薬剤師の地域医療日誌

薬剤師が臨床や地域医療にどのように関われるか、EBMを実践しながら模索しています。このブログは個人的な勉強記録です。医学文献の2次資料データベースとして医師、看護師、薬剤師その他のスタッフや患者様に役立てれば幸いです。情報に関しては知識不足の面から不適切なものも含まれていると思われます。またあくまで個人的な意見も含まれております。掲載の情報は最新の文献等でご確認の上、運用していただければ幸いです。

ご利用ありがとうございます。個人的に気になった論文を紹介しています。

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2013年07月

「論文採用基準外」:横断的研究”

医療におけるプラセボ治療の容認性について米国の患者を対象とした電話調査の報告です。

【文献タイトル・出典】

Patients' attitudes about the use of placebo treatments: telephone survey.

BMJ.2013 Jul 2;347:f3757PMID:23819963

【論文は妥当か?】

研究デザイン:電話調査による横断的調査

[Patient] 少なくとも半年前より慢性的な健康問題のためプライマリケア医を受診した北カルフォルニアの18歳から75歳の患者853

【結果は何か?】

■医師からのプラセボ治療の提案を容認するとした患者は50-84

■容認できないは21.9

【結果は役に立つか?】

患者は医師がプラセボの使用を率直に説明することを評価し、逆に不透明さは患者医師間の関係を悪化させると考えていた。という結果です。この報告では多くの患者が、プラセボ治療の考え方に良好なようです。

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夜勤する女性と乳がんリスクの関連を調査した症例対照研究です。先行研究では看護師のみを対象にしたものが多かったようですが、様々な職種での検討です。

【文献タイトル・出典】

Increased risk of breast cancer associated with long-term shift work in Canada

Occup Environ Med. 2013 Jul 1. [Epub ahead of print] PMID:23817841

【論文は妥当か?】

研究デザイン:症例対照研究

[Patient]夜勤に従事する情勢(症例、対照とも各群の三分の一が夜勤経験者)

症例:乳がん発症者1134

対照:年齢でマッチングした1179

[Exposure]夜勤

[Comparison]夜勤なし

[Outcome]乳がん発症

■調整した交絡因子:抄録に記載なし

【結果は何か?】

 ■30年以上夜勤を続けた女性では、乳がんリスクが上昇する

  オッズ比:2.21, 95% 信頼区間 1.14 to 4.31
 ■14年以内、あるいは15歳から29歳までに夜勤を経験していない女性では関連は見られなかった。
【結果は役に立つか?】

職業別では医療関係者とそれ以外でリスクの差異は見られなかったようです。長期間の夜勤と乳がんリスクが関連しているとしていますが、調整した交絡因子の詳細が分からず、この情報のみでは結論しがたいです。

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イントロダクションから「これまでの研究では、制酸薬での胃酸抑制が、酸に不安定な食品タンパク質に対するアレルギー反応を促進することが示されている。しかしながら、制酸薬が薬物過敏反応と関連するかは示されていない。胃液分泌を強力かつ長時間阻害するプロトンポンプ阻害薬(PPI)による胃酸抑制が入院中の患者において薬物過敏反応の原因となる可能性があるかどうかを検討した。」

プロトンポンプ阻害薬で治療された入院患者における薬物過敏症反応の危険性を推定するための研究です。

【文献タイトル・出典】

Proton pump inhibitors are associated with hypersensitivity reactions to drugs in hospitalized patients: a nested case-control in a retrospective cohort study.

Clin Exp Allergy. 2013 Mar;43(3):344-52. PMID:23414543

【論文は妥当か?】

研究デザイン:レトロスペクティブコホート研究におけるコホート内症例対照研究

[Patient]アレルギー科受診の

症例:薬剤過敏性反応を示した161

対照:過敏反応に疑われる薬剤、入院時点、年齢、性別、入院病棟でマッチングした318

[Exposure]PPIの使用

[Comparison]PPIの使用なし

[Outcome]薬物過敏反応の発生

■調整した交絡因子:抄録に記載なし

【結果は何か?】

PPIの服用は服用なしと比べて薬剤過敏反応リスクに関連。

RR: 3.97; 95% CI: 1.97-8.29

■交絡因子で調整後もリスク因子として存在

OR: 4.35; 95% CI: 2-9.45

【結果は役に立つか?】

入院患者において、プロトンポンプ阻害剤の使用は薬物過敏症反応の有意な増加のリスクと関連していた。というなかなかインパクトのある結論です。調整した交絡因子や薬剤過敏症の重症度など詳細は不明です。漫然と投与されがちなPPIですが、PPIには様々なリスクが報告されています。

(参考)退院後に処方された胃酸を抑える薬(PPI)に副作用はありますか?

(参考)プロトンポンプ阻害薬と骨折リスク

(参考)PPIの長期使用に伴うと考えられるリスクは十分考慮すべき

(参考)PPIとCDAD(Clostridium difficile -associated disease)リスク

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脳卒中は一過性脳虚血発作(TIA)または軽症脳梗塞を起こしてから数週間のあいだに発生する頻度が高いといわれており、クロピドグレルとアスピリンの併用療法はアスピリン単独よりも、その後の脳卒中の予防効果が高い可能性があるといわれています。

【文献タイトル・出典】

Clopidogrel with Aspirin in Acute Minor Stroke or Transient Ischemic Attack

N Engl J Med. 2013 Jul 4;369(1):11-19 PMID:23803136

【論文は妥当か?】

試験デザイン:114施設ランダム化比較試験

[Patient] 軽症脳梗塞または高リスク TIA を発症後 24 時間以内の患者 5,170

[Exposure]クロピドグレル(初回用量は 300 mg で,その後は 90 日目まで 75 mg/日)とアスピリン(21 日目まで 75 mg/日)の併用療法

[Comparison]プラセボとアスピリン(90 日目まで 75 mg/日)を投与する

[Outcomn]90 日以内の発生した脳卒中(脳梗塞または脳出血)

■患者背景は同等か?▶抄録に記載なし

■盲検化されているか?▶2重盲検

intention-to-treat解析されているか?▶されている

■サンプルサイズは十分か?▶

■追跡期間▶90

■追跡率▶抄録に記載なし

【結果は何か?】

脳卒中はE群で8.2%、C群で11.7%であり、E群はC群に比べて32%少ない

ハザード比 0.6895%信頼区間 0.570.81P0.001

【結果は役に立つか?】

中等度または重度の出血はE群で 7 例(0.3%)、C群で 8 例(0.3%)に発生で統計的有意差はみられませんでした。(P0.73IAまたは軽症脳梗塞を発症後 24 時間以内に治療が可能な患者においてはアスピリン単独に比べて、クロピドグレルとアスピリンの併用が発症後 90 日間の脳卒中リスクを低下させるとし、さらに出血リスクを上昇させることはないと結論しています。

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いわゆる風邪処方の多くにアセトアミノフェンは含まれていると思います

【文献タイトル・出典】

Acetaminophen (paracetamol) for the common cold in adults.

Cochran Database Syst Rev 2013 Jul 1;7:CD008800PMID:23818046

【論文は妥当か?】

研究デザイン:システマテックレビュー(4研究)

[Patient]4つのランダム化比較試験に参加した合併症の無い風邪患者758

[Exposure]アセトアミノフェン

[Comparison]プラセボ

[Outcome] 一般的な風邪の自覚症状スコアと罹病期間

■評価者バイアス▶2名のレビューアーが独立して評価

■ 出版バイアス ▶

■異質性バイアス▶

■元論文バイアス▶ランダム化比較試験のメタ分析

【結果は何か?】

■4研究中2研究で鼻づまりが大幅に回復

■1研究ではプラセボに比べて鼻漏の重症度を改善したが、咳やくしゃみには効果が無かった。

■4研究中2研究でのどの痛みや倦怠感を改善しなかった。

■2研究では頭痛に有効であったが、1研究で効果が見られなかった

【結果は役に立つか?】

セトアミノフェンは、鼻閉と鼻漏症状の改善を示唆したが、喉の痛み、倦怠感、くしゃみや咳はなどの風邪の症状を改善するわけではない、としています。メタ分析されておらず、定量的な情報もないので、アセトアミノフェン効くのか効かないのか良くわからないという感じです。風邪に対するNSAIDsの効果くしゃみや頭痛には効果があるかもしれないみたいな結果でしたが…。

(参考)風邪に非ステロイド性抗炎症薬NSAIDsは効果がありますか?

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