薬剤師の地域医療日誌

薬剤師が臨床や地域医療にどのように関われるか、EBMを実践しながら模索しています。このブログは個人的な勉強記録です。医学文献の2次資料データベースとして医師、看護師、薬剤師その他のスタッフや患者様に役立てれば幸いです。情報に関しては知識不足の面から不適切なものも含まれていると思われます。またあくまで個人的な意見も含まれております。掲載の情報は最新の文献等でご確認の上、運用していただければ幸いです。

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Hedna K.et.al. Antidepressants and suicidal behaviour in late life: a prospective population-based study of use patterns in new users aged 75 and above. Eur J Clin Pharmacol. 2017 Nov 4. . [Epub ahead of print] PMID: 29103090

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/29103090

 

[目的]抗うつ療法を開始した高齢者の抗うつ薬使用パターンと致命的および非致死的自殺行動のリスクとの関連性を調べる。

 

[方法]抗うつ薬治療を開始した75歳以上のスウェーデン在住の人を対象とした全国人口ベースのコホート研究。200711日〜20131231日の間に抗うつ薬処方を満たした患者(N = 185,225人)を20141231日まで追跡調査した。深刻なうつ病などの潜在的交絡因子を調整し、抗うつ薬の使用パターンに関連する自殺および自殺のサブハザード比をFine and Gray regression models.により解析

 

[結果]フォローアップ中に、295件の自殺と654件の自殺が発生した。他の抗うつ薬に切り替えた患者では自殺リスク増加。(aSHR for suicide 2.42, 95% 信頼区間1.65 to 3.55、およびattempt 1.76, 1.32 to 2.34). 抗不安薬(1.54,1.201.96)と催眠薬(2.20,1.692.85)の同時服用患者にも自殺リスクの上昇が見られた。同様のパターン自殺企図についても観察された。抗認知症薬(0.40,0.27~0.59)を併用した患者では、試みのリスクの低下が観察された。

 

[結論]抗うつ薬の切り替え、抗不安薬または催眠薬の併用は、非常に遅刻して抗うつ薬治療を開始する人々の自殺行動のリスクの増加の指標となる可能性がある。

Xu T.et.al. Workplace bullying and violence as risk factors for type 2 diabetes: a multicohort study and meta-analysis. Diabetologia. 2017 Nov 13. doi: 10.1007/s00125-017-4480-3. [Epub ahead of print] PMID: 29130114

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/29130114

https://link.springer.com/article/10.1007/s00125-017-4480-3

 

[目的]このマルチコホート調査の目的は、職場でのいじめや暴力など社会的ストレス要因に曝されている従業員が2型糖尿病のリスクが高いかどうかを調べることである。

 

[方法]この調査では、スウェーデン、デンマーク、フィンランドで行われた4件の研究参加者45,905人の男女(40-65歳、ベースライン時の糖尿病がない人)を対象にメタ分析を行った。職場のいじめや暴力はベースライン時に自己報告された。糖尿病の発症は、全国の健康保険データベースおよび投薬記録、死亡記録によって確認された。分析は、年齢、性別、生年月日、婚姻状況、教育水準に合わせて調整し、Marginal structural Cox modelsを用いた。

 

[結果]人口の9%が仕事中にいじめられていると報告し、 12%が職場の暴力や暴力の脅威にさらされていたと報告した。職場でいじめを受けていた人では、そうでない人に比べて、糖尿病の発症リスクが1.4695CI 1.231.74)倍高い。暴力や暴力の脅威への暴露は、糖尿病のリスクが高いことと関連していた(HR 1.26 [95CI 1.02,1.56])。MIを考慮した場合、特にいじめについてはリスク推定値がわずかに減少した。結果は男女とも同様であり、コホート間で一貫していた。

 

[結論]職場におけるいじめや暴力にさらされた従業員の2型糖尿病のリスクが高いことが示された。作業中のいじめや暴力を減らす方針が労働集団における2型糖尿病の発生率を低下させるかどうかを判断するためには、さらなる研究が必要である。

 

[コメント]雇用不安など心理社会的作業特性[1]や長時間労働[2]2型糖尿病リスクであることは知られている。本研究は、スウェーデンの労働環境調査(SWES)、スウェーデンの縦断労働衛生調査(SLOSH)フィンランド公共セクター調査(FPS)デンマーク労働環境コホート研究(DWECS)の4研究のメタ分析である。

主な結果は以下の通り

https://static-content.springer.com/image/art%3A10.1007%2Fs00125-017-4480-3/MediaObjects/125_2017_4480_Fig2_HTML.gif

この研究では約10人の従業員の約1人が、仕事中のいじめや暴力/暴力の脅威にさらされていると報告している。いじめを受けることは、ストレス応答システムを活性化し、糖尿病のリスクに寄与する可能性のある。



[1] CMAJ. 2016 Dec 6;188(17-18):E447-E455.

[2] Lancet Diabetes Endocrinol. 2015 Jan;3(1):27-34.

Saito E.et.al. Smoking cessation and subsequent risk of cancer: A pooled analysis of eight population-based cohort studies in Japan. Cancer Epidemiol. 2017 Nov 2;51:98-108. PMID: 29102692

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/29102692

 

[背景]東アジアは世界で最大のたばこ消費地域の一つであるが、喫煙と癌の関連について禁煙の影響をアジアからのいくつかの研究で調査している。本研究では日本における、8つの集団ベースのコホート研究を用いて、喫煙を止めることによる癌のリスクへの影響を評価した。

 

[方法]われわれは、32,000人以上の参加者を有する日本の8つの集団ベースの前向きコホート研究のプールされたデータを分析して、全がんおよび喫煙関連癌のリスクに対する禁煙の効果を評価した。

 

[結果]潜在的な交絡因子の調整後、ベースライン前の21年間以上禁煙を受けた男性の癌リスクは、全癌の喫煙者ではないレベルと同じレベルまで低下することが示された。

 (never smokers: reference; former smokers with ≥21 years since smoking cessation: HR, 1.01; 95%CI: 0.91, 1.11). ヘビーな喫煙者(20パック年以上)の男性でさえも、全がんリスクの低下が報告されている。(never smokers: reference; former smokers with ≥21 years since smoking cessation: HR, 1.06; 95%CI: 0.92, 1.23). 女性では、ベースライン前の11年間の禁煙すると、発がんリスクは非喫煙者のリスクと差がなくなった。(never smokers: reference; former smokers with ≥11 years since smoking cessation: HR, 0.96; 95%CI: 0.74, 1.23).

 

[結論]この研究は、禁煙期間が長いほど男性と女性の両方でがんのリスクが低下し、喫煙者(20パック以上)でも喫煙の恩恵を受けていることが示唆されている。

Kuwahara K.et.al. Intensity of Leisure-Time Exercise and Risk of Depressive Symptoms Among Japanese Workers: A Cohort Study. J Epidemiol. 2017 Oct 28. [Epub ahead of print] PMID: 29093360

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/29093360

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jea/advpub/0/advpub_JE20170009/_pdf

 

[背景]うつ病に対する身体活動強度の影響に関するデータはほとんどない。 我々は、日本人労働者の余暇時間における運動と抑うつ症状のリスクとの間の関連性を調査した。

 

[方法] 参加者は、2006年〜2007年の健康診断で抑うつ症状を含む精神医学的疾病のない20歳から64歳までの29,052名の従業員(男性24,653名、女性4,399名)であり、2014年〜2015年まで追跡調査された。余暇時の運動の詳細はアンケートで確認した。 うつ状態は13項目のアンケートを用いて評価した。 うつ病症状の多変数調整ハザード比は、Cox回帰分析を用いて推定した。(性別、ライフスタイル、仕事関連および社会経済的要因、およびBMIで調整)

 

[結果] 平均5.8年、168,203人年の追跡期間中、6,847名の労働者がうつ症状を発症した。休暇中に時間に運動をしなかった労働者(週に0 MET時間)に比べて、週に>0 to <7.5, 7.5 to <15.0, and ≥15.0 MET時間では、中等度の運動のみでは、ハザード比(95%信頼区間)はそれぞれ0.88 (0.82-0.94), 0.85 (0.76-0.94) 0.78 (0.68-0.88)、激しい運動をしている場合では0.93 (0.82-1.06), 0.82 (0.68-0.98), 0.83 (0.71-0.98)、中等度の運動と激しい運動両方では0.96 (0.80-1.15), 0.80 (0.67-0.95), and 0.76 (0.66-0.87)であった。

 

[結論] 激しい運動および、中等度の運動と活発な運動の組み合わせは、日本人労働者の抑うつ症状を予防する。

 

Sheppard JP.et.al. Impact of age and sex on primary preventive treatment for cardiovascular disease in the West Midlands, UK: cross sectional study. BMJ. 2012 Jul 12;345:e4535. PMID: 22791787

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22791787

 

[目的]典型的な一次ケア集団における心血管疾患の一次予防治療に対する年齢および性別の影響を確立する。

 

[方法]匿名化された患者記録の縦断研究

 

[参加者]英国ウエストミッドランズの19の一般診療で登録された40歳以上の患者41,250例をすべて抽出し分析した。

 

[評価項目]患者の記録から、患者の人口統計、心臓血管疾患の危険因子(血圧、総コレステロール濃度)、および主要な予防的薬剤の処方を抽出した。患者を85歳までの5歳の年齢帯に分割し(85歳以上の患者は1つのグループとして分析)、集団全体の処方傾向は、降圧剤またはスタチン系薬剤で処方された患者の割合を各群で評価することによって評価した。集団全体の処方傾向は、降圧剤またはスタチン系薬剤を処方された患者の割合を各群で見積もることによって評価した。

 

[結果]この研究でスクリーニングされた41,250の記録のうち、36,679人(89%)の患者は、心臓血管疾患の病歴を持たず、したがって、一次予防治療と考えることができた。降圧薬を処方されている患者は40歳~44歳の5%から85歳以上の57%と年齢と共に増加した。他方、スタチンでは年齢ともに増加したのは74歳までだった。40歳~44歳では3%、7074歳では29%であった。75歳以上では、スタチン(40-44歳の年齢群と比較して)の処方を受ける確率は、5歳ごとに低下した(75歳~79歳:オッズ比 12.9 95% 信頼区間 10.8 to 15.3) 85歳以上:オッズ比 5.7 (4.6 to 7.2) ). 性別による処方動向に一貫した差はなかった。

 

[結論]高齢者でのスタチンの使用率が低いことは、より強いエビデンスベースの必要性と、75歳以上の人々のための明確なガイドラインの必要性を強調する。

 

[コメント]英国における予防的薬剤の使用状況。加齢とともに降圧薬は増えるが、スタチンは74歳をピークに減少

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3395734/figure/fig3/

もし仮に、75歳高齢者に対するスタチンと降圧薬、人工知能がリスクベネフィットをはじきだしたらそんなに差はないはず。でも人が行う医療においてはプラクティスに明らかな差が出る。

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