薬剤師の地域医療日誌

薬剤師が臨床や地域医療にどのように関われるか、EBMを実践しながら模索しています。このブログは個人的な勉強記録です。医学文献の2次資料データベースとして医師、看護師、薬剤師その他のスタッフや患者様に役立てれば幸いです。情報に関しては知識不足の面から不適切なものも含まれていると思われます。またあくまで個人的な意見も含まれております。掲載の情報は最新の文献等でご確認の上、運用していただければ幸いです。

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Gibson PG.et.al. Effect of azithromycin on asthma exacerbations and quality of life in adults with persistent uncontrolled asthma (AMAZES): a randomised, double-blind, placebo-controlled trial. Lancet. 2017 Jul 4. pii: S0140-6736(17)31281-3. PMID: 28687413

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/28687413

 

[背景]喘息の増悪は、世界的にも疾病の重大な負担を招く。 維持療法にもかかわらず、コントロール不能な持続性喘息を有する成人には、追加の治療が必要である。マクロライド抗菌薬は持続性の喘息治療に使用が可能であり、中〜高用量の吸入コルチコステロイドと長時間作用性の気管支拡張剤を併用した持続的な喘息患者の追加療法としての経口アジスロマイシンの有効性と安全性を検討した。

 

[方法]アジスロマイシンが、吸入コルチコステロイドおよび長時間作用性気管支拡張薬の使用にもかかわらず、症候性喘息を有する成人(18歳以上)の喘息増悪頻度を減少させるかどうかを検討するため、無作為二重盲検プラセボ対照群試験を実施。なお被験者は聴覚障害またはQT間隔の異常な延長がない人とした。被験者はアジスロマイシン500mgまたはプラセボを1週間に348週間治療する2群に1:1でランダム化した。一次エンドポイントは、48週間にわたる喘息増悪の総数(重度および中等度)および喘息関連QOLquality of life)であった。データはITT解析で行った。

 

[結果]2009612日〜2015131日の間に420人の患者がランダム化された(アジスロマイシン群213人、プラセボ群207人)。アジスロマイシン(患者1年当たり1.07 [95CI 0,85-1.29])は、プラセボ(患者1年あたり1.86 [1.54-2.18])と比較して喘息増悪を減少させた(IRR 0.59 [95CI 0.47-0.74]; p <0.0001

 

少なくとも1つの喘息増悪を経験している患者の割合は、アジスロマイシン治療によって減少した。(プラセボ群127[61]、アジスロマイシン群94例(44%)、p <0.0001

 

アジスロマイシンは、喘息関連QOLを有意に改善した(調整平均差、0.36 [95CI 0.21-0.52]; p = 0.001

 

下痢はアジスロマイシン群においてより一般的であった(72 [34] vs 39 [19]; p = 0.001

 

[結論]持続性症候性喘息を有する成人は、アジスロマイシンを経口投与して48週間治療した場合、喘息増悪が減少し、QOLの改善が示唆される。アジスロマイシンは、持続性喘息において有用なアドオン療法であり得る。

 

Takachi R.et.al. Fruit and vegetable intake and the risk of overall cancer in Japanese: A pooled analysis of population-based cohort studies. J Epidemiol. 2017 Apr;27(4):152-162. PMID: 28142032

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/28142032

 

[背景]近年報告されている10万人以上の被験者を対象とした大規模なコホート研究では、果物と野菜の摂取量と全体の癌発生率との間に逆相関はないと報告されている。 しかし、現在までに、アジアの人口についてはそのようなデータは報告されていない。日本の大規模コホート研究のプールされた分析において、果物および野菜の消費が全体の癌予防に及ぼす正味の影響を示すために、これらの関連性を調べた。

 

[方法]本研究ではベースライン時のアンケート調査に基づいて、果物と野菜の消費量を測定した4つのコホート研究を分析した。 個々の研究におけるハザード比(HR)を計算し、共通の変数セットを調整し、ランダム効果モデルを用いて統合した。

 

[結果]合計191,519人の被験者の2,318,927人年のフォローアップ期間中、全癌の17,681例が同定された。果物または野菜の消費は、全がんリスクの低下と関連していなかった。(男性、女性において、摂取量の最も低い四分位に比べて最も高い四分位数のHRは、それぞれ、

果物1.03 (95% CI, 0.97-1.10; trend p = 1.00) and 1.03 (95% CI, 0.95-1.11; trend p = 0.97),

野菜1.07 (95% CI, 1.01-1.14; trend p = 0.18) and 0.98 (95% CI, 0.91-1.06; trend p = 0.99),

 

[結論]このプールされた分析の結果は、果物と野菜の摂取が日本の集団全体の癌と逆相関することを支持していない。

 

[コメント]果物や野菜の摂取は、多くの呼吸器および消化器癌を予防すると長い間考えられてきた。しかし、野菜果物摂取と、心血管疾患との関連性はやや一貫していたものの、がんに関しては議論の余地も多かった。

Shen L.et.al. Declining Risk of Sudden Death in Heart Failure. N Engl J Med. 2017 Jul 6;377(1):41-51. PMID: 28679089

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/28679089

 

[背景]駆出率の低下した症候性の心不全患者において、ARBACE阻害薬、β遮断薬、鉱質コルチコイド受容体遮断薬の導入で突然死のリスクは継時的に変化している。本研究ではこの動向の詳細な調査を行った。

 

[方法]駆出率が低下した心不全を有し、1995年から2014年までの12の臨床試験のいずれかに登録された40,195人の患者のデータを分析した。試験登録時に埋め込み可能な除細動器を有する患者は除外した。加重多変数回帰を用いて、時間の経過に伴う突然死亡率の傾向を調べた。Cox回帰モデルを用いて、突然死に対する調整ハザード比を計算した。突然死の累積発生率は、無作為化後の異なる時点および心不全の診断と無作為化との間の時間の長さに従って評価した。

 

[結果]突然死は3583人の患者で報告された。こうした患者では突然死を起こさなかった人に比べて、高齢であり、男性で多く、心機能低下が多かった。研究間にわたり突然死の割合は44%減少した(P = 0.03)。無作為化後90日での突然死の累積発生率は、最も古い試験で2.4%、最も最近の試験で1.0%であった。

 

[結論]急性死亡率は、臨床試験に登録された駆出率が低下した心不全の外来患者の間で、時間の経過とともに実質的に減少した。これは、この死因に対するエビデンスベースの薬物療法の累積利益と一致する。

GBD 2015 Obesity Collaborators, Health Effects of Overweight and Obesity in 195 Countries over 25 Years. N Engl J Med. 2017 Jul 6;377(1):13-27. PMID: 28604169

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/28604169

 

[背景]肥満の急増は多くの国で大きな注目を集めているが、この注意が肥満の動向および疾患負担に与える影響は不明である。

 

[方法]19802015年までにおける小児および成人の体重超過および肥満の蔓延傾向を評価するために、6,850万人のデータを分析。また、1990年から2015年までにおける195カ国で、年齢、性別、原因、BMIに基づいて、高BMIに関連する疾病の負担を数値化した。

 

[結果]2015年には、合計10770万人の子供と60370万人の成人が肥満。1980年以来、70カ国以上で肥満の罹患率は倍増しており、他の多くの国も肥満が継続的に増加している。子供の肥満の罹患率は成人の罹患率よりも低いが、多くの国の小児肥満の増加率は成人の肥満の増加率よりも大きい。高BMIは全世界で400万人の死亡を占め、そのうち約40%が肥満ではない人に発生した。高BMIに関連した死亡者の3分の2以上が心臓血管疾患によるものであった。高BMIに関連する疾患の負担は1990年以来増加している。 しかし、この増加の割合は、心血管疾患による死亡率の基礎的な低下のために減少している。

 

[結論]BMI上昇の有病割合および疾病負担の急増は、BMIの監視と、この問題に対処するためのエビデンスに基づく介入の特定、実施、評価に引き続き焦点を当てる必要性を強調する。

Lyall DM.et.al. Association of Body Mass Index With Cardiometabolic Disease in the UK Biobank: A Mendelian Randomization Study. JAMA Cardiol. 2017 Jul 5. [Epub ahead of print] PMID: 28678979

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/28678979

 

[背景]より高いBMIは、心血管疾患の危険因子である。 しかし、根本的な因果関係は不明なままである。

 

[目的]英国Biobankのデータを使用して、メンデルランダム化の手法を用い、BMIと心血管疾患のアウトカムの因果推定を行う。(メンデルランダム化解析とは「対立形質が無作為に遺伝する」という仮定に基づく分子疫学的解析法である。観察研究におけるランダム化を実現するための手法の一つ)

 

[方法]完全な表現型(医学的および社会人口学的)および遺伝的データを含む英国Biobank参加者119859例を含む集団ベースのコホート研究からの横断データを用いて解析。参加者は、2006年から2010年の間に英国の22のアセスメントセンターの1つに登録。本調査は201651日から711日まで実施された。高血圧、冠動脈性心疾患、および2型糖尿病の有病割合は、自己報告に基づいた評価で決定された。 血圧は臨床的に測定された。参加者は、関連する交絡者に関連する社会学的情報を自己報告した。以前のゲノムワイド関連研究からBMIに関連する93の一塩基多型を含む多遺伝子リスクスコアを構築し、メンデルランダム化アプローチを用いて遺伝的リスクスコアを適用して因果推定を導き出した。

 

[結果]この研究に含まれた119859人のうち、56816人(47.4%)が男性であり、 平均年齢は56.877.93)歳であった。

 

メンデリアの無作為化分析では、遺伝的に計測された高BMIと以下のアウトカム発症リスクとの間に有意な正の関連が見られた。

高血圧 (odds ratio [OR] per 1-SD higher BMI, 1.64; 95% CI, 1.48-1.83; P=1.1×10-19),

冠動脈疾患(OR, 1.35; 95% CI, 1.09-1.69; P=.007)

2型糖尿病(OR, 2.53; 95% CI, 2.04-3.13; P=1.5×10-17)

これらの関連は、年齢、性別、タウンゼントスコア、アルコール摂取および喫煙歴とは無関係であった。

 

[結論]この研究の結果は、より高いBMIと心血管疾患リスクの増加との関連性を支持している証拠に加わるものである。この知見は、肥満のレベルが増加する多くの国で公衆衛生政策との関連性がある。

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