LABAの安全性については過去の記事を参照していただければと思いますが、この論文のイントロダクションには主にRCTによる解析は行われてきたが非ランダム化ひかくしけんについてはあまり検討されていないと記載があります。観察研究を含むメタ分析の報告。

 

【文献タイトル・出典】

Long-acting beta-agonists plus inhaled corticosteroids safety: a systematic review and meta-analysis of non-randomized studies.

Respir Res. 2014 Jul 19;15:83. PMID: 25038591

 

【論文は妥当か?】

[Patient]

喘息と診断された小児・成人

[Exposure]

LABAICSの併用

Comparison]

ICS単独

Outcome

①喘息関連入院、②喘息関連救急診療部受診、③全身性ステロイド使用、④①~③の複合アウトカム

研究デザイン

メタ分析[統合研究数19

元論文バイアス

19研究中16研究はretrospective observational cohorts

前向きコホート1件、症例対照研究1件、前後比較研究1

評価者バイアス

Two authors selected studies independently

異質性バイアス

I 2 statisticの表示(<30%異質性は軽視できる、30%~50%中等度、50%~70%実質的な異質性あり、70%~100%異質性を軽視できない)

出版バイアス

結果参照(原著にファンネルプロットあり)

 

【結果は何か?】

アウトカム

オッズ比

95%信頼区間]

異質性

バイアス

出版バイアス

①喘息関連入院

8研究624,303

0.88

0.691.12

I2=66%

no publication bias.

②喘息関連救急診療部受診

4研究153799

0.75

0.660.84.

I2=0

no publication bias

③全身性ステロイド使用

4研究105855

1.02

 0.941.10

I2=0

funnel plot appeared symmetric.

①+②+③

5研究69939

0.95

0.91.0

I2=70%

3研究がoutside the confidence limits

 

【結果は役に立つか?】

RCTのメタ分析ではステロイド併用の有無にかかわらず、喘息関連死亡が多いという報告1)2)3)がありましたが、非ランダム化研究からの検討ではLABAICの併用治療は重篤な有害事象のリスク増加に関連付けられていないことを示しています。ただ異質性は高いようです。フォローアップは多くの研究で12か月となっており、RCTのメタ分析の3か月以上での有意な死亡増加1)とは対照的な結果となっています。

 

1) Am J Med. 2010 Apr;123(4):322-8.e2. Epub 2010 Feb 20.

2) Pediatrics.2011 ;128(5):e1147-54

3) Thorax. 2010 Jan;65(1):39-43.