薬剤師の地域医療日誌

薬剤師が臨床や地域医療にどのように関われるか、EBMを実践しながら模索しています。このブログは個人的な勉強記録です。医学文献の2次資料データベースとして医師、看護師、薬剤師その他のスタッフや患者様に役立てれば幸いです。情報に関しては知識不足の面から不適切なものも含まれていると思われます。またあくまで個人的な意見も含まれております。掲載の情報は最新の文献等でご確認の上、運用していただければ幸いです。

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2015年05月

Proton pump inhibitors and the risk of acute kidney injury in older patients: a population-based cohort study
http://www.cmajopen.ca/content/3/2/E166.full
背景と研究デザイン:プロトンポンプインヒビター(PPI)は間質性腎炎を引き起こし、それはまた急性腎傷害の過小評価につながる。(※添付文書:間質性腎炎(頻度不明)があらわれ、急性腎不全に至ることもあるので、腎機能検査値(BUN、クレアチニン上昇等)に注意し、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。)高齢者における、PPI(オメプラゾール、エソメプラゾール、ランソプラゾール、パントプラゾール、ラベプラゾール)の使用と急性腎障害、急性間質性腎炎リスクを検討した、人口ベースコホート研究。

P:カナダオンタリオ州在住の66歳以上の高齢者(平均74歳、女性56.7%、糖尿病24%、高血圧70%)
E:PPIの使用あり290592人
(最初の投与日をインデックスデータと定義。なおオンタリオ州ではPPIは医師の処方箋なしに使用不可。インデックス日より1年以内にPPIを使用していた参加さを除外)
C:PPIの使用なし290592人
O:インデックス日より120日以内の急性腎傷害による入院(2次アウトカムは急性間質性腎炎)
交絡調整:傾向スコアマッチング

アウトカムE群C群ハザード比[95%CI]
急性腎障害13.49/1000人年5.46/1000人年2.52[2.27~2.79]
間質性腎炎(※)0.32/1000人年0.11/1000人年3.00[1.47~6.14]

(※)1次アウトカムではないが重要なアウトカム
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Buckley T, Hoo SY, Fethney J.et.al. Triggering of acute coronary occlusion by episodes of anger. Eur Heart J Acute Cardiovasc Care. 2015 Feb 23. [Epub ahead of print] PMID: 25713468
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25713468
背景と研究デザイン; 血管造影で確認された冠動脈閉塞を有する患者の怒りエピソードと急性心筋梗塞の関連を検討したケースクロスオーバー研究

P:急性の冠動脈閉塞を発症した313人(発症から48時間前までの怒りエピソードを調査、平均58,3歳、男性85%)
E:症状発症から2時間以内、2〜4時間前の怒りエピソード
C;通常の怒りエピソード
O:急性心筋梗塞

怒りエピソードは7段階で評価し、怒りの定義は5以上。
・発症から2時間以内の怒りエピソード;相対危険8.5 (95%信頼区間 4.1-17.6)
なお、5未満の怒りエピソードや、・症状発症から2〜4時間前の怒りエピソードは心筋梗塞
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Li L, Zhang P, Tian JH.et.al. Statins for primary prevention of venous thromboembolism. Cochrane Database Syst Rev. 2014 Dec 18;12:CD008203. PMID: 25518837
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25518837
背景と研究デザイン:スタチンの静脈血栓塞栓症一次予防に対する有効性を検討したシステマテックレビュー。統合研究数1RCT

P:一つのランダム化比較試験に参加した17,802人
E:ロスバスタチンノ投与
C:プラセボの投与
O:静脈血栓塞栓症の発症

元論文:ランダム化比較試験1件(The quality of the evidence was moderate)
評価者:Two authors independently assessed

主な結果は以下の通り
・静脈血栓塞栓症:オッズ比0.57[95%信頼区間0.37~0.86]
・深部静脈血栓症:オッズ比0.45[95%信頼区間0.25~0.79]
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Henriksen M, Christensen R1, Klokker L.et.al. Evaluation of the Benefit of Corticosteroid Injection Before Exercise Therapy in Patients With Osteoarthritis of the Knee: A Randomized Clinical Trial. JAMA Intern Med. 2015 Mar 30. PMID: 25822572
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25822572
背景と研究デザイン:運動療法前の膝変形性関節症に対するステロイドの関節内注射の有効性を検討した盲検ランダム化比較試験

P:放射線検査で確認された膝変形性関節症を有する外来患者100人(歩行中の疼痛スコアが4を超える[0~10])
E:リドカイン注(40mg)に溶解したメチルプレドニゾロン(40mg)を関節内注射50人
C:リドカイン注(40mg)生理食塩水を混合し関節内注射50人
O:14週後の膝損傷・変形性関節症アウトカムスコアの疼痛サブスコア
(Knee Injury and Osteoarthritis Outcome Score [KOOS] 0~100で評価しスコアが高いほど改善)

試験完遂はE群 45人、C群44人。平均スコア変化はE群13.6、C群14.8で平均差は1.2[-3.8~6.2]と明確な差を認めない
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Delitto A, Piva SR, Moore CG.et.al. Surgery versus nonsurgical treatment of lumbar spinal stenosis: a randomized trial. Ann Intern Med. 2015 Apr 7;162(7):465-73. PMID: 25844995
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25844995
研究デザインと背景:腰部脊柱管狭窄症に対する外科的減圧術と理学療法の効果を比較した多施設ランダム化比較試験

P:外科的減圧術の実施に同意した50歳以上の症候性腰部脊柱管狭窄症患者169人
E:外科的減圧術の実施(87人)
C:理学療法の実施(82人)
O:身体機能スコア(SF-36 健康関連QOLを評価するための包括的尺度0~100点)

・盲検化:PROBE
・追跡24か月
・統計解析ITT

24か月後のスコアに明確な差を認めない
・E群22.4[16.9~27.9]C群19.2[13.6~24.8]改善し、その差0.9[-7.9~9.6]
限界:対照群が無いため、純粋な介入効果について論じるものではない。
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