薬剤師の地域医療日誌

薬剤師が臨床や地域医療にどのように関われるか、EBMを実践しながら模索しています。このブログは個人的な勉強記録です。医学文献の2次資料データベースとして医師、看護師、薬剤師その他のスタッフや患者様に役立てれば幸いです。情報に関しては知識不足の面から不適切なものも含まれていると思われます。またあくまで個人的な意見も含まれております。掲載の情報は最新の文献等でご確認の上、運用していただければ幸いです。

ご利用ありがとうございます。個人的に気になった論文を紹介しています。

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Am_J_Epidemiol

さまざまな交絡因子が考えられるこのテーマ。European Prospective Investigation Into Cancer and Nutritionのデータを用いたコホート研究です。

【文献タイトル・出典】

Fruit and Vegetable Consumption and Mortality

Am. J. Epidemiol.(2013)178(4):590-602.

【論文は妥当か?】

研究デザイン:コホート研究

[Patient]ヨーロッパ10カ国における451151

[Exposure]/[Comparison]果物や野菜の摂取

[Outcome]死亡リスク

■調整した交絡因子▶抄録に記載なし

■追跡期間▶1992年から2000年まで参加者登録を行い2010年までフォロー

【結果は何か?】

■最高四分位では死亡リスクが減少

▶ハザード比0.9095% 信頼区間0.860.94

■最高四分位では寿命が延びる

1.12 年[95%信頼区間 0.701.54

■特に心血管疾患死亡が減少

▶ハザード比0.8595% 信頼区間]0.770.93

【結果は役に立つか?】

抄録から得られる情報はかなり限定的です。結果的に野菜や果物の摂取が多いと死亡が減少し寿命が延びる可能性が示唆されているようですが、このような患者では健康志向も高く、どのような交絡調整がなされたのか気になるところです。

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炭水化物の長期的摂取は冠動脈疾患リスクの潜在リスクに影響するのでしょうか。

【文献タイトル・出典】

Dietary Carbohydrates, Refined Grains, Glycemic Load, and Risk of Coronary Heart Disease in Chinese Adults

Am. J. Epidemiol.2013doi:10.1093First published online:September 5, 2013

【論文は妥当か?】

研究デザイン:コホート研究

[Patient]ベースラインで糖尿病、冠動脈疾患、脳卒中、癌の既往の無い中国人117366人(40歳から74歳)

[Exposure]/[Comparison]

食品摂取アンケートによる炭水化物の摂取量(70%が白米。17%が小麦製品)

[Outcome]医療記録による冠動脈疾患の発症

■追跡期間▶女性9.8年、男性5.4

■調節した交絡因子▶抄録に記載なし

【結果は何か?】

平均炭水化物の摂取量は

▶男性:総カロリーの68.5

▶女性:総カロリーの67.5

炭水化物の摂取量、最低4分位から最高4分位の調整ハザードはそれぞれ

1.00reference)、1.382.032.8895%信頼区間1.445.78

【結果は役に立つか?】

抄録から得られる情報は限定的ですが、炭水化物摂取最低4分位にくらべ最高4分位では有意に冠動脈疾患が増加しているようです。少し古い報告ですが、アメリカの前向き研究でも似たような結果が出ている文献が有ります。

A prospective study of dietary glycemic load, carbohydrate intake, and risk of coronary heart disease in US women.

Am J Clin Nutr.2000 Jun;71(6):1455-61. PMID:10837285

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【文献タイトル・出典】

High-Dose Supplements of Vitamins C and E, Low-Dose Multivitamins, and the Risk of Age-related Cataract: A Population-based Prospective Cohort Study of Men.

Am J Epidemiol. 2013 Feb 17. [Epub ahead of print] PMID:23420353

【論文は妥当か?】

Patient:スウェーデンにおける45歳から79歳の男性31120

Exposure:高用量ビタミンCサプリメント、高用量ビタミンEサプリメント使用

Comparison:サプリメントの使用なし

■調整した交絡因子:抄録に記載なし

Outcome:白内障の発症

■研究デザイン:集団ベース前向きコホート研究

■追跡期間8年(19981月から200612月)

【結果は何か?】

■ビタミンCサプリメントの使用は非使用と比べて白内障リスクが増加する

調整ハザード比:1.21 (95%信頼区間1.04,1.41)

■ビタミンEサプリメントの使用は非使用と比べて白内障リスクが増加する

調整ハザード比:1.59 (95%信頼区間 1.12, 2.26)

【結果は役に立つか?】

抗酸化サプリメントの有用性は近年、数多くのエビデンスで否定的な見解が続いています。

(関連)ビタミンや抗酸化サプリメントで心臓病は予防できますか?

(関連)抗酸化ビタミンの効果

(関連)ビタミンサプリメントの用性

今回は白内障に関する報告ですが、コクランシステマテックレビューでもその有効性に明確な根拠はないとしています。

Antioxidant vitamin supplementation for preventing and slowing the progression of age-related cataract. Cochrane Database Syst Rev. 2012 Jun 13;6:CD004567PMID:22696344

今回の報告では、さらにリスク増加に関連しているという結果でなかなか衝撃的です。またビタミンCでは長期サプリメント使用や高齢男性、ステロイド使用者でよりリスクに関連していることが示されています。ちなみにマルチビタミンやマルチビタミンにビタミンCEを併用した場合のリスク増加は見いだせなかったようですが、少なくとも白内障に対する効果は期待できないと言えそうです。

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