薬剤師の地域医療日誌

薬剤師が臨床や地域医療にどのように関われるか、EBMを実践しながら模索しています。このブログは個人的な勉強記録です。医学文献の2次資料データベースとして医師、看護師、薬剤師その他のスタッフや患者様に役立てれば幸いです。情報に関しては知識不足の面から不適切なものも含まれていると思われます。またあくまで個人的な意見も含まれております。掲載の情報は最新の文献等でご確認の上、運用していただければ幸いです。

ご利用ありがとうございます。個人的に気になった論文を紹介しています。

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2013年08月

利尿剤は一般的にKを排出する作用を有しますが、スピロノラクトンはK保持性利尿薬ともいわれむしろ高Kに注意しなくてはいけません。まtらST合剤にも高K血症の副作用があり、両剤の併用においては血清K値に十分注意する必要があります。実際、併用における高K血症リスクはどの程度なのでしょうか。

【文献タイトル・出典】

Trimethoprim-sulfamethoxazole induced hyperkalaemia in elderly patients receiving spironolactone: nested case-control study.

BMJ.2011 Sep 12;343:d5228. PMID:21911446

【論文は妥当か?】

[研究デザイン]コホート内症例対照研究

Patientカナダのオンタリオ州で、1992年~2010年までに入院患者データベースや処方薬データベースに登録されていた66歳以上の患者(平均年齢81歳から82歳)

(症例)慢性疾患のためにスピロノラクトンを継続服用し、抗菌薬(ST合剤、アモキシシリン、ノルフロキサシン、ニトロフラントイン)を処方されて、14日以内に高カリウム血症で入院した患者248例

(対照)スピロノラクトンを継続使用しており、抗菌薬4剤の処方を受けたが高カリウム血症による入院歴がなかった患者783例

(マッチング)年齢、性別、慢性腎疾患の有無、糖尿病の有無

ExposureST合剤、ノルフロキサシン、ニトロフラントイン(本邦未承認)

Comparisonアモキシシリン

Outcome高カリウム血症による入院

■調整した交絡因子▶年齢、うっ血性心不全、慢性肝疾患、慢性腎臓病、スピロノラクトン治療歴、レニンアンギオテンシン、アルドステロン関連薬などの薬剤使用

【結果は何か?】

アモキシシリンを比較した各抗菌薬の高カリウム血症による入院リスクのオッズは以下の通り

抗菌薬の種類

調整オッズ比(95%信頼区間)

アモキシシリン

1(reference

ST合剤

12.47.121.6

ノフロキサシン

1.60.83.4

※ニトロフラントインは本邦未承認のため省略

【結果は役に立つか?】

アモキシシリン比較です。添付文書上は併用注意となっていないようですが、両剤の併用は高K血症に十分注意すべきと考えられます。

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糖尿病や耐糖能以上は認知症の危険因子であるといわれています。

Glucose tolerance status and risk of dementia in the community: the Hisayama study

Neurology.2011 Sep 20;77(12):1126-34 PMID:21931106

糖尿病ではない患者さんにおいて血糖値が高いことで認知症のリスクが上昇するかどうか検討した報告です。

【文献タイトル・出典】

Glucose Levels and Risk of Dementia

N Engl J Med.2013 Aug 8;369(6):540-8PMID:23924004

【論文は妥当か?】

研究デザイン:コホート研究

[Patient] Adult Changes in Thought studyの参加者(男性 839 例,女性 1,228 例,ベースラインの平均年齢76 歳)糖尿病:233例、非糖尿病:1,835

[Exposure]/[Comparison]血糖値

[Outcome]認知症

■調整した交絡因子:糖尿病の有無で層別化、年齢・性別・研究コホート・教育水準・運動レベル・血圧・冠動脈疾患及び脳血管疾患の有無・心房細動の有無・喫煙状況・高血圧に対する治療

■追跡期間:中央値 6.8

【結果は何か?】

認知症は 524 例(糖尿病患者 74 例,非糖尿病者 450 例)で発症

■非糖尿病患者

血糖値 115 mg/dL6.4 mmol/L)は100 mg/dL5.5 mmol/L)と比較し認知症リスク増加

▶調整ハザード比 1.1895%信頼区間1.041.33

糖尿病患者

血糖値 190 mg/dL10.5 mmol/L)は160 mg/dL8.9 mmol/L)と比較し認知症リスク増加

▶調整ハザード比 1.4095% 信頼区間 1.121.76

【結果は役に立つか?】

糖尿病でない人においても、血糖値がより高いことが認知症の危険因子となる可能性があることが示唆されると結論しています。

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痛みには湿布のような外用鎮痛薬を使用することもあると思いますが、温感・冷感どちらのタイプがより有効なのでしょうか。よく受ける質問ではあります。

【文献タイトル・出典】

Heat or cold packs for neck and back strain : a randomized controlled trial of efficacy

Acad Emerg Med 2010 May;17(5):484-9 PMID:20536800

【論文は妥当か?】

[Patient]救急診療部を受診した18歳以上の急性背部痛、頸部痛を有する患者60例(平均年齢37.8歳、女性51.6%、66.7%白人種)

[Exposure]イブプロフェン400mg/日+温感パックを疼痛部へ適用31

[Comparison]イブプロフェン400mg/日+冷感パックを疼痛部へ適用29

Outcome]治療前後(30分後)における100mm疼痛VASスコアの変化

■研究デザイン:ランダム化比較試験

■ランダム化されているか?:されている

■患者背景は同等か?:baseline patient and pain characteristicsは同等と記載がある

■盲検化されているか?:抄録に記載なし(温感あるいは冷感刺激の介入のため事実上患者へのマスキングは不可能と考えられる。)

■サンプルサイズは十分か?:統計検出力80%でVASスコアに15ポイント以上差をつけるためのサンプルサイズは60

■ランダム化は最終解析まで保持されているか?

intention-to-treat解析されているか?全例解析されている。

▶追跡率:100

■追跡期間:30

【結果は何か?】

■両群のVASスコアに明確な差は無い。治療前後におけるスコア変化は以下の通り

E群(温感)75mm[95%信頼区間6683]66mm[95%信頼区間5775]

C群(冷感)72mm[95%信頼区間6578]64mm[95%信頼区間5673]

■疼痛改善に明確な差は無い(P=0.27

E群(温感)16/31人(51.6%)

C群(冷感)18/29人(62.1%)

【結果は役に立つか?】

30分間の局所的な温感あるいは冷感外用療法で、急性の疼痛軽減効果に明確な差は無いという結果でした。慢性疼痛ではどうなのか気になるところではありますが、VASスコアを見る限り、急性疼痛に対する、このような治療は気休め程度のように思えます。当然オープンラベル試験だと思われますが、もし同様の痛みが出た場合、同じ治療を両群とも75%~80%近くが希望していることから、温感、冷感はお好みで問題ないと考えます。

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ARBと発癌リスクの関連性は興味深い報告もあり議論の余地がありますが、他の高血圧薬はどうなのでしょうか。女性における降圧薬と原発性浸潤性乳癌リスクを検討した人口ベースの症例対象研究JAMA Intren Med から最新の報告です。

【文献タイトル・出典】

Use of Antihypertensive Medications and Breast Cancer Risk Among Women Aged 55 to 74 Years

JAMA Intern Med 2013()-.PMID:

【論文は妥当か?】

[研究デザイン]人口ベース症例対象研究

[Patient]シアトルピュージェットサウンド地区における55歳から74歳の女性

(症例)浸潤性乳管がん患者880

(症例)浸潤性小葉がん1027

(対照)コントロール856

[Exposure]降圧薬の使用

[Comparison]降圧薬の使用なし

[Outcome]原発性浸潤性乳癌(浸潤性乳管がん及び浸潤性小葉がん)の発症

■調整した交絡因子▶

【結果は何か?】

■カルシウム拮抗薬の10年以上の使用で乳がんリスクが増加する。

 ▶浸潤性乳管がん:オッズ比 2.4[95%信頼区間1.24.9]

 ▶浸潤性小葉がん:オッズ比 2.6[95%信頼区間1.35.3]

※カルシウム拮抗薬のクラスにリスクの差は無い

※利尿剤、β遮断薬、ARBには関連性認められず

【結果は役に立つか?】

ARBには関連性が認められず、カルシウム拮抗薬の長期使用で乳がんリスクが増加する可能性が示唆されました。抄録のみではマッチングや交絡への対応が不明ですが、今後、カルシウム拮抗薬等の降圧薬の有害事象に関して長期追跡したエビデンスに注目したいと思います。

なおARBと癌リスクに関しては以下の文献がお薦めです。

Lancet Oncol.2010 Jul;11(7):627-36 PMID:20542468

Lancet Oncol.2011 Jan;12(1):65-82  PMID:21123111

BMJ 2012;344:e2697 PMID:22531797

PLoS ONE 2012 7(12):e50893 PMID:23251399

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今回の報告は風邪に対する効果ではなく緊張型頭痛に対する有効性安全性のメタ分析です。

【文献タイトル・出典】

A Comparison of Efficacy and Safety of Non-steroidal Anti-inflammatory Drugs versus Acetaminophen in the Treatment of Episodic Tension-type Headache: A Meta-analysis of Randomized Placebo-controlled Trial Studies

Korean J Fam Med.2012 Sep;33(5):262-71 PMID:23115700

【論文は妥当か?】

研究デザイン:メタ分析[統合した研究数6]

[Patient] 緊張型頭痛を有する2,162例の患者

[Exposure] イブプロフェン、ケトプロフェン、アスピリン、ナプロキセンの使用1,143

[Comparison]アセトアミノフェンの使用1,019

[Outcome]痛みの軽減、有害事象

■評価者バイアス▶2名のレビューアーが独立して評価

■ 出版バイアス ▶ファンネルプロットは非対象

■異質性バイアス▶異質性はやや高め。

■元論文バイアス▶ ランダム化比較試験のメタ分析

【結果は何か?】


アウトカム

[統合した研究数]

E

NSAIDs

C群

アセトアミノフェン

相対リスク

[95%信頼区間]

I2

統計量

少なくとも50%の

痛みの軽減[6]

786/1143

68.7%)

650/1019

63.8%)

1.18

[0.991.39]

85

有害事象

[3]

95/766

12.4%)

57/605

9.4%)

1.31

[0.961.80]

0

【結果は役に立つか?】

アセトアミノフェンに比べてNSAIDsが有効性安全性が高い傾向にあるようですが、明確な差はありませんでした。

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