薬剤師の地域医療日誌

薬剤師が臨床や地域医療にどのように関われるか、EBMを実践しながら模索しています。このブログは個人的な勉強記録です。医学文献の2次資料データベースとして医師、看護師、薬剤師その他のスタッフや患者様に役立てれば幸いです。情報に関しては知識不足の面から不適切なものも含まれていると思われます。またあくまで個人的な意見も含まれております。掲載の情報は最新の文献等でご確認の上、運用していただければ幸いです。

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2017年05月

Engelkes M.et.al. Medication adherence and the risk of severe asthma exacerbations: a systematic review. Eur Respir J. 2015 Feb;45(2):396-407. PMID: 25323234

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25323234

 

喘息に対する薬物療法の利点は十分に確立されているが、治療へのアドヒアランスは低く、これは喘息増悪のリスク増加と関連している可能性がある。この研究の目的は、小児および成人における喘息コントローラー治療に対する遵守と重度の喘息増悪のリスクとの間の関連性に関する文献を検討することであった。

 

20141月までPubMedEmbaseWeb of Scienceで系統的な文献検索を行った。服薬アドヒアランスと重度の喘息増悪との関連に関するデータが報告された研究を解析に含めた。Newcastle-Ottawa Scaleの修正バージョンを使用して組み入れた研究の質を評価した。

 

この検索では、2319の出版物のうち23が包含基準を満たし、データ抽出および品質スコアリングを受けた。アドヒアランスおよび増悪の評価、デザインおよび分析に関する研究間での高レベルの異種性は、メタ分析することを妨げた。効果尺度は幅広く変化したが、良好なアドヒアランスは、妥当性の高い研究において、重度の喘息増悪の減少と関連していた。また 良好な順守は、重度の喘息増悪のリスクを低下させる傾向があった。

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Trifirò G.et.al. Use of azithromycin and risk of ventricular arrhythmia. CMAJ. 2017 Apr 18;189(15):E560-E568. PMID: 28420680

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/28420680

 

[背景]アジスロマイシンの不整脈誘発可能性に関する観察研究からの一致しない知見がある。 我々の目的は、アジスロマイシン使用と心室性不整脈のリスクとの間の関連性を定量化することであった。

 

[方法]19972010年において、デンマーク、ドイツ、イタリア、オランダ、英国の7つの集団ベースの医療データベースのネットワークから特定された新規抗菌薬使用者の集団内で、コホート内症例対照研究を実施した。1ケースにつき最大100のコントロールが選択され、年齢、性別、データベースによってマッチングした。インデックス日(心室性不整脈の発生)における抗菌薬の使用状況および薬物のタイプ(アジスロマイシンが関心の曝露であった)が同定された。本研究ではアジスロマイシンの現在使用における心室性不整脈の関連をアモキシシリン使用者もしくは抗菌薬1年間使用していない人と比較し、交絡調整後ロジスティック回帰分析にてオッズ比で定量化した。

 

[結果]包括的基準を満たした14 040 688の新規抗菌薬使用者を同定した。 心室性不整脈は12 874で発生し、そのうち30人は現在のアジスロマイシン使用者であった。 症例と対照の平均年齢は63歳で、2/3は男性であった。アジスロマイシンの使用は、データベース間のプールされたデータ分析において、抗生物質の非使用と比較して心室性不整脈のリスクの増加と関連していた(調整オッズ比1.97,95%信頼区間[CI] 1.35-2.86)。現在のアモキシシリンの使用が比較対照である場合(調整OR 0.90,95CI 0.48-1.71)、この増加したリスクは消失した。

 

[結論]現在のアジスロマイシン使用は、抗生物質の非使用と比較した場合の心室性不整脈のリスク増加と関連していたが、現在のアモキシシリン使用と比較した場合はそうではなかった。 アクティブ治療群との比較によるリスクの減少は、適応症による重大な交絡を示唆している。

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Ravindrarajah R.et.al. Systolic Blood Pressure Trajectory, Frailty and All-Cause Mortality Over 80 Years of Age. Cohort Study Using Electronic Health Records. Circulation. 2017 Apr 21.  [Epub ahead of print]

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/28432148

 

[背景]臨床試験では、80歳以上の人々の収縮期血圧を低下させることによりベネフィットが得られる可能性が示されているが、ランダム化されていない疫学的研究は、収縮期血圧の低下が死亡率の増加と関連している可能性があることを示している。この研究は、80歳以上の虚弱(フレイル)高齢者の全死因死亡とのSBPの関連性を評価し、死亡前のSBP軌道を評価することを目的とした。

 

[方法]2001年~2014年における英国での電子健康データベースより80歳以上の虚弱高齢者144403例を対象にした人口ベースコホート研究。参加者は最大で5年間追跡調査され、臨床記録から収縮期血圧を解析した。Frailtyステータスは、e-Frailty Indexを使用して、「健常」、「軽度」、「中等度」および「重度」の虚弱のカテゴリに分類された。全原因死亡は、Cox比例ハザードモデルをもちいて虚弱状態および平均SBPによって評価。

 

[結果]追跡期間中、51,808人が死亡した。フレイル状態ごとの死亡率は収縮期血圧110mmHg未満で最大であった。健常女性では、死亡率が収縮期血圧120139mmHg7.7/100人年、110119mmHg15.2/100人年、110mmHg未満で22.7/100人年であった。女性の重度フレイルでは死亡率はそれぞれ16.8/100人年、25.2/100人年、39.6/100人年であった。

 

[結論]余命2年以内において、収縮期血圧の低下は、観察研究において、高い死亡率と関連している。

 

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Muanda FT.et.al. Use of antibiotics during pregnancy and risk of spontaneous abortion. CMAJ. 2017 May 1;189(17):E625-E633. PMID: 28461374

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/28461374

 

[目的]抗菌薬は妊娠中に広く使用されているが、胎児の安全性に関する証拠は限られている。本研究では、妊娠中の抗菌薬曝露と自然流産のリスクとの関連を定量化することである。

 

[方法]Quebec Pregnancy Cohort1998-2009)を用いたコホート内症例対照研究。予定されている中絶と胎児毒性薬物に曝露された妊娠を除外した。自然流産は、妊娠20週以内に自然流産に関連した診断または処置を有すると定義された。index dateは自然流産の暦日として定義。症例ごとに10例の対照をランダムに選択し、妊娠期間および妊娠年とマッチングさせた。抗菌薬の使用は、妊娠初日から、index dateまでの処方と定義され、抗菌薬非使用者と、ペニシリンあるいはセファロスポリンの曝露を対照に各種抗菌薬の自然流産リスクを検討。

 

[結果]潜在的な交絡因子で調整後、非使用者と比べて、調整オッズ比(95%信頼区間)はアジスロマイシン1.651.34-2.02)クラリスロマイシン 2.351.90-2.91)メトロニダゾール 1.701.27-2.26)スルホンアミド 2.011.36-2.97)テトラサイクリン2.591.97-3.41)キノロン2.722.27-3.27)で自然流産リスクが増加。ペニシリンもしくはセファロスポリンと比較しても同様の結果だった。

 

[結論]潜在的な交絡因子の調整後、妊娠初期にマクロライド(エリスロマイシンを除く)、キノロン、テトラサイクリン、スルホンアミドおよびメトロニダゾールの使用は、自然流産の危険性を増加させた。

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Ohara T.et.al. Trends in dementia prevalence, incidence, and survival rate in a Japanese community. Neurology. 2017 Apr 19. pii: 10.1212/WNL.0000000000003932. PMID: 28424272

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/28424272

 

[目的]日本の高齢者における認知症の有病割合、発生率、生存率の長期的傾向を包括的に調査する。

 

[方法]1985年、1992年、1998年、2005年、2012年において65歳以上の地域在住日本人を対象に5つの横断調査が行われた。また本調査では認知症のないこの年齢層の住民からなる2つのコホート 1988年(n = 803)、2002年(n = 1,231)、をそれぞれ10年間追跡調査した。

 

[結果]年齢で標準化された全認知症の有病割合は、6.8% in 1985, 4.6% in 1992, 5.3% in 1998, 8.4% in 2005, and 11.3% in 2012, p for trend <0.01アルツハイマー型認知症の有病割合は1.5%, 1.4%, 2.4%, 3.9%, and 7.2%, respectively, p for trend <0.01。血管認知症では経年変化を認めなかった。 (2.4%, 1.6%, 1.5%, 2.4%, and 2.4%, respectively, p for trend = 0.59).

 

年齢、性別で調整した全認知症リスク、アルツハイマー型認知症リスクは1988年から2002年にかけて増加。ただし血管認知症の増加は認めなかった。 (全認知症:調整ハザード比1.68, 95% [CI] 1.38-2.06、アルツハイマー型認知症:調整ハザード比 2.07, 95% CI 1.59-2.70;、血管認知症:調整ハザード比 1.18, 95% CI 0.83-1.69).

 

全認知症とアルツハイマー型認知症の5年生存率は1988年コホートと2002年コホートで、それぞれ: 47.3% to 65.2% 50.7% to 75.1%;と増加。

 

[結論]ADの発生率増加および生存率改善は、日本の高齢者におけるAD有病割合の急上昇をもたらした可能性がある。

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