薬剤師の地域医療日誌

薬剤師が臨床や地域医療にどのように関われるか、EBMを実践しながら模索しています。このブログは個人的な勉強記録です。医学文献の2次資料データベースとして医師、看護師、薬剤師その他のスタッフや患者様に役立てれば幸いです。情報に関しては知識不足の面から不適切なものも含まれていると思われます。またあくまで個人的な意見も含まれております。掲載の情報は最新の文献等でご確認の上、運用していただければ幸いです。

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Tu JV.et.al. Regional variations in ambulatory care and incidence of cardiovascular events. CMAJ. 2017 Apr 3;189(13):E494-E501.PMID: 28385894

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/28385894

 

[背景]従来の典型的な心臓リスク因子の変化は、心血管疾患の発生率の地理的変動を部分的にしか説明していない。 本研究では、予防的外来ヘルスケアサービスが心血管イベント発生率の地理的変動に、どれくらい寄与するか検討した。

 

[方法]本研究ではカナダオンタリオ州の40歳から79歳の550万人を対象としたコホート研究で、20081月までにおいて、心血管疾患による入院の無い人が対象となった。一次アウトカムは、5年間の追跡における主要な心血管イベント(心筋梗塞、脳卒中、心血管関連死亡)の発症とした。我々は、地方健康統合ネットワーク(LHIN)と呼ばれる14の保健サービス地域において、患者の人口統計、心臓リスクファクター、および外来医療サービスを比較し、心血管イベント発生率の地域的変動に対するこれらの変数の寄与を評価した。

 

[結果]LHINにおける全体の心血管イベント発生率は、1000人年あたり3.2から5.7であった。 高発症率の地域住民と比較して、低発症率の地域住民では、医師の診察をより頻繁に受け(年間平均家庭医受診4.2 v. 3.5 リスク因子のスクリーニングをより頻繁に受けていた。低発症率の地域住民では、コレステロール(51.8vs49.6%、p = 0.03)および高血圧(67.4vs53.3%、p = 0.04)の治療標的を達成する可能性が高かった。

 

[結論]予防的な外来医療サービスは、心血管イベント発症率が低い地域でより頻繁に提供された。予防ケアへのアクセスを改善するようなヘルスケアシステム介入は心血管アウトカムを改善する可能性がある。

Du H.et.al. Fresh fruit consumption in relation to incident diabetes and diabetic vascular complications: A 7-y prospective study of 0.5 million Chinese adults. PLoS Med. 2017 Apr 11;14(4):e1002279. PMID: 28399126

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/28399126

 

[背景]新鮮な果物の摂取による健康上のメリットは十分に認識されてはいるものの、糖尿病の発症や糖尿病患者における死亡や重大な血管合併症リスクに対する潜在的な影響に関しては不明な部分もある。

 

[方法]20046月から20087月までの間において、中国の10地域から30-79歳(平均51歳)の成人を研究対象(50万人)とした。(nationwide China Kadoorie Biobank study

 

[結果]約7年間の追跡期間医おいて、、ベースライン時に(以前に診断された、またはスクリーニングされた)糖尿病のない482,591人のうち、9,504の新規糖尿病症例が記録され、これは1,000人年あたり2.8人の発生率であった。

 

ベースライン時において既に糖尿病であった患者30,300人(5.9%)のうち、3,389人の死亡(全体の死亡率は1,000人当たり16.5)、9746例の大血管疾患、1345例の細小血管疾患が記録された。性別、地域、社会経済的地位、他のライフスタイル因子、体格指数、および糖尿病の家族歴などの潜在的交絡因子で調整後、各疾患の転帰と自己報告された果実の消費とを関連付けるハザード比(HR)が算出された。

 

全体として18.8%の患者が毎日果物を摂取しており、6.4%がめったに摂取しないかまたったくし摂取しない非摂取者であった。

 

ベースライン時、糖尿病を発症していない患者では、果物非摂取者に比べて、果物摂取者で糖尿病発症リスクが低かった。(調整ハザード比0.8895%信頼区間0.830.93]明らかな量反応関係を認める。

 

ベースライン時、糖尿病を発症している患者では、果物1100gあたり、死亡(0.83 [95% CI 0.74-0.93])最小血管合併症(0.72 [0.61-0.87])、大血管合併症(0.87 [0.82-0.93])の各リスク低下に関連。

 

この研究の主な限界は、その観察的性質のために、残存交絡の影響を完全に排除することができなかったことである。
 

Zhang S.et.al. Mushroom Consumption and Incident Dementia in Elderly Japanese: The Ohsaki Cohort 2006 Study. J Am Geriatr Soc. 2017 Mar 13. [Epub ahead of print] PMID: 28295137

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/28295137

 

[背景]インビボおよびインビトロの両方の研究により、食用キノコが認知機能障害に対する予防効果を有する可能性があることが示されている。 しかし、キノコの摂取と認知症の関連については、コホート研究ではまだほとんど検討されていない。本研究では日本人高齢者におけるキノコ摂取と認知症の関連について検討した。

 

[方法]大崎コホート研究2006(前向きコホート研究)大崎市在住の65歳以上の高齢者13,230人を対象に毎日のキノコの摂取量、その他の生活習慣因子、および認知症の発生率を検討。

 

[結果]5.7年の追跡期間中、認知症発症率は8.7%であった。キノコの摂取が週1回未満と比べて、週に1から2回では認知症ハザード比 0.95 (0.81, 1.10)、週3回以上では0.81 (0.69, 0.95),であった。(P-trend <.01). この逆相関は、認知症イベントが最初の2年間のフォローアップで発生し、ベースライン認知機能がより低い参加者を除外した後も持続した。 逆相関は、野菜消費に関して統計的な差を認めず。

 

[結論]このコホート研究は、キノコの摂取頻度が高いとは、交絡因子の調整後でさえ、認知症のリスクが低いことと有意に関連していることを示唆している。

 
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Schoedel KA.et.al. Assessment of the Abuse Potential of the Orexin Receptor Antagonist, Suvorexant, Compared With Zolpidem in a Randomized Crossover Study. J Clin Psychopharmacol. 2016 Aug;36(4):314-23. PMID: 27253658

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27253658

 

Suvorexantは、最大用量20mgで不眠症を治療する米国と日本で承認されたオレキシン受容体拮抗薬である。この無作為化二重盲検クロスオーバー試験では、危険薬物使用の経験がある36人の健常者を対象にsuvorexantの乱用可能性を評価した。

 

処置間に10日間のウォッシュアウトを伴って、単回用量のスボレキサント(40,80および150mg27.5倍の最大用量)、ゾルピデム(15および30mg1.53倍最大用量)およびプラセボを投与した。視覚的アナログスケール(VAS)、中毒研究センターの目録、および認知/精神運動検査を含む主観的および客観的尺度は、投与24時間後に評価された。

 

Suvorexantは、プラセボよりもVAS(プライマリーエンドポイント)の「薬物嗜好」に対して有意に大きなピーク効果を示した。

 

スボレキサントの潜在的な乱用評価はゾルピデムと類似していたが、ゾルピデムではより高用量で大きな影響を及ぼした。

 

陶酔感や幻覚などの乱用に関連する有害事象の発生率は、ゾルピデムよりもsuvorexantのほうが数値的に低かった。これは、suvorexantの全体的な乱用がzolpidemよりも低い可能性があることを示唆しているが、実際の乱用状態は市販後に評価される。

Zoungas S.et.al. Effects of intensive glucose control on microvascular outcomes in patients with type 2 diabetes: a meta-analysis of individual participant data from randomised controlled trials. Lancet Diabetes Endocrinol. 2017 Mar 29. [Epub ahead of print] PMID: 28365411

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/28365411

 

 

[背景]厳格な血糖コントロールは、2型糖尿病の成人における合併症を予防すると理解されている。本研究では、より厳格な血糖コントロールが標準的なコントロールと比較して、細小血管合併症リスクに及ぼす影響を正確に推定することを目的とした。

 

[方法]このメタ分析では、2型糖尿病患者を対象として、少なくとも1000人年追跡した研究で、最低でも平均2年間追跡した、より厳格な血糖コントロールと標準的な血糖コントロールを比較したランダム化比較試験を解析対象とした。

 

事前に定義されまた標準化されたプライマリアウトカムは、腎臓イベント(末期腎臓病、腎臓死死亡、eGFR<30 mL/min per 1·73m2または顕性糖尿病性腎症の発症の複合アウトカム)、眼イベント (網膜光凝固療法または硝子体切除術の必要性、増殖性網膜症の発症、または糖尿病性網膜症の進行の複合アウトカム)、神経イベント(新規の振動感覚、足首反射もしくは軽い接触感覚の喪失の複合アウトカム)。

 

[結果](ACCORD, ADVANCE, UKPDS, VADTに参加した27049人を解析対象とした。追跡調査期間(中央値5.0年)において、1626件の腎臓イベント、795件の眼イベント、および7598件の神経イベントが記録された。標準的な血糖コントロールと比較して、より厳格な血糖コントロールは、追跡終了時点でHbA1c平均-0.90%(95CI -1.22-0.58)の絶対差をもたらした。腎臓イベントは相対危険で20%減少(ハザード比0.8095%信頼区間0.720.88]、眼イベントは13%減少(ハザード比0.8795%信頼区間0.761.00]、しかし神経イベントは減少せず(ハザード比0.9895%信頼区間0.871.09

 

[結論]5年間にわたるより厳格な血糖コントロールにより、腎臓イベントおよび眼イベントが減少した。 血糖コントロールは、2型糖尿病の成人における長期の微小血管合併症の予防にとって重要なままである。

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