前科無き日常

気づけば開設9周年。。。

November 2013

ロルカの荒涼(スペイン旅行記8)

 そろそろこの旅行記も飽きてきたので速足でグラナダの夜を振り返る。ハモンさんと共に街へ繰り出し、バル3件をはしごした。その中でも結局一番うまかったのが中華系のバルで食べたチャーハンという一周回って食の原点に帰るような結末でコメの旨さに泣きそうになった。やはり日本人はコメだ。

 夜が明け、次の日は午前中にグラナダの市街を自由行動。デパートで辞書を買い、気味の悪い日本人向け観光案内所で、気味の悪いおじさんに気味の悪い市場を紹介されたがスルーした。アパートの一室で5、6匹の猫に囲まれたひげ面の中年のおじさんで見るからに変人だった。スルーした市場の近くの靴屋でスリッパを買った。バスにしても飛行機にしても、靴を履き続けているのがストレスでスリッパが必需品である事が痛感させられていたからだ。おみやげを買わずにどんどんアメニティグッズばかりが増えている。天気は快晴とてもさわやかで見慣れぬ街並みを歩いているだけで気分がよかった。

 昼前にはグラナダを離れ、次の目的地バレンシアに向かった。途中ロルカという街のパラドールと呼ばれる国営ホテルで昼食をとった。スペインでは古い建物が改装された国営のホテルが多く存在しており、ロルカにあるパラドールは小高い丘の上にあるクッパ城のような城閣を改装したような作りだった。食事は結構ちゃんとしたコース料理が出てきて他のツアー参加者の人たちのそれなりの服装に比べて、長旅でクタクタになったシャツとジーパンという恥ずかしい恰好で、見よう見まねで芋洗いの猿のようにナプキンを膝に敷いた。4人がけの席で、安定のハモンさんと母娘2人づれの方と同席し、こじゃれたランチを楽しむ体裁をとった。コミュニケーション能力的にこういう場で何を話せばいいのか分からないのでハモンさんと母娘の会話を楽しそうに聞く体裁を取りつつ、食事に集中している体裁をとった。とんだ体裁屋である。楽しくない訳ではないがなんとなくナチュラルでない。でもナチュラルの正解が分からない。このまま何も生まれない体裁を取りながら老い朽ち果てていくのかと思うと暗澹たる気持ちになりそうだった。それより何より相手に悪い。みるみるめんどくさい奴になりながら食事を終えホテルを出た。小高い丘の上からの眺望は素晴らしく、この旅トップ3に入るかと思われる風景で、ナチュラルに圧倒的な景観に感じ入ることには何のめんどうくささも入りこむ余地が無かった。

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アルハンブラの思い出(スペイン旅行記7)

 不機嫌になっていたのは他にも理由があった。このツアーに参加して以降、何かとお世話になっているハモンさん(同じツアーに参加している日本人の40位の男性)がこの日の宿泊地であるグラナダの夜の自由行動を凄く楽しみにしている事がその原因だった。グラナダのバル街(立ち飲み居酒屋街)は有名で、そこでの飲み歩きをハモンさんは楽しみにしていた。これまでも書いている通りハモンさんは食べる事が大好きで、食べる為に旅をしているような人だ。ホテルからバル街は遠いし、一人で夜出歩くのはさすがのハモンさんといえやや不安もあるだろうからおそらく一緒に行くことになるだろう。しかし、海外ビギナーの自分にとってはその存在がありがたかった反面、そろそろ旅にも慣れてきて一人で動いてみたいというわがままな気持ちと、鉄の胃袋ハモンさんの食事のペースに付き合うのがやや苦痛になってきたという思いがあった。この散々世話になっているから少しでも恩返しになれたらという義理と、好きにしたいという自己中丸出しの気持ちの葛藤の狭間でフリヒリアナからグラナダへ向かう車中のテンションの落ち様は、日中歩き回った疲れもあいまってこの旅最大だったと思う。

 そんな悶々とした気持ちを抱えつつ、今日のツアーの最終目的地グラナダのアルハンブラ宮殿に到着した。スペインの昔の女王が、イスラム勢力を最後に制圧した城閣で、その美しさから、破壊されることなく現在に残るイスラム建築の最高峰であり、スペインを代表する観光地の一つである。多分着いた頃には18〜19時位だったように思えるが、まだまだ陽が高いのが不思議でしかたなく、何だか羨ましい。
 例によってここでも観光ガイドがどこからともなく現れた。名前はすっかり忘れたがスペイン人と大阪人のハーフの女性で、感じがアンジェラ・アキっぽく、説明も楽しく上手い。ガイドの人のペースに巻き込まれたかは分からないが、夕時の宮殿建築は確かに良かったし、好奇心が満たされいつの間にか不機嫌も治っていた。

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 撮った写真はみな訪れたものが皆おさえるようなベタなものばかり。この宮殿で特徴的なのは水が豊かに用いられている所にある。乾燥地帯であるこの地域にあって「水」は豊かさの象徴であり、城閣の涼やかな景観の演出や緑豊かな庭園に活かされている。宮殿の庭はとても広かったが庭師は4人しかいないらしくそれは大きな驚きだった。景観の素晴らしさに息を呑まれるという事はなかったが、素直に来てよかったと思えたのがアルハンブラの思い出だ。ホテルに戻る頃には、アルハンブラマジックで鉄の胃袋ハモンさんと夜の街に繰り出す覚悟がすっかり固まっていた。旅は一期一会千載一遇である。
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