薬剤師の地域医療日誌

薬剤師が臨床や地域医療にどのように関われるか、EBMを実践しながら模索しています。このブログは個人的な勉強記録です。医学文献の2次資料データベースとして医師、看護師、薬剤師その他のスタッフや患者様に役立てれば幸いです。情報に関しては知識不足の面から不適切なものも含まれていると思われます。またあくまで個人的な意見も含まれております。掲載の情報は最新の文献等でご確認の上、運用していただければ幸いです。

ご利用ありがとうございます。個人的に気になった論文を紹介しています。

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Chest

喫煙は市中肺炎リスクや、肺炎球菌による侵襲性感染症リスク増加と関連しますが、肺炎球菌による市中肺炎死亡リスクとの因果関係は明らかではありません。現在の喫煙状況が、肺炎球菌による肺炎死亡リスクへどのような影響を及ぼすか検討した報告。

 

【文献タイトル・出典】

TOBACCO SMOKING INCREASES THE RISK OF DEATH FROM PNEUMOCOCCAL PNEUMONIA

Chest. 2014 May 8. doi: 10.1378/chest.13-2853 PMID: 24811098

 

【論文は妥当か?】(抄録情報のみで吟味)

[Patient]

4288人の市中肺炎入院患者[肺炎球菌による市中肺炎892例のうち現在喫煙者204例(22.8%)、非喫煙者387例(43.4%)、喫煙歴のある人301例(33.7%)]

[Exposure]

喫煙状況

[Comparison]

Outcome

30日以内の死亡

研究デザインは何か?

多施設前向きコホート研究

調整した交絡因子

年齢、合併症など(抄録に詳細の記載なし)

 

【結果は何か?】

アウトカム

現在喫煙者

204

非喫煙者

387

過去喫煙者

301

 

30日以内の死亡

4.9%

4.3%

2.6%

reference

オッズ比5.0[1.8-13.5]

オッズ比4.0[1.3-12.6]

オッズ比3.9[1.09-4.95]

(オッズは交絡未調整)

現在喫煙の肺炎患者では年齢が若く、アルコール摂取が多く、心疾患・腎疾患・気管支喘息は少なかった。また現在喫煙者はCURB65が低くいものの、40%が診断時に重症敗血症を呈していた。

 

【結果は役に立つか?】

喫煙は独立した肺炎球菌肺炎の死亡リスクに関連しているとしています。年齢等で調整しても有意なリスク増加は変わりませんでした。

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日本呼吸器学会作成のCOPDガイドライン(第4版)によればCOPD1期よりLAMAもしくはLABAが推奨されていますが、2期以降は両者の併用も考慮されています。両者ともに心血管系への有害事象の配慮が現時点では必要かと思いますが、重度COPDの長期管理において両者の併用はベネフィットがあるのでしょうか。SPARKスタディからの報告

【文献タイトル・出典】

Once-Daily QVA149 Reduces Exacerbation and improves Health Status in Comparison With Glycopyrronium and Tiotropium Patients With Severe-to-Very Severe COPD: The SPARK Study

Chest 2014 Mar 1;145(3 Suppl):427A PMID:24638584

【論文は妥当か?】

[Patient]

40歳以上の重度のCOPD患者2224

[Exposure]

インダカテロール110μg+グリコピロリニウム50μg 11

[Comparison]

①グリコピロリニウム50μg 11

②チオトロピウム 18μg 11

Outcome

COPD増悪率、SGRQスコア(健康関連QOLスコア:スコアが高いほど症状悪化。4ポイント以上のスコア改善で臨床的意義あり)

研究デザイン

多施設ランダム化比較試験

ランダム化さているか?

されている

患者背景は同等か?

抄録に記載なし

盲検化されているか?

E群とC①群のみ2重盲検

サンプルサイズは十分か?

抄録に記載なし

ランダム化は最終解析

まで保持されているか?

試験完遂は75

追跡期間は?

64



【結果は何か?】

アウトカム

比較

発生率比[95%信頼区間]

COPD増悪率

①グリコピロリニウム

0.850.770.94

②チオトロピウム[非盲検]

0.860.780.94

アウトカム

比較

平均差

SGRQスコア

①グリコピロリニウム

-2.07

②チオトロピウム[非盲検]

-2.69

【結果は役に立つか?】

SGRQスコアに関しては臨床的差異に関する説明が抄録になくよくわかりません。増悪頻度は対グリコピロリニウムで有意に減少しています。こちらも率比から読み取れる統計的差異であり、臨床上有意な改善なのかよくわかりません。症候性の重度COPD患者への短期的な使用は考慮されるかもしれません。

 

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COPD患者における吸入ステロイド使用は結核発症リスクや非結核性抗酸菌による肺疾患リスクに関連するとする報告は以前にもありました。

(参考)COPD患者ステロイド吸入薬副作用か?

(参考)COPD治療吸入ステロイド安全

いずれも観察研究での報告ですが、今回はRCTのメタ分析です。

【文献タイトル・出典】

Use of Inhaled Corticosteroids in Patients with Chronic Obstructive Pulmonary Disease and Risk of Tuberculosis and Influenza : A Systematic Review and Meta-Analysis of Rondomized Controlled Trials

Chest 2014 Feb 6 PMID:24504044

【論文は妥当か?】(※抄録情報のみで吟味)

[Patient]

吸入ステロイドを少なくとも6か月以上使用(結核25研究22898人、インフルエンザ26研究23616人)

[Exposure]

吸入ステロイドの使用

Comparison]

吸入ステロイドの使用なし

Outcome

結核、インフルンザ発症

研究デザインは何か?

システマテックレビュー&メタ分析[統合研究数:結核25、インフルエンザ26

元論文バイアスの検討

ランダム化比較試験のメタ分析

評価者バイアスの検討

抄録に記載なし

異質性バイアスの検討

抄録に記載なし

出版バイアスの検討

抄録に記載なし

 

【結果は何か?】

 

アウトカム

オッズ比[95%信頼区間]

結核発症

2.291.045.03

インフルエンザ発症

1.240.941.63

 

【結果は役に立つか?】

特に結核蔓延地域でのリスクは高いと指摘しています。(結核非蔓延地域でのNNH1667人に比べて結核蔓延地域でのNNH909人)

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心房細動患者の喫煙習慣がもたらすインパクトはどの程度なのでしょうか。

【文献タイトル・出典】

The impact of smoking on thromboembolism and mortality in patients with incident atrial fibrillation: insights from the Danish Diet, Cancer and Health study.

Chest.2013 Oct 3. doi: 10.1378/chest.13-1740. [Epub ahead of print]PMID:24091709

【論文は妥当か?】

研究デザイン:コホート研究

[Patient]デンマークにおけるthe Diet, Cancer and Health studyのデータから50歳~64歳の57053人(男性27178人、女性29876人)そのうちAFを発症したのは3,161人(平均年齢66.9歳,男性2032人,女性1129人)

[Exposure]喫煙

[Comparison]非喫煙

[Outcome] 脳卒中(虚血性脳卒・動脈血栓症及び死亡

■調節した交絡因子▶ビタミンK拮抗薬の使用・ビタミンK拮抗薬+主要なリスクファクター

■追跡期間▶中央値で4.9

【結果は何か?】

ビタミンK拮抗薬の使用で補正した結果、脳卒中又は死亡は喫煙者で多い

男性:調整ハザード比▶2.73 (95%信頼区間2.02-3.70)

女性:調整ハザード比▶3.13 (95%信頼区間1.72-6.37)

ビタミンK拮抗薬+主要なリスクファクターで補正してもリスクは同様に上昇

男性:調整ハザード比▶2.17 (95%信頼区間1.59-2.95)

女性:調整ハザード比▶3.64 (95%信頼区間1.88-7.07)

【結果は役に立つか?】

つい最近、喫煙と心房細動に関する本邦の報告が出たばかりでした。

 

「土橋内科医院 院長ブログ -心房細動な日々-」喫煙と心房細動は関係があるのか?:日本の医療施設からの報告
原著:Circ J.2013 Sep 21. [Epub ahead of print] PMID:24065034

 

喫煙は心房細動リスクに関連する可能性が有り、さらに死亡リスクに関連するかもしれないということを示唆しています。

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慢性咳嗽に対する薬剤の有効性を検討したシステマテックレビュー・メタ分析です

【文献タイトル・出典】

Efficacy and tolerability of treatments for chronic cough: a systematic review and meta-analysis.

Chest.2013 Aug 8. doi: 10.1378/chest.13-0490. [Epub ahead of print]  PMID:23928798

【論文は妥当か?】

研究デザイン:メタ分析[統合した研究数49]

[Patient]49試験に参加した慢性的な咳嗽を有する患者3067

[Exposure]鎮咳薬の投与

[Comparison]プラセボ

[Outcome]咳嗽重症度と咳嗽頻度の発生率比[RR]に対する標準化平均差(SMD

■評価者バイアス▶2名の著者が独立して情報抽出

■ 出版バイアス ▶抄録に記載なし

■異質性バイアス▶抄録に記載なし

■元論文バイアス▶抄録に記載なし

【結果は何か?】

 

薬剤の種類

咳の重症度

SMD95%信頼区間

咳の頻度の平均差

SMD95%信頼区間

オピオイド

0.550.38 0.72

0.57 0.36 0.91

デキストロメトルファン

0.370.19 0.56

0.40 0.18 0.85

 

【結果は役に立つか?】

エビデンスは限られてしまうもの、オピオイドや非麻薬性鎮咳薬は成人における慢性的な咳嗽に対して一定の効果が期待できる可能性があり、原因不明の難治性咳嗽に対する質の高い前向き試験の実施が望まれると結論しています。

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