薬剤師の地域医療日誌

薬剤師が臨床や地域医療にどのように関われるか、EBMを実践しながら模索しています。このブログは個人的な勉強記録です。医学文献の2次資料データベースとして医師、看護師、薬剤師その他のスタッフや患者様に役立てれば幸いです。情報に関しては知識不足の面から不適切なものも含まれていると思われます。またあくまで個人的な意見も含まれております。掲載の情報は最新の文献等でご確認の上、運用していただければ幸いです。

ご利用ありがとうございます。個人的に気になった論文を紹介しています。

メインブログの「地域医療の見え方」(http://jp.bloguru.com/syuichiao)、「思想的、疫学的医療について」(http://syuichiao.hatenadiary.com/)もよろしくお願い致します。

ご意見、ご質問などは(syuichiao@gmail.com)までお寄せください。

2012年02月

Hypnotics' association with mortality or cancer:

a matched cohort study


BMJ Open 2012;2:e000850 doi

:10.1136/bmjopen-2012-000850

http://bmjopen.bmj.com/content/2/1/e000850.short?g=w_open_current_tab

睡眠薬と死亡率・癌の関係をコホートで調査

200211日~2006930日までに、

1種類以上の睡眠薬の処方を受けた10,531名の患者と

睡眠薬の非使用者23,674名を比較

フォローアップ期間は約2.5


睡眠薬の年間の処方料,と死亡率HR95CL

0.4–18/,   3.60 (2.92 to 4.44)

18–132/年  4.43 (3.67 to 5.36)

>132/年    5.32 (4.50 to 6.30)


年に18錠未満の睡眠薬処方患者でさえ、

死亡リスクは高く3.60 (2.92 to 4.44)

衝撃の結果。

投与量に応じてさらに死亡率増加する。


発癌のリスクは

睡眠薬18132錠剤/年で35%ほど全体的にがん増加。

HR=1.35 (95% CI 1.18 to 1.55).


薬剤の選択に影響を及ぼすバイアスが未知数であることや

交絡因子の除外が不十分であること、などを差っ引いても

この結果を軽く受け流すにはあまりにも衝撃的。

 

 

 

 

 

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Statin Use and Risk of Depression in Patients

With Coronary Heart Disease: Longitudinal Data

 From the Heart and Soul Study

 

J Clin Psychiatry 10.4088/JCP.11m07038

http://article.psychiatrist.com/dao_1-login.asp?ID=10007753&RSID=396549162638

 

外来CHD患者の965例について

スタチン使用患者とうつ病発症リスクについて調査。

 

ベースライン時の

スタチン使用患者は629

(平均年齢67.5歳,男性84%),

非使用患者は336

(平均年齢65.1歳,男性75%)

うつ病の既往は

スタチン使用患者27%,

非使用患者34

 

スタチン使用とうつ病の関連

スタチン使用の有無別にPHQスコアを比較

 

ベースライン時の平均PHQスコアは,

スタチン使用患者4.8

非使用患者5.9

使用患者で有意に低い(P0.01

 

ベースライン時に抑うつ症状が認められなかった

PHQスコア10未満)776人について

スタチン使用によるPHQスコア10以下との

関連について補正後OR 0.6295CI 0.410.95P0.026

After we adjusted for potentially confounding variables,

 statin use remained associated with a 38% decreased

 odds of subsequent depression

 (adjusted OR, 0.62; 95% CI, 0.41–0.95; P = .02)

 

スタチン使用のCHD患者は,

非使用患者に比べて抑うつ症状が3438%の減少する

 

スタチン系薬剤・・動脈硬化予防効果 

心血管イベント抑制効果、

COPDによる死亡リスク低下 

感染症関連死の抑制などなど

スタチンというのは、観察研究では実に様々

な効果を示している不思議な薬剤。

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ピオグリタゾンと膀胱癌問題 再考

PROactiveLancet 2005;366:1279)について

触れたので、少しまとめてみます。


P: HbA1c6.5%

大血管障害を持つ3575歳の2型糖尿病患者

E: pioglitazoneを追加

C: placeboと比較

O: *primary(複合エンドポイント) 

総死亡,非致死的心筋梗塞,脳卒中,

急性冠症候群,冠動脈や下肢動脈への治療,

足首より上の下肢切断術のいずれかが最初に起こる

   *Secondary

main secondary endpoint):総死亡,心筋梗塞,

脳梗塞のいずれかが最初に起こる.

心血管死

primary outcomeの個々の項目


ランダム化、Baseline同等

ITT解析 double blind 

サンプルサイズ5000人で十分

追跡期間は平均34.5ヶ月。


(primary endopoint)

HR 0.900.801.02),p=0.095

有意差はなく,pioglitazoneでは

心血管イベントへの効果不明


(Main secondary endpoint)

総死亡,心筋梗塞(無症候性心筋梗塞を除く),

脳卒中のいずれかが最初に起こる

HR 0.840.720.98),p=0.027  NNT 5034.5ヶ月)

有意差はあり。


個々のendpointについては,一つも有意な差がない。


primary endpointは偶然の影響が最も少ない。

しかしながらSecondary

サブ解析は偶然の影響を受けやすく

特に有意差検定を横並びで何個もかけた場合、

有意水準0.05は厳密に適応できず

ボンフェローニ補正をかける必要がある。

5項目検定をかければ

有意水準は0.05/50.01となり

個々のアウトカムはP=0.05で有意とは言えない

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Lancet2005; 366: 1267-1278

Efficacy and safety of cholesterol-lowering treatment

14件のランダム化比較試験(RCT)のメタ解析

all-cause mortality per mmol/L reduction in LDL cholesterol

(RR 0.88, 95% CI 0.84-0.91; p<0.0001).

coronary mortality (0.81, 0.76-0.85; p<0.0001),

non-coronary vascular mortality (0.93, 0.83-1.03; p=0.2)

non-vascular mortality (0.95, 0.90-1.01; p=0.1).

LDL-C38.7mg/dL1mmol/L)低下させることにより、

総死亡、動脈硬化性疾患が有意に低下。

 

Association between serum cholesterol

 and noncardiovascular mortality in older age

J Am Geriatr Soc 2011; 59: 1779-1785

ロッテルダムの前向きコホート

年齢・性で調整後の心血管死以外の死亡とTCの関係は,

TC38.61mg/dL1mmol/L)上昇するごとに

死亡率が12%減少していた

(HR) = 0.88, 95% (CI) = 0.84-0.92, P < .001

コレステロールが高くなるほど

心血管死以外の死亡率が低下する

 

Cholesterol lowering and mortality

: the importance of considering initial level of risk

BMJ. 1993 May 22;306(6889):1367-73.

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed?term=8518602%20

high initial risk of coronary heart disease

(odds ratio 0.74; 95% confidence interval 0.60 to 0.92).

In a medium risk group no net effect was seen,

and in the low risk group
 there were adverse treatment effects

(1.22; 1.06 to 1.42).

コレステロール低下療法を行うと、

高リスク群においては総死亡

や冠動脈疾患による死亡が少ないが、

低リスク群では冠動脈疾患以外の

死亡と総死亡が多いというメタ解析

 

コレステロールを下げるべきか,上げるべきか

スタチンによる心血管疾患の相対リスク減少は

数々のエビデンスで確立されている。

しかしすべての日本人が,

スタチンを使用してまで心血管イベントのリスク減少を

目指すことに意義があるかどうかということに注目すべきである


(参考)
MEGA studyのこと (EBMへ導いた論文) ①

MEGA studyのこと (EBMへ導いた論文) ②

コレステロールと死亡リスク

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Association of Age and Sex

 With Myocardial Infarction Symptom Presentation

and In-Hospital Mortality.

JAMA. 2012;307(8):813-822.

http://jama.ama-assn.org/content/307/8/813.abstract

 

 心筋梗塞患者1 143 513

481 581 women and 661 932 men).

を対象に

年齢、性別、胸痛の有無と

院内死亡率hospital mortalityの関連をで調査。

女性は男性に比べ胸痛のない患者の割合が有意に高い

(42.0% [95% CI, 41.8%-42.1%]

vs 30.7% [95% CI, 30.6%-30.8%]; P < .001).

 

胸部痛発症の多変量調整後の年齢別

(女性vs男性補正オッズ比)

45歳以下 1.30 (95% CI, 1.23-1.36)

45 to 54 ; 1.26 (95% CI, 1.22-1.30)

55 to 64 ; 1.24 (95% CI, 1.21-1.27)

65 to 74 ; 1.13 (95% CI, 1.11-1.15)

75歳以上 1.03 (95% CI, 1.02-1.04)

 

無胸痛女性vs無胸痛男性比較・

心筋梗塞後死亡補正オッズ比

45歳以下;1.18 (95% CI, 1.00-1.39)

45 to 54 1.13 (95% CI, 1.02-1.26)

55 to 64 1.02 (95% CI, 0.96-1.09)

65 to 74 ;0.91 (95% CI, 0.88-0.95)

75歳以上;0.81 (95% CI, 0.79-0.83)

 

院内死亡率は女性14.6%、男性10.3%で、

男女差は年齢とともに縮小、65-74歳で逆転した

 

若年女性において胸痛が少ない

ということはその年代で

心筋梗塞を疑う確率も低いわけで

それゆえ死亡率が高くなるのかもしれない。

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