薬剤師の地域医療日誌

薬剤師が臨床や地域医療にどのように関われるか、EBMを実践しながら模索しています。このブログは個人的な勉強記録です。医学文献の2次資料データベースとして医師、看護師、薬剤師その他のスタッフや患者様に役立てれば幸いです。情報に関しては知識不足の面から不適切なものも含まれていると思われます。またあくまで個人的な意見も含まれております。掲載の情報は最新の文献等でご確認の上、運用していただければ幸いです。

ご利用ありがとうございます。個人的に気になった論文を紹介しています。

メインブログの「地域医療の見え方」(http://jp.bloguru.com/syuichiao)、「思想的、疫学的医療について」(http://syuichiao.hatenadiary.com/)もよろしくお願い致します。

ご意見、ご質問などは(syuichiao@gmail.com)までお寄せください。

Basu N.et.al. Fatigue is associated with excess mortality in the general population: results from the EPIC-Norfolk study. BMC Med. 2016 Aug 20;14(1):122. PMID: 27543008.

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27543008

 

[背景]一般的に重大な疲労は医学的助言を求める主たる理由である。しかしながら、患者が感じる彼らの訴えはしばしば重視されない。臨床医の多くは単なる疲労は良性の症状であり、古典的な生物学的予後、つまり早期死亡などとは関係ないと認識しているからである。本研究では疲労と死亡ついて、その潜在的なメカニズムを同定するために、実際に関連性が存在するかを検証するためのものである。

 

[方法]40歳~79歳の疲労を有する男女(18101例)を対象としたコホート研究。交絡因子として年齢、性別、BMI、婚姻状況、喫煙状況、教育水準、アルコール消費、社会的地位、抑うつ、身体の痛み、糖尿病、β遮断薬の使用、身体活動、食事等の情報も入手した。メカニズムに関して、ヘモグロビン、C反応性タンパク、甲状腺機能、は最大20年間の前向きに追跡した。UK Office of National Statistics.より総死亡、癌、心血管疾患のデータを確認。

 

[結果]平均16.6年の追跡期間中4397例が死亡。疲労の最高四分位では最低四分位に比べて、交絡補正後のハザード比は、総死亡1.4095%信頼区間1.251.56]であった。この関連は特に心血管疾患に関連する死亡で観察された(HR 1.45, 95 % CI 1.18-1.78)が、がんでは明確ではなかった。 (HR 1.09, 95 % CI 0.90-1.32).

 

メカニズムについて、甲状腺機能はこの関連性を減衰させるのに最も顕著な因子であった。しかし、総死亡はメカニズム因子を含む、全ての交絡補正後でも有意であった。 (HR 1.26, 95 % CI 1.10-1.45).

 

[結論]高レベルの疲労は一般人口集団において死亡のリスク増加と関連。疲労を侮ってはいけない。

Kern J.et.al. Calcium supplementation and risk of dementia in women with cerebrovascular disease. Neurology. 2016 Aug 17. [Epub ahead of print] PMID: 27534711

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27534711

 

[目的]女性における認知症の進展抑制とカルシウムサプリメントの関連性を5年間追跡し検討する。

 

[方法]人口ベース縦断研究。スウェーデンにおける前向き研究Women and H70 Birth Cohort Studyより、認知症の無い70歳~92歳の700人が対象。ベースライン20002001年、2005年~2006年まで追跡。被験者は包括的な精神、身体検査を受けた。CTスキャンはベースライン時に447例に実施。カルシムサプリメント情報を収集。認知症はDSM-III-R criteriaに基づき診断。

 

[結果]カルシウムサプリメント使用者98例は、サプリメントを使用していない602人に比べて、認知症発症リスクが高かった。(オッズ比2.1095%信頼区間1.014.37])、さらに脳卒中関連認知症(血管認知症および混合認知症)リスクが増加。(オッズ比4.4095%信頼区間1.5412.61]層別解析において、カルシウムサプリメントの摂取は脳卒中既往のある患者群で認知症リスクが高い。(オッズ比6.7795%信頼区間1.3633.75

 

[結論]カルシウムサプリメントの摂取は脳血管疾患を有する女性高齢者で認知症リスクを増加させる。規模の小さなサンプルおよび観察研究であるが故、これらの知見の検証が必要である。

Rothwell PM.et.al. Effects of aspirin on risk and severity of early recurrent stroke after transient ischaemic attack and ischaemic stroke: time-course analysis of randomised trials. Lancet. 2016 Jul 23;388(10042):365-75. PMID: 27209146

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27209146

 

[背景]アスピリンは一過性脳虚血発作や脳梗塞ごの二次予防に推奨されている。これまでの研究では脳卒中の再発を13%低下させることが示されているからだ。しかしながら、主要な脳卒中リスクはTIAや脳梗塞の直後のみに大きく増加する。観察研究によれば、実質的には、急性期において薬物治療の大きなベネフィットが観察されている。この短期ベネフィットが過小評価されているという仮説を立てた。

 

[方法]TIAや脳梗塞ごの二次予防にアスピリンもしくはコントロールを比較したすべてのランダム化比較試験から個人データをプールし、アスピリンの再発及び重症度に及ぼす影響をランダム割り付け後6週未満、612週、12週以上において解析した。

 

[結果]12研究より15778例が対象となった。脳梗塞再発は割り付け後6週で60%低下(ハザード比 0·42, 95% CI 0·32-0·55, p<0·0001) 非致死的脳梗塞、後遺症を伴う脳梗塞は70%低下(ハザード比 0·29, 0·20-0·42, p<0·0001)した。リスク低下はTIAまたは軽症脳卒中患者で顕著(ハザード比0·19, 0·11-0·34, p<0·0001).

 

[結論]TIAもしくは軽度脳卒中後のアスピリン投与は再発リスク低下のための重要な介入である。

 

[コメント]あまり詳しく読んでいないが、脳梗塞後、早期のアスピリンには短期ベネフィットが多きいと言う結果。長期ベネフィットは如何に。漫然投与例に対するベネフィットを示唆する根拠ではないことに注意。

Pulakka A.et.al. Association Between Distance From Home to Tobacco Outlet and Smoking Cessation and Relapse. JAMA Intern Med. 2016 Aug 15. [Epub ahead of print] PMID: 27533777

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27533777

 

[背景]煙草小売店の利用機会の減少は、喫煙を減らすかもしれない。しかし、この問題に関する縦断的なエビデンスは不足している。自宅から煙草小売店までの距離の変化が喫煙習慣に影響を与えるかどうか検討する。

 

[方法]データは2つの前向きコホート研究から得た。住宅、煙草小売店の住所情報と喫煙調査(20082012FSP研究53755人、20032012HeSSup研究11924に)全被験者は研究開始時に喫煙者あるいは元喫煙者であった。喫煙者の禁煙、喫煙者が元喫煙者に置き換わる予測因子として、自宅から煙草小売店までの歩行距離をロジスティック回帰分析を用いて、個人間の解析と、ケースクロスオーバーデザインによる解析を行った。主要アウトカムは禁煙もしくは元喫煙者による禁煙再開の中止

 

[結果].18歳~75歳までの20729人が対象となった。FPS HeSSup 2つのコホートにおいて、喫煙者はそれぞれ、6259人、2090人であった。元喫煙者は8959人、3421人であった。自己報告に基づく婚姻状況、職位、経済的状況の悪化、家族の病状、自身の健康状態で補正後、研究開始時、喫煙者において自宅から煙草小売店までの距離が500m増加すると、禁煙者が16%増加した。(オッズ比1.1695%信頼区間1.051.289]ケースクロスオーバー買いs系では57%の増加を示した。(オッズ比1.5795%信頼区間 1.32-1.86)なお元喫煙者の喫煙再開に関しては明確な差はなかった。

 

[結論]自宅から煙草小売店までの距離は喫煙者での禁煙を増加させるかもしれない。しかし元喫煙者の影響は見られなかった。

Korhonen P.et.al. Pioglitazone use and risk of bladder cancer in patients with type 2 diabetes: retrospective cohort study using datasets from four European countries. BMJ. 2016 Aug 16;354:i3903. PMID: 27530399

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27530399

 

[目的]2型糖尿病患者におえkるピオグリタゾンの使用と膀胱癌リスクの関連を検討する。

 

[方法]フィンランド、オランダ、スウェーデン、イギリス各国のヘルスケアデータベースを用いた、傾向スコアマッチングによる後ろ向きコホート研究。ピオグリタゾンの使用を開始した2型糖尿病患者56337人とピオグリタゾン以外の薬剤を使用していた同国の2型糖尿病患者317109人をマッチング。被験者は治療歴と傾向スコアにより1:1コホートと、1:10コホートによる2つのマッチングを行った。Cox比例ハザードモデルを用いてハザード比と95%信頼区間を算出。感度分析や層別解析も行った。

 

[結果]ピオグリタゾン使用コホートで130例の膀胱癌が平均追跡2.9年間の間に認められた。ピオグリタゾンmの使用が無いコホートでは、1:1マッチングでは153例(追跡2.8年)1:10マッチングでは970例(追跡2.9年)で膀胱癌を発症。調整ハザード比は0.9995%信頼区間0.751.30]、1.0095%信頼区間0.831.21]と明確な差はなかった。

ピオグリタゾンの試用期間増加や追跡投与量に関しても関連性を認めず。

 

[結論]ピオグリタゾンと膀胱癌リスクに明確な関連を認めない。この結果は他の研究と一致している。

 

[コメント]このテーマについてはもはや考え方をかえつもりはない。

↑このページのトップヘ