薬剤師の地域医療日誌

薬剤師が臨床や地域医療にどのように関われるか、EBMを実践しながら模索しています。このブログは個人的な勉強記録です。医学文献の2次資料データベースとして医師、看護師、薬剤師その他のスタッフや患者様に役立てれば幸いです。情報に関しては知識不足の面から不適切なものも含まれていると思われます。またあくまで個人的な意見も含まれております。掲載の情報は最新の文献等でご確認の上、運用していただければ幸いです。

ご利用ありがとうございます。個人的に気になった論文を紹介しています。

メインブログの「地域医療の見え方」(http://jp.bloguru.com/syuichiao)、「思想的、疫学的医療について」(http://syuichiao.hatenadiary.com/)もよろしくお願い致します。

ご意見、ご質問などは(syuichiao@gmail.com)までお寄せください。

2012年06月

コーヒー摂取と死亡リスクの関連はN Engl J Med 2012; 366:1891-1904で報告があった。

喫煙状況等による補正後は、有意にコーヒー飲料者で死亡が減少。

(参考)http://blog.livedoor.jp/ebm_info/archives/7135772.html


さらにコーヒーと心不全の関連についての報告

Habitual Coffee Consumption and Risk of Heart Failure

: A Dose-Response Meta-Analysis

CIRCHEARTFAILURE.112.967299

Published online before print June 26, 2012, doi: 10.1161/

http://circheartfailure.ahajournals.org/content/early/2012/06/26/CIRCHEARTFAILURE.112.967299.abstract


前向きコホート研究のメタ分析で検証。

コーヒー消費と心不全イベントの間にJ字型の関連。

1日のコーヒーを消費が1杯未満の場合と比べた心不全の相対リスク

12杯未満 :0.9695%CI 0.900.99

23杯未満 :0.9395%CI 0.860.99

34杯未満 :0.9095%CI 0.820.99

45杯未満 :0.8995%CI 0.810.99

1011杯未満:1.0195%CI 0.901.14

11杯      1.0395%CI 0.891.19


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Low carbohydrate-high protein diet and incidence of cardiovascular diseases in Swedish women: prospective cohort study

BMJ 2012; 344 doi: 10.1136/bmj.e4026 (Published 26 June 2012)

Cite this as: BMJ 2012;344:e4026

http://www.bmj.com/content/344/bmj.e4026


3149歳のスウェーデン・ウプサラ地方の女性43,986人を対象に

糖質と蛋白質の摂取のエネルギー量複合スコアと心血管疾患の関係を

前向きコホートで検証。追跡期間:15.7年間


糖質と蛋白質の摂取をエネルギー量によって10段階に分け

糖質摂取が最も少ない場合と蛋白質摂取が最も多い場合をそれぞれスコア10とし

両者を加算した複合スコア上昇あたりのCVDイベント発症率を算出。

低糖質スコアの1増加=1日当たりの糖質摂取の約20g減少

高蛋白質スコアの1増加=蛋白質摂取の約5g増加


糖質スコアの増加1当たり :IRR 1.0495CI 1.001.08

高蛋白質スコアの増加1当たり:IRR  1.0495%CI 1.021.06

複合スコアの増加2当たり  :IRR 1.0595CI 1.021.08


糖質が減るとCVDイベント発症リスクに関連。

極端な糖質制限は心血管系にあまりよくないアウトカムをもたらすのか。

一方で糖質(穀物)と糖尿病の関連は以前にも報告がある。


BMJ 2012; 344 doi: 10.1136/bmj.e1454 では

白米摂取と糖尿病リスクが示唆されていた。

(関連)http://blog.livedoor.jp/ebm_info/archives/4252216.html

白米の消費量の最高消費群を最低消費群と比べた

2型糖尿病の集積相対リスク

RR 1.2795CI 1.041.54

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パキシルCR錠が発売となった。http://paxil.jp/medical/paxil_cr/index.php

もともと11回の薬剤なのに何故CRなんだろうと思っていたが。

CR錠のポイントを以下にまとめる。


*臨床効果(HAM-Dスコア)

Psychiatry Clin Neurosci 2011657):655-663

P:DSM--TRにて大うつ病性障害と診断された患者416例に

E:パキシルCR錠群:1112.5mgまたは25mgより投与を開始し

、その後50mg/日まで漸増

E:パキシル錠群:111020mgより投与を開始し、40mg/日まで漸増

C:プラセボ

O:ハミルトンうつ病評価尺度(HAM-D)合計スコアの減少度

RCT投与8週間で、パキシル錠と同等の効果。


*悪心発現率

J Clin Psychiatry 2002637):577-584

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed?term=12143913

P:DSM-Ⅳにて大うつ病性障害と診断され、

HAM-D17項目合計スコアで20点以上を満たす1865歳の患者640

E:パキシルCR錠群1125mgより投与を開始し、その後62.5mg/日まで漸増

E:パキシル錠群は1120mgより投与を開始し、50mg/日まで漸増

C:プラセボ

O:有害事象発現率


主な有害事象

・プラセボ:悪心14.2%、傾眠8.1%、下痢7.1%、感染症6.2

・パキシルCR錠:射精障害26.9%、悪心23.6%、傾眠23.1%、浮動性めまい19.3%

下痢18.4%、便秘・女性生殖器障害各10.4%、

感染症9.4%、振戦7.1%、発汗6.6

・パキシル錠:悪心30.9%、射精障害23.9%、傾眠21.7%、浮動性めまい16.6%、

下痢13.4%、感染症12.4%、便秘12.0%、発汗9.7%、

振戦6.9%、女性生殖器障害5.3


投与1週後の悪心の発現率はパロキセチン錠で23%

パロキセチンCR錠で14%と有意に少ない。p < or = .05

またCR錠は有害事象による脱落率もプラセボと同等


*治療継続率

Manag Care Interface 20031612):22-27

治療継続率もCR錠のほうが高いことが観察研究で示唆されている


最初は明らかに後発品対策なのだろうと思っていたが、

海外ではすでに発売されており、既存薬剤のこのような“モデルチェンジ”

は適応追加でお茶を濁すような後発品対策なんかよりよっぽど良い。

ただし一つ問題が。。効能効果は「うつ病・うつ状態のみ。」

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Cefepime: Label Change- Risk of Seizure in Patients Not Receiving Dosage Adjustments for Kidney Impairment

06/26/2012 - Drug Safety Communication3 - FDA

http://www.fda.gov/Safety/MedWatch/SafetyInformation/SafetyAlertsforHumanMedicalProducts/ucm309822.htm

 

FDAから腎機能低下例にセフェピム使用する際の

用量調節に関する注意が発信されています。

セフェピムは腎機能低下例において

非痙攣性てんかん重積状態(NCSE)を発症する場合があることが知られています。

FDAは有害事象報告システム(AERS)の解析から

NCSEのリスク最小化対策に関する記載の内容が

遵守されていないことを指摘しています。

 

19962012年の16年間で、NCSEは合計59例報告。

そのうち

58例が腎機能の低下した患者に発現。

また56例が腎機能低下の程度による抗菌薬の用量調節を受けていなかった。

43例がセフェピムの中止または血液透析により回復。

しかしながら3例は重篤な神経障害後遺症を残した

 

FDAはクレアチニンクリアランス60mL/分以下の患者に対して、

セフェピムの用量を調節することで

非痙攣性てんかん重積状態を予防できると注意喚起している。

 

セフェピムは通常、院内で使用され

薬局外来で目にする機会はほとんど無いと思うが

退院後、通院にてセフィピムの服用を継続しているケースもあるかもしれない。

セフェピム使用中の患者において意識障害、混乱、反応の減弱などのアセスメント

は重要である。

なおNCSEの症状が疑われる場合は救急措置が必要であることを肝に銘じたい。

発作発症例の大部分において、

症状は可逆的かつ同薬の中止あるいは血液透析により回復しているという。

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Ciprofloxacin for 7 days versus 14 days in women with acute pyelonephritis: a randomised, open-label and double-blind, placebo-controlled, non-inferiority trial

Lancet, Early Online Publication, 21 June 2012.

doi:10.1016/S0140-6736(12)60608-4

http://www.thelancet.com./journals/lancet/article/PIIS0140-6736(12)60608-4/abstract


急性腎盂腎炎は成人の女性においてよくみられる感染症です。

しかし、その治療に関する試験は不足しており、

抗菌薬治療の最適の期間は適切に定義されていません。

私たちは、女性の急性腎盂腎炎において

7日間と14日間シプロフロキサシン投与の効能を比較しました。


スウェーデンにおいて妊娠していない急性腎盂腎炎の推定診断をされた

18歳以上の女性(248例)を対象に

経口シプロフロキサシンを500mg 12回を7日間服用群(122例)

14日服用群(126例)にランダム化。


1週目はオープンラベル。

2週から二重盲検プラセボ対照。

それは乱数コードによってシプロフロキサシン500mg12回の継続投与群

とプラセボ投与群に分けられた。

患者、介護者、サイト調査者およびトライアル調整中心スタッフは、盲検化


主要評価項目: 10-14日後の臨床・細菌学の結果


短期臨床治癒率

7日間投与群97% 71 (97%) patients treated

14日間投与群96% 80 (96%) treated

difference −0·9%; 90% CI −6·5 to 4·8; p=0·004; non-inferiority test


長期累積治癒率は両群とも93

68 of 73 vs 78 of 84; −0·3%; −7·4 to 7·2; p=0·015

粘膜カンジダ感染症は7日間群0人、14日間群5人で見られた。


急性腎盂腎炎の治療にシプロキサシンを使用する場合、
標準治療は14日と言われているが、
今回の報告では7日間投与でも効果があるという結論。

私の地域のキノロン耐性大腸菌は約3割程度ということでした。

したがって何でもかんでもキノロンという思考停止はよくないですが、

投与日数に関しては7日間でも有効性に差はなさそうです。

(関連)ST合剤と尿路感染症http://blog.livedoor.jp/ebm_info/archives/9818603.html

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