薬剤師の地域医療日誌

薬剤師が臨床や地域医療にどのように関われるか、EBMを実践しながら模索しています。このブログは個人的な勉強記録です。医学文献の2次資料データベースとして医師、看護師、薬剤師その他のスタッフや患者様に役立てれば幸いです。情報に関しては知識不足の面から不適切なものも含まれていると思われます。またあくまで個人的な意見も含まれております。掲載の情報は最新の文献等でご確認の上、運用していただければ幸いです。

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Bahit MC.et.al. Non-major bleeding with apixaban versus warfarin in patients with atrial fibrillation. Heart. 2016 Oct 24. [Epub ahead of print] PMID: 27798052

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27798052

 

[目的]心房細動患者における脳卒中や血栓塞栓イベントを検討したアピキサバンの試験(ARISTOTLE)より、非大出血の発生リスクやその部位、医学的管理の関連を検討する。

 

[方法]研究において1つ以上薬剤投与を受けた18140例を解析対象とした。非大出血は臨床的に関連する非重大(CRNM)または軽度の出血であると考えられる最初の出血イベントとして定義し、大出血に先行するイベントではない。

 

[結果]

非大出血は大出血よりも3倍多くみられた(12.1vs3.8%)大出血と同様に、非大出血はアピキサバン(6.4 per 100 patient-years)の方がワルファリン(9.4 per 100 patient-years)よりも頻度が低かった(調整HR 0.69, 95% CI 0.63 to 0.75).

 

非大出血の最も頻度の高い部位は、血尿(16.4%)、鼻出血(14.8%)、胃腸(13.3%)、血腫(11.5%)および打撲/斑状出血(10.1%)であった。

 

ワルファリンとアピキサバンの非重大出血患者において、医学的または外科的介入は同等であった。(24.7% vs 24.5%).抗凝固薬の変更(58.6% vs 50.0%)、治験薬の中止(5.1% (61) vs 3.6% (30), p=0.10)はアピキサバンよりもワルファリンで多かった。

 

臨床的に関連する非大出血は総死亡の独立したリスクファクターであった。 (調整HR 1.70, 95% CI 1.32 to 2.18) また、大出血の続発も多い (調整HR 2.18, 95% CI 1.56 to 3.04).

 

[結論]ARISTOTLEでは非大出血の頻度は一般に良く見られたが、ワルファリンに比べて、アピキサバンで頻度が少なかった。臨床的に関連する非大出血は死亡や大出血続発の独立したリスクファクターであった。抗凝固薬の治療を受けている心房細動患者において、いかなる重症度の出血だろうが、重要であることを示唆している。軽度な出血を含む非大出血は、軽視できないと言える。

Hmouda H.et.al. Carbamazepine-induced urinary retention. Br J Clin Pharmacol. 2007 Dec;64(6):833-4. PMID: 18078476

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/18078476

 

カルバマゼピンは、最も一般的に処方される抗てんかん薬の1つであり、三叉神経痛、神経因性疼痛および精神障害、双極性うつ病を含む様々な疾患の治療にも使用される。カルバマゼピンの有害事象は、中枢神経系への影響から不可逆性の骨髄抑制、スティーブンス・ジョンソン症候群および過敏症症候群を含む特異反応およびアレルギー反応まで様々である。

 

てんかんに対するカルバマゼピンの2年間にわたる治療での症例報告。カルバマゼピン中止後の尿路症状が改善された症例である。

 

2年間にわたりカルバマゼピン(200mg12回)でてんかん治療を受けている38歳女性。下腹部の不快感と排尿困難で救急診療部を受診した。3日前に切迫尿意を感じており、尿漏れ、急性の排尿困難を発症。症状はカルバマゼピン開始直後に始まっていたが、本人は恥ずかしいと感じており2年間耐え続けた。その間、尿意切迫、尿漏れなどの既往があった。

 

本人は血尿の病歴は無く、婦人科、泌尿器科を受診しなかった。検査所見では膀胱が拡張しており、尿道カテーテルを直ちに挿入し、透明な尿1100mlを排出した。 骨盤および婦人科検査は正常であった。腎機能検査、完全血球数、グルコース、アルブミン、ナトリウムおよびカリウム血清濃度、尿の性状等は正常範囲内であった。また尿培養も陰性、腹部単純X線および超音波にも異常は見られなかった。

 

カルバマゼピンは、患者が服用した抗コリン作用を有する唯一の薬剤であり、最も有望な被疑薬であった。 カルバマゼピン血清濃度は11μg/ ml(治療範囲は412μg/ ml)であったが、これをバルプロ酸で置換した。 排尿症状および抗コリン作用性の臨床症状は、12ヶ月の追跡期間にわたって再発しなかった。

 

カルバマゼピンによる排尿障害はいくつか報告があるが糖尿病などの基礎疾患を有している人での症例が主であった。

Neurology. 1993 Sep;43(9):1855-6.

Neurology. 1989 Apr;39(4):598-600.

カルバマゼピン中止により症状が消失していることからも因果関係が疑える。

ファウラー症候群の疑いも否定できないが、抗コリン作動性症状は、ファウラー症候群で生じる理由がないことからもカルバマゼピン誘発性が疑える。

 

カルバマゼピンが排尿困難を引き起こすメカニズムは明確ではないが、三環系抗うつ薬と化学構造が類似していることは抗コリン作用による影響かもしれない。

また、カルバマゼピンは尿失禁の原因薬剤である可能性も指摘されており、一次性夜尿症への治療応用が提案されている。

J Urol. 1985 Oct;134(4):758-9.

Rev Urol. 2004;6 Suppl 1:S24-31.

Eur J Med Res. 2000 Jan 26;5(1):40-4.

Nelson AD.et.al. Comparison of efficacy of pharmacological treatments for chronic idiopathic constipation: a systematic review and network meta-analysis. Gut. 2016 Jun 10. pii: gutjnl-2016-311835. PMID: 27287486

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27287486

 

[目的]慢性特発性便秘(CIC)における薬物療法のプラセボに対する有効性にを、ベイズネットワークメタ分析を用いて比較する。

 

[方法]MEDLINE, EMBASE, Scopus and Cochrane Centralの検索と、慢性特発性便秘に用いる薬剤の製薬企業や論文著者にもあたった。機能性便秘に対するローマⅡ基準、Ⅲ基準に該当する慢性特発性便秘を有する患者を対象に4週間以上追跡されたフェイズⅡB、Ⅲのランダム化比較試験が解析対象となった。2名のレビューアーが独立してすべてのフルテキストを評価し、バイアスのリスクとエビデンスの質を評価した。一次アウトカムは、週3回以上の自発的排便(CSBM)と、ベースラインからの週の自発的排便回数が1回以上増加。

 

[結果]21研究(解析対象9189例)が組み入れられた。 Prucalopride9研究、ルビプロストン3研究、linaclotide3研究、tegaserod2研究、velusetrag, elobixibat, ビサコル、ピコスルファートNaがそれぞれ1研究ずつ。ビサコジル、ピコスルファートNaprucaloprideおよびvelusetragは、3CSBM /週以上のエンドポイントにおいてプラセボより優れていた。ネットワークメタ分析において、一次アウトカムに対する著明な改善効果を有する薬剤は存在しなかった。

 

[結論]慢性特発性便秘に対する薬剤はどれもほぼ同等である。

 

Hobbs WR.et.al. Online social integration is associated with reduced mortality risk. Proc Natl Acad Sci U S A. 2016 Oct 31. PMID: 27799553

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27799553

 

社会的相互作用はますますネット上で展開される。友情やオフラインの社会的繋がりは寿命との関連が繰り返し検討されてきたが、オンラインでの相互作用には様々な特性がある。

 

カリフォルニア州衛生局の記録より、1,200万のソーシャルメディアのプロファイルを参照し、ソーシャルメディアの使用が寿命の延伸と関連しているかどうかを評価。

 

オンラインで友達申請を多く受け取ることは死亡率の低下につながるが、友達を始めることは関連していなかった。

 

さらに写真などを投稿するソーシャルアクティビティは死亡リスク低下に関連するが、メッセージ送信などは非線形の関係にあり、中等度の使用が死亡リスク低下に関連。

 

これらの結果は、オンラインでの社会的相互作用が、多種多様な重大な健康問題のリスクを低下させることにつながっていることを示唆している。現代人口の社会的および身体的健康を改善するためにオンラインソーシャルネットワークがどのように適用されるのかを理解する重要なステップとなるかもしれない。

 

[コメント]本研究でのオンライインアクティブティとはFacebookである。

Cardiovascular events and all-cause mortality associated with sulfonylureas compared to other antihyperglycaemic drugs: A Bayesian meta-analysis of survival data. Diabetes, Obesity and Metabolism. DOI: 10.1111/dom.12821

http://onlinelibrary.wiley.com/wol1/doi/10.1111/dom.12821/abstract

 

[目的]2型糖尿病患者において、SU剤の死亡リスク、心血管イベントリスクを他の糖尿病薬と比較するためのシステマティックレビュー、メタ分析。

 

[方法]Medline, Embase, Cochrane, and clinicaltrials.govをシステマティックに検索。2型糖尿病患者における、SU剤とプラセボ、または他の糖尿病薬と比較した臨床試験を対象とした。介入間のハザード比を比較するためにベイジアンフレームワークを用いて解析。観察データは従来のメタ分析で解析。

 

[結果]82のランダム化比較試験、26の観察研究が同定された。ランダム化比較試験のメタ分析では、総死亡、心血管死亡は他の治療に比べてリスク増加を示した。(総死亡:ハザード比1.2695%信頼区間1.101.44]、心血管死亡:ハザード比1.4695%信頼区間1.211.77]心筋梗塞リスクはDPP4阻害薬、SGLT-2阻害薬に比べてSU剤で高い。(ハザード比はそれぞれ、2.5495%信頼区間1.146.57]、41.8095% 信頼区間1.64360.4]脳卒中リスクもDPP4阻害薬、GLP-1作動薬、チアゾリジン、インスリンに比べてSU剤で高い。

 

[結論]このメタ分析では他の糖尿病治療薬に比べてSU剤で主要心血管疾患関連イベントと関連。進行中のRCTの結果は、2018年に入手可能であり、スルホニルウレアと他の抗高血糖剤との関連で心血管イベントや全死因死亡の危険性に関する決定的な結果が得られるだろう。

 

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