前科無き日常

気づけば開設9周年。。。

July 2013

冷えたパエリアとニセ警官(スペイン旅行記3)

 プラド美術館を出発し、マドリードの王宮広場へ向かう。ここは写真を撮るだけのスポットで短時間しか寄らないらしい。素晴らしい建物に素晴らしい天気、そこに広場のシンボルである彫刻が刻まれた塔が映える。ヨーロッパぽい絶好の撮影スポット!と言いたいところだが、さあみんなで写真を撮りましょうというノリに若干ついていけない。写真を撮るのは嫌いではないが、写真を撮るためにスペインに来た訳ではないとやや天の邪鬼になってしまう。おのぼり日本人が浮かれて寄ってたかって写真を撮る図がやや恥ずかしかったが、一方でじゃあ何の為にそれなりの金を払ってまでスペインにまで来たのか、明確な答えらしきものも自分には今の所ない。旅の経験値を上げるみたいなのもあるがそれにも限定されないし、ハモンさんのように美味いもの目当てでも、世界の名品、名勝を求めて、写真をガツガツ撮るというだけでもない。それら全てといってもいいのかもしれないが今いちピンと来ない。要素としてはあるが核ではないのは分かる。この旅行では変な話だが自分の旅行したいという欲求について、その中に何を一番強く求めているのかを探す旅でもあった。それがある程度クリアにならないと結構昔から人知れず考えていた、世界を旅するという漠然とした目標をより具体化するステップに繋がらない気がする。だから今回は言い慣らされた感のある自分探しの旅ならぬ旅の目的探しの旅だ。

 王宮広場での撮影会が終わると、日系スペイン人マルガリータさんはじゃあ私はここでとケロッとして帰って行った。柄にもなくこちらから「きれいな街ですね」などとよいしょしても「ああそうですか」と薄いリアクションしかとってくれなかったマルガリータさんとはおそらく一生会う事はないだろう。一生会う事がない人がこれから何人出てくるのかと思うと何気に感傷的だ。
 この日の観光は終わりでこの日の宿泊地である空港近くのホテルに到着した。偶然の同行者ハモンさんはスマステーションで見たらしいイベリコ豚の生ハムをパンに豪快に挟んだ食べ物を夜街まで出て食べに行く構想を立てていたらしく、遠まわしに一緒に行きませんか的なアプローチをしてきて、面白そうだし行きたかったのだがホテルから街中まで結構遠いのと、長旅の疲れで体力的に限界だったので遠まわしに早く寝たいから行かないとアプローチをして結局夜のマドリード探索に行く事はなかった。申し訳なかったがハモンさんも断念したようだ。今思えば行けば良かったのだが飛行機でよく寝られなかったのと、体力不足を悔やむよりない。

 ホテルでは夕食が出て、オリーブとチーズ、トマトやレタスなどのたっぷりと入ったサラダとパン、そしてスペインといえばのパエリアが出た。オリーブは初めてで、スペインではどこでもでる一般的な食材なのだが、塩漬けでしょっぱく、便所を食べた事はないが若干便所のような風味がして不思議な味だった。ただ、ワインと合うというのは何となく分かったし、逆にワインなしで辛口に食べるのはちょいきつい気がした。そしてメインのパエリアは出た時点ですでに冷えていて、ポイントであるはずのご飯にしみ込んだ魚介のだしは温度の低下によって生臭さが際立ち、何よりも味付けが塩をそのまま食べているかのような猛烈なしょっぱさではっきり言ってまずかった。正直久しぶりにこんなまずいものを食べたように思えたし、この先の食事でパエリアに再挑戦する意欲はすっかり失せてしまう程の衝撃だった。スペインの第一食目は完全なる敗北である。

 強い疲労感のおかげで夜はぐっすりと眠れ、スペイン2日目の朝を迎えた。朝食を前に煙草を吸いに行くと、外の喫煙スペースで同じツアーの一人で参加しているおじいさんから同じくツアー参加者で恒例の夫婦連れの方がクレジットカードの盗難にあったという話を聞いた。その手口は夫婦が朝食前にホテル近くを散歩していると、警官に職務質問されて財布やパスポートの提示を求められたのだが、その警官は実は偽物で職務質問を装って財布の中身を抜かれたというのだ。素直に応じた夫婦は後になってカードがない事に気付いたが、時すでに遅し!と、とても嬉しそうに話してくれた。確かにわざわざこのブログにネタとして載せる位だから話としては面白いが、言われてみれば朝起きるとフロント周辺に警備員のようなカッコの男がソファーに座っていて、この警備員はどういう警備員だろう?と軽く違和感を覚えていたので、もしかしたら自分がカモにされていたかもしれないと思うと、この先全く油断ができず身の引き締まる思いがした。ツアーだからといってしっかりと自分の身は自分で守らないといけないと自らを戒める2日目の始まりだった。

スペイン旅行 028

 

 

プラドに徘徊す(スペイン旅行記2)

 ドーハからの7時間位のフライトを経て、ヘトヘトになりながらようやくスペインはマドリードに到着した。ドーハ空港同様この空港も非常に広く、到着ロビーから荷物の受取り場まで専用の地下鉄が走っており、一人だったら絶対に迷うだろうという驚愕のシステムだった。演技がかった入国審査官から無愛想にスタンプをドツッと押してもらい空港を出ると、空気がカラッとして気温も24〜5度位で雲ひとつない快晴。スペインの第一印象、何て天気のいい国だ!

 空港で待っていたバスに乗り込んでマドリード最初の目的地、世界三大美術館の一つプラド美術館に向かう。
空港からおばさんファッションデザイナーのようなマルガリータという日本人ガイドが加わった。名前がおかしいのはおそらくスペイン人と結婚したからなのだろうが、何の臆面もなく、日本を離れ異郷の地で暮らし、その上言葉も文化も違う人と結婚するバイタリティというか図太さは素直に感心する。マルガリータさんは日本人観光客がマドリードに来た時の現地ガイドで生計を立てている感じで、最初旅の始めから終わりまでガイドしてくれるのかと思ったがマドリードだけだった。ちなみに添乗員さん曰く、スペインでは観光ガイドは資格が必要で、資格なしに観光地をガイドする事は法律違反らしい。マドリードの他のこの先の観光地でも、現地ガイドさんがどこからともなく現れて、日本語のガイドは添乗員さんに任せてただ我々についてくるだけで、見学が終わるといつのまにか去っていくという日本では考えにくい不思議な場面が多々あった。形だけガイドの体裁をとっているのだ。話は戻り、空港から美術館へ向かう車窓からはマドリードの近代建築群が見えたが、建物の暖色系の色合いやデザインがカッコよく、同じマンションでも日本のとは違うデザインの体系を感じる。当然住む人造る人の好みやセンスも違うとは思うが、建築基準などもきっと違っていると思われる。

 見慣れぬ窓の景色に感心しきっているうちに、バスはプラド美術館に着いた。プラド美術館は、かのルーブル、ニューヨークに並ぶ世界三大美術館の一つだそうで、スペイン王家のコレクションが多く展示されている。日系スペイン人マルガリータさんのガイドで、この美術館の中で3大巨匠と呼ばれる見ておくべきランクの高い、ベラスケス、エルグレコ、ゴヤの代表的な作品を色々解説してもらいながら鑑賞した後、個人で約1時間弱館内をぐるぐる回った。美術館自体は好きで、さも興味ありそうな感じで回っていたが正直、絵の鑑賞眼も、知識もなく、解説も当然外国語なのでちんぷんかんぷんもいいとこだった。名画をしっかり鑑賞するノウハウが自分にはない。しかも長旅の疲れと睡眠不足で頭が働かず、ボーっとして迷路のように美術館の同じ場所をさまよう始末。絵がどうこうというよりも、名のある美術館に来たということ以外に得られた感動が少なかったように思える。長時間のフライトからすぐ美術館という日程的な無理は割り引いて考えても、事前の体調管理や予備学習も海外旅行をより楽しむ上では軽視できないという教訓を得た。行き当たりばったりも楽しいが、限られた時間の中で楽しむ上でもしっかり準備して事に臨むのにも意味があるのだと、自分にはその価値が未だにピンとこない絵の数々そっちのけで考えたりした。一方で、今回ろくに知識もなく来た事で、日本に帰ってから復習しようという意欲も出たのでそれはそれでポジティブに捉えようと考えることにした。

スペイン旅行 021スペイン旅行 016

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