薬剤師の地域医療日誌

薬剤師が臨床や地域医療にどのように関われるか、EBMを実践しながら模索しています。このブログは個人的な勉強記録です。医学文献の2次資料データベースとして医師、看護師、薬剤師その他のスタッフや患者様に役立てれば幸いです。情報に関しては知識不足の面から不適切なものも含まれていると思われます。またあくまで個人的な意見も含まれております。掲載の情報は最新の文献等でご確認の上、運用していただければ幸いです。

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泌尿器

クランベリーと尿路感染症はこれまでにも議論されてきた問題です。今年の報告ではAnn Int Medよりメタ分析が報告されており、クランベリー含有製品に尿路感染症予防効果が示唆されていました。

(参考)クランベリー含有製剤は尿路感染症の予防に効果があるか?

コクランレビューより2012年版のメタ分析。

 

Cranberries for preventing urinary tract infections.

Cochrane Database Syst Rev. 2012 Oct 17;10:CD001321.

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/23076891

 

クランベリーは尿路感染症(UTI)の予防及び治療のために数十年近く、広く使用されている。尿路感染症の予防に対するクランベリー製品の有効性を評価。2名のレビューアが独自に評価し、データを抽出。24試験4473例が解析対象。クロスオーバー試験6試験、2群間並行試験11試験、3群比較試験5試験、factorialデザイン試験2試験。全てランダム化比較試験、または準ランダム化比較試験。

 

クランベリー製品はプラセボ、または水、または無治療に比べて尿路感染症を減らさなかった。

RR 0.86, 95% CI 0.71 to 1.04

サブ解析の結果は以下の通り

■再発性尿路感染症を有する女性:RR 0.74, 95% CI 0.42 to 1.31

■高齢者:RR 0.75, 95% CI 0.39 to 1.44

■妊娠中の女性:RR 1.04, 95% CI 0.97 to 1.17

■再発性尿路感染症を有する小児:RR 0.48, 95% CI 0.19 to 1.22

■癌患者:RR 1.15 95% CI 0.75 to 1.77

■神経因性膀胱、脊髄損傷:RR 0.95, 95% CI: 0.75 to 1.20

全体的な異質性は中等度I2 = 55%

クランベリーの効果は抗菌薬と比べて明確な差がなかった

女性:RR 1.31, 95% CI 0.85, 2.02

小児:RR 0.69 95% CI 0.32 to 1.51

プラセボ等と比較してクランベリーの胃腸障害副作用に明確な差はなかった。

RR 0.83, 95% CI 0.31 to 2.27

クランベリージュースでは脱落や低いコンプライアンスが報告されている。その有効性を評価するにはデータが不足している可能性がある。

 

クランベリージュースはその効果は低く、尿路感染症予防に推奨されず。

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Anticholinergic Therapy vs. OnabotulinumtoxinA for Urgency Urinary Incontinence

N Engl J Med 2012; 367:1803-1813

http://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa1208872

 

抗コリン薬やナオボツリヌス毒素Aは切迫性尿失禁の治療に使用されるが、この2種類を比較したデータが必要とされている。

 

日誌に記録された、3日間で切迫性尿失禁が5回以上のエピソードを持っていた特発性切迫性尿失禁を有する女性を対象に二重盲検、プラセボ対照、ランダム化比較試験を実施。 6ヶ月の間、参加者はランダムに経口抗コリン薬11回投与群(ソリフェナシン、5mgスタートで、10mgまで増量可能とした。その後の必要に応じてトロスピウムXR60 mgへ変更。さらにプラセボとして生理食塩水の排尿筋内注射 1 回を実施)とオナボツリヌス毒素 A 100 U 排尿筋内注射 1 回にプラセボ 1 1 回経口投与を実施した群に割りつけた。

プライマリアウトカムは毎月提出し、6ヶ月間における1日当たりの切迫性尿失禁、平均エピソードのベースラインからの減少。セカンダリアウトカムは、完全な切迫性尿失禁の解決、生活の質、カテーテルの使用、有害事象。

 

ランダム化を受けた249人の女性のうち、247が治療をうけ、241が解析対象。

ベースライン平均の1日あたり5.0回から6ヶ月の経過後の切迫性尿失禁のエピソードの平均低下は、

オナボツリヌス毒素A群:3.3

抗コリン群:3.4回(P= 0.81

切迫性尿失禁の完全な消失率は

抗コリン薬:13

オナボツリヌス毒素:27%(P= 0.003

QOLは重要な群間差がなく両群で改善。

 

抗コリン薬群は、オナボツリヌス群に比べて口渇の率が高い(46%対31%、P = 0.02)が、2ヵ月後のカテーテルの使用率が低く(0%対5%、p =0.01)、尿路感染症(13vs33%P <0.001)であった。

 

経口抗コリン療法とオナボツリヌス毒素Aは切迫性尿失禁の日常のエピソードの頻度で同様の減少と関連していた。オナボツリヌス毒素A群では口渇頻度が低くと切迫性尿失禁の完全消失率が高い可能性があったが、一時的な尿閉や尿路感染症の率が高かった。

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Cranberry-Containing Products for Prevention of Urinary Tract Infections

in Susceptible Populations

: A Systematic Review and Meta-analysis of Randomized Controlled Trials

Arch Intern Med. 2012;172(13):988-996.

http://archinte.jamanetwork.com/article.aspx?articleid=1213845

 

尿路感染症は一般的な細菌感染のうちの1つである。

クランベリー含有製品は、尿路感染症予防として古くからを

民間療法として使用されていた。

この研究の目的は、尿路感染症予防におけるクランベリー含有製品を評価し、

それらの有効性に影響を及ぼす要因を検討することである。

 

MEDLINE, EMBASE, and the Cochrane Central Register of Controlled Trials

を検索。言語の制限なく検索。

13試験1616人が対象。

クランベリー含有製剤使用者は無使用者に比べて

RR0.62 (95% CI, 0.49-0.80), heterogeneity (I2 = 43%)

 

サブグループ解析

女性の反復尿路感染症

(RR, 0.53; 95% CI, 0.33-0.83) (I2 = 0%)
女性 

(RR, 0.49; 95% CI, 0.34-0.73) (I2 = 34%)
小児 

   (RR, 0.33; 95% CI, 0.16-0.69) (I2 = 0%)
クランベリージュース飲用者

(RR, 0.47; 95% CI, 0.30-0.72) (I2 = 2%)
1
2回以上のクランベリー含有製品

(RR, 0.58; 95% CI, 0.40-0.84) (I2 = 18%)

 

クランベリー含有製剤は尿路感染症予防効果がある可能性を示唆

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Radical Prostatectomy versus Observation for Localized Prostate Cancer

N Engl J Med 2012; 367:203-213

http://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa1113162?query=featured_home


前立腺特異抗原(PSA)試験によってスクリーニングされた前立腺癌患者において

外科的手術に対する経過観察観察の有効性は報告が少ない。

199411月から20021月までにおいて

731人の男性(平均年齢67歳)を無作為に

前立腺全摘出術または経過観察に割り付けた。

主要評価項目:全死亡

副次評価項目:前立腺がん死亡


10年フォローアップで手術vs経過観察

全死亡:171/364人(47.0%vs183/367(49.9%)

hazard ratio, 0.88; 95% CI, 0.71 to 1.08; P=0.22;

absolute risk reduction, 2.9 percentage points

 前立腺がん死亡:21/364 (5.8%)vs31/367 (8.4%)

hazard ratio, 0.63; 95% CI, 0.36 to 1.09; P=0.09;

absolute risk reduction, 2.6 percentage points

手術後の有害イベント発生率は死亡1例を含む21.4%


PSA試験でスクリーニングされた初期の前立腺癌は経過観察と比較して

前立腺全摘出術は、少なくとも12年間のフォローアップを通じて、

全原因あるいは前立腺癌死亡率を引き下げない。

またその絶対差は3%未満であるという結論。

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Impact of Nocturia on Bone Fracture and Mortality in Older Individuals:
A Japanese Longitudinal Cohort Study

J Urol. 2010 Oct;184(4):1413-8. Epub 2010 Aug 19

http://www.jurology.com/article/S0022-5347(10)03748-1/abstract

 

76.0±4.6歳の日本人784人を対象に

骨折リスクと死亡をミュニティーベースの集団で評価。

 

5年の観察期間において、夜間頻尿のない患者に比べ

夜間頻尿症状をもつ患者では、骨折リスク、死亡リスク増加に関連。

 

夜間頻尿(一晩に2回以上の排尿者)は784人中359人(45.7%)

総骨折リスク: HR.2.01 (95% CI 1.04–3.87)

転倒による骨折リスクHR 2.20 (95% CI 1.04–4.68,

死亡リスク:adjHR1.98(1.09-3.59)

 

高齢者における過活動膀胱治療には抗コリン薬が汎用される。

抗コリン薬は夜間頻尿症状を改善するが、認知機能や死亡リスクなどが報告されていた。

 

Anticholinergic Medication Use and Cognitive Impairment in the Older Population:
The Medical Research Council Cognitive Function and Ageing Study

Journal of the American Geriatrics Society

Volume 59, Issue 8, pages 1477–1483, August 2011

http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/j.1532-5415.2011.03491.x/abstract

によれば、

抗コリン作用薬剤使用は、非使用者に比べ、MMSEスコア

0.33ポイント(95% CI=0.030.64, P=.03)減少に関連。

 

年間死亡リスク上昇は

抗コリン作動性薬剤、OR=1.68; 95% CI=1.302.16; P<.001

抗コリン作動可能性薬剤 OR=1.56; 95% CI=1.361.79; P<.001

 

過活動膀胱における夜間頻尿治療の抗コリン薬使用においては

骨折リスク抑制の可能性、それによる死亡リスク低下の可能性というベネフィットと

認知機能及び、年間死亡率増加に関するリスクを十分に考慮する必要がある。

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