気がつけば夏も終わりが近い。特に忙しい訳でもないのに、3か月前の北海道旅行の話を未だに完結できていない。今更感はあるが、しっかり終わらせて次へ行こう。

 丁度その日は日本ダービーだった。その日のうちに3頭も過去のダービー馬を見た俺は、こんな奇遇はないから絶対馬券も当たるだろうという事で札幌競馬場に向かった。向かったはいいが、開催日ではないのにさすがはダービーデイ。競馬場の駐車場は満車にして中々場内に入る事あたわず。仕方なく競馬場からちょい離れたイオンに車を停め、購入締め切りも大分近付いていたことから小走りで駆けつけた。事前情報などほぼなく、直感で、いや適当に二頭選んで(人気馬ではあったが)馬連一点勝負に自分史上過去最高の金額をつぎ込みレースに臨んだ。競馬場のモニターが見える席に座り、汗が引き、冷たくなってきた夕暮れの風に軽く震え始めたころにレースは始まろうとしていた。何だか絶対当たる気がする。もはや確信しかない。近くの人の声が大きく、やっぱり北海道の人、声デカイという偏見をより一層深めた。ステレオタイプ。
2012年5月北海道旅行 027
 レースは終わった。どんな内容だったかは今や全く覚えていないが、結局当たらず紙屑が自分の持ち物に増えた。

 駐車場を停めたイオンの中のご当地感の薄いラーメン屋で遅い昼食を食べながら考えた。レースは当たらなかったし結構な金額を損なった。でも余り悪い気はしない。むしろ清々しいし何だか楽しい。

 ふと思った。どうもこの所、自分の事や周りの事でうまくいかず、イライラする事も多かった。これまでも、現実の結果は別として何だか自分の思う通りにしようとしすぎていてそれこそが正しいと思い込みすぎていた。でもその一方でたまたま自分の思うようになった時もそれ程嬉しいということもない事もあった。客観的に見て、この状況は嬉しくあるべきなんだろうなという感じでまあ喜んでおこうということもあった。力みとか脅迫観念と諦観、虚無感が混在している。
 
 だから、自分の思う通りにしようとして、思う通りになると思って、結局大外れだった今の状況がそれ程嫌でもなく楽しいというのは新鮮だった。いいか悪いかはよく分からないが、うまくいかない状況とか、うまくいかなかったとき、予想外の状況に陥った時の方がかえって面白いかもしれない。そもそも自分の思いなんてそんなに大した事かもわからない。自分の狭い了見から外れた所に面白い事は沢山あるかもしれない。たかだか馬券を外しただけの事だが、この日に札幌競馬場という自分にとって縁の薄い所で感じたことは覚えておいたほうがいいように思った。

 ご当地感の薄いイオンのラーメンを喰いつくし、想定外のアンビシャス感と、予想通りのヤバめの眠気に包まれながら、俺は次の目的地である旭川に向かった。