薬剤師の地域医療日誌

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Gantz I, Chen M, Suryawanshi S.et.al. A randomized, placebo-controlled study of the cardiovascular safety of the once-weekly DPP-4 inhibitor omarigliptin in patients with type 2 diabetes mellitus. Cardiovasc Diabetol. 2017 Sep 11;16(1):112. PMID: 28893244

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/28893244

 

[背景]オマリグリプチンは、日本において2型糖尿病患者の治療薬として承認されている、1週間に1回投与の経口DPP-4阻害剤である。米国におけるオマリグリプチン承認のためには、臨床開発プログラムにおいて心血管疾患に対する安全性試験が含まれている。しかし、その後において米国ではオマリグリプチンのマーケティング申請を提出しないというビジネス上の決定が下され、心血管疾患に対する安全性試験が終了してしまった。本研究では早期終了してしまった時点からのデータ分析を報告する。

 

[方法]本試験は心血管疾患を有する宇2型糖尿病患者4202例を対象とした二重盲検ランダム化比較試験で、既存の糖尿病治療に加えて、オマリグリプチン25/週とプラセボが比較された。Cox比例ハザードモデルを用いて、一次アウトカムである、心血管死亡、非致死的心筋梗塞、非致死的脳卒中の複合アウトカム(MACE)および、心不全による入院を検討した。

 

[結果]追跡期間は中央値で96週(1.1178.6)であった。一次アウトカムであるMACEは、オマリグリプチン群114/2092例(5.45%;2.96/100人年)、プラセボ群114/2100例(5.43%;2.97/100人年)で、ハザード比は1.0095%信頼区間0.771.29]であった。

 

心不全による入院はオマリグリプチン群20/2092例(0.96%;0.51/100人年)、プラセボ群33/2100例(1.57%;0.85/100人年)で、ハザード比は0.6095%信頼区間0.351.05]であった。142週後のHbA1cレベルは―0.3%[95%信頼区間‐0.46~‐0.14]と有意であった。有害事象、重篤な有害事象、有害事象による脱落は、オマリグリプチンとプラセボで同等であった。

 

[結論]心血管疾患を有する2型糖尿病患者において、オマリグリプチンはMACEおよび心不全による入院を増加させず、忍容性も良好であった。

 

[コメント]マリグリプチンは、2型糖尿病(T2DM)の治療のための経口ジペプチジルペプチダーゼ-4DPP-4)阻害剤であり、1週間に1回の投与が可能な半減期を有する。[1]オマリグリプチンは、既存の毎日服用型DPP-4阻害剤シタグリプチンと同等の効果を有することが既に示されている。[2]オマリグリプチンは、2015年以降、T2DM患者の治療薬として日本で(MARIZEVTMとして)市販されている。

 

毎日経口投与するDPP-4阻害剤のサクサグリプチン(SAVOR-TIMI 53[3]、アログリプチン(EXAMINE[4]およびシタグリプチン(TECOS[5]3つのCV安全性試験は既に完了しており、これらの研究の結果は、 これらの研究の結果は、DPP-4阻害薬クラスのCV安全性の科学的理解に寄与している。

 

標準的なケアに上乗せして11回のDPP-4阻害剤またはプラセボに対する36,500人以上の患者(11の割合)をランダム化したこれらの研究は、3つの研究すべてにおいて、MACEのハザード比(HR)のポイント推定値は約1.0であった。SAVOR-TIMI 53の予想外の発見は、心不全による入院がサクサグリプチン(3.5%サクサグリプチン対2.8%プラセボ; HR 1.27; 95%信頼区間[CI] 1.07,1.51; p = 0.007)と有意に増加したことであった。

 

本研究ではomarigliptin CV安全性試験(MK-3102-018)中止の発表から約30日後にあたる、2016513日までに発生したデータに基づいて、CVエンドポイントと非CV安全性の分析結果を報告したものである。



[1] Biftu T, Sinha-Roy R, Chen P,et.al. Omarigliptin (MK-3102): a novel long-acting DPP-4 inhibitor for once-weekly treatment of type 2 diabetes. J Med Chem. 2014 Apr 24;57(8):3205-12. PMID: 24660890

[2] Goldenberg R, Gantz I, Andryuk PJ,et.al. Randomized clinical trial comparing the efficacy and safety of treatment with the once-weekly dipeptidyl peptidase-4 (DPP-4) inhibitor omarigliptin or the once-daily DPP-4 inhibitor sitagliptin in patients with type 2 diabetes inadequately controlled on metformin monotherapy. Diabetes Obes Metab. 2017 Mar;19(3):394-400. PMID: 28093853

[3] Green JB, Bethel MA, Armstrong PW,et.al. Effect of Sitagliptin on Cardiovascular Outcomes in Type 2 Diabetes. N Engl J Med. 2015 Jul 16;373(3):232-42. PMID: 26052984

[4] White WB, Cannon CP, Heller SR, et.al.Alogliptin after acute coronary syndrome in patients with type 2 diabetes. N Engl J Med. 2013 Oct 3;369(14):1327-35.PMID: 23992602

[5] Green JB, Bethel MA, Armstrong PW,et.al. Effect of Sitagliptin on Cardiovascular Outcomes in Type 2 Diabetes. N Engl J Med. 2015 Jul 16;373(3):232-42. PMID: 26052984

Lin HF.et.al. Association of use of selective serotonin reuptake inhibitors with risk of acute pancreatitis: a case-control study in Taiwan. Eur J Clin Pharmacol. 2017 Aug 30. [Epub ahead of print] PMID: 28856398

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/28856398

 

[背景]選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)の急性膵炎との関連について報告された研究はほとんどない。この関係を調査するために、人口ベースの症例対照研究を実施した。

 

[方法]、2000年から2013年までの間に急性膵の最発を経験した4631例と、急性膵炎のない4631例の対照が無作為にサンプリングされた百万人規模の健康保険加入者コホートを用いて選択された。症例と対照は共に20-84歳で、性別、年齢、併存疾患、および急性膵炎の診断年とマッチングした。SSRIの現在使用は最後に服用したSSRIが急性膵炎の診断日より7日前と定義された。SSRIの以前使用は、最後に服用したSSRIが診断日の8日前と定義された。SSRIを使用していない患者は、SSRIを処方されていない患者と定義された。SSRIの使用に関連する急性膵炎のオッズ比(OR)および95%信頼区間(CI)を、多変量無条件ロジスティック回帰分析を用いて評価した。

 

[結果]多変量ロジスティック回帰分析の結果、急性膵炎は、SSRIを使用していない患者と比較して、SSRIの現在使用で調整OR1.795CI1.1-2.5SSRIの過去使用は統計的有意性がなく1.095CI0.9-1.2)であった。

 

[結論]SSRIの現在使用は、急性膵炎の診断と関連している。したがって、臨床医は、現在SSRIを服用している患者にのいて、明確な原因がない急性膵炎の診断を受けている患者の間で、SSRI関連急性膵炎の可能性を考慮する必要がある。

Khan MS.et.al. Renin-angiotensin blockade in heart failure with preserved ejection fraction: a systematic review and meta-analysis. ESC Heart Fail. 2017 Sep 4. . [Epub ahead of print] PMID: 28869332

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/28869332

 

[背景]HFpEF患者のアンギオテンシン変換酵素阻害剤(ACE-Is)およびアンギオテンシン受容体遮断薬(ARB)の研究では、矛盾した結果が得られている。

 

[方法]

HFpEF患者におけるACE-IおよびARBに関するシステマティックレビューおよびメタアナリシスを行うため、PubMedOvid SPEmbaseおよびCochraneデータベースを検索して、HFpEF患者を対象にACE-IもしくはARBと、プラセボもしくは標準療法とを比較したランダム化試験および観察研究を同定した。ランダム効果モデルを使用してデータをプールし、含まれている研究の異質性を評価するためにI2テストを実施した。

 

[結果]合計13研究(介入群= 8676および対照群= 8608)が解析対象となった。ACE-IおよびARBn = 6)のランダム化比較試験のプール分析では、全死因死亡率に影響はなかった[相対リスク(RR= 1.02,95%信頼区間(CI= 0.93-1.11P = 0.68 I2 = 0]、観察研究の結果は有意な改善を示した(RR = 0.91,95CI = 0.87-0.95P = 0.005I2 = 81.5%)。

 

すべての研究のプール分析では、ACE-Iは全原因死亡率の減少を示した(RR = 0.91,95CI = 0.87-0.95P = 0.01)。心血管死亡率の低下は見られなかったが、ランダム化比較試験のプール分析では、入院リスクの低下傾向がみられた(RR = 0.91,95CI = 0.83-1.01I2 = 0%、P = 0.074)。

 

[結論]これらのACE-IおよびARBが、HFpEFを有する患者の転帰を改善する役割を有し得ることを示唆している。

 

 

Borne RT.et.al. Adherence and outcomes to direct oral anticoagulants among patients with atrial fibrillation: findings from the veterans health administration. BMC Cardiovasc Disord. 2017 Sep 2;17(1):236. PMID: 28865440

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/28865440

 

[背景]直接的経口抗凝固剤(DOAC)は、非弁性の心房細動(AF)を有する中等度から高リスクの患者の脳卒中のリスクを低減する。しかし、実世界における定期的な薬剤使用に関して懸念が残っている。本研究では処方のアドヒアランスパターンと、DOACの処方を受けているAF外来患者のアドヒアランスとアウトカムの関連を検討した。

 

[方法]本研究では、201011月から20151月までの間に、dabigatranrivaroxabanapixabanで新規治療を開始したCHA2DS2-VAScスコアが2以上の非弁性AFを対象にうしろむきコホート研究(退役軍人コホート)を行った。服薬アドヒアランスは、薬局データを用いて、服薬カバー率治療(PDC)によって推定された。全原因死亡および脳卒中を含む臨床アウトカムは6ヶ月後に測定され、各DOACのアドヒアランスの評価尺度のために使用された。

 

[結果]合計2882人の患者が解析対象となった。 ほとんどの患者がリバロキサバン(19.8%)やアピキサバン(7.5%)と比較してダビガトラン(72.7%)を処方されていた。平均PDCは、ダビガトランで0.84±0.20、リバロキサバンで0.86±0.18、アピキサバンで0.89±0.14であった(p <0.01)。ノンアドヒアランス患者PDC <0.80)は、全員で27.6%であり、DOACに伴い変化した。ダビガトランへの服薬アドヒアランス低値は、死亡率および脳卒中のリスクが高いことと関連していた(PDC0.10低下するにつれて、HR 1.07; 1.03-1.12)。

 

[結論]服薬アドヒアランスの低下は、死亡率および脳卒中リスクの上昇と関連していた。 アウトカムを改善するためには、ノンアドヒアランス患者を特定する努力と標的指向の介入が必要である。

Waljee AK.et.al. Short term use of oral corticosteroids and related harms among adults in the United States: population based cohort study. BMJ. 2017 Apr 12;357:j1415. PMID: 28404617

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/28404617

 

[背景]経口ステロイドの短期使用と、その使用に関連する有害事象(敗血症、静脈血栓塞栓症、骨折)の頻度を検討する。

 

[方法]18歳から64歳の成人を対象とした後ろ向きコホート研究および、セルフコントロールドケースシリーズ解析。経口ステロイドの短期使用は30日未満と定義。ステロイド使用者および非使用者における有害事象の発生率を算出し、薬物開始後30日および31-90日のリスク期間内の有害事象の発生率比を検討。

 

[結果]3年間において1 548 945人のうち、327 452人(21.1%)が経口ステロイドを短期使用した。ステロイドの使用は高齢者、女性、白人種では地域差が有意に高かった(P <0.001)。使用の最も一般的な適応症は、上気道感染、脊髄の症状、およびアレルギーであった。処方箋は様々な専門医によって提供されました。

 

薬物開始30日以内に、敗血症(発生率比5.30,95%信頼区間3.807.41)、静脈血栓塞栓症(3.33,2.783.99)、骨折(1.87,1.672.07)の増加がみられた 。続く31-90日間でリスクは減少した。増加したリスクは、20mg /日未満のプレドニゾン等価用量(敗血症では4.02、静脈血栓塞栓症では3.61、骨折では1.83;すべてP <0.001)で持続した。

 

[結論]5人に1人のアメリカ人の成人が、3年の間に経口ステロイドの短期使用の処方をうけ、有害事象のリスクが高まった。

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