Ishizaki T, et al : Drug prescription patterns and factors associated with polypharmacy in >1million older adults in Tokyo. Geriatr Gerontol Int. 2020 Feb 12. [Epub ahead of print] PMID: 32048453

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/32048453

 

【目的】慢性疾患に対する併用薬物使用のパターンを決定し、高齢の外来患者における多剤併用の危険因子を調べる。

 

【方法】データは、東京の高齢者向けの公的保険プログラムの匿名化された健康保険請求データベースから抽出された。外来診療所を受診し、20145月から8月までの14日間以上、慢性疾患の経口投与薬を定期的に処方された75歳以上の個人を分析した。16の主要な薬物の処方パターンは探索的因子分析を使用して研究され、5つ以上の薬物の併用処方として定義される多剤併用の危険因子は多変量ロジスティック回帰モデルを使用して特定された。

 

【結果】合計1 094 199人の外来患者を分析した(平均年齢81.8歳、男性38.4%)。観察されたすべての分散のほぼ40%を説明する5つの処方パターンを特定した:浮腫/心不全/心房細動関連薬、不眠症/不安関連薬、痛み関連薬、生活習慣病関連薬、認知症関連薬。ポリファーマシーの重要なリスク要因には、男性、8代および非老人、訪問した医療機関の数の増加、医師の家庭訪問の使用、研究期間中の入院などがあった。多剤併用療法に最も強く関連する主な薬物タイプは、鎮痛薬、利尿薬、抗糖尿病薬であった。

 

【結論】ポリファーマシーは、東京の75歳以上の高齢の外来患者で流行していることがわかった。 これらの発見は、臨床診療における多剤併用に関連する有害事象に対する実用的な対策の開発に貢献できる有用な証拠を提供するかもしれない。

 

【コメント】本研究において、処方されている薬剤数の平均(標準偏差)は6.43.8)種類、中央値(四分位範囲)は63-9)種類、5種類以上の処方があった者(多剤処方)は全体の64.0%を占めていた。薬剤種類別の処方割合は、降圧薬が66.5%と最も高く、睡眠薬・抗不安薬は28.8%であった。本研究で同定された併用パターンは以下の5つである。

 

パターン1:利尿薬・抗凝固薬・尿酸低下薬・鉄剤

パターン2:抗うつ薬・抗不安薬や睡眠薬・抗精神病薬

パターン3:骨粗鬆症治療薬・鎮痛薬・胃酸分泌抑制薬

パターン4:抗血小板薬・脂質低下薬・降圧薬・抗糖尿病薬

パターン5:抗認知症薬・抗精神病薬

併用パターンとして同定された5つはいずれもマルチモビディティや病態を反映しているものという印象である。ガイドライン通りの治療を行った結果、こうした併用パターンに落ち着いたという点は否めないだろう。

 

利尿薬と尿酸低下薬は処方カスケード的なものを連想するが、その因果は不明である。

鎮痛薬と胃酸分泌抑制薬はルーチン併用であろう。なお高齢者にいて鎮痛薬+PPIPPIはわりと重要な薬剤であり、安易に中止をすると痛い目を見るかもしれない。

 

動脈硬化性疾患の予防的にアスピリンが用いられることも多いが日本人に対するエビデンスはない。抗血小板薬については継続の是非が問われるところかもしれない。

 

認知症患者に対する抗精神病薬は死亡リスク増加に関連しているという報告もある。とはいえ、同薬剤が患者家族の介護負担軽減や安心感につながっている側面も多く、薬剤調整は慎重に行うべきであろう。BPSDは時間経過とともにその症状は変化する。その時々で薬剤の必要性の是非を考えていく必要があろう。

 

総じて、多剤併用が問題なのか、問題としての多剤併用なのか、丁寧に考察していく必要がある。良い悪いの二元論で捉えられるような話ではない。

 

薬の必要性はその時々で変化する。なぜこの薬が必要なのか、あるいは不要なのか、丁寧に考えてくことが肝要だ。

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