[過活動膀胱における抗コリン薬の有効性]
[文献①]Nabi G.et.al.Anticholinergic drugs versus placebo for overactive bladder syndrome in adults.Cochrane Database Syst Rev. 2006 Oct 18;(4):CD003781.PMID: 17054185http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/17054185

治癒または改善(相対リスク(RR)1.39、95%CI 1.28~1.51)、24時間における漏れエピソードの違い(加重平均値の差(WMD) -0.54; 95%CI-0.67~-0.41)および24時間における排尿回数の差(WMD -0.69; 95%CI -0.84~-0.54)は、統計的に有意に薬物治療の方が有効であった。わずかな程度ではであるが統計的に有意に生活の質スコアに改善が認められた。薬物群において口渇の発生率が3倍であったが(RR 3.00 95%CI 2.70~3.34)、薬の中止には統計的有意差はなかった(RR 1.11、95%CI 0.91~1.36)。
過活動膀胱への抗コリン薬を使用は、尿路症状を統計的に有意に改善する。さらに最近の研究では生活の質のわずかな改善を示唆している。口渇はよくある治療の副作用であるが、中止の数に影響するとは思われなかった。

[文献2]Reynolds WS.et.al. Comparative Effectiveness of Anticholinergic Therapy for Overactive Bladder in Women: A Systematic Review and Meta-analysis. PMID: 26000514http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26000514

過活動膀胱を有する女性に対する、抗コリン薬の尿失禁の改善や排尿頻度の減少効果を検討したメタ分析。50のランダム化比較試験のメタ分析に加え、有害事象に関しては観察研究もレビューしている。一次アウトカムは1日の排尿回数、尿失禁エピソード。
メタ分析された薬剤はオキシブチニン、トルテロジン、フェソテロジン、ダリフェナシン、ソリフェナジン、トロスピウムで、尿失禁回数は 2.5件減少[95%信頼区間1.82~3.12] 、排尿回数は 2.5 回減少[95% 信頼区間 1.39~3.51]ところが、プラセボでも尿失禁回数 1.06件減少[95%信頼区間0.7~1.4]排尿回数1.2回 減少[95%信頼区間0.72~1.67]という結果であった。抗コリン薬で完全なる症状消失とまではいかないと結論。

[各種抗コリン薬の比較]

[文献①]Madhuvrata P.et.al. Which anticholinergic drug for overactive bladder symptoms in adults. Cochrane Database Syst Rev. 2012 Jan 18;1:CD005429. PMID: 22258963http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22258963

過活動膀胱に対する抗コリン薬の有効性を比較したランダム化比較試験のメタ分析。86研究31,249人が解析対象。

トルテロジン(デトルシトール®)とオキシブチニン(ネオキシテープ®)の比較
QOLや患者報告言基づく治癒もしくは改善、尿漏れエピソード、24時間の排尿頻度に明確な差がなかった。しかし、有害イベントによる研究脱落はトルテロジンで相対危険0.52[95%信頼区間0.40~0.66]、口渇も有意に少ない(相対危険0.65[95%信頼区間0.60~0.71]
ソリフェナジン(ベシケア®)とトルテロジンの比較
QOLは標準化平均差で‐0.12[95%信頼区間‐0.23~‐0.01]また患者自己報告に基づく治癒もしくは改善は相対危険1.25[95%信頼区間1.13~1.39]、尿漏れ回数は平均差‐0.30[-0.53~‐0.08]、尿失禁回数は平均差‐0.438-0.74~‐0.13)とソリフェナジンでいずれのアウトカムも優れていた。なお有害事象による研究脱落に差はなく、口渇はソリフェナジンで少ない(相対危険0.69[95%信頼区間0.51~0.94])
フェソテロジン(トビエース®)とトルテロジンの比較
QOLは標準化平均差で‐0.20[95%信頼区間‐0.27~‐0.14]、患者自己報告に基づく治癒もしくは改善は相対危険1.11[95%信頼区間1.06~1.16]、尿漏れエピソードは平均差‐0.19[95%信頼区間‐0.30~‐0.09]、排尿頻度は平均差‐0.27[95%信頼区間‐0.47~‐0.06]、尿失禁は平均差‐0.44[95%信頼区間‐0.72~‐0.16]といずれもフェソテロジンで優れていた。しかしフェソテロジンでは有害イベントによる脱落が多く(相対危険1.45[95%信頼区間1.07~1.98]また口渇も多い(相対危険1.80[95%信頼区間1.58~2.05]

有効性に関しては
オキシブチニン≒トルテロジン<ソリフェナジン<フェソテロジン
安全性に関しては
オキシブチニン、フェソテロジン>トルテロジン≒ソリフェナジン
という結果。特に口渇はソリフェナジンで少ない。

[文献②]Ercan Ö.et,al, Comparison of solifenacin and fesoterodine in treatment of overactive bladder. Saudi Med J. 2015 Oct;36(10):1181-5. PMID: 26446328
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26446328

ソリフェナジンとフェソテロジンの有効性、安全性を比較した小規模ランダム化比較試験。OABSSには差がないものの、フェソテロジンで副作用が多いという結果。有効性に差がないのはβエラーである可能性はあるが、有害事象については上記コクランとほぼ同様。トビエース®は効果が期待できるかもしれないが、副作用が多いかもしれない。

[文献③]Huang W.et.al. Efficacy and safety of imidafenacin for overactive bladder in adult: a systematic review and meta-analysis. Int Urol Nephrol. 2015 Mar;47(3):457-64. PMID: 25636812
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25636812

イミダフェナシン(ウリトス®)の過活動膀胱に対する有効性、安全性をソリフェナジン、プロピベリンと比較したランダム化比較試験5研究(解析対象1428人)のメタ分析。イミダフェナシンはプロピべリン(バップフォー®)に比べて、週の尿失禁エピソードを標準化平均差で1.23[95%信頼区間 -0.19 ~2.65]、改善傾向、切迫排尿エピソードは0.26, 95% CI -0.11 to 0.63,減少傾向、1日の平均排尿回数は標準化平均差で0.01, 95% CI -0.30 to 0.31平均OABSSは標準化平均差で0.48, 95% CI -0.08 to 1.03,とソリフェナジンと同等であった。

口渇はプロピベリンに比べてOR 0.73, 95% CI 0.54-0.98, p = 0.04)、また有害事象はOR 0.63, 95% CI 0.46-0.88, p = 0.006).と有意に低い。またソリフェナジンに比べて便秘(OR 0.21, 95% CI 0.08-0.53, p = 0.001)や有害事象(OR 0.33, 95% CI 0.15-0.71, p = 0.004).が少ない。

有効性:イミダフェナシン≒ソリフェナジン≒プロピベリン
安全性:イミダフェナシン>ソリフェナジン、プロピべリン
先のコクランも踏まえれば、ウリトス®は良い選択のようにも思える。

[抗コリン薬の有害事象比較]

[文献①]Meek PD.et.al. Overactive bladder drugs and constipation: a meta-analysis of randomized, placebo-controlled trials. Dig Dis Sci. 2011 Jan;56(1):7-18. PMID: 20596778
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/20596778

過活動膀胱治療薬と便秘の有害事象に関するランダム化比較試験のメタ分析。102の研究が解析に含まれた。プラセボと比較された各薬剤のオッズ比と95%信頼区間は以下の通り。

overall [odds ratio (OR) 2.18, 95% (CI)=1.82-2.60],
tolterodine (OR 1.36, 95% CI=1.01-1.85),
darifenacin (OR 1.93, 95% CI=1.40-2.66),
fesoterodine (OR 2.07, 95% CI=1.28-3.35),
oxybutynin (OR 2.34, 95% CI=1.31-4.16),
trospium (OR 2.93, 95% CI=2.00-4.28),
solifenacin (OR 3.02, 95% CI=2.37-3.84).

ソリフェナジンのオッズが大きく、トルテロジンのオッズが低い。これまでの研究を踏まえるとソリフェナジン(ベシケア®)は便秘の有害事象リスクが高いようだ。

[文献②]Kessler TM.et.al. Adverse event assessment of antimuscarinics for treating overactive bladder: a network meta-analytic approach. PLoS One. 2011 Feb 23;6(2):e16718. PMID: 21373193
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/21373193

オキシブチニンやプロピべリンのリスクが高くソリフェナジン、トルテロジンでは低い。またフェソテルジンではやや高いリスクとなっており、これまでのエビデンスと大きな相違はない。

[文献③]Maman K.et.al. Comparative efficacy and safety of medical treatments for the management of overactive bladder: a systematic literature review and mixed treatment comparison. Eur Urol. 2014 Apr;65(4):755-65. PMID: 24275310
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24275310

“Mirabegron 50 mg had similar efficacy to most antimuscarinics and lower incidence of dry mouth,”

ミラベグロンはやはり口渇が少ない。抗コリン薬と効果はほぼ同様とのこと。

なお、口渇発現率はプラセボと同様とのこと。Chapple CR.et.al. Mirabegron in overactive bladder: a review of efficacy, safety, and tolerability. Neurourol Urodyn. 2014 Jan;33(1):17-30. PMID: 24127366

ミラベグロンの有害事象に関しては文献報告が少ないが以下のものが参考になる。
Nitti VW.et.al.Safety and tolerability of the β3 -adrenoceptor agonist mirabegron, for the treatment of overactive bladder: results of a prospective pooled analysis of three 12-week randomised Phase III trials and of a 1-year randomised Phase III trial.Int J Clin Pract. 2014 Aug;68(8):972-85.PMID: 24703195
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24703195
ミラベグロンの忍容性は良好であり、抗コリン薬よりもアドヒアランス向上が期待できるかもしれない。ただし血圧上昇(0.4-0.6 mmHg)や心拍数増加が報告されている。

Bragg R.et.al.Mirabegron: a Beta-3 agonist for overactive bladder.Consult Pharm. 2014 Dec;29(12):823-37.PMID:25521658
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25521658  
ミラベグロンの一般的な有害事象としては高血圧症、鼻咽頭炎、尿路感染症、頭痛、便秘、上気道感染症、関節痛、下痢、頻脈、腹痛、倦怠感などが挙げられる。