薬剤師の地域医療日誌

薬剤師が臨床や地域医療にどのように関われるか、EBMを実践しながら模索しています。このブログは個人的な勉強記録です。医学文献の2次資料データベースとして医師、看護師、薬剤師その他のスタッフや患者様に役立てれば幸いです。情報に関しては知識不足の面から不適切なものも含まれていると思われます。またあくまで個人的な意見も含まれております。掲載の情報は最新の文献等でご確認の上、運用していただければ幸いです。

ご利用ありがとうございます。個人的に気になった論文を紹介しています。

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2014年05月

ここ最近、このテーマの論文が良く報告されています。GLP-1ベースの治療と急性膵炎の関連を検討したセルフコントロールドケースシリーズ(SCCS)分析の論文です。


【文献タイトル・出典】

Glucagon-like peptide 1-based therapies and risk of pancreatitis: a self-controlled case series analysis.

Pharmacoepidemiol Drug Saf. 2014 Mar;23(3):234-9.PMID: 24741695

【論文は妥当か?】(※抄録情報のみで吟味)

[Patient]

シタグリプチンを服用していた7992人とエキセナチドを使用していた 3552

[Exposure]

薬剤使用期間(シタグリプチン0.7年、エキセナチド0.5年)

[Comparison]

薬剤非使用期間

Outcome

急性膵炎

研究デザインは何か?

セルフコントロールドケースシリーズ(SCCS

 

【結果は何か?】

▶急性膵炎発症はシタグリプチンで245例、エキセナチドで96

▶いずれも95%信頼区間が1をまたぎ、明確な差はない。

 

【結果は役に立つか?】

ここまで来ると、インクレチン関連薬と急性膵炎発症の因果関係はかなり薄い印象ですね。なかなか興味深い報告なので、フルテキストで読みたいところです。

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Efficacy and Safety of Varenicline for Smoking Cessation in Patients With Cardiovascular Disease A Randomized Trial

Circulation. 2010;121:221-229 PMID: 20048210

【論文は妥当か?】

[Patient]

安定した心血管疾患(心筋梗塞既往、冠動脈血行再建術、狭心症、末梢動脈疾患、脳血管疾患)を有する35歳~75歳で1日平均10本以上の禁煙希望のある喫煙者714人(平均56.5歳、男性78.7歳、BMI27.7

[Exposure]

バレニクリンの投与(0.5mg/日×3日、1.0mg/日×4日、2mg/12週)355

[Comparison]

プラセボの投与359

Outcome

治療最終4週間:9週目から12週目における持続的な禁煙割合

(自己申告による禁煙だが、呼気CO10ppm超の場合は喫煙者として解析)

研究デザイン

ランダム化比較試験

ランダム化さているか?

されている

患者背景は同等か?

結果に影響するほど大きな差は無いと考えられるが、心筋梗塞既往はE群でやや少ないかもしれない。

盲検化されているか?

2重盲検

サンプルサイズは十分か?

サンプルサイズは700例で十分

ランダム化は最終解析

まで保持されているか?

ITT解析

試験完遂はE85.1%、C80.5

追跡期間は?

52

 


【結果は何か?】


アウトカム

E

バレニクリン

C

プラセボ

オッズ比

[95%信頼区間]

NNT

9週から12週における持続した禁煙割合

47

13.9

6.11

[4.188.93]

4

 


【結果は役に立つか?】

副作用として吐き気やおう吐、不眠や悪夢などはE群で多いという感じです。冠血管疾患はE群でやや増加している傾向が見て取れます。

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冬季トレーニング中の男女においてカゼイシロタ株を含むプロバイオティクス飲料で上気道炎を予防できるかを検討した小規模スタディ。CMでもおなじみです。

読む菌未来レポート [カゼと乳酸菌 シロタ株(60秒)]

【文献タイトル・出典】

Daily probiotic's (Lactobacillus casei Shirota) reduction of infection incidence in athletes.

Int J Sport Nutr Exerc Metab. 2011 Feb;21(1):55-64.

【論文は妥当か?】

[Patient]

活動性の高いスポール選手84人(自転車部、トライアスロン、陸上部、水泳部所属、男性54人、平均27

[Exposure]

プロバイオティクス12本(165ml)(ラクトバチルス·カゼイシロタ)42

[Comparison]

プラセボ42

Outcome

1週以上持続する上気道炎発症割合、上気道炎の平均発症回数

研究デザイン

2重盲検ランダム化比較試験

ランダム化さているか?

されている

患者背景は同等か?

年齢、体格、トレーニング量等は同等

盲検化されているか?

2重盲検

サンプルサイズは十分か?

各群32

ランダム化は最終解析

まで保持されているか?

58人が試験完遂(E群36/42人、C群26/42人)

追跡期間は?

16

 

【結果は何か?】

アウトカム

E

C

危険率

1週間以上持続する上気道症状

66

90

p = .021

上気道炎の平均発症回数

2.1± 1.2

1.2 ± 1.0

p < .01

Severity and duration of symptoms were not significantly different between treatments

【結果は役に立つか?】

脱落が多いので、結果は割り引いて考えたほうがよさそうです。発症回数の絶対差は0.9回で約1回ほどE群で少なくなるという感じ、発症割合も24%少ないという結果です。重症度や罹病期間に差はないようですが、なかなか興味深い結果です。

プロバイオティクスの上気道炎に対する有効性はコクランでもレビューされています。

Probiotics for preventing acute upper respiratory tract infections.

Cochrane Database Syst Rev. 2011 Sep 7;(9):CD006895

おおむね上気道炎には前向きな結果が出ています。介入コスト、有害事象を考えれば悪い選択肢ではない気がします。

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インクレチン関連薬と急性膵炎リスク、今回はSU剤との比較です。

【文献タイトル・出典】

Incretin based drugs and risk of acute pancreatitis in patients with type 2 diabetes: cohort study

BMJ. 2014 Apr 24;348:g2780PMID: 24764569

【論文は妥当か?】


[Patient]

英国のClinical Practice Research Datalink.のデータベースから

[Exposure]

インクレチン関連薬20 748人(平均56.0歳、男性57.3%、平均治療期間5.2年)

[Comparison]

SU剤51 712人(平均62.9歳、男性58.2%、平均治療期間3.4年)

Outcome

急性膵炎

研究デザインは何か?

人口ベースコホート研究

調整した交絡因子は何か?

年齢、性別、治療期間、HbA1c、過量のアルコール使用、喫煙状況、胆石既往、トホルミン、スルホニル尿素、チアゾリジンジオン、インスリン、および他の前の年に抗糖尿病薬の使用薬


 


【結果は何か?】


アウトカム

インクレチン関連薬

SU剤

調整ハザード比

急性膵炎

1.45/1000人年

1.47/1000人年

1.000.591.70


 


【結果は役に立つか?】

インクレチン関連薬の急性膵炎リスクが際立って高いとする報告は最近ではなくなりました。他の薬剤と同等という印象です。


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メトホルミンに上乗せするならSU剤か、DPP4阻害薬か、心血管アウトカムを検討した貴重な報告。

【文献タイトル・出典】

Combination therapy with metformin plus sulfonylureas versus metformin plus DPP-4 inhibitors: association with major adverse cardiovascular events and all-cause mortality.

Diabetes Obes Metab. 2014 Apr 25PMID: 24762119

【論文は妥当か?】

[Patient]

UK Clinical Practice Research Datalink (CPRD).から2型糖尿病患者

[Exposure]

メトホルミン+SU33983例のうち

直接マッチング:5447

傾向スコアマッチング:6901

[Comparison]

メトホルミン+DPP4阻害薬7864例のうち

直接マッチング:5447

傾向スコアマッチング:6901

Outcome

総死亡、主要心血管イベント(心筋梗塞又は脳卒中)

研究デザインは何か?

コホート研究

調整した交絡因子は何か?

直接マッチング及び傾向スコアにてマッチング

 

【結果は何か?】

アウトカム

SU剤併用

DPP4阻害薬併用

調整ハザード比

[95%信頼区間]

心血管イベント

11.3/1000人年

5.3/1000人年

1.850 [1.245-2.749]

1.497 [1.092-2.052]

総死亡

16.9/1000人年

7.3/1000人年

1.323 [0.832-2.105]

1.547 [1.076-2.225]

①直接マッチング ②傾向スコアマッチング

 

【結果は役に立つか?】

メトホルミンにDPP4阻害薬を上乗せした治療がSU剤を上乗せした治療よりも良い傾向がみられています。今後の介入研究に期待したいところです。

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