アグラからジャイプールに向かう車中でのシンさんの話は心にとても響き、結構な時間のドライブもあっという間だった。夕暮れに差し掛かったころ観光地的な雰囲気のアグラとはまた違う猥雑なジャイプールの街に到着した。

 実は車中、ジャイプールは占いが盛んな街という話をシンさんに聞き、今からでも占い師の予約が取れるという話だったので、もとより占いが興味がある自分としては是非ということでお願いすることにした。
車は街中に入りとてもきれいなホテルのロビーに到着。ここが今夜の宿かと思ったが、占いをロビーのラウンジでするだけで泊まる宿は別だというぬか喜び。

 しばしソファーで待つと割と普通の格好の占い師がやってきて、生年月日と手相を見せて鑑定が始まった。
結果として、仕事はしばらくは順調、恋愛については2015年の春ごろにいい相手が出てくるらしい、健康については目と胃が悪くなる傾向があり、怒りをためやすい性格だという。ラッキーストーンはエメラルドでゴールドとエメラルドを身に着けることで健康面などのネガティブ要素を補うことができるらしい。一年以上たった今どうなっているかというと、仕事と恋愛については「うーん・・・なんともいえん」という感じ。健康面については目が悪くなるというのも胃が強いというわけでもないから当たっているといえば当たっている。怒りをためやすいという性格は、個人的には今まであまり怒らない性格と思っていたが、年々気が短くなっている気もしなくもないし、親などを見ていると温厚な家系とは言えないのでそう言われてみるとという感じでもあった。結果としては当たるも八卦当たらぬも八卦というところだろうか。通訳のシンさんを通じて、占いの根拠を根掘り葉掘り聞いてみたがいろいろな理論の組み合わせで一口には説明できないとかわされてしまった。

 占いが終わり正規の宿泊先へ着くと、昔っぽい格好をしたベルマンが立っているホテルで、占いしてもらったホテルよりはクオリティは下がったがまずまずのホテル。この地域は治安が悪いので出歩かないでほしいとシンさんから忠告を受けたのちにその日は彼とも解散。ホテルで安定のカレー定食を食べたが味もまずまず。部屋に戻り早めの休息となったが、ホテル内で学生のダンスパーティーが開かれていて全く防音対策もないためうるさいことが半端ないことには閉口させられた。

 翌朝。朝食をすませるとシンさんがロビーで待っていた。今日はジャイプールのマハラジャの別荘のアンベール城と、市内の今も存在するジャイプールのマハラジャの宮殿をめぐり、その他所々お土産屋に強制連行というのが大まかなプラン。アンベール城では象に乗り、宮殿では優雅な気持ちで展示品を鑑賞。宮殿近くの天文台で当時の科学力に驚嘆し、風の宮殿の裏からジャイプールの街並みを見回した。途中で気が付いた。ジャイプールという街に入って以降、完全に自分の行動はマハラジャ(街の王様)であるということに。宮殿を出てからは、織物工場と宝石店を見学した。昨日の占い店でエメラルドを身に着けるといいと言われていたのは完全なる伏線で、シンさんもグルになってエメラルドを執拗に進めてくる。もう完全に自分はマハラジャだったので、普段なら絶対買わないであろうエメラルドのペンダントを結局購入!霊感商法もなんのその。なぜなら俺はマハラジャだから幸運の為なら金銭を惜しまない。しかし妥協がでてしまい、チェーンはケチってシルバーを購入すると、後でシンさんから占いではゴールドがいいと言ってたけどシルバー買ったんですねと指摘され、こいつ・・・とは思ったが、マハラジャに恥をかかせるな!とは流石にメンターには言えない。

 マハラジャは止まらない。一日のプログラムが早めに終わり、連日の酷暑と過剰に効きすぎの冷房のせいで少し風邪気味になっていた。シンさんがアーユルヴェーダというインドではとてもメジャーな民間療法を進めた来たので是非にということでお店へ行く。いわゆるオイルマッサージで体質にあった薬草を混ぜた暖かい油で体をマッサージしていく。寒気がしていた身体がポカポカあったまる。俺はマハラジャだから健康の為なら金銭は惜しまない。

 ホテルへ早めに戻り夕食。給紙をしているボーイとやり取りしていると日本の客が多いから日本語を教えてほしいと頼まれた。気前よく応じて、次の日の朝、よく使う日本語をメモに書いて渡すと大喜び。ちなみにこのボーイに夕食の際少し多めにチップを渡すとボーイはテンションが劇上がりしていたが、次の日この客はチップを多く渡すぞという噂がボーイ内に広がり、何人かのボーイが自分を取り囲みあれやこれやとサービスを買ってきたのがもの凄くわかりやすい人たちだと思った。インドに来てからというものチップの文化に徐々に慣れ始めている。気分的にあげる方が卑しいなというのもなくはないが、お互いに気持ちよくサービスを成立させる事や、ホテルや乗り物に乗る時などのセキュリティという部分では、「惜しまない」というのはある意味合理的という風にも考えられるようになった。

 狂気の沙汰とも言えるマハラジャ道中を終え、旅は終盤。デリーに戻り旅の締めくくりとなる。