薬剤師の地域医療日誌

薬剤師が臨床や地域医療にどのように関われるか、EBMを実践しながら模索しています。このブログは個人的な勉強記録です。医学文献の2次資料データベースとして医師、看護師、薬剤師その他のスタッフや患者様に役立てれば幸いです。情報に関しては知識不足の面から不適切なものも含まれていると思われます。またあくまで個人的な意見も含まれております。掲載の情報は最新の文献等でご確認の上、運用していただければ幸いです。

ご利用ありがとうございます。個人的に気になった論文を紹介しています。

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LAMA

管理可能な呼吸状態の慢性閉塞性肺疾患(COPD)でさえも世界の死因の第3位である。 どの薬剤がCOPD患者の健康アウトカム改善に最も効果的であるかを知ることは、健康アウトカムを最大化するために必須である。リアルワールドでのLABAICS併用あるいはLABA単独での長期的なベネフィットを検討した観察研究

 

【文献タイトル・出典】

Combination long-acting β-agonists and inhaled corticosteroids compared with long-acting β-agonists alone in older adults with chronic obstructive pulmonary disease.

JAMA. 2014 Sep 17;312(11):1114-21. PMID: 25226477

 

【論文は妥当か?】(※抄録情報のみで吟味)

[Patient]

カナダオンタリオ州における66歳以上のCOPD患者から傾向スコアマッチング

[Exposure]

新規LABAICS併用8712

[Comparison]

新規LABA単独3160

Outcome

5年時点での死亡・COPDによる入院の複合アウトカム

研究デザイン

Population-based, longitudinal cohort study

交絡調整

propensity score matching

追跡期間

E群:中央値2.7年  C群:中央値2.5

 

【結果は何か?】

 

アウトカム

E

併用

C

単独

ハザード比・差

[95%信頼区間]

死亡

COPDによる入院

死亡3174[36.4%]入院2420[27.8%]

死亡1179[37.3%]

入院 950[30.1%]

0.92[0.880.96]

-3.7%[ -5.7-1.7]

 

【結果は役に立つか?】

COPDと喘息合併例ではより差が出たとしています。

(difference in composite at 5 years, -6.5%; 95% CI, -10.3% to -2.7%; HR, 0.84; 95% CI, 0.77-0.91)

またLAMAを使用していなかった患者群でも大きな差が出たとしています

(difference in composite at 5 years, -8.4%; 95% CI, -11.9% to -4.9%; HR, 0.79; 95% CI, 0.73-0.86).

 

COPD患者にICSを使用する場合は感染リスクに考慮する必要があります。

Chest 2014 Feb 6 PMID:24504044

Chest.2012 Oct 15. doi: 10.1378/chest.12-1225PMID:23079688

Thorax. 2012 Jul 10.PMID: 22781123

特に結核リスクには要注意です。ルーチン併用が効果的かどうか、今後の介入研究に注目です。またLABA単独での長期使用の安全性にも着目したいところです。

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慢性閉塞性肺疾患の増悪を繰り返す患者においては長時間作用型気管支拡張薬と吸入グルココルチコイドの併用療法が推奨されています。しかしまがら2 種類の長時間作用型気管支拡張薬への吸入グルココルチコイド上乗せベネフィットは不明です。

 

【文献タイトル・出典】

Withdrawal of inhaled glucocorticoids and exacerbations of COPD.

N Engl J Med. 2014 Oct 2;371(14):1285-94PMID: 25196117

 

【論文は妥当か?】

[Patient]

COPD 増悪の既往のある患者 2485

[Exposure]

チオトロピウム(18 μg  1 1 回)

サルメテロール(50 μg  1 2 回)

フルチカゾンプロピオン酸エステル(500 μg 1 2 回)

3剤併用療法を6週間導入し12 週間かけて 3 段階でフルチカゾンを離脱ICS離脱群]

[Comparison]

チオトロピウム(18 μg  1 1 回)

サルメテロール(50 μg  1 2 回)

フルチカゾンプロピオン酸エステル(500 μg 1 2 回)

3剤併用療法を6週間導入しその後も継続ICS継続群]

Outcome

中等度または重度の COPD の初回増悪までの期間

研究デザイン

ランダム化比較試験(非劣性試験)

ランダム化さているか?

されている

患者背景は同等か?

抄録に記載なし

盲検化されているか?

double-blind

サンプルサイズは十分か?

抄録に記載なし

ランダム化は最終解析

まで保持されているか?

抄録に記載なし

追跡期間は?

12 ヵ月

 

【結果は何か?】

 

アウトカム

ハザード比[95%信頼区間

初回増悪までの期間

1.060.941.19

非劣性マージン;95%信頼区間(CI)の上限1.20を下回り、非劣性が示された

 

【結果は役に立つか?】

チオトロピウム+サルメテロールを投与されている重症 COPD 患者では、吸入ステロイドを中止した例と継続した例とで、中等度または重度の増悪リスクは同程度と結論しています。95%信頼区間法の採用、20%までの許容というのが増悪というアウトカムの重大性と照らし合わせてどういった問題を孕んでいるのか、抄録だけではよくわからない印象ですが、このような事例に関するエビデンスは限られており貴重な報告だと思います。

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日本呼吸器学会作成のCOPDガイドライン(第4版)によればCOPD1期よりLAMAもしくはLABAが推奨されていますが、2期以降は両者の併用も考慮されています。両者ともに心血管系への有害事象の配慮が現時点では必要かと思いますが、重度COPDの長期管理において両者の併用はベネフィットがあるのでしょうか。SPARKスタディからの報告

【文献タイトル・出典】

Once-Daily QVA149 Reduces Exacerbation and improves Health Status in Comparison With Glycopyrronium and Tiotropium Patients With Severe-to-Very Severe COPD: The SPARK Study

Chest 2014 Mar 1;145(3 Suppl):427A PMID:24638584

【論文は妥当か?】

[Patient]

40歳以上の重度のCOPD患者2224

[Exposure]

インダカテロール110μg+グリコピロリニウム50μg 11

[Comparison]

①グリコピロリニウム50μg 11

②チオトロピウム 18μg 11

Outcome

COPD増悪率、SGRQスコア(健康関連QOLスコア:スコアが高いほど症状悪化。4ポイント以上のスコア改善で臨床的意義あり)

研究デザイン

多施設ランダム化比較試験

ランダム化さているか?

されている

患者背景は同等か?

抄録に記載なし

盲検化されているか?

E群とC①群のみ2重盲検

サンプルサイズは十分か?

抄録に記載なし

ランダム化は最終解析

まで保持されているか?

試験完遂は75

追跡期間は?

64



【結果は何か?】

アウトカム

比較

発生率比[95%信頼区間]

COPD増悪率

①グリコピロリニウム

0.850.770.94

②チオトロピウム[非盲検]

0.860.780.94

アウトカム

比較

平均差

SGRQスコア

①グリコピロリニウム

-2.07

②チオトロピウム[非盲検]

-2.69

【結果は役に立つか?】

SGRQスコアに関しては臨床的差異に関する説明が抄録になくよくわかりません。増悪頻度は対グリコピロリニウムで有意に減少しています。こちらも率比から読み取れる統計的差異であり、臨床上有意な改善なのかよくわかりません。症候性の重度COPD患者への短期的な使用は考慮されるかもしれません。

 

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長時間作用型吸入β刺激薬(LABA)や長時間作用型抗コリン薬(LAMA)等、COPDの第一選択薬は、心血管リスク増加と関連していることはこのブログでも良く取り上げるテーマです。

(参考)COPDにおける吸入薬剤の安全性

(参考)慢性閉塞性肺疾患の吸入薬に副作用はありますか?

JAMA Intern Medからコホート内症例対照研究で心血管イベントによる入院や救急外来受診のリスクを検討した報告です。

【文献タイトル・出典】

Cardiovascular Safety of Inhaled Long-Acting Bronchodilators in Individuals With Chronic Obstructive Pulmonary Disease.

JAMA Intern Med.2013 May 20:1-9.PMID:23689820

【論文は妥当か?】

  [研究デザイン]後ろ向きコホートの症例対象解析

[Patient]200391日から2009331日においてカナダオンタリオ州でCOPD治療を受けた66歳以上の患者191005

[Exposure]LABA LAMAの使用

[Comparison]LABALAMAの使用なし

[Outcome]心血管イベントによる入院および救急外来受診リスク

■調整した交絡因子▶抄録に記載なし

【結果は何か?】

■心血管イベントによる入院および救急外来受診53532 (28.0%)

■新規LABA処方と新規LAMA処方は入院リスク、救急外来受診リスクに関連

▶新規LABA:調整オッズ比1.31 [95% 信頼区間1.12-1.52; P < .001]

▶新規LAMA:調整オッズ比1.14 [95%信頼区間1.01-1.28; P = .03]

【結果は役に立つか?】

高齢者におけるCOPD患者では、長時間作用型β刺激薬と長時間作用型抗コリン薬の新規使用は、心血管イベントリスクの増加に関連付けられていると結論しています。

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