが素晴らしかった。
まるで本物のブログを読んでいるよう。
互いに用いる言葉も違うし、お互いに生まれ育った環境も違う、住んでいる場所も距離があって遠い、そういういろんなことを越えて映画が好きだという思いで繋がった関係が、胸にグッと響いてくる。

「キネマの神様」がもたらす奇跡、「映友」の再生、家族の再生というだけじゃない奇跡。
こんなこと起こるわけないよ!と言っちゃうのは簡単だけど、良いじゃないか、こういう奇跡があったって。
“奇跡はときに、起こる。キネマの神様は、きっといる”(p.257)のだから。
「キネマの神様」はきっと、ニッコリ微笑んでいるに違いない。
いちばん好きな映画を、いちばん好きな人たちと、いちばん好きな映画館で見てみたくなった。

出版社HP内にあった自著を語る

単行本
文藝春秋[2008.12発行]
【読了 2009.1.5】

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1. 「キネマの神様」原田マハ  [ ナナメモ ]   2009年01月27日 22:06
キネマの神様 原田 マハ JUGEMテーマ:読書 39歳独身の歩(あゆみ)は、社内抗争に巻き込まれて会社を辞める。歩の父は趣味は映画とギャンブルという人で、借金を繰り返していた。ある日、歩が書いた映画に対する熱い思いを、父が映画専門誌「映友」のサイトに投稿し...
2. キネマの神様  [ 伊東良徳の超乱読読書日記 ]   2009年01月30日 21:18
 映画好きの老人が娘が就職した斜陽映画雑誌社が立ち上げた映画ブログ「キネマの神様」で映画の感想を書きつづることで立ち直って行くことをメインストーリーに、関係した人々の前向きな変化を誘っていく小説。  前半、ギャンブル中毒で借金まみれになった80歳近い父親と...
3. 【小説感想】キネマの神様(原田マハ)[2009-S07]  [ 映画+小説+家族=MyLife ]   2009年02月20日 23:41
これで原田マハさんの書かれた本は3冊目になりました。でも、今回は作家さんに惹かれたというよりも、タイトルに惹かれました。『キネマの神様』、なんだか映画好きにはグッとくるタイトルじゃないですか!
4. 「キネマの神様」 原田マハ  [ コンパス・ローズ  compass rose ]   2009年02月23日 20:01
思いもよらない如月の雨、弥生の陽射し、二月なのにアスファルトがみえていた道路は、またすっかり雪の下に埋もれてしまった。よくよく降る雪だことと半ば呆れる。そう簡単に春は来ない。じれったくも行きつ戻りつを繰り返しようやく季節は変わる。季節に倣うわけではないが...
5. キネマの神様 原田マハ  [ 粋な提案 ]   2009年02月24日 03:19
四十を前に、突然会社を辞めた娘。映画とギャンブルに依存するダメな父。 二人に舞い降りた奇跡とは―。壊れかけた家族を映画が救う、奇跡の...
6. キネマの神さま(原田マハ)  [ Bookworm ]   2009年02月27日 05:38
すっごく面白かった!というか、良かったぁ??????!最後はお約束通りと言いますか、やっぱりホロリと涙ぐみながら読んでしまいました。
7. キネマの神様  [ Akira's VOICE ]   2013年01月07日 15:08
原田マハ 著
8. 「キネマの神様」/原田マハ  [ 京の昼寝〜♪ ]   2013年04月12日 22:29
「キネマの神様」/原田マハ 主人公の円山歩(39歳)は勤続17年、都市開発会社で土地の再開発事業を手掛けていて、もともと歩は映画好きで、シネコンのある一大複合施設の開発を提案・推進したことから、その事業計画の担当課長に抜擢される。しかし誘致・提携を...

コメント一覧

1. Posted by なな   2009年01月27日 22:09
こんばんは。
ゴウの「合掌」とローズ・バッドの「God bless you」のやり取り、
本当に二人の人がいるのかと錯覚してしまいました。
映画館に映画を見に行きたくなりますよね。
2. Posted by エビノート   2009年01月28日 20:04
ななさんへ♪
こんばんは。
本当に、二人がブログ上で映画評をしているかのようでしたよね〜。臨場感もあり、そこに書かれた映画への愛情に胸が熱くなり。素敵でした。
映画館に足を運んでみたくなっちゃいますね。
3. Posted by 雪芽   2009年02月23日 20:08
エピノートさん、こんばんは!
ゴウとローズ・バッド、ふたりのシルバー世代がとにかく素敵で、いくつになっても友はできるんですね。
いま映画館へ行こう♪という気分でいっぱいです。
でも、外は雪。寒さに負けるな自分、です。
4. Posted by エビノート   2009年02月23日 21:05
雪芽さんへ♪
こんばんは。
ゴウとローズ・バッドのやり取りがとて素敵でしたよね〜。
本物のブログを読んでいるかのような臨場感がありました。
どこにいても、いくつになっても、好きなことを思う存分語りあえ、深くつながることが出来る友の存在、良いですね〜。
私も映画館に行きたいです〜♪
アカデミー賞(外国語映画部門)を受賞した「おくりびと」、凱旋上映があるみたいなので観てみたいなぁ〜と思ってます♪
そっか、雪芽さんのとこはまだまだ雪が降り積もってるのですね〜。
こちらでは梅の花、菜の花が咲いてます。
少しずつ雪芽さんのところに春が向かってますよ♪
5. Posted by すずな   2009年02月27日 05:43
ご無沙汰しております^^;
エビノートさんのレビューを読んで手にした本でしたが、とっても面白かったです〜!
映画への愛が溢れていて、読みながら「映画が観たい!」と思っちゃいました。特にゴウとローズ・バットのやりとりが良かったですね〜。読んでるこちらまでワクワクドキドキ興奮させてもらいました。
素敵な本と出会わせてもらえました。ありがとうございます♪
6. Posted by エビノート   2009年02月28日 20:37
すずなさんへ♪
こんばんは。こちらこそご無沙汰しております(^_^;)
おおっ!私の記事をきっかけに手に取ってくださったんですね〜。ありがとうございます♪
そうそう。うわぁ〜映画館に行きたいよ〜と読んでいる間ずっと思ってましたもん。読み終わった今も、行きたい気持ちマンマンなんですが、なかなか時間が・・・。
でも、きっと近いうちに!
7. Posted by 茶実   2009年05月22日 23:48
はじめまして。2年ほど前から訪問させていただいています。

赤い5つ星に惹かれて読んでみたら(^-^*)でした。
さっそく、店主に勧めたところ・・・(^-^*)でした。そして「ゴウちゃんのようになってみたい!」と感想。お友達にも紹介しているようです。

新しい作家さんとの出会いが出来てよかったです。ありがとうございました。
8. Posted by エビノート   2009年05月24日 20:43
茶実さんへ♪
はじめまして。
以前から訪問してくださっているとのこと、ありがとうございます。
私の感想がきっかけで、どんどん本の輪が広がっているんですね。
なんだか嬉しいです。
こちらこそ、ありがとうございます♪
9. Posted by ひろ009   2009年05月24日 21:39
ご無沙汰しております。
読みました!素晴らしい作品でした!

映画と映画館(とくに名画座)への愛をこれほどストレートに綴った小説は日本にはあまりなかったのでは?と思いました。
ゴウとローズ・バッド。人生の終盤に真の友人を見つけた二人はぜひ会わせてあげたかったですね。

エビノートさんが書かれた”「キネマの神様」がもたらす奇跡、「映友」の再生、家族の再生というだけじゃない奇跡”、まさにその通りの作品でした。

私は最近また映画館で映画を観るようになってきました。多くの人がこの本を読んで映画館で映画を観る魅力・醍醐味を知って欲しいとも思いました。
10. Posted by エビノート   2009年05月26日 20:18
ひろ009さんへ♪
こんばんは。
この作品、良いですよね〜。
読んでいるうちに本当にキネマの神様がいるんじゃないかと信じさせてくれるストーリーに、なんだか幸せな気分になれました。
ゴウとローズ・バッドの熱い映画評、本当に映画への愛情が溢れていました。
そして、ネットで繋がった友情の素晴らしさも感じましたね〜。
自宅でも映画は観れるけれど、映画館で観るのはやっぱり格別ですね。
私も映画館に足を運ぶ機会が少し増えました。

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