薬剤師の地域医療日誌

薬剤師が臨床や地域医療にどのように関われるか、EBMを実践しながら模索しています。このブログは個人的な勉強記録です。医学文献の2次資料データベースとして医師、看護師、薬剤師その他のスタッフや患者様に役立てれば幸いです。情報に関しては知識不足の面から不適切なものも含まれていると思われます。またあくまで個人的な意見も含まれております。掲載の情報は最新の文献等でご確認の上、運用していただければ幸いです。

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食物アレルギー

Natsume O.et.al. Two-step egg introduction for prevention of egg allergy in high-risk infants with eczema (PETIT): a randomised, double-blind, placebo-controlled trial. Lancet. 2016 Dec 7. [Epub ahead of print] PMID: 27939035

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27939035

 

[背景] 食物アレルギーの一次予防の戦略として、その食品摂取を遅らすよりも、早期の摂取の方ががより有益であるという根拠が蓄積されつつある。しかしながら、このような固形食品の早期導入によるアレルギー反応は問題である。アトピー性皮膚炎を有する幼児に湿疹治療と組み合わせた卵の早期段階的導入が、1歳での卵アレルギーを予防するかどうかを検討した。

 

[方法] 日本における2つの医療センターより、アトピー性皮膚炎を有する生後4~5カ月の乳児を対象にした、二重盲検プラセボ対照ランダム化比較試験。除外基準は、妊娠37週前に出生、鶏卵または卵製品の摂取経験あり、鶏卵への即時アレルギー反応の病歴、特定のタイプの食物に対する非即時アレルギー反応の病歴、および重篤な合併症疾患。被験者(乳児)は卵早期導入群またはプラセボ投与群に(11)でランダム化された。(ブロックサイズは4、施設および性別によって層別化)卵早期導入群では、6ヶ月から9ヶ月まで1日に50mgの加熱卵粉末を経口的に摂取し、その後12ヶ月まで250mg /日を摂取した。被験者のアトピー性皮膚炎は積極的に治療を行い、介入期間を通して悪化することなくコントロールを維持しました。参加者及び被験者は隠蔽化、盲検化された。一次アウトカムはは、ランダム化後介入を受けたすべての参加者において、標準化された方法で盲目的に評価された、12ヶ月時点での経口摂取試験(チャレンジ試験:オープンラベル)によって確認された鶏卵アレルギー保有者の割合であった。(満1歳における卵の食物負荷試験陰性診断率)

 

[結果] 2012918日から2015213日まで、147名の参加者(卵摂取群73名(50%)、プラセボ群74名(50%))をランダム割り付けした。この試験では、100人の参加者の予定された中間解析の結果に基づいて終了した。この時点で両群に一次アウトカムに関して明らかな差がついたためである。(卵摂取群:4例/47例[9%] 、プラセボ群: 18/47例 リスク比0·222 [95% CI 0·081-0·607]; p=0·0012)一次アウトカム解析集団において、卵摂取群5例 /60(8%) 、プラセボ群23例/61例 (38%) リスク比 0·221 [0·090-0·543]; p=0·0001であった。群間の有害事象の唯一の違いは、病院への入院であった(卵投与群では6/60 [10]、プラセボ群では0; p = 0022)試験粉末を摂取した後、急性イベントは卵摂取群で19件(915%)プラセボ摂取群で14件(1118%)で発生した。

 

[結論] 積極的なアトピー性皮膚炎治療とともに段階的に加熱卵摂取を導入することは、ハイリスク乳児の卵アレルギーを予防するための安全かつ有効な方法である。

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Ierodiakonou D.et.al. Timing of Allergenic Food Introduction to the Infant Diet and Risk of Allergic or Autoimmune Disease: A Systematic Review and Meta-analysis. JAMA. 2016 Sep 20;316(11):1181-1192. PMID: 27654604

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27654604

 

[背景]離乳食にアレルギーを誘発しうる食品の導入タイミングは、アレルギーや自己免疫疾患リスクに影響を与える可能性があるが、これらのエビデンスは体系的に統合されていない。アレルギーや自己免疫疾患リスクに影響を与えうるアレルギーを有はする食品の導入タイミングについて、システマティックレビューメタ分析を行った。

 

[方法]19461月~20165月までに報告された文献についてMEDLINE, EMBASE, Web of Science, CENTRAL, and LILACS databasesをサーチ。生後1年の間にアレルギーを誘発しうる食品の導入タイミングとアレルギー、自己免疫疾患を検討した介入研究、観察研究を組み入れた。データの統合はランダムエフェクトモデル(Mantel-Haenszel)を用い、エビデンスの評価はGRADEに従った。喘鳴、湿疹、アレルギー性鼻炎、食物アレルギー、アレルギー感作、1型糖尿病、セリアック病、炎症性腸疾患、自己免疫性甲状腺疾患、若年性関節リウマチが検討された。

 

[結果]卵の導入については5つの研究(解析対象1951人)で46か月に導入するとアレルギーリスク低下(risk ratio [RR], 0.56; 95% CI, 0.36-0.87; I2=36%; P=.009).

ピーナッツの導入については2研究(解析対象1550人)で411か月でアレルギーリスク低下 (RR, 0.29; 95% CI, 0.11-0.74; I2=66%; P=.009). 卵やピーナツ導入のタイミングは、他の食品にアレルギーのリスクと関連していなかった。また魚の導入はアレルギー感作や鼻炎のリスク低下と関連するという弱いエビデンスあり。グルテンの導入タイミングとセリアック病には関連がないとする強いエビデンスあり。

 

[結論]このシステマティックレビューでは早期の卵、ピーナッツの離乳食への導入で卵ピやーナッツアレルギーリスク低下に関連していた。

 

 

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Du Toit G, Roberts G, Sayre PH.et.al. Randomized trial of peanut consumption in infants at risk for peanut allergy. N Engl J Med. 2015 Feb 26;372(9):803-13. PMID: 25705822
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25705822
研究デザイン:オープンラベルランダム化比較試験

P:生後4~11か月の乳児(年齢中央値7.8ヵ月)で重度の湿疹もしくは卵アレルギー、あるいはその両方を有しピーナッツアレルギーハイリスクな患児640人。皮膚プリックテストの結果により層別化(陽性:直径 1~4 mm の膨疹あり98人、陰性542人)
E:ピーナッツの摂取あり
C:ピーナッツの摂取回避
O:60か月時点でのピーナッツアレルギーの発症

盲検化:されていないオープンラベル試験
統計解析:intention-to-treat
追跡:皮膚プリックテスト陰性530人/542人 皮膚プリックテスト陽性98人/98人

主な結果は以下の通り
ピーナッツアレルギー発症
SPTE群C群P値
陰性530人1.9%13.7%<0.001
陽性98人10.6%35.3%0.004
全体628人3.2%17.2%<0.001


※臨床スクリプト※
ピーナッツアレルギーのリスクの高い患児において、早期ピーナッツ摂取開始により、アレルギー発症頻度が有意に低下したと結論されている。ただし、皮膚プリックテストで4mm超の膨疹が認められた患者群での研究ではないため、本結果の適用には皮膚プリックテスト等による潜在リスクの評価が重要である。
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Oral Immunotherapy for Treatment of Egg Allergy in Children

N Engl J Med 2012; 367:233-243

http://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa1200435

 

卵アレルギー関しては、食事における卵の回避が現段階で唯一の方法。

子供における卵アレルギー治療に卵白パウダーを使用して、

経口免疫療法を評価した。

 

P:卵アレルギーのある5歳から11歳の子供55

E:卵白パウダーを用いた経口免疫療法40

C:プラセボ15

O:臨床的に意味のある持続的不応性を誘導できるか?

 

10 ヵ月と 22 ヵ月の時点で卵白粉末を用いた経口食物負荷試験。

プラセボ対照ランダム化比較試験。

 

22 ヵ月の時点での負荷試験に無事に合格した子供では、

経口免疫療法を中止して46 週間卵の摂取を控えさせた。

24 ヵ月の時点で,これらの児に卵白粉末と調理された卵を用いた

経口食物負荷試験を行い持続的不応性を検証。

24 ヵ月の時点でこの負荷試験に合格した子供には、

卵の摂取に制限のない食事を摂らせ

さらに30 ヵ月と 36 ヵ月の時点で持続的不応性が維持されているかどうかを評価。

 

10か月 介入群で55%が脱感作 ちなみにプラセボは0

22か月 介入群で75%が脱感作 

24ヶ月時点で40例中11例(28%)が持続的な免疫不応答が確認

30ヶ月、36ヶ月の時点では、24ヶ時点での経口暴露負荷試験合格の

子供は免疫反応を気にせずに卵を食べることができた。

 

経口免疫療法によって、卵アレルギー患者の多くを脱感作させることができ

臨床的に意味のある持続的不応性を誘導できることが示された。

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