Hirata K.et.al. Multi-center randomized control trial of etizolam plus NSAID combination for tension-type headache. Intern Med. 2007;46(8):467-72. PMID: 17443036

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/17443036

 

[目的]ベンゾジアゼピンは緊張型頭痛の治療にしばしば用いられるが、日本において、それらの薬剤を用いたランダム化比較試験はほとんどない。この研究は、緊張型頭痛に対するチエノジアゼピン誘導体のエチゾラムとNSAIDsの併用治療の有効性を見積もるために行われた。

 

[方法]症候性の緊張型頭痛を有する144人を対象とした多施設ランダム化比較試験。頭痛、肩部痛の症状変化は薬剤投与前後におけるVASにより評価。被験者は、前治療ののち、NSAIDS単独群(メフェナム酸250mg)とNSAIDs(メフェナム酸250mg)、エチゾラム(0.5mg)併用群にランダム化された。

 

[結果]頭痛、肩部痛のVASにおいて両群でVASは有意に低下したものの群間差は見られなかった。しかしながら、併用群では女性において頭痛が有意に改善、肩部痛は若年、女性において有意に改善した。

 

[結論]女性もしくは若年層において、NSAIDsとエチゾラムの併用は有用かもしれない。

 

[コメント]万能薬デパス®の頭痛に対する有用性を検討したランダム化比較試験。日常業務で良く遭遇する薬剤だけに興味深い。

 

The study design was a multi-center RCT of 144 patients with TTH.』とあるように緊張型頭痛を有する144人がNSAIDs単独群72人、NSAIDsとエチゾラム併用群72人にランダム化された。被験者の平均年齢は約40歳。試験完遂は129例。

 

The primary efficacy parameter was the changes in degree of headache and shoulder pain by VAS before and after administration of NSAID and NSAID-ET

一次アウトカムは頭痛、肩部痛のVASでの変化となっている。つまり抄録後半の女性でどうたら、若年でどうたら、はあくまで仮説に過ぎない。

 

この論文、実はサンプル計算に関する記載がない。つまり得られた結果の差が統計的有意ではないのは、βエラーなのか、そもそも差がないのかよく分からない。それから盲検化されているような記載が見当たらない。VASという主観的なアウトカムに対して、単独療法と併用療法を比較するとは…。